2021/10/20 のログ
ご案内:「転移荒野」に霧島 孝介さんが現れました。
霧島 孝介 > 「…で、また来たわけですけども」

後日である。
真昼の転移荒野を似合わない学生服とリュックサックで歩く少年が1人。
前回の反省を生かし、今回は水分(2Lペットボトルのお茶×2)を用意してここに来たのである。

ここに来た目的はそう、訓練である。
前日もそうだったが、ここには魔物やら怪異がウロウロしていると聞く。
自分の能力を素振りするのも良いが、実戦で経験する方が身になるはずだ。

何か有名な傭兵も、達人になる前に修行してから実戦すんの?お前?とか言ってたし。
実戦でしか得られない感覚や学びがあるはずだと、歩いているのだが…

「にしても、見当たらないな…俺の歩いている場所が悪いんかな?」

スマートフォンを取り出して現在位置を確認し、周りをきょろきょろと見渡す。

霧島 孝介 > 少年がスマートフォンを弄っていると、背後の岩陰から怪しい影が蠢く。
その正体は狼。

しかもただの狼ではない。
異世界からやってきた狼でかなり大型である。
群れの一番奥にはボスと思われる個体がおり、そのサイズは熊をゆうに越している。

先頭の若い狼を筆頭に5~6匹の群れを為し、彼の背後からじわじわと迫ってくる。

そして、狼の間合いに入れば、一気呵成に首へと噛みつきの攻撃を仕掛ける――――!!!




「…?」

が、何故かその牙は彼の首ではなく、虚空の中で止まっていた。

霧島 孝介 > 「…うぉぉおお!?狼じゃんビックリしたぁあ!?」

ワンテンポ遅れて、敵の存在を認識した彼。
一気にその狼群から距離を取り、重心を低くして戦闘に備える。
よく見れば彼の首元には塵のようなものが還流しており、数秒後にそれは霧散していく。

「都合がいいな。お前らに罪はないけど、すまん。俺の経験値になってくれ」

両手を掲げる。
彼の異能『蒼装』を発動させれば、蒼い粒子が腕と手に集まってくる。
それは、ロボットのような腕甲と、二振りの頭部が巨大なメイス。
彼の腕に自動的に装着され、メイスをぐっと握りしめ、腕甲の稼働を確認すれば、メイス同士を打ち付け鳴らし、威嚇をする。

「はは…やばい、滾っちゃうねぇ…!」

先ほど、攻撃を防がれた狼が再度、彼の命を奪おうと飛びついてくる―――!

霧島 孝介 > 「せい!」

右手の高く上げ、メイスを振るう。
重力と腕甲の運動エネルギーが乗ったメイスの圧力は、狼の頭蓋骨を割り、そのままメイスの頭部を地面へと叩きつけられる。
大きな音と振動が地面を伝い、頭部は元より、衝撃を受けた地面も割れ亀裂が走る。

「返り血も弾くのか…、いや、すごい便利だなッ!」

彼に飛び散った血はまたも、彼の眼前の虚空で立ち止まり、地面に落ちていく。
一匹を倒したことで調子づき、地面を踏み込んで前に走り出す。

狼たちも負けじと一斉に飛び掛かってくるが、メイスの頭部を器用に使いながら攻撃をいなし
カウンターの要領で狼たちを吹き飛ばしていく。

霧島 孝介 > 「っ…はぁ…はぁ…疲れるっ…!」

飛び掛かってきた狼の最期に一匹の頭を潰す。
疲労で膝をつき、肩で呼吸をする。
残すはボス狼だけ。メイスを支えにして立ち上がる。

ウウウウウゥゥゥッ―――!

狼の唸り声が鳴り響く。
なるほど、図体がデカいから唸り声もデカいわけだ。

目の前の人間が只者ではないと認識し、毛を逆立てて警戒態勢を取る。
彼を軸に反時計回りに歩を進め、虎視眈々と気を伺う。

「来い…っ、いつでもいいぞ……!」

メイスを握りしめ、息を整えれば、そちらに向き直る。

ご案内:「転移荒野」にさんが現れました。
霧島 孝介 > 狼の親玉が飛び掛かってくる。
上半身は軽く呑み込めそうな口が迫れば、そこにメイスの頭部を押し込む。
狼がメイスの頭部を噛めば、それを食いちぎろうと首を振る

「おおおおおいいいいいい!?ちょちょちょちょちょっとまてててって!」

そのメイスごと身体が左右に振られ、三半規管がシェイクされる。
たまらずメイスを話せば、空中に投げ出され、くらくらと目が回る。

(あ、これやばっ…)

そう思って立ち上がろうとしたら、狼のタックルが来て、たちまち吹き飛ばされる。
視界の天地が逆転し、三半規管が正常でないままで地面に叩きつけられる。

(『どっち』だ!?どこが地面だ…!!)

混乱している中、狼が迫ってきて、霧島にトドメを刺そうとする―――!

> 「哎呀,一点儿都不好笑(オイオイ、全然面白くもねェな)」

突如現れた1人の男が熊のサイズをゆうに越す狼の鼻先をがっちりと掴み、獲物に向かって走り出そうとする化け物をその場に無理やり押し留めている。

その細身で色白な一見不健康にも思われるような体は片手で大型獣を支えられるとはとても思えない。
にも関わらず、当の男は涼しい顔でこの状況を理解できないでいる狼の親玉の顔を嘲るように見つめている。

「楽しめそうだからここにわざわざ来たんだが....期待外れだった....なッ‼︎」

男は狼の鼻先をむんずと掴んだまま、前方に向けて思い切り投げ飛ばした。
ボールのようにぶん投げられた狼の表情は予想外の事態に驚きを隠せないように焦っているようにも見える。

霧島 孝介 > 「くっ…あっ…!」

やっと頭が正常に戻ってきて、地面を認識して立ち上がる。
何か、誰かの声が聞こえたような気がして、周りを見れば、一人の細身の男が狼を投げているではないか。
しかも片手で。

完全に不意打ちをされた狼側は混乱し、二人に増えた男たちに威嚇の咆哮を放つ。
そんな中、人間側の男の一人も混乱し、なんか増えたイケメンに疑問の声を放つ。

「え、誰ですかあなた!?」

何だこのイケメン!?
見た目もそうだけど、危機に瀕してるモブキャラの俺助けるとは…さては主人公かな?

っと、そんなことを考えていれば、狼が体制を立て直し、一息に飛び掛かってくる。
今度は色白の彼の方へ、その首をへし折ろうと前足を横から振りかぶってくる。