2020/08/12 のログ
ご案内:「常世大ホール」にアフロ山本さんが現れました。
アフロ山本 >  
俺は今、一人の……いや、一匹のレスラーとして常世大ホールの花道を歩いている。
リングネームはアフロ山本。
安直だろう?

だが、悪くない。
大歓声の中を歩き、死地に赴く。
ああ、全く。悪くない。

 
事の発端は先週だった。
プロレス同好会(ガチなほう)の試合の相手がいないと聞いて。
『だったら俺がやろうか?』と冗談で言ったら二日後には俺のサイズに合ったコスチュームが用意されていた。

    や
だったら闘るしかねぇ。
漢は逃げちゃならねー時もある。

夜の常世大ホールに歓声が響いた。

実況 >  
「赤コーナー!! どうしたもんだ22歳学生ッ!!」
「一般風紀の最終兵器、いつでも撃てる核弾頭ッ!!」
「アフロ山本だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

割れんばかりの歓声の中を実況が叫ぶ。

「ゲストならばゲストなりの存在感を出せッ」
「身長178センチが、膨れ上がるアフロで強烈なアピールをしておりますッ!!」

マスク・ド・アース >  
青コーナーの花道をゆっくり歩く。
一流は逃げない。一流は焦らない。

見下ろすようなサイズの相手に、怯える要素は一つもない。

巨漢の覆面レスラーが歓声の中をリングへと征く。

実況 > 「青コーナー!! お前もそれはそれでやばいだろッ17歳!!」
「身長194cm、完成されたフィジカル、完璧なメンタル!!」
「プロレスの申し子ッ!! いや、プロレスという概念そのものッ!!」

「マスク・ド・アースだぁぁぁぁぁぁ!!!」

アフロ山本 >  
リングに上がり、真っ先にマイクを握る。
挑発するようにマスク・ド・アースを指差す。

「俺、プロレスって今回が初めてだけどさ………」
「アンタに勝ったら、もう常世のリングで俺に勝てる奴はいないって思っていいのかい?」

ニヤリ、と笑って両手を上げる。

観客 >  
「ア・フ・ロッ!! ア・フ・ロッ!!」

実況 >  
「ああっとぉ、これは恐ろしい発言が出ました!!」
「お前に勝てば俺は全一か、つまりお前が最強か!!」

「アフロ山本、初試合を大金星で飾る気満々ですッ!!」

マスク・ド・アース >  
山本から放られたマイクを手に吠える。

「甘ったれたベビーフェイスがオレ様に勝とうなんざ」
「百億光年早ぇんだよ!!!」

ヒールにはヒールの矜持がある。
誰にも負けたくないからここまで来た。
両手を上げて観客にアピール。

マイクはレフェリーに渡された。

観客 >  
「キルオブアース! 皆殺し!!」
「キルオブアース! 全滅だ!!」

実況 >  
「百億光年早いだの、対戦相手は一人なのに全滅だの皆殺しだの」
「プロレスに関わる人間のINTは恐ろしい!! 今すぐついてこい、この先へ!!」

鳴り響くリングの音。

「さぁ、ここに試合が始まりました」
「ここに格上が決定します。そう、大抵の格闘技において」

「格下が格上の周囲を回るものですッ!!!」

「強い弱いではない、相手の周囲を回りながら様子を伺った奴が格下ッ!!」
「今、ここに全観客が初動を固唾を飲んで見守ります!!」

アフロ山本 >  
………そう、相手を回ったほうが格下。
ナメられたまま、勝てる試合なんかリングに転がっちゃいない。

微動だにしない。
相手を睨んだまま。ファイティングポーズを取ったまま。

それにしても……巨大(デケ)ェッ!!
俺が見上げるほどの巨漢だ、マスク・ド・アース!!

こりゃあ……とんでもない夜になりそうだぜ………

マスク・ド・アース >  
山本は俺の周囲を回る気はないと。
いいだろう。
わかった。

お前も。
わからせてやる。

構えも取らずに真っ直ぐに歩き。
相手の顔面に向けて無造作に前蹴りを放った。

アフロ山本 >  
「…………ッ!!!?」

蹴りが、伸びた。
為す術もない。顔面に蹴りを受けて蹈鞴を踏む。

ノーモーション!? 違う、無造作で、洗練された……
なんと雄大ッ! なんと強烈ッ!!

