2019/04/08 のログ
ご案内:「青垣山」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「よい、しょ…っと」
鬱蒼とした樹海
青垣山の自宅からも随分と離れた場所
その体重をまるで感じさせない、飛び回るような軽やかな動きに、長いポニーテールが追随するように靡かせる
「こんな場所散策するの、学園に入る前以来…?」
とん、と切り立った岩肌へ垂直に立ち、口元に手をあてて考える
重力に逆らった立ち方をするその身とは裏腹に、スクールバッグと髪は真下へと垂れる
「…ま、とりあえずあちこち走ってみなきゃね」
手掛かりは…あまりない
これまで無意識に避けていた場所も含めて、ローラー作戦だ
■伊都波 凛霞 >
「(一旦帰って制服くらい脱いでくれば良かったかな)」
どうせ山に自宅があるのだし、帰る前にちょっと散策…
なんてずぼらな考えが浮かんだせいだが、それなりに引っ掛けたりしないようには気を使う
──岩肌を蹴って、再び移動開始
この山には怪異も多い
住む者として慣れてはいるけれど、危険がないわけじゃない
こういった奥まった、人の気配が薄い場所は特に──強力なモノが隠れてることもある
ただし、今回はその怪異、妖かし…
そういったモノが、目的だ
道なき獣道を音もなく、羚羊のような軽やかさで駆けてゆく
■伊都波 凛霞 >
ふと足を止め、息を潜める
……怪異の気配、独特の…雰囲気が変わる、その領域へと入った感覚、けれど…
「(…小さい)」
目的の…鬼、ではない
子鬼か、それとも獣の妖かしか
身を包むようなものも感じない、霊的な格もそれほど高くない
…退魔の一族との関わりや行動が、こういった知識や感覚も与えてくれた、けれど…
「……ほんっと」
溜息をついて、ひゅうんッと風を切る音と共にその制服の袖をその場で大きく円を描くように、一振り
まるで軌跡を描くようにして、何かがキラキラと木漏れ日を照り返し──数瞬後…順を追うように空気が爆ぜる
けたたましいほどの音が鳴り響き……辺りからその気配は消えていった
「男の子探すのは、相変わらず苦手だなー……」
遠ざかっていった気配を一瞥して、もう一度溜息を吐いた
■伊都波 凛霞 >
妖かしや、怪異と呼ばれるものは、必ずしも人を害する存在とは限らない
悪戯好きの寂しがり屋、なんてものだって存在する
そういった類の、いわゆる小物はこれ一発で大体は一掃できる
巨大な騒音と、神前礼式済み黒色火薬の炸裂
侵入した人間がそれなりに戦力があり、更に怪異との戦いを知っていると思わせる…
これでなお寄ってくるようであれば、その怪異はそれこそ大怪異と言っていい程の大物だろう
そんな大怪異が現れたとしても、それはそれでやりようもあるものだし、
鬼なんてものは怪異の中でも強力かつ、好戦的な部類に入る
無論個人差はあろうものの、こういった牽制程度で怯んだり逃げてゆくのは、小粒も小粒である
■伊都波 凛霞 >
「──またお願いして、弾丸なんかも補充しておかないと」
鬼を探すこと、それはイコールであらゆる鬼との遭遇の可能性を示唆する
退魔の心得が在るとはいえど、本職ではない
かつての繋がりは途絶えてしまったけれど、伊都波の在り方の表に存在する退魔の一族…
本来は自分もそこで、彼の影として今を過ごしている筈だった
その為に憶えたことも、たくさんあったのだけど
「……外れ、かな」
逃げてゆくモノはあっても、近づいて来るモノはない
常世の島の中でも霊的存在が跋扈するこの山に置いても、大物というのは珍しい
二度、三度…見かけたことがあるくらいだろうか
交戦経験といえば、更に少なくなる
そもそも我が家に至ってはかつての繋がりもあり、霊的防御は顕著である
そういった周辺には、あまり怪異や妖かしといったものは近寄ってこない
寺院や仏閣も同様である
「ましてや、鬼なんかが───」
■伊都波 凛霞 >
「……待って」
"カタン"
………何かのピースが、嵌ったような気がする
寺院や仏閣には結界があり、そういったものは近寄らない
強力なそれらが侵入を可能にしたとしても、居心地が悪く、破壊して去るだろう
"山奥の廃寺に鬼が───近寄るな"
山奥にあったあのお家は、お寺で…、今はもう潰れてしまっている
偶然、たまたま…と言うには、最近はそればっかりが起こっている
それは、多分…本当は必然だということに目を背けて、たまたまだということにしていたからだろう
「……行かないと」
家に連絡…は後でいい
こんなに深い森からじゃどの道、電話も繋がらない
力をいっぱいにその脚へと込めて、駆け出した
ご案内:「青垣山」から伊都波 凛霞さんが去りました。