2021/12/19 のログ
> 「街には何度も行ッタゼ?
ただ俺は横文字読めねェかラナ...
敬遠してたとこもあったカモ」
少しおどけた調子で首を傾げる
彼の居住地は落第街近く、歓楽街へ足を伸ばしたこともある
ただ、横文字が読み取れず、アルファベットに至っては発音もできない
故に彼は「そういう店」を避けていた

「ヘェ、お前もネェ...」
自分がかつて転移荒野で発見された、という情報だけ知っている彼は何となく親近感を覚えながらそう呟く
異世界から転移すると行き着くのは大体この荒野
少女もここに転移したのだと目星をつけたからだ

「ン〜....、まァ...自分でつけた名ダナ」
少し思案して答える
本来この名の由来は塵芥や埃、というものに限ってはいないものだった
悲惨な境遇、残酷な運命...などという言葉ではもはや生ぬるいほどの地獄を経験した彼がなぜこのような名を自分に名づけたのかは定かではない

ハインケル >  
「そっかぁ~、それはお勉強しないとねー」

うんうん、と納得したように頷いていた
読めないものは仕方がない、読めないのだから

「そうそう、お仲間だね~♪」

いえーい、と近寄ってきてハイタッチしようと手を掲げた
そんな文化を相手がしっているかはわからない

「ふええ、自分で……。
 もっといい名前つければ良かったのにー」

あんまりそういうコト、というか自分の名前自体に興味がないのかな、なんて思いつつ…

「アタシはねー、商店街で売ってたカッコいい模型の名前からつけたんだよー♪」

そして聞かれてもいない名前の由来を自ら語っていた

> 「フフ、まァそうダナ」
郷に入っては郷に従え、だったか?
色々とこの世界では驚くことばかり
自分の知見の狭さがありありと映し出される
素直に少女の言葉に同意する他なかった

「ア?」
少女が揚げた手をじっと見つめ素っ頓狂な声をあげる
そのままじっと見つめた後、その小さく華奢な手のひらを少しくすぐってみる
ニマニマと意地悪な笑みを浮かべつつ

「マ、名前なんざどうでもいいダロ」
どうでもよさそうに1人呟く
少女の見立て通り、彼は自分の名前自体に対する興味は薄かった

「模型?
ヘェ〜、お前も自分で付けたノカ?名前
名付け親とかいねェノカ?」
複雑な事情でも無い限り、名前を自分自身で付けるというのは少々普通のことでは無い
どこか他人事のようにさりげなく少女に問いかける

ハインケル >  
「ふひゃ!?違う違う!!知らないのー!?」

手の平をくすぐられて慌ててぱっと袖の中へと引っ込める
こーやったら、こう!とジェスチャーを交えてハイタッチを教えるも伝わったかどうかは定かではない
そして意地悪そうな笑みを見れば、わざとだなー、と少しだけむくれて見せていた

といっても感情の起伏が激しく長続きしない少女のこと
すぐにむくれた顔にも笑顔が戻る

「もしかしたら別の名前があったのかもしれないけどー。
 此処に来た時にぜーんぶ、忘れちゃってたから。
 名前はないと不便だしー、ってなんかカッコイイからつけたの♪」

かっこいいでしょ?と見上げながら笑みを向ける
似た境遇であるだろう男に、すっかり距離感をなくしているようだった

> 「フフッ、悪ィ悪ィ」
軽く笑いながら、ハイタッチの作法を大人しく教わる
その動作のやり方は分かったものの、その動作の持つ意味は未だに分かっていない。
しかし、一応の詳細だけ把握できた

「なるほどネェ、忘れてたんダナ」
むくれ面からすぐに笑顔に戻った少女を見据え、納得した様子で相槌を打つ
「そうダナ、カッコイイカッコイイ」
大人が子をあやすように、それでいておどけながら少女の言葉に同意する
少女をからかって、楽しんでいるようにも見える

「....そうイヤお前、仕事でもしてんノカ?
随分小綺麗な格好ダガ...」
思い出したかのように1つの疑問を少女にぶつける
正直、不可解な部分があった
喋り口、外見からして子供なのでは?と思えるこの少女
転移してきたということはこの世界では天涯孤独の身
にも関わらず、清潔な服装、社交的な性格...などなど...
背後に庇護者がいなければ成り立たないこの図式
単純に彼は疑問に思っていた

