2020/06/17 のログ
フィーナ > 「…………あー。」
面倒なやつだ。こいつ、魔術を『処理』した。
同じ手は通じない。しかもこいつ話が通じない奴だ。
相手が好き勝手話している間に、杖に魔力と術式を込める。
相手の持つアーティファクトらしき武器の形が変わるぐらいに、死角と聴覚を切る。

直後、杖から膨大な光と音が発生し、目と耳を潰しにかかる。と同時にスクロールを取り出し、水の屈曲を利用したデコイを精製、自らは上空へ飛び、同じく水の屈曲を利用して自身にカムフラージュを施す。

完全に逃げの体勢だ。

閃 天兎 > 「ふむ...厄介な」

目潰しと耳潰し。カカシの大量生産。
光と水と火と爆破と術式改変。随分と魔術に熟達しているようだ。
さて、実験体は私に強い光も強い音も効かないことに気付いていないのだろう。
僅かとはいえ視界は潰れ、耳も聞こえにくくはなっているが、所詮その程度だ。
足を止めず、進めながら武器の先端をしなる形状と材質へと変化させ、剣を背へと回し、其れを薙ぐ。
前方の広範囲を神速で切り裂いた剣先は水のデコイを全て、胴で切り裂き、其れを黒剣が解析する。

「水の屈折の偽物。さて...同じ手段で逃げられると思うなよ」

ふと、見上げた。その視線の示す先は、屈折で見えにくい姿となった実験体。
私相手に二度同じ手は通じない。其れが直接的な攻撃力を伴わないのであれば尚更だ。

そして、黒剣の先端をフィーナへと向ければ剣先から異能である炎の球が飛び。その影から本人がフィーナの方へと飛翔する。

フィーナ > 「っ!」
影から、出てきた。至近すぎる!先程複数術式を組み上げたおかげでまだ対応する為の魔力もまだ籠められてない。

懐からまたもスクロールを取り出し、即時に相手に向け、発動させる。


どごぉん、と。爆発した。指向性の爆発だが、余波がフィーナを僅かに傷つける。

これで逃げられるとは思っていない。ただの時間稼ぎだ。

閃 天兎 > 悪魔は意識を持つ。
私が攻撃に気付かずとも、悪魔さえ気づけば異能は発動するのだ。

「その程度か?」

指向性の爆発はただ実験体に傷がつくだけであり、私への影響を与えていない。
鏡の悪魔は私を実験体の背後へと移動させた。
そのまま余波を受けて飛ぶフィーナの体を天兎は両手で受け止めた。

「実験に協力する気にはなったか?」

ならないだろうな、などと思いつつも左手に持ったままであった賽子を異空間へと収納し、黒剣で実験体の肩に触れようとする。
そこには相手の思考能力を鈍らせる井納が込められている。

フィーナ > 「誰が!」
まだ時間が足りない!あの時に習得した空間転移はまだ完成しない。
振り切る為の距離を跳ぶための緻密な計算がしきれていない。
全身の刺青が青から赤に発色し、足りない計算を補う。それでもまだ間に合わない!

またもスクロールを懐から取り出し、発動させる。
ただ、自分と相手の間に障壁をつくる、簡単な魔術。
膨大な魔力を投じて、障壁に厚みを作って、物理的に距離を離そうとする。

最後の切り札だ。

閃 天兎 > 「魔力障壁か。私も欲しいものだ」

やけに必死な実験体だ。その四つの重りを機能させてやるか落としてやろうと言うのに。
このまま仕留めてしまってもいいが、このシールドはぜひ欲しい。
私の魔術は選択肢が少なすぎる。
是非一般的な需要がある魔術も習得したい。
黒剣をそっと当て、解析。そして黒剣本来の能力である複製を経て私へとその概要が伝えられる。

「なるほど。こう使うこともできそうだ」

解析結果はただの魔力の塊。
つまり、純粋に魔力を出力し、新たなシールドを作り出す。
ここまで大体1秒と僅か。
そして、腕を静かに横に振ればシールドは高速で実験体の方向へと移動を開始する。

フィーナ > 「………っ」
1秒稼げれば十分だった。遠大な空間転移術式は完成した。
少しでも時間差を無くすために自らに刻まれた刻印を起点とし。


自らの身体に空間転移を行い、姿を消した。行き先は、青垣山を超えて、常世港上空。

閃 天兎 > 「...」

後悔は非効率的だ。不要なものである。
しかし、貴重な実験体を見失った怒りと惜しさは抑えがたい。

「仕方ない。障壁だけでも満足しておこう」

魔術を持たない私が簡単な魔術を得たのだ。
大人しくこれで満足して今日は研究所に帰ろうか。
...
廃棄した実験体だが、廃棄しなければ良かった、なんて思いながら地に足をつける。
そうすれば、そのまま去って行くだろう。次は優先度を間違えない。

ご案内:「転移荒野」から閃 天兎さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からフィーナさんが去りました。
ご案内:「転移荒野【「門」顕現注意報発令中】」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 > 「ここの戦った痕はまだ新しいな…。」

そんなぼやきが暗空へ吸い込まれた。

肩に小さな白い鳥のような何かを一匹乗せた男が転移荒野に居た。
手にカルテのようなモノを携え、記入を行っている。

長い紫髪を一つに纏め、桃眼がせわしなく荒野と手元のカルテを行き来する。
今日は普段の白衣もなく、フィールドワークにふさわしい黒の軽装だ。
それでもかっちりと着ていない辺り、彼の性格が伺えるが。


『門』の注意報を聞き、動きもそろそろ中盤から終盤に差し掛かるだろう時期。
研究区住みであるこの男、柊は今回の門の顕現による影響やらを調べに来ていた。

それに、新しい"子"が見つかるかもしれない――。


「それにしても、どうやったらこんな爆発痕になるのやら…。」

まだ若干熱が燻っているような凹凸の地面を睨む。
梅雨のこの時期だ。雨でも降ればすぐに均されるというのに、
それが無いのだからここ数日のことなのだろうと検討をつけている。

羽月 柊 > 男は、カルテを持っている手にはまっている様々な装飾品の一つである青の指輪を、
ペンを持った手で一定のリズムで…軽く小突いた。遊んでいる訳ではない。

そうすると空中に小さな色とりどりの光の粒が浮かぶ。
なんてことはない、周囲の魔力だの生命反応だのを観測するためのモノだ。
余程気配を隠す魔法だの、そういうモノに長けていなければ引っかかってくれるだろう。


――規模は測りかねるが、男の立っているこの周辺は他の気配も薄い。
派手に暴れて存在を示すようなやり方だ。おそらく"掃除"か何かをしたのだろう。

「フェリアの位置は……セイル、交代の準備だけしておいてくれ。」

そう、肩に留まるそれに話しかけた。