2021/09/29 のログ
ご案内:「転移荒野の端っこ」にラヴェータさんが現れました。
■ラヴェータ > 季節は夏から秋へとすっかり変わり、夕刻に薄着でいて快適な季節は終わりを告げた。
冷たい秋風が吹く荒野の片隅。
人の暮らす区画からそう遠くなく、人の立ち入った跡がまばらにある辺り。
「いやはや、すっかりと涼しい季節になったものだ。
暑いからと上着を脱がなくて済むな」
理央に叱られずに済むな、と独り言を呟きながら荒野を歩くのは、黒い軍服に身を包んだ白い狐。
片手には秋風に飛ばされかけた軍帽をつまんでいるが、特に何か持ち込んだわけではないように見える。
「さて、ここいらなら大丈夫であろう!
さっそく試し撃ちといこうか!」
ニヤッと笑いながら自身の影より飛び出し、空いた右手に握られるは黒い銃身。
一般的に知られている狙撃銃の類の見た目をしている。
狂気とも見えるその表情を隠すように左手の軍帽を深く被った。
■ラヴェータ > 使い慣れた様子で、右手に握られた銃身に左手を添え...るようなことはなく。
右手の指をそのまま引き金にかけ、本物なら金属で出来ているであろう銃身を軽々と持ち上げる。
狙う先はなく、銃口が向けられるのは秋風が通りすぎてゆく転移荒野の奥地。
左手は軍帽に、秋風に飛ばされないように鍔を抑える。
楽しくて仕方ない、とでも言った様子で口元が笑っており、傍から見れば異常者、それか不審者ぐらいには見えるだろう。
そしてそのまま引き金を引きーーー
”パスッ”
軽い音とともに銃口から何かが飛び出し、夜の闇に消えていく。
確かに引き金にかけられた指は引き金を深く押し込んでいる。
しかし、薬莢がはじき出されるわけでも、爆音がなる訳でも、何かに銃弾が当たった音がするわけでもなく...
「...期待した私がバカだったな。理央の戦場についていく方がよっぽど面白い」
ため息とともに銃身を下げる。
銃口が地面につき、軽い音がする。
金属であるべき銃身のたてる音としては異常な、まるでプラスチックのような音...
■ラヴェータ > 「やはりモデルガンはモデルガンか
これならそこら辺の公園でもよかったかもしれんな」
ため息を付きながら銃身を手放し、背後の暗闇と同化しているといっても過言ではない自分の影に向けて倒す。
影にむけて吸い込まれるように落ちていった銃身を傍目に大きなため息を零す。
「せっかく興が乗ったから買ってみたというのに。なんだあの音と弾は
詐欺店主め、雰囲気なら出るなどと嘘こきおってからに
あれで面白いのは精々お子様程度だろうさ」
足元に転がっていた高さ10cm大の岩を10メートル弱蹴り飛ばす。
先ほどの銃声とも言えない銃声などよりもはるかに大きな音が夜の荒野に響いた。
期待というのは、大きければ大きいほど裏切られた時マイナスとなる。
少女も、期待していた分その反動は大きく、相当不機嫌な様子。
「...理央の拳銃を借りられぬか聞いてみるとするか...」
具体的な計画もビジョンも見えないが、異能も使えない今かつての雰囲気を味わいたいという感情をいさめるにはちょうどいい言い訳のようなものなのだ。
貸してもらえるかどうかは1:9といったところか。
1が成功である。