2022/03/11 のログ
ご案内:「訓練施設」に桃田舞子さんが現れました。
桃田舞子 >  
ワガハイはモブ子である。って誰がモブ子だ。
ししょーに言われた通り、異能の進化に向けて頑張っている次第。
目指せセカンドステージ、目指せ速さのその先へ。

しかし。
やることは非常に地味。

目の前にはバケツ一杯のテニスボール。
これを………どうするか。

こうする。
加速異能を使ってジャグリングを始める。
普段ならボールジャグリングなんて常人は2、3個もすれば限界が来る。
そこで加速異能。
5個、6個と意識を加速しながら素早く手を動かすことで。
人並み外れた数のジャグリングが可能となる。

周りから拍手が来るのが恥ずかしい。
別に芸のつもりでやっているわけじゃないのだけれど。

桃田舞子 >  
加速異能を使いすぎると何が起きるか?
それは人による。
けど、私は加速酔いが起きるのだ。
具合が悪くなる。

でも加速異能を使い慣れると緩和されるという話もあり。
その先にセカンドステージがあるのなら。

「よっ」

刀の鞘で七個目のボールを空中に跳ね上げる。
七個のテニスボールが目まぐるしく空を交差する。

う……若干気持ち悪くなってきた。
でも、まだまだこれからぁ!!

桃田舞子 >  
みんなから見れば曲芸に見えるのかも知れないけど。
加速した世界でゆっくり落ちてくるボールをできるだけ被らないように投げるのは、
どちらかというとパズルに近い。

一個、取り損ねて地面に落ちそうになったので
足の甲を使って空中に跳ね上げる。
今はジャグリングは七個が限界だろうか。

いや、いける気がする!!
8つ目を刀の鞘で空中に跳ね上げた!!

瞬間、ボールが空中でぶつかって散ってしまう。失敗。

「ぶえっ」

さらに加速酔いが来て蹲る。
この独特の感覚、嫌な感じ………!

桃田舞子 >  
窓の外の夕日が滲んで見える。
這いつくばりながらボールを拾う。

今は訓練中だからいいけど。
戦闘中にこうなったらおしまい。
そうならないための訓練だけど。
正直、心が折れそう。

深呼吸。深呼吸………

ご案内:「訓練施設」に矢那瀬陽介さんが現れました。
矢那瀬陽介 > 防音兼ねた厚手の壁に囲まれた中種々様々な生徒たちが行き交う訓練場。
その場に一種の賑わいが生まれてるのに歩み寄っていたのは黒髪に黒い柔道服を着た少年。
異能を駆使してジャグリングに歓声と拍手が起きているのに自分もその手を打ち鳴らしていた。
しかし、その人が一度の失敗から蹲り身動きが取れなくなったのならば、一人、また一人と消えていって。

「大丈夫?医務室に運ぼうか?」

唯一残った少年は長い足を折り曲げて散らばったボールの一つをバケツの中に放り込んだ。

桃田舞子 >  
柔道着の少年に声をかけられる。
陽の加減だろうか、赤みがかって見える黒髪。
見上げるほど背の高い彼は、私を心配しているようだった。

「だい、だ、大丈夫……無問題(モーマンタイ)…サヴァビアン……」

ほうほうの体で立ち上がって、ボールを拾ってくれたお礼をする。

「ありがとうございます、ボール」

すぐにその場にぺたんと座り込んでしまう。
まだ大して時間は経っていないのに、この状況。

「あ、邪魔ですよね。すいません……」

矢那瀬陽介 > 「おー、多国籍の挨拶。外人さんに見られたかな」

冗談交じりに挨拶を返しながら指先で触れたボールが一人でに掌に昇るのをまばバケツの中にいれていく。
一つ、また一つ。その間も膝屈めて相対的に高い位置にある同色の瞳を見つめて様子を伺っていた。
が、すぐにその視線は落とされて。

「別に邪魔だなんて思ってないよ。ジャグリング一つになんでそこまで凹んでるのかなぁと不思議だっただけさ」

足元に転がる最後のボール2つを軽やかに宙空に投げては。

「痛っ、俺なんて2つでも失敗しちゃうのにね」

小さく赤い舌を出して苦笑いを見せた。

桃田舞子 >  
「ジョークの一環です」

モブ子ジョークです。
弱点はあまり面白くないこと。

「凹んでるんじゃなくて………」

あ、励まそうとしてくれてる!!
ここは説明責任が生まれた!!

