2021/03/28 のログ
ご案内:「青垣山」に火光雷鳥さんが現れました。
■火光雷鳥 > 「おい、『また』かよこんちくしょう!!しかも山ん中じゃねーかよおぉぉぉぉ!!!!」
■火光雷鳥 > と、最早ちょっと芸風になりつつある安定の叫び突っ込みをしつつ…うん、またなんだ。
(本当に何処の山ん中だよ!?また俺の知らないヤバい場所に飛ばされたんじゃねーだろうな!?
いや、つーか今までのパターンからしてそれしか考えられん…!!)
私服姿でのんびり散歩していて、気が付いたら何処かの山に迷い込んでいた――迷子や方向音痴ってレベルじゃねぇ。
まぁ、原因は流石に何となく分かっている――この島に来て何か判明した自分の変な体質のせいだ。
「くっそ、ただでさえ土地勘が学生街近辺しかねーのに、これじゃ現在地すらわっかんねーよ!!」
と、この場で突っ立っていてもしょうがないので一先ず歩き出しつつぼやく。
本当、この体質はどうにかならないんだろうか?制御は出来ないしやべー場所狙い撃ちで飛ばされるし。
■火光雷鳥 > 「えーー…転移荒野に落第街、裏常世渋谷に禁書庫…で、ここで5箇所目になんのか?
…いやいや、『凡人』の俺じゃ命が幾つあってもたりねーだろ…むしろ無事に下山出来るのかこれ。」
登山経験は殆ど…というか全然無い。そもそも登山用の装備なんて持っていない。
そりゃ、ちょっと近所のコンビニ寄りながら散歩しよう!と、外出して数分でこんな山の中だ。
頭の中にやばそうな奴が居るわ、異界接続者とかいう体質?のせいで変な場所にしょっちゅう不意打ちで飛ばされるわ。
平凡な学生生活が理想なのにどんどん遠ざかっている気がしないでもない!
「取り敢えず下に向かっていきゃあ下山できる…のか?俺が飛ばされた時点で普通の山じゃ無さそうなんだが。
あと、確か川とか目印にして下っていくといいんだっけ?……いや、暗くてわっかんねーわ。でも水の音は聞こえねーな…。」
うろ覚えの知識なのでアテにならんが。ともあれそこそこな斜面を足元に気をつけながら下っていく。
■火光雷鳥 > (流石に、毎度毎度知人友人が偶然居合わせたり通り掛かって助けてくれる!なんて事にはならんだろうし。
と、なると自力でどうにかするしかねーんだが…しかし、本当何処の山なんだこれ。)
実はちょっと突発一方通行転移に慣れつつあるのか、不安そうながら意外と余裕そうでもある。
まぁ、この少年のノリのせいかもしれない…そして足を踏み外した。
「――――え?」
気が付いたらちょっとした断崖ちっくな場所に出ていたようで。だが、森を抜けた様子は無かった…んだけども。
(よーし、冷静になれよ俺!!このままだと落下して俺は死――既に落ちてるじゃん!!!」
「ちょっ!?どういう事――…ああああああああああ!?!?」
あ、スカイダイビングとかってこんな感じなのかな、と変な所で冷静に考えた。
いや、これ新手の現実逃避じゃねぇかな、と自分自身に突っ込みながら落下する。
■火光雷鳥 > その時、俺の脳内に過ぎったのは――…
優しく微笑み掛ける母さんの姿。
この島で知り合ったまだ多くは無いが知人友人達の姿。
――そして、ざまぁみろ!!と、指差して笑っているクソ親父の……
■火光雷鳥 > 「ふっざけんなあああああああ!!!!走馬灯(仮)で笑ってんじゃねえあのクッソ親父めがああああああ!!!!!!」
■??? > 『――小僧、お前実は結構余裕があるのではないか?』
と、脳内の『奴』が少年に語り掛ける。
何時もは五月蝿そうにしつつも黙っているだけだが。
流石に死なれると彼としても都合が悪いのだろう。
いざとなれば、自身の力を少し解放するか、と思えばこの叫びようだ。
(――単なる馬鹿なのか、意外と大物なのか分からん)
■火光雷鳥 > 「余裕なんてある訳ねぇだろ!!つーか、もう地面間近じゃん!?
おい、ちょっとお前!人の頭ん中に間借りしてるんだから力貸しやがれこんちくしょう!!」
本人は実際の所、余裕は欠片も無いのだが…頭の中の『奴』に怒鳴り返しながら下を見る。うわぁ、恋しい地面だぁ
……嬉しくねぇわ。
正直、自身の発火能力程度じゃ打開しようがないし、そもそも制御用のグローブを持っていない。
(くそ、イチかバチかでちょっとやってみるか!?)
何を?ただでさえ制御に難がある異能を『意図的に暴走させる』のだ。そのやり方だけは何故かなんとなーく分かる。
かといって、下手したら地面に叩き付けられないでも死ぬ事になるが、どっちにしろ詰む手前じゃねぇかこれ!