そして、なんとプロレスラー的な一撃ッ!!!

実況 >  
「ああっとッ!! 山本、先制の蹴りを受けた!!」
「格上も格下もこの際どうでもいい、お前を倒せればそれでいいッ!!」
「そう言わんばかりの強烈な蹴りは実にッ!! 多くのレスラーを闇に叩き落としてきました!!」

「あまりにも鮮烈な蹴りに山本、反撃成るかッ!?」

アフロ山本 >  
「っしゃあ!!!」

拳をぐい、と後方に引いて力を溜める動作。

そのまま拳を相手の顔面に叩きつける。
プロレスにおいて失われた技(ロスト・アーツ)が一つ。
ナックル・アロー。

一撃に留まらない。二撃、三撃とマスク・ド・アースの顔面に叩きつける。

マスク・ド・アース >  
なんでもありの私闘なら。
こんなテレフォンパンチを。
こんなタフな漢の拳を。

一撃だって喰らいたくはない。

それでも!!

「だりゃー!!」

山本の頭を掴んで鋼のような太ももに叩きつける。
ココナッツクラッシュ。

相手の攻撃を避けぬが、プロレスッ!!
相手の攻撃を受け切るが、プロレスッ!!!

アフロ山本 >  
「………ッ!!」

思わず視界が滲む。
強烈。打撃以外のプロレス技の恐ろしさ。
ここからだ。
試合も、戦いも、漢の価値も。

ここからなんだ。

覚悟を決めてその場に立つ。

実況 >  
「うわああああぁぁぁ!! これは痛い!!」
「マスク・ド・アースのココナッツクラッシュは!!」
「パイナップルくらいなら割れるという伝説があります!!」

「山本はパイナップルではないのですが、痛いのに代わりはありません!!」

「……ココナッツは割れないのでしょうか?」

ご案内:「常世大ホール」にドラゴン・マスクさんが現れました。
ドラゴン・マスク >  
観客席の通路を走る鈍色の風。
その風はあっという間にリングへと到達し、コーナーポストを足場にリング上空へと吹き上がる。
それは二人の頭上でグルンと一回転し、彼等を飛び越しズドン!とリングへ着地する。
スーパーヒーローのような着地を決めたそれはゆっくりと立ち上がり、

「面白そうなことしてんじゃねぇか――俺も混ぜろよ!!」

ドン!とリングを揺らす震脚と共にマスク・ド・アース向けて拳を構える。
鈍色の龍をかたどったマスクの奥で、赤い瞳が狂暴に光る。

ご案内:「常世大ホール」からドラゴン・マスクさんが去りました。
ご案内:「常世大ホール」にドラゴン・マスクさんが現れました。
ドラゴン・マスク > 番号を間違えたので再入室。
実況 >  
「ああっとぉ!! ここで乱入者ぁぁぁぁぁぁ!!」
「龍のマスクに祕められた、その意思たるや誰が知ろうッ!!」

「赤コーナーにドラゴン・マスクが来たぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ここでオブザーバー、花形ヒール女子レスラーの工藤佐和子が青コーナー側から割って入ります!!」
「前代未聞ッ!! 男女混合タッグマッチの開始だぁー!!!」

工藤佐和子 >  
「なんだオメェ、やんのかコラァ!!」
「面白そうってだけで死にてぇのか!!!」

マイクを握ってパフォーマンス、凶器になりそうなので即座にレフェリーに渡す。

観客の熱気はついに頂点に達する。

アフロ山本 >  
「ドラゴン………マスク!!」

改めてファイティングポーズ。

「いくぜ、俺たちの戦いはこれからだ!!!」

そう叫んで四人が睨み合う。

ドラゴン・マスク >  
プロレスと言えばマスク、マスクと言えばプロレス。
なのでその辺の売店でそれっぽいマスクを買って被ってきた。
我慢しきれなくて乱入してしまったが、ちょうどいい具合に女性レスラーのオブザーバーが居たのでちょうどよい。

「アアンコラなんだコラテメェの方が死ねコラアァン!?」

レフェリーからマイクを奪い取り、こちらも負けじと女性レスラーに叫んでから、マイクは凶器になるのでレフェリーに放りなげた。
ご丁寧にアフロの側に回ってからドンドンとリングを蹴って、両手を掲げたプロレスっぽい構えをして見せて。

「オウコラ二人まとめてぶっ潰してやるァ! こいオラァ!!」

叫ぶ。

マスク・ド・アース >  
それでこそプロレス。
それでこそ闘魂。

闘う意思を見せるアフロ山本の手を引いてロープへと放る。
その剛力、逆らう術なし!!

