2021/10/26 のログ
ご案内:「転移荒野」に霧島 孝介さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」にマルレーネさんが現れました。
霧島 孝介 > 太陽が真上に差し掛かった時間帯。
転移荒野では冬らしい、少し冷たい風が流れる。
そんな中、転移荒野の開けた場所で、一人の男がストレッチをする。

「いっち…にぃ…さん…しぃ…」

これから体育の授業でもするのかというジャージスタイルで準備体操を進める。
日本人なら慣れ親しんだ体操。
ジャンプ中に大の字になったり、大きく深呼吸をして間接と筋肉を動きに慣らす。

「よし、こっちは準備完了です。
 そちらは?」

体操を終えると、数メートル先で対面している修道女へ問いかける。

事の経緯を話せば、この前、この荒野で困っているところを助けてくれたシスターが居たわけだが
その彼女に家に送ってもらう途中、もっと戦闘経験を積みたいという理由で模擬戦を申し込んだのだ。
今思い返せば、助けてもらった癖にさらに要望を重ねるのは失礼だったかもだが

流石はシスター。笑顔で飲み込んでくれたのだ。

シスターに勝負を挑む、というのもおかしな話だが
いや、前回の話しぶりから強そうだし…と、当時の少年は思ったのだった。

マルレーネ > 模擬戦はずっと昔は得意だった。
相手を殺さず、ただただ己の力を確かめる。
それは素晴らしい自己研鑽の方法だった。

模擬戦はちょっと前は苦手だった。
手加減を覚え、そしてその手加減の難しさを覚えた。
何より、滅ぼさなければいけない相手がいることも事実だった。

ゆっくりと座って瞑想をする女が一人。

相手の言葉でゆっくりと目を開いて、少しだけほほえみ。


「ええ、いつでも。」

模擬戦であるにも関わらず、普段とおなじに見える修道服に、2mほどはあろう棍。
それをゆっくりと構えて、くるり、くるりと自分の周囲を回す。


今の自分はどうだろうか。

提案を聞いたときに、それがはっきりと頭に浮かび上がり。

霧島 孝介 > (準備体操はしないのか…?)

ずっと見ていたが目を瞑ってばっかり。
いや、それともあれが戦う前の彼女なりのルーティンなのだろうか。
何方にしろ、漂う気配はそこら辺の魔物や怪異とは大違いだ。

「…長いな」

彼女が持っている棍を見る。
あのリーチから考えると近距離、そして中距離は彼女の得手だろうか。
ならば…

「じゃあ、行きますよ!」

蒼い粒子を発生させ、自身の周りに集中させる。
キラキラと煌めきながら、蒼い粒子は物体を形作る。

出来上がったのは4つの筒。それもただの筒じゃない。円の部分にはハチの巣のような丸い穴が複数開いている。
彼が合図を出せば、その穴から一斉に小型のミサイルが発射され、一定の高度に達すれば彼女の方へと飛んでいく。

一つ一つの威力は低いが、数が多い。
彼女はどう処理するだろうか

マルレーネ > 彼女は清楚に見える。一見。
だからこそ、冷静に、相手の様子を伺うような理知的な戦闘スタイルに見えがちだ。

当然、そうではない。
彼女が準備運動をしないのは、いつだって殺されるかもしれない場所に身を置いていたからだ。
そんな彼女の戦闘スタイルは、当然のように。


「では、参ります。」

キラキラと煌く粒子の先で、棍をくるりと回してピタリと止める。
その切っ先は、槍のように真っ直ぐに相手に狙いを定めて。

「………は、っ!!」

真っ直ぐに、姿勢を低く。
地面を這うような、とでもいうような超低空を走って、高度をつけたミサイルの下をくぐるように、相手に肉薄せんと突っ込んでくる。

まっすぐ突っ込んで殴る。これが答えだと言わんばかり。

霧島 孝介 > 「っ…真正面から…!」

ミサイルは彼女に向かって降下するが、高度を上げてしまったことと
サイズとして誘導性能が低く、彼女が通った後の地面にぶつかり爆発する。

筒状のミサイルポットを青い粒子に変えれば、次は彼の身長と同じくらいはあるだろう大型のレールガンを作り出す。
同時に筋力をサポートする機械の腕甲を手に纏うように粒子を集中させ、生成すれば、レールガンを持って

