2021/12/18 のログ
ご案内:「転移荒野」にハインケルさんが現れました。
ハインケル >  
「んー、此処はあんまり変わってないなー? うっ、寒ーっ」

自分が此処に来た時に真っ先に見た光景
久しぶりに見に来てみたら、特になんにも変わっていなくて
ただただ遮蔽物のない寒風に吹かれていた

ぶるぶる
ちょうさむい

「此処に来た頃ってどんな季節だったっけなー」

「この辺りをうろうろ彷徨ってたら、マスターに出会ったんだっけー…」

風で飛ばされないように帽子を抑えつつ、込み上げてくる懐かしさを楽しんでいた

ハインケル >  
異世界の研究のため、という名目で開発の手が入っていないらしい荒野
学園の管理外であることも手伝って…おかげで、長年この光景が変わっていないらしかった

「どの辺りだったかなぁー」

もっと着込んでくれば良かったかなー、なんて思いながら
それでも軽い足取りで、荒野を歩いてゆく

ご案内:「転移荒野」にさんが現れました。
> 怪異を惹きつける車椅子の少女に眼前で逃げられてからしばらく経った
今日は根城の龍神城を抜けて遥か遠い転移荒野へ
「サテ....今日はどんな食材が湧いてるカナ」

狙いは今晩の食糧
以前ここに来た時は熊よりも大きい狼の群れの頭を屠ったっけ...と回顧しながら

ザッ、ザッと荒野の乾いた地面を歩いて行くと、この危険地帯に似つかわしい小柄な少女がいた
長い金髪と紅い瞳が特徴的な少女である

「(...何でこんなとコニ...?)」
怪異の類かもしれないが、一応声を掛けてみようか
そう思いながら
「なにしてンダ?こんなとコデ?」

ハインケル >  
大きな爪痕の刻まれた岩
自分が残したもの、宛もなく彷徨って、出くわした怪異と──
マスターと出会ったおかげでそんな生活からはさよならして、今の自分を手に入れた
懐かしいなー、とぺたぺた岩を撫でていると…

「…んー?」

すん、と鼻を小さく鳴らす
寒風に交じる匂い。何者かの存在をそれに感じ取る
なんだろな、と視線を巡らせると、少女からすれば見上げるようなおっきな人がいた
匂いの主であろうそのおっきな人から声がかけられれば少女はにこりと微笑んで見せて

「こんにちわ!
 うーん…何ってほどでもないけどー、お散歩、かな?」

「お兄さんは?」

ひらひらっと余った袖を振って応え、そう問い返す

> 少女は目の前の岩を撫でていたようだ
その岩にはかなり大きな爪痕が残っている
まるで、大型獣が引っ掻いたような...

「散歩?」
直立不動のまま顔だけ見下げ、俯いたような格好で少女に返す
こんな危険なとこで、1人っきりで?
そんな芸当がこんな小さい少女にできるとは...やはりこの島では面白い発見がたくさんあるな、と少し笑って

「俺はまァ...今日の晩飯を取りに来たんダガ...」
こんな質問に対して嘘で返す必要もなく、素直にここに来た理由を述べる
とは言え、目的の食肉の類になりそうな生物は居らず、「門」すら見当たらない。
「今日は望み薄ダナ」

ハインケル >  
「そ♪お散歩ー。
 ちょーっと寒くって、もっと上着きこんでくればよかったなー、なーんて」

てへぺろ。少女の表情はころころと変わる
外見は年端もいかぬ少女のもの、見たところ武器のようなものも携帯していない
危険であることをわかっているのかいないのか、終始緊張感が感じられなかった

「ばんごはん?」

首を傾げる
こんな場所でー?と

「ご飯なら街にいって美味しいお店にいったほうがいいよー♪
 …それとも、こんなトコでのご飯探しって何か特別なじじょー?」

丸く大きな瞳を鋭く細めて、問いかける
目の前の彼から普通の人間と違う匂いがするのは、とうに承知の上だった

> 「上着でも貸してやろウカ?
...大きさが合わねェナ」
自分の着込む厚手のジャンパーに手をかけるが、体格差を考慮してなかった
彼にとっては上着でも、少女にとってはただ大きくて重たい布の塊のようなもの
頭の中で少女が大きすぎるジャンパーにくるまる様子を思い浮かべて軽く笑いながら

「ソウ、晩ご飯」
ポケットに手を突っ込み周囲を見渡す
やはり近場には食材に出来そうな生物は湧いていない
都合良く巨大獣でも湧いてくれればいいのに...と思いつつ視線を少女の方に戻す

