2021/11/03 のログ
ご案内:「転移荒野」にマルレーネさんが現れました。
■マルレーネ > よいしょ、と。
小さく呟きながら、夕暮れの転移荒野に足を運ぶ女が一人。
異邦人街に住む異世界のシスター。金色の髪を揺らしながら空を見上げて、広がる荒野に視線を落として、ふう、と吐息が漏れる。
彼女は最近は、よくこんな場所に足を運んでいた。
「なんででしょうねぇ。」
とぼけてそんなことを口にしつつも、ちょっとばかり理由も予想はついていた。
これだけ長い間、同じ場所に留まることが無かったから。
■マルレーネ > 別に、この島から出て世界を旅したいとかそういう気分でもないし。
今更孤独だなんだと嘆くつもりもないけれど。
なんとなーく、どこまでも吹いていく風を眺めることが好きだった。
忙しく毎日を過ごすことで、何も考えないようにしていたけれど。
それでも漠然とした不安は、ずーっと胸の内。
「………ここは安全で、平和で、楽しい場所ですよね。」
なんて言葉にする。
自分の言葉は100%正しいのに、何故か頭の上をふらりと回って踊って。
■マルレーネ > 診断は「異邦型ホームシック」。
異邦人が数ヶ月か数年おきのスパンでかかる懐郷病。
とは言われても、処置する方法は無い。
睡眠薬を時々処方される程度。
辛いかもしれないけど、早くなじまないとね、と言われた言葉は、きっと優しいのだろう。
ちょっとだけ、胸が痛む。