2020/07/30 のログ
ご案内:「【イベント】常世島関係物故者慰霊祭 会場」に小桜 白さんが現れました。
小桜 白 >  
みあげる。

式典の終わった静かなホール。

献げられた花々にまもられて、
冷たくそびえる慰霊碑に、個人名は刻まれていない。

小桜 白 >  
手を合わせて偲ぶ。

真理に願い、そして亡くなった―――らしい、知人。

辛いかと言えばそうでもなくて。
ただやった方が良いのかなという消極的な動機で。
墓地に神妻円歌の名が見受けられなかったから、此処に。


「どうか安らかに」


此処には。
此処には……―――。

小桜 白 >  
ふと。
 
周囲をきょろきょろと探す。
あるはずのないものを探す。
遠く背後の扉をふりかえる。

少し間を置いて。
可笑しくて微笑みが深まった。


「神妻さん……」


再び前を向く。
未来に続いているとは思えない前方。
あるのは慰霊碑。荘厳な墓標。
この大きさでも、恐らく全部は入り切らない。

小桜 白 >  
「『願い』ってなんだろう?」


ぼやく。

あなたはそれを知っていたのでしょう。
あなたたちはそれを知っていたのでしょう。
願いに貴賤はないと言ったひとがいた。
いやそんなことはないのではないか。
どうなのだろう。

あなたにもあるでしょうと神妻円歌はわたしにいった。


「――――――どうだろう?」

小桜 白 >  
みあげる。

天井を。
その先を。

あるかといえばある。あなたのようにはなれない。
なれなければ『願い』ではないのではないの?
真理に『願う』ほどのものではなかったら?
その程度。それだけ。ちっぽけな。
ありふれた背景のひとり。


「ふしぎと………それでも生きていけてるんだ」


わたしはあなたとは違うんでしょう。

小桜 白 >  
 
 
ああ……………此処にもない。
 
 
 
虚はうまることがない。
 
 
 

小桜 白 >  
辛くもなければ。
苦しくもなくて。
まあ、よくある、ありふれた、どこにでもいる。
そういう人間がいる。
小桜白。

真理に噛み付くこともなかったもの。

人間は、ただ。
生きていられる。


「………おやすみなさい」


踵を返した。
此処にまた来る理由が、うまれる時がくるのだろうか………。

ご案内:「【イベント】常世島関係物故者慰霊祭 会場」から小桜 白さんが去りました。