ハインケル >  
「んふふー♪」

かっこいい、と囃されて少女は嬉しげに目を細める
渾身のドヤ顔である

「仕事?うん、いちおーね♪
 秘密のおしごと、だけどー♡」

そう答えて、ひみつー、と口の前に人差し指を立てて見せる
何を言うにも一々楽しげである

それもこれも、此処で拾われ…導いてもらえたからこそでもあった

> 「(いちいち感情が分かりやすいんだヨナ〜、コイツ)」
嬉しそうに目を細め、得意げな顔をする少女に向かって心の中でそっと毒づく
もちろん顔は笑ったままである

「秘密ネェ...マ、あえて聞くこともなイカ」
少し不満げな表情を浮かべるものの、人差し指を口の前に立てて見せる少女を一瞥した後またいつもの笑い顔に戻る
他人に言えない仕事ってことは...ウリや薬とかの違法行為かと推測し、深入りの必要もないと判断したため

男は少女が所属している組織の名など欠片も知らない
故に少女がそんな仕事を生業としていることなど想像できなかった

ハインケル >  
「そーそー。乙女の秘密に男のヒトは踏み込まないのが吉ー♪」

くすくすと笑う少女は改めて、塵を見上げるようにその大きな瞳を向ける


「塵…うーん、なんかこの名前で呼ぶのちょっと抵抗あるんだけどー…。
 塵おにーさんもお仕事する?アタシと同じお仕事ーってわけにはいかないけど、
 なんか紹介なんかできるかも!」

「そしたら此処までご飯探しにこなくてもよくなるよ?」

自分がかつてマスターにしてもらったように
もしかしたら自分と似た境遇だろうこのヒトの役に立てつかもしれない

───少しだけ、この金狼の"鼻につくモノ"があったりはするけれど

> 「危ネェ危ネェ、不可侵領域に踏み込むとこだッタナ」
くすくすと笑う少女を見下げつつ
微笑みながらそう答える

「仕事カ〜...イヤ、俺は別にいイヨ
誰かのために働く、なんて虫唾が走るかラナ
それに、俺は結構気に入ってるンダ
ここに湧く畜生どもを嬲り殺して自分の腹に入れるっていう一連の行為そのものヲヨ」
ほんのちょっぴり考えたが、すぐに少女の提案を緩く断る

下衆外道の片鱗が窺えるような歪な笑顔を浮かべて答えるその顔は、少女が“鼻につくモノ”と称した不気味さ、不穏さのようなものの裏付けでもあった

ハインケル >  
「そーお?無理強いはしないけどー」

今の生活がそれなりに気に入っているのなら、しょうがない
此処は学園の管理外、つまり秩序はないに等しい
故に彼の行動を止める者はそうそうはいないだろう
己の正義観を振り回す者と、己を標的にされた者以外は

だったらだったで、少女もそれに忌避感を覚えることはない
そもそも、少女自身とて今の組織のマスターに出会っていなければ…

そっと背にしていた岩を後手に撫でる
岩に深くつけられた大きな爪痕はそんな時期の名残だ

同時に、びゅう、と吹き付ける寒風が並び立つ二人を撫ぜる

「うひゃ…さむさむ……。
 風邪ひーちゃうし、アタシそろそろ帰るね。えっと…」

「飴、たべる?」

お近づきの印にー、と
にゅっ、と余った袖から棒つきのキャンディを差し出してみる

> 「無職でも生きていけるのがこの島のいいとこだシナ」
少し得意げな顔で、少女に言う

少女が自分の言葉に忌避感を覚えないのは意外ではあったが驚くほどでもない
この島には胆力がある人間など幾らでもいる
少女もその1人なのだろうと納得しつつ
ないとすれば...以前この荒野であったアイツか...と回顧しながら

風が勢いよく2人の間を通り抜ける
「....風、強くなってきタナ」

そして、棒付きのキャンディを少女が差し出しているのに気づきそっと受け取る
「谢谢(ありがトナ)」

ハインケル >  
飴を受け取ってもらえれば、今日一番の笑顔を向ける
返ってきた言葉は、確か大陸の言葉。詳しくは知らないけど、お礼だということはわかったようだった

「よーし、それじゃ帰るねー♪」

風で飛ばないように帽子をぎゅっと抑えて、小走りに街に向けて…
あ。と言い忘れたように

「アタシ、落第街とかもけっこー散歩してるから、また会ったらハンバーガー奢ってあげるー♪」

じゃーねー、と袖をぶんぶん振って、今度は振り返らず、荒野を駆けていった

> 「ン、まタナ」
帽子を手で抑えて帰る体勢を整えた少女に向かって

「ヘェ〜、奢ってくれんノカ
じャ、楽しみにしてルゼ」
と少し声を張り上げて
荒野を駆ける少女に聞こえるように

「サテ...俺もそろそろ帰るとするルカ」
その台詞を発した直後、男は音も無く闇に溶け込み家路に着く
そこにあるのは風が空気を切り裂く音のみであった

ご案内:「転移荒野」からハインケルさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からさんが去りました。