「当たれっ…っ!」

突っ込んでくる彼女に向かって、爆炎と雷を纏った弾丸を放つ。
弾丸は光の残像を残しながら、直線的な軌道で彼女へと向かって行き

マルレーネ > そして、彼女は猪武者ではない。

「当たれ、って。
 射撃なのをそこまで言ってしまうと、危険です、よっ!!」

棍棒を振るう。
相手の身体を薙ぎ払うのではなく、その長いレールガンの先端をばちん、っと斜め上に弾くように。

笑う。
唇の端を持ち上げて笑いながら、そのままの勢いで突っ込んでくる。

レールガンはもちろん、棍の射程範囲よりも内側に。
ひたすら近接して、拳が鋭く喉を狙って唸りを上げて。

霧島 孝介 > 「っ…避けっ…!?」

こちらからではレールガンのマズルフラッシュで見えず
彼女が無傷で間合いに入っているのを認識すれば、下がりながらレールガンを撃とうとするが
レールガンの銃身を上に弾かれ、ペースを乱される。

「ちっくしょ…!」

レールガンを離して、一歩下がるが、棍ではなく拳が飛んできた。
棍で攻撃すると思っていた様子で反応が一瞬遅れて、左手でガードをする。

腕甲のアシストがあるものの、彼女の拳を片手だけでは抑えきれず、
ガードした腕ごと、顔を打ちぬかれて数m後方へ吹き飛ばされる。

マルレーネ > 「では次、ッ!!」

拳が相手の腕を十分に捉えれば、体重が十分に乗って相手を吹き飛ばす。
距離を取られたが、この状況。
当然のように更に地面を蹴って、距離を詰めようとしてくる。

相手の攻撃を微塵も恐れていないような、極めて直線的な速攻。

今度こそ、棍を握りしめれば、思い切り振りかぶって………地面を滑らせるように横薙ぎに、脛を強かに狙い撃とうとしてくる。
狙うのは足。 ひたすらに実践的かつ、地味で、相手の嫌がることばかりをする修道女。

霧島 孝介 > 「くっ…そ…!」

土の汚れが全身に付き、鼻からは血が少量滲む。
しかし、それを気にする思考を回すよりも先に体を動かして立ち上がる。
目の前には一直線に地面を蹴って距離を詰めてくる彼女がいて

「ええい、当然の権利かの如く、一息で突っ込んできやがって…!」

背中にジェットパックを生成して、エンジンを点火。
炎による推進力を生み、彼女の攻撃を回避すると同時に斜め後方上空へ逃げる。

「落ち着け…はぁっ…落ち着け…」

ひとまず、乱れた呼吸を整える。
鼻からは血が出ており、それを拭き取りながら次の手を決める。
両手に粒子を集め、SF的なライフルを作り出せば、ショットガンのように
拡散するビームを滞空しながら彼女に向かってばらまく。

マルレーネ > 「な、っ!?」

思い切り棍棒を振った。
それは、地面を歩く人間を想定しているからの技術。
相手が空を舞うのであれば、目を見開いて。

「………参りましたね。
 これは、………。」

相手の攻撃が自分の想定以上であれば、降り注ぐビームの中を走って、岩の陰に隠れようとする。鋭いその光に裂かれれば、修道服が裂けて、中の鎖帷子が僅かに見え。何もつけていない腕からはかすり傷とは言え血が流れ落ちる。

