2022/05/07 のログ
ご案内:「常世大ホール」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 「ふ、ぅ……」


本日の常世大ホールでは演劇が行われていた。
演目を見終わった女は、ホールから出て一息つく。


「『どん底』……ふふ、あぁ……本当、に……久、し……ぶり、に……味わ、った、わ、ねぇ……」


演目は『どん底』。
木賃宿を舞台に、そこに住まう貧民たちの物語が語られる。
貧困という牢獄から抜け出すことを夢見るが、抜け出すことはできない。
誰一人幸福になることもなく、ただただどん底にいる人々が歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。

……そんな、物語


「……初心、に……かえ、れた……か、も……ね、ぇ……惜しむ、ら、く……は。心、が……ちょ、っと……みえ、ちゃ、った、こと……く、らい……か、しら……」


ホールの出口。喧騒からわずか離れて佇み、遠くを見るようにして今日の中身を振り返る。

シャンティ > 「……ど、ん……ぞ、こ……」

改めて、口にする。
筋もない、主人公もない。
そんな物語の中で、それでも人間は懸命に生きていた


「そ、う……人、は……そう、ある……は、ず……」

しかし、それなら……自分は。女は考える。


「……そう、ね。私、は……あぁ……うまく、いか、ない……もの、よ、ねぇ……」


小さく、吐息をはく