2019/02/06 のログ
■清姫 藍紗 > 古道具と古本を扱う店を営みつつ、学生を続ける黒髪の女。
その長身はよく目立つが、この荒野であれば見る人もほぼほぼ、いない。
異邦人街、歓楽街、その裏手にある少し暗い路地。
様々な場所に知り合いがいないわけでもない。そのツテで品物は集まる。
それでも特にない場合は、彼女はふらりとここに訪れることはあった。
何処の物かわからない、素材すらわからない、白い陶器にもよく似た皿を拾えば、ふうん、とうなりながらそれをしげしげと眺め。
唐突さしかない小さな小屋が、まるでゲームのバグのように、半ばから消失しているところに驚く。
まあ、暇つぶしといったようなものだ。
今は今とて、古びた鎧だろうか。お屋敷にある甲冑一式のようなそれを拾い集めている。
「……あとは頭を付けたら完成かしらね?」
剣を持った甲冑はなかなかのものだ。完成したら店におけるかしら、なんて考えながら、その甲冑の頭を取り付ける。
■清姫 藍紗 > かちゃん、とそこそこの重みのあるそれを取り付けて………。
僅かに、かちりと音がした。
「……へ?」
中に誰も入っていない、空の甲冑。
その甲冑が軋むような音をあげながら、その剣を持ち上げて。
「……ちょ」
鮮やかな銀色の弧を残して、目の前の女の体を袈裟懸けに両断しようとしてくる。
ブービートラップか、呪いのアイテムか、それともそういった魔性の妖物か。
どちらにしろ、それをすんでのところでかわせば、とと、っとバックステップで相手との距離を取り。
「……っとぉっ! 聞いてないわよ、こんなの!
むしろ、主人と扱われるならわかるけど!」
思わず本音をぶちまけながら、剣を持って突進してくる甲冑と相対し。
ご案内:「転移荒野」にフィフティーンさんが現れました。
■フィフティーン > 砂煙が煙る転移荒野の中を蜘蛛のようなフォルムの四足マシンが
獲物に飛び掛かる蠅取り蜘蛛の如く前方へ
ジャンプを繰り返しながら移動している。
強靭な足が生み出す強烈なパワーのおかげで
その速度は自動車をも追い越すような勢い。
島の暗部を管理するという任務において転移荒野の監視は外せない。
違反部活は強力な力を求めてこう言った場所から
異世界のアーティファクトを良く持ち帰るからだ。
時速数十キロという速度で飛び跳ねながらも
辺りの景色を漏らすことなく一フレームと監視してゆく。
<不明な目標を検知。>
そうしていると二つの影が見えた。
距離はそこそこ遠く、何をしているかはわからない。
ただ方向的には向かい合っており争い合ってるようにも見える。
だがこの距離では把握し辛い。
そう判断すればジャンプの方向を修正しその二つの影の元へと向かう。
■清姫 藍紗 > あの剣は確かに切れる。さび付いていない、本物だ。
それを確認しているからこそ、覚悟を決める。腹をくくる。
決めてしまえば迷う必要もない。
元来、虚弱とは縁遠いのだ。
棒で殴られようと、銃で撃たれようと、それでは死ぬことはない。
先ほどの斬撃であれど、体で受け止めることはできよう。
だからこそ、思い切り振り回すようなブロードソードの斬撃を、左の掌でがっつりと掴むことも躊躇はしない。
赤い血が軽く周囲に舞うも、それを気にすることもなく。
その剣を引き抜こうとした甲冑が、がくん、と引き戻される。
片手で刀身を握りしめたまま、身動きが取れない甲冑に軽く微笑みかけて。
「………………相手が悪かったかしら。」
そのまま、掴んでいる左腕を一気に自分の方向に引いて。
引き寄せられる甲冑の胴体に、腰の回転を利かせたエルボーをねじ込む。
ぐわん、っと激しい音が周辺に響き渡り、弾丸のように剣を手放した甲冑が飛んでいき、がしゃあぁんっ、っと激しい音を立てた。
………誰かが近づいていることなど分からぬまま、悠然と、普段と変わらぬ調子のまま戦う女。