アフロ山本 >  
ロープへと放られて背中からロープに当たり。
反動をつけてマスク・ド・アースに向けて走る。

工藤&マスク・ド・アース >  
「「っしゃオラァ!!」」

ダブルドロップキックで山本をマットに沈める。

工藤佐和子 >  
「来いよ、アタシら二人に勝てるならよォ!!」

ドラゴン・マスクに両手を上げて手のひらを向ける。
ドラゴン・マスクが応じれば、両手をがっぷり組んで力比べが始まるだろう。

その表情、凶悪!!

実況 >  
「あまりにも強烈ゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
「ダブルドロップキックです!!!」

「これがヒット、山本は顔を押さえてダウンです!!」
「マスク・ド・アース……ここはフォール!! 無情なるカウントが始まるゥゥゥゥ!!!」

ドラゴン・マスク >  
「ッチィ」

あっさりとアフロがフォールされる。
カットに行こうにも、目の前の工藤が邪魔でそれも出来ない。
ならば。

「テメェこそこの俺とまともな勝負出来るとか思ってんじゃねぇぞォ!!」

その両手にこちらの両手をがっちりと合わせる。
ぎしり、と人間とは思えない力でその手ごと工藤を押しつぶすように力を込めて、

「おらァサボってんじゃねェぞアフロォ!!」

片足を上げ、工藤の胴体のど真ん中へ強烈な前蹴りを放つ。
彼女を蹴り飛ばし、アフロを抑えるマスク・ド・アースごと吹き飛ばそう、と言う算段。

工藤佐和子 >  
女子の……レスラーの………いや、違う!!
に、人間の膂力じゃない!!

あまりに圧倒的に力で負けて、蹴りでマスク・ド・アースごと蹴り飛ばされる。

実況 >  
「うわぁぁぁ!! 二人の乱入者の格付けはあっという間に終わる!!」
「力比べにして一合!! カウントにして1!!」
「比類なき剛力を誇る工藤佐和子が子供でもあしらうかのように蹴り飛ばされる!!」

「二人とも目を回したかのようにクラクラと立ち上がります!!」

アフロ山本 >  
「っしゃ!! 助かったぜぇ、ドラゴン・マスク!!」

そのままマスク・ド・アースの背後に回り。
ジャーマン・スープレックス。

相手が巨漢でも問題ない、俺は異能なしでベンチプレス270kgを差す!!

そのままリング中央で技が炸裂する。

工藤佐和子 >  
力で勝てないから。
技で上回られているから。
心が折れているから。

そんな理由で逃げていいなら、レスラーは楽だ。

「来ぉいッ!!」

流れ星のような鮮やかなドロップキックをドラゴン・マスクに放つ!!

ドラゴン・マスク >  
高く鋭いドロップキック。
避けるのは楽だ。
跳ね返すのは楽だ。
だが、それをしてはプロレスではない。
プロレスならば、

「ゥオァ!!」

全ての技を受け切って、その上で相手を叩きのめすべきだ。
ドロップキックを正面から受け止め、派手に後方へ吹き飛ばされる。
膂力で勝っていても、体重差はどうにもならない。

「――ッハァー!」

そのままロープで反動をつけ、再び彼女へ走り寄る。
狂暴な笑顔で、彼女の次の技を逃げることなく正面から受け止めてやろう、と。

工藤佐和子 >  
まだだ、まだ跳べる!!
相手に通じるなら、何千回だって跳んでやる!!

師、曰く。
跳び技を連続するのはルチャ・リブレの…
ルチャドーラのやることだと。

どうだっていい。
分類なんて後から観てたやつが好きにやれ。

アタシは工藤佐和子だ!!
一人のプロレスラーなんだ!!
プロレスラーが完敗してハイ終わりで……

あってたまるかよォ!!!!

