2022/09/13 のログ
■セレネ > 無駄に自信家、傍若無人でどうしようもない人は己の身近な関係に居た。
全くもって、私生活や性格は駄目な父親…正確には、育ての親だったけれど。
彼の戦場で培った知識量、人を判断する観察力、洞察力の鋭さ。
常に自分のペースを崩さずにいる冷静さ。
…などなど、今でも尊敬出来る、己の目標となっている。
父の背を追い、そうありたいと思い、日頃癖付けてきた結果、
子どもらしくない子どもであった己であるが。
「今後も言ってくれるなら、まだ評価も変わるかもしれませんけれどねー?」
いつも言ってほしいなんて、そんな贅沢は言わないから。
偶にでも言ってくれるなら、それだけでとても嬉しい。
嬉しそうに微笑む蒼が、ほんの少しだけ潤んだ。
「何でもと言われると流石に困ってしまいますが…。
どうしようかな…うーん…。
じゃあ、私が育った孤児院についてお話しましょうか。」
「私、父から拾われた子なのです。
そこで父がやっている孤児院の一つで育ちまして。
そこには人の子も、そうではない子も沢山おりました。
…その子達は、私のように彼から拾われた子だけではなく
元々奴隷だった子や、それ以外の…
戦場で彼に親を殺された子も居ましたよ。」
父と似た見目の己だったから、随分と憎々し気に接されていたっけ。
思い出しながら一つ一つ告げる表情は、懐かしくも寂し気に。
■クロロ >
「気が向いたらな」
口に出して確認するほどの事ではないと思っている。
まぁ望まれれば言うのも吝かではないが、ケースバイケース。
こうして彼女は話し始めた。
育った孤児院。訳アリの連中が集まるのはよくある話だ。
そういう意味では、この学園もある意味大差ない。
巨大な孤児院が派閥に分かれているようなものだ。
望んできたもの、そうでないもの。
酷く対立しているようで奇跡的にバランスが取れている。
今思えば、随分と不思議な場所だと思う。
「はァン、じゃァ産みの親とはちげーンだな。
孤児院だし、そりゃそういう連中もいるだろうよ」
「で、お前はその親父に目を掛けられて引き取られたッて感じか?」
■セレネ > 気が向いたら、との言葉には頷きだけ返す。
わざわざ言葉にしなくても、と彼は思っているのだろうが
己にとってはその言葉が欲しい時もあるのだ。
「えぇ、そういう事になりますね。
彼が偶に戻ってくる度、その子達が
寝首を掻きに行ったりするのはもう慣れた事でしたね…。」
「そうです。拾われたのは偶々…だったかもしれませんね。
私、父から拾われる前の記憶がなくって…
どうして拾ってくれたのかとか、結局聞けずじまいで此方に来てしまいました。」
軽く肩を竦めながら、そう答えた。
■クロロ >
「テメェでやッたことだしなァ。そりゃそうだろ。
……なンだ、お前も似たようなモンか」
自分で蒔いた種とも言う。
手前の身内を奪ったなら寝首位狙われるだろう。
それがどんな気持ちであしらっていたかはさておき
やったことのケジメとしては当然だとシビアに思う。
むしろ、受け皿にもなれないようなら子供引き取る資格はないとさえ思っただろう。
それに、相手もどうやら忘れている事もあるらしい。
よ、と半身を起こせばそのまま立ち上がる。
満月に手をかざすと、陽炎が軌跡となって月明かりを彩った。
「ソイツが良い事は悪い事かは知らねーが、お前の事なら思い出してやれよ。
まァ、急ぐことはねェ。目の前にいるバカは、漸くちょッと思い出したンだからな」
白紙のノートが漸く彩られたんだ。
月陰った記憶も何時か明るみに出る事もある。
ニィ、と笑みを浮かべれば翳した手で軽く手招き。
生憎今日は手を握れないが、帰り道くらいは一緒に行こう。
どうせ歩く道は、これからも一緒なのだから。
■セレネ > 「幼い頃に一度聞いた事があったのですが、
そうされて当然だって言ってました。
記憶喪失、という意味では確かに似ておりますね…。」
誰よりも自分の知る人物達の幸せを、どんな形であれ願っていた人だった。
幸せになるのを見届ける。だから何が何でも生き続ける。
強固な想いは、執念とも呼べる程の。
尚、過酷な戦場等で生き抜いてきている養父は、子ども達の奇襲を
楽しそうにあしらっていた。
そこらの理性や倫理観は皆無な人なので、己も影響を受けていると言えなくはない。
「…思い出しては、いけない気がして。
――怖いのです。」
偶に、見知らぬ記憶が。けれどどこか懐かしい記憶が。
蘇る事がある。
しかしそれを、封じておかねばならない。
同時にそう思うのだ。
立ち上がった彼を見上げた蒼は、僅かに恐怖の色に染まる。
小さく息を吐き、気持ちを整えると己も徐に立ち上がった。
「――そうだ。次に私の部屋に来られる日っていつくらいです?」
手招きする彼の隣に歩いていきながら、次の予定を伺う。
そうして二人歩いて行きつつ、街に入る前にいつもの姿へと戻しては
共に同じ道を歩いて行こう。
――今後も、二人一緒に。
ご案内:「転移荒野 月の湖」からクロロさんが去りました。
ご案内:「転移荒野 月の湖」からセレネさんが去りました。