2023/07/20 のログ
ご案内:「転移荒野」にホロウさんが現れました。
ホロウ > 「現時刻18:00、不明区域への着陸を試みます」

陽が傾き始め本来なら黄昏に染まる頃合い。
謎の極彩色の帯のかかった空を赫耀を連れ飛翔する影があった。
影は荒野全域を円を描くように飛翔し空に、帯に赤き弧を描いていく。

「着地地点を遺跡と思われる地点に設定。着陸します」

そして、角度を僅かに上げたと思った直後、地上へと急速落下。
荒野のとある遺跡の近辺へと音や衝撃もなく着地した。

「これより、不明区域内の遺跡の観測を開始します。」

遺跡を見定め着地した少女はその飛行速度に対して傷やほこりなど一切なく、凪いだ荒野に立っていた。
瞳の中の十字が赤い警戒色を示し、小刻みに震えながら周囲を見渡す。

「”歪み”を観測…警戒態勢Δをとります」

そうつぶやいた少女は赤いトンファーのようなブレードを展開し遺跡へと歩み始めた。

ホロウ > 赤い十字をせわしなく動かしながら少女は一歩一歩歩みを進める。
視界に入るもの全てを見逃さない、なんなら視界外の存在も動きを見せれば気付けるほどの警戒を観測に込めていた。

(気配が多すぎていまいちどれが何なのか分かりませんが…)

しかし、少女はあまりにも多い気配に少々その観測力を持て余していた。
この遺跡には目視不能な存在からその存在を隠匿している可視存在まで数多の気配が巣くっていた。
どこから何が飛び出してくるか分からない、そんな状況で少女は一歩一歩歩みを進めていく。

「…一先ず、この遺跡がどういうものなのかから観測しましょう。この島について知れれば何か目的が見えるかもしれません」

自分の目的を再確認するために小さな声でつぶやく。
”誰かに聞こえて居て欲しい”という小さな願望を込めたその声は遮るものの少ない荒野であれば遠くまで届くかもしれない。
そんな希望的観測は周囲の気配へと溶けていく。

ホロウ > 「この区域は上垣…いえ、青垣山以上に異質です。明らかに不安定ですし観測結果も安定しません」

転移荒野と呼ばれるこの場所は少女にとって随分と異常な場所らしく、観測者として任務を果たしていた少女にとってはどこか魅力を感じる場所であるようだった。
せわしなく動く瞳の十字は焦りや警戒によるものではなく塵一つすら見逃さんとする深い好奇心によるものなのかもしれない。
様々な気配に囲まれ警戒体制をとっているにも関わらず、撤退を選択せず武装を選択している姿勢にもその意思は現れているだろうか。

「まずは…アレが気になるところです」

そうつぶやいた少女の瞳が見定めたものは、紙のようなものの束。
見慣れないミミズの走った束との距離は10m程度。
その距離を警戒を解かずに一歩一歩縮めていく。

ホロウ > 「私の見立て道理であれば何かの資料だと思うのですが…
…正解のようです」

拾い上げたその束は、クリップのようなものでとめられた束であった。
少女はそれを大切そうゆっくりとめくり、観測を開始する。

「素材は動物由来のもの…おそらく…人ですね。
となると文字は血…解読を試みます」

ぶつぶつと観測結果を口にする少女は一度ブレードの展開を中止し、束を捲っていく。
一枚一枚、隅から隅までじっくりと眺める。
周囲への警戒は怠っていないつもりでいるが、その警戒は多少薄まる…

ホロウ > 「解読…失敗
私の知る如何なる言語とも合致しません」

資料を最後まで捲れば、腕を落とし瞼を閉じて嘆息。
解読不能な言語自体はそこまで珍しくもない。
人外ーおそらく異世界人ーが多く住むと推測される区域では時折見かけられるものであり、今回もその類であることが推測される。

「ですが、これだけ資料があれば解読可能ではありますね…時間はかかりそうですが、試行する価値はあります」

これがどこからやってきたのか、それが判明すれば…

「これがもし異世界からやってきたものであれば…」

資料を見る為に落としていた視線を上げて
荒野を見渡せば

「この荒野は異世界とつながっている可能性があります」

どこか嬉しそうにそう零せば、束を脇に抱え込んだ。

ホロウ > 「観測を続行しましょう」

これ以外の資料がもし見つかれば、解読に使える資料が更に増える。
そうでなくとも、遺跡の残骸のどれもが観測対象、まだまだ得られる情報は多い。

少女は、何時間もかけて観測し続けた。
最終的に3つほどの資料の束を抱えて、転移荒野を去って行った。

ご案内:「転移荒野」からホロウさんが去りました。