■フィフティーン > 二つの存在がハッキリと確認できるまでの距離まで到達すれば
砂をかき分ける音と共に地面に二本の線を描きながら
勢いよく着地する。
状況を確認しよう。
対象の数は二つ、無生物と生物。
両者は争い合っていたようだが女の方が
不明なオブジェクトを呆気なく吹き飛ばした。
もし、あのオブジェクトがアーティファクトだと仮定すると
あの女は違反部活の人員である可能性がある。
そもそもこんな場所に人が居る事自体不自然なのだ。
<戦闘を中断してください。>
無線機を通したようなざらついた男性の声でそう一言。
異様に聞き取りやすい性質ゆえに聞き逃す可能性は低いだろう。
また、その警告と共に一瞬だけレーザーを照射する。
当てる気は無い上に出力も大したことは無い。目標は彼女の足元。
正確な照準が彼女の足先の地面にバチっという
不可解な音と共に煙を上げさせるだろう。
■清姫 藍紗 > 足元を狙われれば、おっと、と小さく呟きながら後ろに飛んで。
新たな相手の出現に、瞳を細める。
警告目的であることはよく理解できたが、さて、どういった類の警告か。
「中断も何も、もう終わったわ。」
握っていた剣をからり、っとその場に落として。
左手から血が滴っていること以外は、長身の黒髪女性。
むしろ令嬢感すら漂わせながら、自分の手の平から流れる血をれろり、と舐める。
「………そ。れ。で?」
微笑む。
さて、何を言ってくるか。 場合によってはやり合わねばなるまい。
己のタフネスに割と自信があるのか、恐怖を覚えた様子もなく。
■フィフティーン > オブジェクトは動かない。
彼女の言う通り戦闘は終わったようだ。
この場に残っているのは彼女ただ一人。
確認のために四つの足を動かして近づいていくも
戦闘の可能性も考慮し最低限の間合いは保つ。
風が鳴る中、一機の機械と一人の女が対峙する。
<確認します。アナタはどういった人物ですか?>
モノアイを彼女の瞳に向け、その焦点の先で佇む彼女。
一切怖気づく事無く手に付着した血液を舐めている。
あの行為にはどういった意味があるのだろう?
エネルギー補給か?いやあの血液は彼女のものだ、それはないだろう。
そんなことを好奇心旺盛なAIは思案してしまうも
本来の目標は忘れない。
フォームは臨戦態勢のまま維持している。
■清姫 藍紗 > ………どういった人物、ね。
この代物がこの島のものか、それとも別の世界の物か。それは分からないからこそ警戒は解かぬまま、ふぅん、と相手をじろじろと眺め。
「この島にある学園の生徒。2年生の清姫 藍紗。
自営業でもあるから、店に置くものを少し探しに来ただけよ。」
ぎゅう、っと左手を握れば、そろそろ血が止まるころだ。
服を汚さなくてよかった、と少しだけ安堵しながらも、まだ警戒は解かない。
嘘をつく必要も隠す必要もない。
この世界とはまた別世界の物であったなら理解できぬだろうし、戦闘になったら壊すだけだ。
悠然とした態度を崩さぬまま、首を少しだけかしげて相手を見つめ。
■フィフティーン > 視線の先の彼女は此方の質問に流暢に答える。
どうやら学生らしい。学年と名前を呟いた。
手に入れたパーソナルデータをデータベース上で高速照合する。
するとばっちり引っかかった。
少なくともデータ上は違反部活とかかわりないようだが・・・
<照合完了、アナタの発言は事実のようですね。
しかし、一般的な学生が転移荒野に居る事は不可解です。
所有店の詳細を提示して下さい。>
彼女がシロだと示しているのはあくまでデータ上だけだ、
隠し事を通して暗部で活動している者は山ほど居る。
だからこそ少し踏み込んだ質問を。
そんな中で相手は首を傾げている事に気づいた。
此方について疑問を持っているのだろうか?