「……っと、ぉっ!!」

全力で岩の陰に飛び込んで転がって、相手から影になる場所に。

霧島 孝介 > 「っ…はぁ…はぁ…」

両手のビームライフルを一斉射撃すれば、弾切れを起こして、ライフルを消し去る。
彼女が逃げた岩を補足してはおり、そちらに向き直る。

数秒間、思考した後に…
地上へと降り立ち、ジェットパックを消し去る。

「…俺はバカだ。こんな事して、何の学習になる…」

このまま上空から一方的に射撃し続ければ、彼女には勝てるかもしれない。
だから、何だ?それで勝って何の意味がある?
ただ異能の性能差で勝っているに過ぎない。

自分に本当に必要なのは直感やスキル、所謂センスだ。

「っつーか…」

男の子なら、近接での叩き合いだろうが。

腕に装着したロボットアームを新しく、さらに近接戦に特化したものに作り直す。
足にも加速と筋力強化の役割を果たす強化外骨格のロケットブーツを生成する。

そして、最後に粒子を集中させ、刃渡り2mはある大剣を作り出し、柄に手をかける。

マルレーネ > 「さて、どうしましょうか。」

こちらはこちらで、落ち着いたもの。相手が遠距離からの射撃を得意としているのならば、こういう展開になることは承知の上だ。さてさて、なんて呟きながら近場の石を手にとって、ちら、と相手の方を見やる。

「……おや。」

するりと降りてくる相手。圧倒的優位を取っておいて降りてくるその姿勢は、彼女の心にちょいとばかりに火をつける。

「………まあ、当然ですけど。
 舐められたものですね、どうしましょう。」

岩を影にしたまま、ふ、ふ、と僅かに笑う。
精神をただひたすら集中する。今度は瞑想ではなく、明確に相手に意思を向けて。

岩場の影から、それでもわかるほどの殺気を相手に向けたまま。
棍を強く強く輝かせる。ただの木の棒を、ひたすらに強く。

霧島 孝介 > 「…っ」

こちらがスタイルを変えたのを確認したのか
素人の自分でもわかるほど、彼女の居る場所の雰囲気が変わる。
恐らく、舐めているだとか、バカにされていると思っているのだろうか。

しかし、相手が本気で来るなら好都合。
ずれた眼鏡の位置を戻し、呼吸を整える。

(来い…、いつでも…!)

彼女がいつでも突っ込んできていいように、構え取り、精神を集中させる。
ここまで来たら勝負は一瞬、相手が出てきたところを迎撃する、と
こちらも、殺気とはまた違った意味で独特のオーラを漂わせる。

マルレーネ > 暫く待つ。相手は来ない。
ああ、なるほどなるほど。

迎え撃つつもりですね?

唇の端が持ち上がる。明るく楽しいシスターは、相手の意図を読んで、その裏をかくことしか考えない。

「………………。」

無言のまま、ぐ、っとその棍を握りしめて、思いっきりフルスイング。
カッ、と音が僅かにした直後に、彼女の姿を隠していた岩がまるで叩きつけたかのようにグシャリと砕け、破片が周囲に飛び散って。

相手が近接の意思を固めてきたならば、思い切り遠距離からの目くらまし。
散弾銃のように岩や石を降らせながら、それに紛れて改めて突っ込んでくる女。

霧島 孝介 > 「っ!?」

遠距離攻撃は自分の専売特許。
そう考えていた彼の意表を突くかのような岩と石の雨あられ。
大剣を盾にして、飛んでくる破片らを防御すれば、彼女の接近を『音』で感じる

「…そこッ!」

大剣を盾にしながら、足のロケットブーツを点火。
真っすぐと彼女の方へと加速をしながら接近していく。

見えずとも音は聞こえる。
自分の剣が彼女の間合いに入れば、くるっと一回転して、剣を横薙ぎに振るう。

マルレーネ > 「まったく、もう!」

不満そうな声が漏れる。
そう。相手の予備動作や行動を察知して動きを予測する彼女にとって、ロケットブーツでの移動は違和感しか残らない。

相手の攻撃が唸りを上げて飛んでくるならば、今度は曲芸のように飛び跳ね、己の棍で棒高跳びでもするかのように飛び上がって………その棍を剣が打ち据えれば、棍から手を離す。