ドロップキックで崩れたままの姿勢から、再び跳躍。
両足でドラゴン・マスクの頭を掴んで。
投げ飛ばす。

フランケン・シュタイナー。

アフロ山本 >  
工藤佐和子ッ!!
その矜持からの禁断の二度跳びかよォ!!
んでもって…

そこからフォールってのが見えてるんだよなぁ!!

逆水平チョップを工藤佐和子に撃ち込む。

マスク・ド・アース >  
「勝負を焦って女子レスラーに不意打ち…………」

山本のアフロを掴んで振り返らせる。

「汚いな、実に汚い………」
「ストロング・スタイル(正道)を征かぬが風紀か?」

「だがッ!!」

相手にベア・ナックル!!

「実に山本的で心地よしッ!!」

仰け反った山本に延髄斬り!!

実況 >  
「あまりにも危険ッ! あまりにも鮮烈ッ!」
「そして……あまりにもプロレス的な技が飛び交います!!」

「一方がカットに入れば、その隙を見逃しはしない!!」

「これがプロレス!! これがタッグマッチ!! これが闘いなのですッ!!」

ドラゴン・マスク >  
走るこちらの首に飛びつかれた。
そのままぐるん、と視界が回り、マットに激しく叩き付けられる。

「っぐ――!!」

バァン、とマットを派手に叩いて受け身を取る。
受け身は大事だ。
怪我を防ぐと同時に、派手な音を立てて観客へ技の威力をアピールすることも出来るのだから。
そのままフォール、と思われたが、アフロがこれまた見事な逆水平でそれを防いだ。
仰向けの体勢から足を跳ね上げ、その反動を利用して跳ね起きる。
ドンッ!とマットに着地。

「ハッハー! いいなァオイ!」

叫び、自身の右肩を左手でがっちりと掴む。
その右腕は肘を九十度に曲げて頭上へ掲げ、身体ごと思い切り捻って引き絞る。
最大まで引き絞ったところでドン!とマットを蹴って飛び出す――マスク・ド・アースへ向けて。

「オネンネしてなァ!!」

ズドン!とマットが揺れるような震脚と同時に、腕を彼の首へと叩き付け、その腕を上方へと振り抜く――かち上げ式のランニングラリアット。

実況 >  
「ランニング・ラリアーーーーーーット!!」
「ドラゴン・マスクが!! 今!! 巨漢を!!」

「打ち……打ち倒したぁぁぁぁぁぁ!!!」

「女子レスラーだから軽い? 女子レスラーだから男性には勝てない?」
「そんな理由(ワケ)で止まる器じゃない!!」
「場内、爆音!! そしてドラゴン・マスクコール!!」

観客 >  
「ドーラゴン・マスク!!」
「ドーラゴン・マスク!!」

アフロ山本 >  
「よっしゃあ!! キメるぜ、ドラゴン・マスク!!」

ロープに向かって工藤佐和子を放る。
そしてよろめくマスク・ド・アースの頭を掴んでこちらを向かせる。

「人のアフロは……引っ掴むもんじゃあねぇぜ…?」

そのまま固め技に移行する。
考案者にして外せない技と言われたもの。
オクトパス・ホールド。通称、卍固め。

マスク・ド・アースを完璧に極(キ)める。

マスク・ド・アース >  
は……外れない!!
微動だにしない!!

完璧な形でオクトパス・ホールドを!!

これほどまでに流麗に卍固めを!!

工藤佐和子 >  
「っ!!」

ロープに投げられ、反動。走る先は。
ドラゴン・マスク。

だが、逃げない。
プロレスラーは並の格闘士(グラップラー)とは覚悟の量が違う。

覚悟を決めていれば、必ず耐えられる。
ヒールレスラーの矜持があれば。
どんな技にも対処できる!!