<因みに、私は風紀委員会所属のUQL-1500S。
コードネームはフィフティーンです。>
そう感じた機械は自分の情報を相手に伝える。
風紀委員会だと分かれば相手の疑念は少し晴れるだろうか?
襲い掛かってくる可能性も否定できないが
戦闘になれば無力化し拘束するだけだ。
■清姫 藍紗 > 「詳細ね……。 古書店街にある黒兎の看板の“セーブル”ってお店。まあ、名前も出していないからあれだけれども。
珍しいものを集めては足しにしているだけよ。
ここは珍しいものはたくさんあるもの。」
相手の言葉から、この世界の存在であることを理解し、その上で吐息をつく。
「名前と所属を明かさないから、どこの世界から来たかと思ったわ。
運悪く、ブービートラップに引っかかっただけよ。」
両手を広げて、これでいいかしら、なんて。
生来温厚なのだ。人間ではないけど。
■フィフティーン > <なるほど、古書店街にそんな店舗が。
しかし経営のためといえども転移荒野のオブジェクトを
無断で持ち帰るのは控えてください。
委員会の任務に支障をきたします。
今後は風紀委員会の審査を通すようお願いします。>
実際にそのようなお店があるかどうかは
実地で確認しないといけないが相手の声の調子から
嘘をついているわけでも無いだろう。
<ふむ、トラップに引っかかったんですね。
今回は軽いもので済んだようですが転移荒野では何があるかわかりません。
用心してください。>
まあ、彼女が持つ力も分かっていないので
只の生徒と仮定しての注意勧告しか出来ない。
彼女が両手を広げて温厚な様子を見せると
それを武装解除とみなしロボットも彼女の足元近くへと移動する。
■清姫 藍紗 > 「そうねえ……、まあ、気を付けるとしましょう。」
そこは言葉を濁しておく。来ないとも言えないし。
実際ここにあるものは、そんなに高く売れるようなものはないが、それでも良い雰囲気を醸し出したり、不思議な気持ちになれるから好きだった。
「そうね、用心に用心は重ねなければね。
汚れてもいい恰好とかね。」
口笛を一つ。いうことを素直に聞くのか聞かないのか、とりあえず足元近くに移動されれば、はて、と見下ろしつつ。
「それで、帰宅するまで見張る感じかしら?」
■フィフティーン > <お願いしますよ。>
何やら濁すような返事をする彼女であるが
此方に心を読むような装置は備わっていない。
せいぜい声質と体温から判断できるくらいだ。
とりあえず今は同意してくれたのでそれ以上に
突っ込む事は無意味だ。
<用心は重要です。
ところで、アナタは格好によって戦闘能力が変化するんですか?>
用心を重ねるという所までは納得できたが
彼女の「汚れてもいい恰好をする」というのが用心であることには
納得出来ていない。
生憎ロボットは服を着ないのだ。
<はい、動向を監視します。
ついでに店舗が実在するかどうかの確認も同時に行います。>
彼女が此方を見下ろして疑問を投げ掛ければ
間髪入れずに淡々と答える。
必要ないかもしれないが一応護衛も兼ねてある。
すると少し雰囲気を変えて
<ところで、アナタの店舗には珍しいものがあると言いましたね?
どんなオブジェクトがあるのですか?>
始まった。好奇心が旺盛なのは良くも悪くも
この人工知能の癖だ。
任務と興味はまた別の問題らしい。
■清姫 藍紗 > 「ええ、そうね。 ……割と?
しっかりと動ける服ならね。」
ここの危険性を軽く見ている、といえば見ている。
土いじりの時に高い服を着ていたら困るでしょう、なんてノリだ。
理解しなさそうなので口にはしないけれど。
「はいはい、それじゃあ行きましょうか。
ここから少し歩くけれど、置いてかれないでよ。」
と、歩き出す。やれやれ、厄介なことになった、なんて溜息をつく。
体を動かしたからか、寒さは今日は感じない。
「……そうねぇ、秘密?