「……っせ、りゃあっ!!」

単なる飛び蹴りが唸りを上げる。

ただ、棍棒と違って威力はない。ただの女性の飛び蹴りだ。

霧島 孝介 > 「よし!…っ!?」

切った手ごたえあり!
これで俺の勝ち…と思っていた矢先、そこには棍しかなく。
不自然に影ができれば、上を見上げる。

「ぐふぅ!?」

彼女の飛び蹴りがモロに顔面に入る。
メガネが割れ、鼻血を出しながら後方へ投げ出される。

ただの女性の飛び蹴りでも、体重が乗っており、顔面に食らえばひとたまりもないだろう。
立ち上がろうとするものの、意識が遠のき、最終的には剣を手放して気絶してしまった。

マルレーネ > 「………ぁ、らっ…!?」

思いっきり踏みつけるような形になってしまって、相手が倒れる。
相手は殺す気はもちろんなかっただろう。

だからこそ、彼女の攻撃が有効に決まったわけだが。
だって彼女は多少大怪我をしても仕方ない、くらいの覚悟で動いていたわけで。

改めて相手が血を流して(鼻血)倒れているのを見れば、さあ、っと顔色が青くなる。
あ、しまった、またやっちゃったかしら、なんて。

「……あ、あのー、あの、大丈夫ですかー?」

隣に座って声をかけて。
よいしょ、と頭を抱き上げて、頬をぺちりぺちり。

霧島 孝介 > ぐでーんと完全に伸び切っている彼。
メガネは片方のガラスが割れてしまって、もう片方はヒビが入っており、もう使い物にならないだろう。

彼女がぺちりぺちりと頬を叩けば、目を瞑りながら顔を顰めて
数秒の時間を置いて目を覚ます

「…あれ…」

目を開けるとこちらを見下げる彼女の姿。
あとなんだが後頭部になんだか柔らかいものの感触がする。
というか、彼女の顔がなんだか黒い2つの山で隠れているような…

………

「うへぇぉおぇ!?!?」

数秒フリーズした後、状況を理解してばっと飛び退く。
変な声を出し、顔を真っ赤にして彼女の方を見る。
恐らく自分は負けたのだろう、というのが分かり、彼女に介抱されたのだろう。
そして、膝枕をされた…という経緯は分かったのだが

いかんせん女性とのコミュニケーションを今までしてこなかった男。
創作物でしか見なかったシチュエーションに鼻血の勢いが少し強まり、鼻をつまむ。

マルレーネ > 「………いやいやいや、ちょっとちょっと。
 そんなに怯えなくてもいいじゃないですか。」

もう、と唇を尖らせる女性。
ひたすら脛を狙ったり岩を投げつけたり、殺すぞって勢いで殺気をぶちまけたりシていたにもかかわらず、ちょっとだけ頬を膨らませて。

「ほら、首が怪我してるかもしれないので、ちょっと診せてください。
 はい、ここに。」

手招きをしながら、この人はなんで鼻を抑えているんだ、と、怪訝そうな顔で相手を見やる。

霧島 孝介 > 「いやぁ、おびえでる訳じゃなぐて…」

鼻をつまんでいるため、鼻声になって焦ったように声を上げる。
確かに彼女の殺気には正直ビビったけども。
彼女が怖いという訳じゃなくて慣れてないため、距離を離している。
いや、まぁ、ある意味では彼女のことは怖いが…

「…は…はい…」

彼女に近くにちょこんと正座で座る。
勿論、鼻を抑えたまま。
メガネが完全に破損してしまったことに気付けば、それを取り払い、彼女に首を診てもらおうとする。

マルレーネ > 「じゃなくて?」

なんて、聞き返してしまいながら、んんん、と隣りに座って首を診る。
まあ、重大な怪我ではないような気もするが、それでも血も出ているし、物も壊してしまった。

模擬戦だから謝らないのがマナーだけれども。
それでも、まあ、気にはなる。

「………もうしばらく、動かない方がいいかもしれませんね。
 さっきみたいに、しばらく寝てます?」

なんて、相手に尋ねて。 なんで今でも鼻を抑えているんだろう、とは思うけれど。

霧島 孝介 > 「え、えぇ…いや、ぞれは…ぞの…」

彼女に発言の真意を追及されれば、言い淀んで視線を泳がす。
首に関してはしっかりと鍛えていることから、重大な怪我はないこと分かるだろうか。
なおも鼻を摘まんで、出血を抑える。

