2023/01/07 のログ
ご案内:「転移荒野 月の湖」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 今宵は年初めの満月。ウルフムーン。
夜空に浮かぶ見事な丸い月に満足そうに蒼を細めては、
畔に僕である猟犬二頭と一頭の鹿を喚び出し、大きな鹿の背に躊躇いなく座り込んだ。
銀月のような毛並みを持つ猟犬は己の左右をそれぞれ守るように座り、
耳を立たせ周囲を警戒している。
椅子代わりにしている鹿もすぐさま立ち上がれるようにしている。
思えばこうして僕を顕現させてまで月光浴に興じようと思ったのは初めてだったか。
『……なーんか、妙な感覚があるのよねぇ…。』
覚えがある、この感覚。
月明かりから薄い布を織り、鼻から口元を全て覆う月色のフェイスヴェール。
指先一つでそれを現し、するりと付ける。
此処は比較的人の子が来ることは少ない。
けれど、絶対ではない。神秘が存在意義である己には、少しでも正体を隠す必要がある。
尤も己をよく知る人物であれば看破は容易であるが、己が神族だと告げている者は極一部。
小さく息を吐いて、その妙な感覚について思いを巡らせる。
■セレネ > 暫く色々と考えて、思い至ったものがあった。
『――私を祀ったのは誰かしら?』
あぁ、そうかこれは。
僅かながらに祀られた感覚だ。
己自身を祀られた訳ではないから然して問題がある訳でも、
そして大きな恩恵がある訳でもない。
幸いなのが「どの神を祀っているのか」が不明瞭なこと。
そして祀っているものが己の聖遺物…今回でいえば毛髪であるのがまだ良かった。
それにしても、己が神族である事を知っている知人友人で
己をわざわざ祀り上げるという知識を持っている者はそうおるまい。
――消去法で、勘ではあるが。
『……あの子かしらね。』
古びた社に己を祀り上げた子について、予想がついた。
脚を組み、ヴェールの下で苦笑を浮かべながらそう呟く。
■セレネ > あの子であれば己の遺物を集めるのは容易だろうし、
それをそう使うという思考に至るのも納得が行く。
何故そうしたかについては彼女本人に直接聞く事にして。
『――仲良くいられますように、ね。』
随分と可愛らしい祈り。祀った子とは別の子の祈りのようだ。
しかし己は縁結びの神ではないし、隣にいるのがあの子であれば己が手を出す程ではないのだろう。
あの子は何だかんだ、縁を大事にする子だと思うから。
とはいえ何であれ祈られたものは”仕事”だ。
せめて見守る事はしよう。
月が見守る事が出来る範囲であれば、の話だが。
ご案内:「転移荒野 月の湖」からセレネさんが去りました。
ご案内:「転移荒野 月の湖」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 勝手に祀られたものではあるが、祀られた以上ある程度の仕事はしよう。
同時にそれは枷となるけれど、まぁ然したるものではあるまい。
片手で諸々を操作しつつ、困ったような表情ながらもどことなく喜ばしい顔で暫く作業を続けることとしよう――。
ご案内:「転移荒野 月の湖」からセレネさんが去りました。