2021/11/01 のログ
ご案内:「転移荒野」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > ――気が付けば、目の前には一面の荒れ果てた野が広がっている。
僅かに碧眼を細めて訝しげに周囲を見渡す――全く身に覚えの無い場所だ。
(……確か、何時ものように違反組織を潰して――最後の足掻きで何処かに飛ばされたと記憶しているが。)
このような荒野に飛ばされるとは。島の中なのかあるいは外の世界なのか。
落第街やスラムからほぼ出た事が無い男は、そこが転移荒野と呼ばれる場所とは知らず。
改めてもう一度視線を巡らせる――かなり遠くに集落、みたいなものが見える気がする。
土地勘が全く無い場所だ――下手に動く訳にもいかないが、ここで佇んでいてもしょうがない。
取り敢えず、あの集落らしき場所へと向かう事にして歩き出すが――…。
「――…?」
体が微妙に重い気がする。頭痛や貧血といった例の後遺症は出ていないが。
…何とはなしに、本能的とでも言おうか?ここがただの荒野ではないと朧気に悟る。
(……妙な場所に飛ばされたのは間違い無さそうだな)
■狭間在処 > 倦怠感にも似た体の重さ…微妙な不調の理由は分からない。
もしかしたら、新たにまた何か症状が増えたのかもしれないが…。
緩く首を振って一先ず体の不調は脇に置いておく。大事なのは現在地の把握だ。
遠くに見える集落はそこそこの距離があるらしく、徒歩でも数時間は掛かりそうで。
(…飛行魔術や魔導具があれば話が早いんだが…。)
残念ながらどちらも無い。自身の異能も移動に関しては正直役に立つとは言い辛く。
よって、仕方無しに徒歩でひたすら目的地を目指す事になる訳だが。
「………。」
荒野、というものは初めてみる。自然と周囲に目移りしてしまうのは否めない。
精神的には年齢相応か若干上かもしれないが、知識に関してはあの街しか分からない。
…一度だけ、とある知り合いの案内で学生街に出向いた事もあるが。
あれは一夜の幻のようなもので、再び己が学生街へと出向く事はおそらく無いだろう。
(…空腹や喉の渇きは無し…矢張り何とも言えない倦怠感くらいか。)
人工怪異の失敗作としての後遺症ではないのなら別の要因があると考えるべきだが。
正直推測するにも情報が足りな過ぎる為、今はあの集落目指して黙々と歩くしかない。
■狭間在処 > 人工怪異、と言えばそれなりに大層に聞こえそうだが、結局の所は偽物だ。
『本物』には遠く及ばないし、異能や特殊能力が幾つかあるが、全て欠陥がある。
――自らの場合、人間ベースなのもあってかどうしても限界値が低めだ。
(…まぁ、つまりは…普通に歩いているだけで疲労するって事なんだが…。)
何だかんだで黙々と歩き続けていたのだが、かれこれ3時間以上は経過している。
なのに、まるで蜃気楼のように集落との距離が縮まらない…変な違和感も付き纏う。
一度足を止めて、改めて荒野を見渡すが…少なくとも、目で見える範囲に特段異常は見当たらない。
視界に異常がなくても、違和感は消えないし体の倦怠感もある…と、なれば。
(…この場所…いや、荒野全体が何かしら特殊性の強い場所なのかもしれないな。)
少なくとも、物理的距離が縮まらない時点で何らかの力が働いていると見るべきだろう。
その根本的原因は流石に分からないが、一つ確かな事は矢張り面倒な場所に飛ばされたという事だ。