「え、えぇ!?いやいや、それは辞めときましょう!う、うん!」

彼女の発言に驚いた声を上げ、つい鼻を抑えていた手を彼女の方に向ける。
出血自体は止まっているが、彼女の発言に過剰に反応してしまい、赤面して。

鼻を抑えていたため分かりづらかったが、メガネが無い彼は結構いい顔をしている。
鼻血や打撃を食らった部分の腫れはあるものの、一般的にはイケメンに分類されるものである。

まぁ、彼女がどう思うかはわからないが。

マルレーネ > 「……そうですか?」

まあ、そこまでいうということは、己の回復力や身体に自信があるのだろう。
そう考えて、ん、っしょ、と立ち上がる。
あくまでも戦から離れれば、彼女はそれなりに敬虔なシスターである。

「今日はありがとうございました。
 本気で相対していたらどうなっていたでしょうね?」

ころりころりと明るく笑いながら、イタズラにウィンク一つ。
敬虔だからこそ、顔立ち一つでどうこうはならないのである。

「………なにか困ったら、異邦人街の修道院まで起こしください。
 私にできることがあれば。」

などと、自分で怪我させておいて、にっこり笑顔。

霧島 孝介 > 自分が腕甲とかやロケットブーツを付けているのを気付けば、それを消し去って
彼女に向かい直る。

「そうですよぉ~…はいぃ…」

実際、身体付きはよい方だし、怪我の治りも少しは早い。
彼女に合わせて立ち上がれば、目の前がぼやけているのが気になって
異能でメガネを作り出し、それをかける。

「こ、こっちこそ、無理なお願いしてすみませんでした!
 本気だったら…さぁ…俺が負けてたかも?」

自分もぎこちなく彼女に笑みを向ける。
実際、自分の経験値不足は否めない。今回、いい勝負で行けたのも彼女が最初から本気でなかったからだ。
まだまだ修行が必要だ。もしも、今のが殺し合いだったら…

そう考えると、少し震えて

「え、えぇ…あっ、そういえば、シスター・マルレーネさん。
 携帯とか持ってます?そうすれば、連絡とか取りやすいと思うんですけど…」

自分から申し出た模擬戦闘ならば、怪我も多少は受け入れており。
それよりも、異邦人街の修道院となるとどの修道院かわからなくなる可能性があるため
連絡が取れるように、彼女とアドレスなんかを交換しようと申し出る。

マルレーネ > 「またまた。」

目を細めて笑う。
おそらく、まだまだいくつか奥の手は持っていよう。
相手を殺さないように気を遣っていたのは明白だった。


「……? ああ、はい、一応なんとか最近はつかえるようになりましたからね。」

えへん、と自信満々に言葉を返して。
異邦人であるがゆえに、こういう電子機器にはあんまり強くはない。

スマホをカバンから取り出すも、何も入っていない正にバニラなスマートフォンである。

霧島 孝介 > 「はは、でも次は絶対負けないように、努力しますんで」

目を細めて笑う彼女に対し、こっちも笑うものの、その眼差しは本気で。
彼女が奥の手を隠し持ってるのは何となく予想はついている。
自分もさらに強い武装を考えなければ…と思案する。

「ああぁ…すごいっすね。うん。
 じゃあ、これで」

異邦人であるが故に、電子機器に弱い。
そういうシチュエーションはよく聞くから彼女の自信満々のドヤ顔には、微妙な反応をする。
バニラなスマートフォンに対し、こっちは落としても大丈夫なしっかりとしたカバー付きのスマートフォン。
アドレスの交換を終えれば、スマートフォンを仕舞って

「それでは…そろそろ帰りましょうか。よければ修道院まで送りますよ。シスター。
 その方が尋ねたい時に場所を覚えておけますから」

そうすれば、彼女を修道院まで送り、自身も帰宅するだろう。
今回の模擬戦では負けてしまったが、様々な事を得ることが出来た。
それも立派な彼の経験値として、いつか来る死闘を乗り越える糧となるだろう―――

ご案内:「転移荒野」から霧島 孝介さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からマルレーネさんが去りました。