ドラゴン・マスク >  
「しゃァオラァアアア!!!」

マスク・ド・アースを殴り倒した右腕を天に向けて突き出し、叫ぶ。
観客からのコールに応えるかのように。
そしてリングネームを呼ばれてそちらを見れば、ロープに振り出された工藤がこちらへ向かって走ってきていた。

「良ィーい目だァ――」

ずっしりと腰を落とす。
やられるものか。
耐えきって、次は自分の番だ。
そんな強い意志を感じる目。
タイミングを合わせ、二歩三歩とこちらも走り寄り、

「――だがコレで仕舞だァ!!」

踏み出した工藤の右膝を抑えるように左足で踏む。
そのままそれを土台に飛び上がり、その横っ面に右膝を叩き付ける――シャイニング・ウィザード。
彼女の覚悟も矜持も根こそぎ引っこ抜くような強烈な一撃。
マットに沈む彼女の身体を――ヒールらしく――踏み付けた。

レフェリー >  
完璧な形でのシャイニング・ウィザード。
それに踏みつけフォール。
片方は、卍固めが外せない。

無情にもカウントは過ぎて。

「勝者、ドラゴン・マスク&アフロ山本連合!!」

観客 >  
「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
「アーフーロー! アーフーロー!!」
「ドラゴン・マスクぅー!! 最高だぁー!!」

実況 >  
「常世プロレス新時代ッ!!」
「ニュービーのベビーフェイスと乱入者のヒール・女子が!!」

「なんと、花形レスラーをまとめて倒してしまいました!!」

「伝説はここ、常世大ホールから始まったのです!!」
「今、全ての観客は!! 目撃者となる!!」

アフロ山本 >  
マイクを手に青コーナーに寄りかかる。

「あー……アクシデントがあったようだな?」
「俺と、ドラゴン・マスク。二人の出現という大アクシデントだ」

「闘う者は常世大ホールに来い!!」
「お前の闘魂、見せてみろや!!」

両手を上げてマイクをドラゴン・マスクに渡す。

ドラゴン・マスク >  
アフロからマイクを渡される。
正直ケンカしたいから乱入しただけなのだが、やはりマイクパフォーマンス込みでこそのプロレスだろう。

「ま、楽しいケンカだったが、俺としちゃちーと暴れたりねーな」

ぐるり、と観客席を見回して。

「楽しいケンカならいつでも大歓迎だ! いつでもどこでも、何なら今からでも! 俺とケンカしてェヤツァなんぼでも掛かってこい!!」

バッ!と手を広げ、煽る。
観客にアピールするように。

「オマエらも、な。――当然アフロ、お前もだ」

対戦相手と、隣のアフロを順に指差しながら。

実況 >  
「うわぁっと!! ドラゴン・マスク!!」
「ここで宣戦布告です!! 対象は誰でも!!」
「例え今、共に戦ったアフロ山本であろうと!!」

「誰とでも闘(や)るという意思表示ッ!!」

「今、観客のボルテージは最大値に!!」
「大ホールに歓声が響きます!!」

マスク・ド・アース >  
「偶然は……二度は起こらない」

マイクを工藤佐和子に放ってリングを去っていく。

工藤佐和子 >  
「閃光魔術が相手なら……」
「アタシだってやれることはまだあるってことだ!!」

マイクをレフェリーに押し付けてリングを走り去っていった。

アフロ山本 >  
「ハハッ……おっかねぇなぁ…どいつもこいつも」

歓声を浴びながら横目でドラゴン・マスクを見る。
喧嘩を楽しむ、そのスタイル。
あまりにも鮮やかな技のキレ。

常プロ新時代が始まろうとしていた。

ドラゴン・マスク >  
「ハ、オマエの頭が一番おっかねぇよ」

なんてったってアフロだ。
そんな頭をしているやつが一番おっかない。
ボフン、とアフロを軽く拳で突き、ロープ最上段を華麗に飛び越してリングを降りる。
そのまま観客の声援を浴びながら、会場を悠々と歩き去っていくドラゴン・マスク。

やはり、ケンカはいい。

ご案内:「常世大ホール」からドラゴン・マスクさんが去りました。
実況 >  
「常世プロレス、今日はこれにて閉幕となります!!」
「熱気! 熱気!! 未だ、醒めることなく!!」

「皆さん、席に忘れ物のないようお帰りください!!」
「それでは常世大ホールでまたお会いしましょう!!」

その日、新しい伝説は始まった。
これはまだほんの一部。

ご案内:「常世大ホール」からアフロ山本さんが去りました。