■??? > 『フン、世話が焼ける――右腕を地面に向けて突き出せ。それから後は集中しろ。
…しくじれば死ぬぞ。この程度で死ぬ『凡人』ならそれまでだ。』
嘲笑うかのように、常日頃から少年が口にしているそのフレーズを口にして。
そうしながら、『彼』は『天災』が如きその力の極一部を――少年の右腕にぶちこんだ。
■火光雷鳥 > 「やってやらああああああ!!!凡人舐めんなよチクショウが!!
あと、お前のその上から目線はいい加減に何とかしろっつーーーの!!!」
言いながら間近に迫る地面に向けて右手を突き出す。後は集中…え、この状況で集中!?
「ちょっと待った!お前、この状況で集中とか俺がそんな超人メンタル持ってる訳ね――」
言い終わる前に、少年の右腕が肩口から変化する。燃えるような赤い色彩。
――炎のような、血の様な。
皮膚はいつの間にか赤鱗へと変わり、手指は巨大で鋭い鉤爪のように。
「―――――はい?」
え?何?俺の右腕がやべー事になってんだけど。まるで、そう、ファンタジーのドラゴンみたいな――
次の瞬間、勝手にその右腕から膨大なエネルギーが…そう、真下の地面へと向けて放射される。
次の瞬間、凄まじい轟音と共に地面を抉るほどの大爆発を引き起こし――
■火光雷鳥 > 「先に言えよ馬鹿やろおおおおおおおおおお!!!!!!」
■火光雷鳥 > そして、その爆風と圧により少年の体が跳ね上げられる。
正直ちょっとちびりそう――いや、ちびったかもしれない、ちくしょう。
右腕が赤いドラゴンのそれと化したまま、少年の体はそのまま放物線を描くように飛んでいき。
「えっ!?ちょっ!?」
『勝手に動いた右腕が』落下した先にあった大木にその鉤爪を強引に減り込ませる!
衝撃に少年の脳みそがシェイクを起こすが、それでも何とか意識は保ちつつ――
「ぐぇ!?…………あ、生きてる…?」
そのまま、力なくだらーん、と右腕を大木に突き刺したまま宙ぶらりん。
おかしいな――ちょっと散歩に出ただけなのに、何で俺はこんなハードな映画アクションみたいな事をしてんだろうか。
■火光雷鳥 > 「……まぁ、生きてるだけマシだよな……あと、俺の右腕どうなってんのこれ…。」
改めて大木に突き刺さった右腕を見る。どう見ても人間サイズのドラゴンぽいんだけど。
発火能力や異界接続者のそれと全く関連性が無さそうなそれ。
いや、あったか――例の頭の中の正体不明の『奴』。
先程の短いやり取りからして、あいつがこちらの右腕に何かしたのだろうと馬鹿でも何となく分かった。
(うわーー…腕がドラゴンぽくなるとか、我ながらちょっと引くわ…。)
と、また右腕が勝手に動いて大木を一瞬で破砕――当然、少年は落下するが、高さが数メートル程度だったので、足が痛いだけで済んだ。
「ぐぉっ!?…くそ、勝手に動くとかマジでどうなってんだよ!おい!俺の頭の中の不審者!説明!!」
……
………
…………
「……あ、あの野郎逃げたな!?」
そもそも逃げるとかそういうものではないのだろうが、思わずそう呟いて。
そもそも、この右腕――どうやって戻せばいいんですかね?と、俺は『奴』に言いたい。
■火光雷鳥 > 「…あと、地味に地形破壊しちゃってるんだが、これ誰かの土地だったら俺はマズいのでは?」
やったのは俺であって俺じゃないんだけど。いや、まぁ俺がやらかした事になるのか。
右腕を軽くぶんぶんと振ってみる。どうやら自分の意志でも動かせるようだ。
と、いうか元の腕とほぼ同じ感覚で動かせるのが何となく気味が悪い。
「くっそ、下山しなきゃならんしこの腕どうにかしないといかんし、凡人の脳内容量限界超えてるっつーの!」
とはいえ、ふと視線を向ければ視界が開けていた。どうやら山の麓?まで先程の爆風ですっ飛んでいたらしい。
――いや、よく生きてたな俺。悪運が強いのか?いや、むしろ不運な気が。
■火光雷鳥 > 「取り敢えず降りよう…つーか、本当にここ何処なんだろうなぁ。腕もアレな事になるし…。」
もう一度右腕を見る。血の様に炎のように赤い鱗に覆われた異形の腕。
ただの人間の自分にこんな腕が変化するような力は無い筈なので、矢張り頭の中の『奴』の力なんだろう。
(――そりゃ結果的に命は助かったけどさぁ。…こういうやばそうな力とかは別にいらんっつーのに)
自分やその周囲を最低限守れるだけの力があればそれでいいではないか。
強すぎる力なんて扱いに困るだけだし危険だし。今まさに俺の右腕がそうだ。
もう一度、軽くぶんぶんと竜腕を振る。いや、しかしこの爪すげーなぁ、とか男の子らしい感想を零しつつ。
「取り敢えず行くか――このまま、ここに居てもしょうがねーし。」
――結果的に、何とかかんとか色々あったが無事に帰る事は出来たようで。
ちなみに、右腕は街に戻る頃には何時の間にか元の人間の腕に戻っていたとか。
ご案内:「青垣山」から火光雷鳥さんが去りました。