2021/01/26 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
思索に耽りたい時、此の場所を訪れるのは意外と好きだった。
先客がいることは滅多に無いし、場所が場所だからとても静か。
屋外である、という難点を除けば、此処でぼんやりと思考に耽るのは、存外悪くないもの。
無神論者の己が、神を喪った地がお気に入りというのも中々皮肉が効いている様な気もするし。
「……異能学会へのコンタクト。特務広報部を襲撃する者達の捜査。隊員達の訓練メニューの増設。
やるべき事が多いのは、良い事なのか悪い事なのか」
咥えた煙草から溜息と一緒に紫煙を吐き出す。
疲れている訳では無いが、もう少し効率良く仕事に当たれないか、と最近悩みは尽きない。
「…まあ、特務広報部は他のメンバーが良くやってくれている。
私が現場に出ずとも、或る程度の戦果を出せる様になったことは上々だろう。訓練についても、鈴音は良くやってくれているし」
「であれば、私は私にしか出来る事をやるしかあるまいな。
今の儘では駄目だ。もう少し…もう少し、上手くやれる筈、なんだがな…」
それが出来ないから、未だに己は子供なのだろうか。
こういう時、相談する相手が欲しいとも思わなくも無いのだが…内容が内容だけに、相談相手にはとんと恵まれない。
ご案内:「青垣山 廃神社」に【虚無】さんが現れました。
■【虚無】 >
結論から言うならば。あのビルに元からいた組織は外れだった。
別に風紀委員襲撃の犯人とのつながりも見つからず、すべてが振り出しに戻ってしまっていた。
色々と考えたい事がある。スラムの中で行うというのも考えたが、姿を見られるのもあまりいいことではない。
だから誰もいない場所へ。そんな考えで思いついたのがここだった。
だが、望まぬ出会いか望んだ出会いか。そこには先客がいた。
「……奇妙な場所で、奇妙な相手と出会うな」
彼と出会うならば血と硝煙の舞う戦場だと思っていた。だがどうだろうか。出会ったのはさびれた神社だ。
ポケットから手を出すつもりもない。隙しかない姿。戦闘する意思など欠片もない。そんなオーラを全身から見せつけている。
「流石にここで騒ぐつもりはない……もし気になるのなら他所を当たるが?」
こちらは気にしないがと彼に確認を取る。立場として見られて不味いのは向こうだろうから。
■神代理央 >
投げかけられた声に、ゆっくりと視線を向ける。
思案に耽る己を現世に呼び起こしたのは…意外といえば、意外な相手だった。
「…それは此方の台詞だ、とでも言っておこうか。よもや、この様な場所で出会うとは思いもしなかったが」
黒フードに、仮面の男。この男とは、数度相まみえている。
池垣あくるとの任務の際は、痛み分けに近い結果に終わってしまったが――。
「…同感だ。私も、お気に入りの場所を荒らす程野暮ではない。
此処で互いにぶつかれば、景色も相応に変化するだろう。
それは、好ましくない」
「しかし、戦闘に至らぬからといって、互いに敵対する者同士である事には違いない。私がここから立ち去らぬとして、貴様は一体どうするつもりなのかね?」
ぷかり、と甘ったるい紫煙を吐き出しながら。
尊大な声色と態度で彼に尋ねるのだろうか。
■【虚無】 >
「ああ、まず間違いなくどちらかが死ぬだろうし。こんな場所一瞬で廃墟と化すだろうな」
お互いに邪魔する相手もいない。邪魔する物体もない。全力同士でぶつかり合えばまず間違いなくどちらかが死に地形は変わる。
お互いにそんなこと望んでなどいないということだろう。
どうするつもりだと言われればフッと笑い。適当な石に腰を下ろす。
「そうだな、お互いに一時組織を忘れ語り合うというのはどうだ鉄火の支配者。意味もなくここに来たというのもお前の場合考えにくい……俺も、だがな。だからお互いに相談会だ」
色々と思う所がある。そうではないかと目線で彼に訴えかけた後に。目線を下へ。そして適当な小石を蹴り飛ばす。
それから少し笑うような笑みを見せ。
「まぁ、わかりやすく言えば……お互いに少しだけ裏切り者になろうという相談だ。お前は俺の敵だ……だからこそ、下手な協力者より余程信頼できる人物だと思っている。人間性としてもな」
■神代理央 >
「……相談会?」
ぱちくり、と不思議そうに瞳を瞬かせる。
眼前の男からの提案に、一体何を言っているのかと言いたげな視線を向けるのだろうか。
その体格差から、少し離れていても彼を見上げる様な視線になってしまうのだが。
「……ふむ…。つまり、互いの懸案事項を共有し、それにお互い対処出来ないかどうかを検討したい、という事か。
そんな提案が貴様から出て来るという事は。風紀委員の私に、そんな提案をするということは。
何か困り事でもあるのかね、仮面の男。私の"敵"たるお前に」
男の言葉に暫くの思案顔。
やがて、自分が納得のいく結論に至ったのか、愉快そうに笑い返しながら首を傾げるのだろう。
尤も、彼の提案に拒絶する様な様子は見られない。話したければ話してみろ、と言わんばかりの傲慢な態度は、彼にとっても落第街スラムで見慣れたものなのだろうか。
彼の言う通り、互いを良く知る敵は時に無能な味方よりも心強いという。
お互い味方が無能だとは思っていないにしろ――或る程度互いに理解し合えるものがある事は、少年も承知している様な素振り。