2020/07/27 のログ
トゥルーバイツ構成員 >  
「ぁ……」

見えない何かによって拳は逸れ……
人を殴ることに慣れない少女はそれだけで体勢を崩し、転ぶ。

その勢いで彼女の目の前にデバイスが落下した。
その動作ランプは、すでに消えていた。

「ぁ、あ…………!?」

デバイスは周囲に人がいれば起動しない。
少女は早々に立ち去っておくべきだった。

しかし、もう後悔は遅い。

トゥルーバイツ構成員 >  
「あ、ぁああ、ああ、あああああああああああああああああああああああああああ!?」

トゥルーバイツ構成員 >  
意味をなさない叫びが、山にこだました。

松葉 雷覇 > 「……おや……。」
松葉 雷覇 >  
「長く話し込み過ぎましたかね?申し訳ない。」

木霊の中で、男は苦い笑みを浮かべて謝罪した。

トゥルーバイツ構成員 >  
『借りてよ! 私の『真理』を借りてよっ!』
――返して! 私の『真理』を返してよッ!

少女は泣き叫んだ。

松葉 雷覇 >  
「申し訳御座いません。『彼女』と私では、アプローチが違いますので……。」

丁寧に、断った。
男は泣き叫ぶ少女を、笑顔のまま見ている。

トゥルーバイツ構成員 >  
『あなたの、あなたが悪いわけじゃない! なにもしなくていいわ!』
――あなたの、あなたのせいでしょう!!! なにか、寄越しなさいよ!!

詰め寄る。
詰め寄ろうとする。
さっきの見えない力で押し戻されるかもしれない。
しかし、そんなことは少女の頭にはもう無かった。

松葉 雷覇 > 「とは言われましても……。」
松葉 雷覇 > 「『貴女が拒否したばかりではありませんか?』」
松葉 雷覇 >  
男は『止める気』はなかった。
但し、それ以外はあった。
全て、事実である。
"もしかして"、なんて話もあったかもしれない。


だが、最早何もかもがあり得ない。
此れが、『現実』だ。


詰め寄ろうとすれば、意図も容易く詰め寄れる。
男は困ったように、小首を傾げた。

トゥルーバイツ構成員 >  
『もう、駄目よ。 それ。 もう……』
――もう、いいわ。それでも。 もう……

『未完成のやつじゃないとね』
――完成品、とかを

なんでもよかった。
もう『真理』には頼れない。

いっそ死にたかった。
しかし、自分で『選んだ』ならともかくこの男のせいで『自殺』するのは我慢ができない。

手をさし出した。

松葉 雷覇 >  
「…………。」

男は再び、耳に器材を装着した。
笑顔は、絶やさない。

「……そうですね。確かに、私がもう少し早く結論を出していれば、貴女の『旅路』は達成された。」

自分にもいくらか責任はある。
そして男は、差し伸べた手を拒否しない。
そう、『優しさ』は本物である。
少女の手を、優しくとった。
手袋に包まれた、人の温もり。

「ええ、行きましょうか。改めて、お名前を伺っても?」

少女の名を訪ねる。


──────しかし、理外のナニカの『優しさ』は果たして、人間と同一なのだろうか?

トゥルーバイツ構成員 >  
「……」

少女は黙って紙を差し出した。

――坂島 真実

そこには印刷された文字でそう書かれていた。

松葉 雷覇 >  
「坂島さん。成る程。」

実に、因果な名前だ。

「では、行きましょうか坂島さん。」

「────貴女の『世界』を取り戻しに。」

男はゆったりと、少女の手を引いて歩き始めたのだった。

トゥルーバイツ構成員 >  
引かれるままに歩き出した少女は

ひどくひどく

明るい顔をしていた。

松葉 雷覇 > 少女の"絶望"など、解すはずもなく。此れは、斯くも『不運』な物語。自らの世界を変えるために、『真理』に挑もうとした少女は、皮肉にも、自らが嫌った科学者に、檻に戻された。

……明けない夜はないと言うが……。

松葉 雷覇 > ──────沼の底に、朝日なんて届かない。
ご案内:「青垣山」から松葉 雷覇さんが去りました。
トゥルーバイツ構成員 >  
『…活…』
――……す

ご案内:「青垣山」からトゥルーバイツ構成員さんが去りました。