「美味しいお店ネェ...
お兄さん金無いんダヨ、ほらこの通リ」
ジャンパーのポケットをまさぐり出てきたのは汚れた千円札が1枚ほど、あとはもはや判別不可能なほど赤黒くべっとりとした色に塗れた紙幣が2、3枚

「これが俺の全財産なんだよナァ...」
少し苦笑しつつがっくりと肩を落とすジェスチャーを挟む
コミカルながらもどこか歪んだ動作だった

ハインケル >  
「んっふふ♪もしかしてお兄さん優しいヒト?」

上着を貸そうか、と笑う彼を見上げ、こちらもくすくすと笑みを返す
我慢できる程度の寒さだし、借りちゃうのも悪いかな、なんて思いつつ

「それくらいあればハンバーガーくらい食べれるよー?
 あ、もしかしてそれくらいじゃ足りないとか?
 お兄さんカラダおっきーもんねぇ♪」

うんうん、と頷いて、改めて目の前の男をゆっくりと見上げる

「でも此処で食べ物探すよりはいいと思うけどー。
 異世界のヘンなのとかくらいしか湧いてこないよ?」

> 「さァ...どうだろウナ」
含みを持たせた笑みで返す
血も涙もない外道、と言う本性を見透かされぬように
純真無垢な子供はある程度信頼関係を築いてから仕留めるが吉
前の世界で幾万もの命を弄んだ経験だった

「はん...ばーがー?悪ィな、横文字は苦手なンダ
あと異国のものは受け付けネェ
炒飯とかなら全然食えルガ...」
その単語を理解できないかのように吃りながら
彼は特段、食物を摂取せずとも生命活動に重大な影響が出るわけでも無い
あくまでもヒトの振り、真似事
とは言え、人間時代の好みを反映させた方が真似として自然ではある
彼の好みは出身国と気色の似ている中国の料理だった

「店に行ってもロクなもん作ってくんねェノサ
だから自分で作るんダヨ、その異世界の変なのデナ」
正直、自分の存在自体は前回知られてしまったし、歓楽街付近の中華飯店に行くにしても自分の味覚を唸らせるものはなかった
それならいっそ、自分で作った方が作り勝手もいいし味も調整出来るし、異世界から来る獣は大体大きく、日持ちするため色々と便利だった
彼は最近その手法で食事を摂っている

ハインケル >  
「ハンバーガー知らないの?!…あー、あー!そういうこと!」

ひとしきり驚いてみせた後、腑に落ちたように冷静になる少女

「んー、んー…。
 えっとお兄さんもしかして此処に転移してきたばっかり?」

普通の人間と違う匂いがしたことと、
ハンバーガーを知らなかったり、その言動などからも
異界からの転移者なのは間違いなさそうだった
それでいて、まだこの島に広がる人間然とした文化に溶け切っていなさそうなコト、などなど
なんとなくそんなアタリをつけて、問いかける

「あ、お兄さんお兄さん言うのもアレだしお名前教えて!
 アタシ、ハインケル!」

その直後には名乗りつつ、名前を尋ねたりもして

> 「?...どうした急に大声デ」
唖然とした表情で少女の行動を見守る
大声出して驚いていると思いきやスン...と冷静になる少女の思考に着いていけてないような...

「転移?....どうだッたカナ、でも最近ではねェな
2、3年?いやもっトカ?」
転移する直前直後のことは彼もあまり覚えていない
気が付いたらこの島に...と言う曖昧な感じだったのでここに来て何年経ったのかすらも朧げだった

「はいんける...「ハインケル」ネ、ってことはお前も異世界出身カ」
ここまで異世界出身のアタリを付けれるってことは同じ境遇の人間じゃないかと思いながら
少女に問いかける

「名前...あァ 、塵ダ
塵芥、ゴミ屑って意味の塵」
素直に少女の問いにも答えつつ

ハインケル >  
「それじゃアタシと変わんないかー。
 え、その間に街中とか行ったことなかった?」

2、3年と聞けば、その間にハンバーガーを知ることがなかったことにもう一度驚いた

「そ、ハインケル!んー…そだね♪アタシも異世界からやってきたクチ~」

そこでふと考える
マスターに拾われなければ、自分もずっと此処を彷徨っていたのかもしれない
あるいは、この人を導くのは自分が受けた恩を返すことに繋がるんじゃないか…と

「塵…塵?それがお名前?自分でつけたの?」

それとも誰かにそう呼ばれたのか…
あんまり良い…というよりはネガティブな意味をもつその名前を眉を潜めていた