「……加速異能持ちで、使いすぎると加速酔いが起きるんだけど」
「慣れないといけないなぁと思って練習中なんです」

「……あなたは?」

って、相手のことを聞く前に名乗らなきゃ!!

「あー……私は桃田舞子です、常世の………学生の」

矢那瀬陽介 > 生憎エスパーでもないからモブジョークという言葉など届かないがさりとてその意気が下がってるのは目に見えてわかる。
覗き込むむ額に髪が流れ落ちるのに無造作で掌で掻き揚げながら、その言葉に耳を傾けて。

「あー、ほんとに立ってられないんだ。偉いねぇ。気持ち悪いの我慢して続けるなんて」

本日二度目の拍手は柔らかに。掌を軽く打ち鳴らして。

「俺は矢那瀬陽介。桃田さんと同じ学生だよ……
 それじゃお近づきの印に」

緩慢な動きで手を伸ばした。
もしも相手が握ってくれるなら意味深に片目を閉じて、軽々と抱きかかえてしまおうと試みる。

桃田舞子 >  
「そういうトレーニングですから」

矢那瀬陽介。
どこかの委員会で見たかな、と思いだそうとするけど。
思い出せない……記憶力がいい方でもない!

とか考えてると。
手を伸ばしてもらっている。
立たせてくれるのかな。

「ありが………」

手を取った瞬間、抱きかかえられる。
ってええ!?
どういう!! あれですか!!

「え、あ、その!?」

矢那瀬陽介 > 軽々と引っ張り上げられた体は相手のジャグリングに比べれば低いが宙空に浮かせて胸の中に受け止める。
背筋と膝裏を腕で支えるいわばお姫様抱っこ。
そして驚いてる姿に小さく笑いながらくるり、と黒瞳が周囲を見渡し。

「あそこが良いな」

独り言呟いてからゆっくりと、胸の中の人を揺らすこと無く歩き出す。
生徒たちが片付けようとするマットの前にて足を止めて。

「それ。後で俺が片付けるから置いといてよ。
 この人気分が悪いらしいから寝かせてあげたい。
 …汚い?地べたで蹲るよりマシでしょ」

ベッドというには粗末だが冷たい床より柔らかなマットの上に下ろしてやろうとした。

桃田舞子 >  
お母さん!! お父さん!!
私、お姫様抱っこされてる!!
初対面の男の人に!!!

混乱しながらマットに優しく下ろされる。

「………矢那瀬さん」

真っ赤になりながら相手の名前を呼んで。

「誰にでもそんなことするの良くないと思う………」

しかし、人の邪魔にならない場所に来れたのはいいこと。
いいこと!? 本当に!?

矢那瀬陽介 > 立ち上がってから声に振り返り。

「ん?」

紅潮して訴える目つきに首を横に傾げて。

「ごめんねぇ。そんなつもりはなかった。
 ただ、面白い異能で楽しませてもらった癖、倒れた後見なかったことにして立ち去るのはどうかと思ってだけだよ
 ちょっとまってて」

軽く手を掲げてその場から去ること暫く。
スポーツ飲料のペットボトルを手に戻ってくる。

「はい。これは投げ銭とお詫びを込めて。
 あと赤い顔もこれで冷めるでしょ?」

冷たい表面をそっと相手の頬に突きつけてから手渡そうとした。

桃田舞子 >  
「別に死にそうなわけではないけど……けど…」
「あ………」

そうだ、心配してくれて。
スポーツ飲料までもらって。
まだ言ってない言葉がある。

「ありがとうございます……」

頬に押し付けられる。想像以上に女慣れしている人かも知れない。
受け取ってから、喉を潤して。

「でもまだ訓練は続けるつもりなので、矢那瀬さんはトレーニングを続けても大丈夫ですよ?」

つまり、またヘバる。
そしてその時にまたお姫様抱っこされるのは避けたい。

矢那瀬陽介 > 「どういたしまして。俺も面白いもの見れて楽しかったよ!
 うん、でもこれ以上つきまとったら君の訓練の邪魔にもなってしまうよね」

まだ立ち上がれぬ様子のその人に微笑みながらも軽く手を振ってから立ち去っていった。
またね、と小さな声を添えて……。

ご案内:「訓練施設」から矢那瀬陽介さんが去りました。
桃田舞子 >  
「あ、はい」

さっと立ち去ってしまう。
矢那瀬さん、恐ろしい人!!

近づくも離れるも自在というわけです。

その後も必死にトレーニングを重ねたけど。
異能の進化どころか加速酔いが深まっただけでした。

ご案内:「訓練施設」から桃田舞子さんが去りました。