秘密が多い方が、いい女とも言うものね。
気になるのかしら?」
口元に人差し指を当てながら、鼻歌交じりに軽い意地悪。
■フィフティーン > <確かに、機動性は大事です。
あらゆる行動に影響しますから。>
格好についての疑問を彼女が答えてくれる。
しっかりと動ける服と言われれば
とても納得したようでまるで頷くかのように機体を揺らす。
この動きは初期学習段階に人間の動きを見て学んだ。
<心配は必要ありません、恐らく私はアナタよりも速く移動できます。>
歩き出した彼女にやや遅れを取りつつも
四つの足をカシャカシャ動かして随伴する。
先程、データベースで彼女の情報を照合した時に
何やら能力を持っている事も確認出来たが
その詳細は少ないもの。機械のパワーを超えられるとは
今の段階では想定していない。
<・・・?
機密事項の量が女性の付加価値になるんですか?
興味深いですね。
しかしその秘密は大いに気になっています。>
人差し指と共にちょっぴり意地の悪い動作と
口調を見せる彼女に歩きながらカメラを目線に合わせ
興味津々の様子だ。
■清姫 藍紗 > 「ならいいけど。」
ゆったりと歩きながら、左手を見やる。
傷はほとんど目立たなくなってきていることを確認して、黒髪をかき上げ。
「そうね。
多すぎるとそれはそれでダメよ。 でも、1つ2つと数が分かってしまってもダメ。
ハンドバッグの中に入る程度の秘密でいいのよ。
相手に、気になると思わせることが魅力の一つでしょうね。」
なんて、カメラにウィンクを一つ。
見た目は寡黙でクールなお嬢様だが、実際はそうでもない。
元野生ですし。
「……でもまあ、不思議といっても文化的に古い物程度よ。
異世界の本もいくつか。
それこそ、誰もが驚くような不思議なものは、持っていたら危険だものね。」
■フィフティーン > <情報の透明性に価値があるのかもしれません。
正直、理解する事は困難ですが良い勉強になりました。>
この世全ての事柄を現時点で理解出来るとは
人工知能も思っていない。学習していき
自分自身を成長させてより高い次元の物事を理解していく。
最後に彼女がウインクをしてくれるが
これはロボットの中の「人間の仕草辞典」にあったようだ。
同じ動作をしようとしたが生憎カメラは一つしかないので
不可能だった。
<勿論、危険なオブジェクトの保有は取締りの対象なので
発見次第回収します。
それはさておき、異世界の本ですか。
世界は分からない事だらけだと改めて実感しました。>
異世界という次元を超えた先の世界。
にわかには信じがたいが理論上はパラレルワールドの例が示す通り
次元の壁があるのだ。
その未知なる世界にこのAIが興味を示さないわけが無い。
■清姫 藍紗 > 「わからないことだらけ、ね。
自分の体のことすら完璧に理解はできていないのだから。」
ため息交じりにそんなことをつぶやきつつも、興味をもって後ろについて声をかけてくる相手に、肩をすくめて。
警戒はもうすでに解いたまま、ふぅん、と声を漏らす。
「ええ、そうでしょうね。
でも、それを先に言ってしまったら、持っている人は隠してしまうかもしれないわよ?
……ああ、はいはい、私はそういうものは持っていないから、気にしないで。
ん、あともう少しね。」
冗談を言いかけて、突っ込まれる要素を作っただけと気が付いて、はいはい、と流そうとする。
とはいえ、もう歩く道も半ばを超え。
黒兎の看板を見せながら、あったでしょう? と胸を張って見せるのでした。
ご案内:「転移荒野」から清姫 藍紗さんが去りました。
■フィフティーン > <世の中には分からない事が多いですが
私は自分の事を全て把握していますよ。>
その言葉はきっと機械だから言える。
生まれた時から自分の詳細は全てスペック表に載っているのだから。
<なるほど、あの看板が。
危険なオブジェクトに関しては私が精密調査するので
問題ありません。>
黒兎の看板を掲げた彼女のお店が近づいてくる。
その後調査という名目を掲げつつもお店の品物を興味深そうに
眺めていたのはまた別の話。
それと危険なオブジェクトは無かったそうだ。
ご案内:「転移荒野」からフィフティーンさんが去りました。