2020/07/27 のログ
■トゥルーバイツ構成員 >
「ぁ……」
見えない何かによって拳は逸れ……
人を殴ることに慣れない少女はそれだけで体勢を崩し、転ぶ。
その勢いで彼女の目の前にデバイスが落下した。
その動作ランプは、すでに消えていた。
「ぁ、あ…………!?」
デバイスは周囲に人がいれば起動しない。
少女は早々に立ち去っておくべきだった。
しかし、もう後悔は遅い。
■トゥルーバイツ構成員 >
「あ、ぁああ、ああ、あああああああああああああああああああああああああああ!?」
■トゥルーバイツ構成員 >
意味をなさない叫びが、山にこだました。
■松葉 雷覇 > 「……おや……。」
■松葉 雷覇 >
「長く話し込み過ぎましたかね?申し訳ない。」
木霊の中で、男は苦い笑みを浮かべて謝罪した。
■トゥルーバイツ構成員 >
『借りてよ! 私の『真理』を借りてよっ!』
――返して! 私の『真理』を返してよッ!
少女は泣き叫んだ。
■松葉 雷覇 >
「申し訳御座いません。『彼女』と私では、アプローチが違いますので……。」
丁寧に、断った。
男は泣き叫ぶ少女を、笑顔のまま見ている。
■トゥルーバイツ構成員 >
『あなたの、あなたが悪いわけじゃない! なにもしなくていいわ!』
――あなたの、あなたのせいでしょう!!! なにか、寄越しなさいよ!!
詰め寄る。
詰め寄ろうとする。
さっきの見えない力で押し戻されるかもしれない。
しかし、そんなことは少女の頭にはもう無かった。
■松葉 雷覇 > 「とは言われましても……。」
■松葉 雷覇 > 「『貴女が拒否したばかりではありませんか?』」
■松葉 雷覇 >
男は『止める気』はなかった。
但し、それ以外はあった。
全て、事実である。
"もしかして"、なんて話もあったかもしれない。
だが、最早何もかもがあり得ない。
此れが、『現実』だ。
詰め寄ろうとすれば、意図も容易く詰め寄れる。
男は困ったように、小首を傾げた。
■トゥルーバイツ構成員 >
『もう、駄目よ。 それ。 もう……』
――もう、いいわ。それでも。 もう……
『未完成のやつじゃないとね』
――完成品、とかを
なんでもよかった。
もう『真理』には頼れない。
いっそ死にたかった。
しかし、自分で『選んだ』ならともかくこの男のせいで『自殺』するのは我慢ができない。
手をさし出した。
■松葉 雷覇 >
「…………。」
男は再び、耳に器材を装着した。
笑顔は、絶やさない。
「……そうですね。確かに、私がもう少し早く結論を出していれば、貴女の『旅路』は達成された。」
自分にもいくらか責任はある。
そして男は、差し伸べた手を拒否しない。
そう、『優しさ』は本物である。
少女の手を、優しくとった。
手袋に包まれた、人の温もり。
「ええ、行きましょうか。改めて、お名前を伺っても?」
少女の名を訪ねる。
──────しかし、理外のナニカの『優しさ』は果たして、人間と同一なのだろうか?
■トゥルーバイツ構成員 >
「……」
少女は黙って紙を差し出した。
――坂島 真実
そこには印刷された文字でそう書かれていた。
■松葉 雷覇 >
「坂島さん。成る程。」
実に、因果な名前だ。
「では、行きましょうか坂島さん。」
「────貴女の『世界』を取り戻しに。」
男はゆったりと、少女の手を引いて歩き始めたのだった。
■トゥルーバイツ構成員 >
引かれるままに歩き出した少女は
ひどくひどく
明るい顔をしていた。
■松葉 雷覇 > 少女の"絶望"など、解すはずもなく。此れは、斯くも『不運』な物語。自らの世界を変えるために、『真理』に挑もうとした少女は、皮肉にも、自らが嫌った科学者に、檻に戻された。
……明けない夜はないと言うが……。
■松葉 雷覇 > ──────沼の底に、朝日なんて届かない。
ご案内:「青垣山」から松葉 雷覇さんが去りました。
■トゥルーバイツ構成員 >
『…活…』
――……す
ご案内:「青垣山」からトゥルーバイツ構成員さんが去りました。