2022/05/04 のログ
ご案内:「転移荒野」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 空には見事な三日月。星が瞬き、流れ星も見える。
背の高い建物が多く立ち並ぶ街中とは違い、
此処は自然そのままが殆ど手付かずで残されているから有難いものだ。
高い樹の枝、人ひとり乗っても折れない程度の太さのものに腰掛けている人影。
気配遮断と、虫除け獣除け等の魔術を使用しているのでゆっくり出来る。
己が纏う香りも今なら一切ない筈だ。
…効果があるかは、己自身だと分からないのがもどかしい所だが。
■セレネ > 『…もう一つ、”弓”作ってしまおうかしら。』
折角の三日月。折角の機会。
そうそう使う事もなければ余程の事がない限り壊れる事もないけれど、
予備はあって損は無い筈。
不意に革の手袋が嵌められた左手を空に浮かぶ三日月に翳す。
縁をなぞるように指で曲線を撫でれば、ゆっくりとその三日月を握り締めた。
――さも、本物の弓を握っているかのように。
■セレネ > キシリ、音を立てた革手袋。
そこには何もなかった筈……だった。
が、ふと一つ瞬いた瞬間、三日月が形となって手の中に収まっていた。
月の色をした、一つの弓。
だが、三日月で出来るのは弓だけだ。
弦はまた別の物を用意しなければならない。
道具としての弓は弦が無ければ矢を射られない。
ふむ、と少し考える。普通の弦ではちょっと面白くない。
■セレネ > フードの奥の蒼に映るのは沢山の流れ星。
それを見て、ふと妙案を思いついた。
”弦”は流れ星にしよう、と。
空いている右手で、流れる星の軌跡を摘まんだ。
一つ瞬けば、それも一本の弦となって形となった。
…だが、同時に星も形にしてしまったらしい。
先端にちょこんと、トゲトゲしい星がくっついていた。
■セレネ > 『あら…貴方も形にしてしまったようね。』
少し申し訳ない事をしてしまったか。
…いや、これはこれで良い触媒に使えるかも。
このまま還すのは、勿体ない気がして。
プツリと星の部分だけ千切り、ポケットに入れる。
さて、残ったのは軌跡を形にした弦だけだ。
慣れた手つきでそれを三日月の弓に括り付け、何度か強く弾いて外れないかを確認する。
問題はなさそうだ。確認すれば、ふいと出来上がった弓を何処かへと消した。
作業を終えれば、後はゆるりとした時間を暫し過ごすとしよう。
ご案内:「転移荒野」からセレネさんが去りました。