2021/05/24 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
息抜きに訪れるには、少々不便ではあるけれど。
何だかんだ、此の場所が嫌いではなかった。
朽ち果てた神社。祀ろう神を喪った神殿。
かつて此処にあった人の営みの残り香。
そんな雰囲気は、決して嫌いではなかった。

「まあ、感傷に耽る様な年齢でも無いが…」

ぷかり、と吐き出した甘ったるい紫煙。
何の喧騒も灯りも無い場所に、蛍の様に煙草の焔が瞬く。
ぼんやりと考え事をするにも、此の場所は相応しい。

神代理央 >  
今のところ、風紀委員会はその役割を十全に果たしているといっても良いだろう。
人手不足は相変わらずだが、現在の人数で適切に島の治安を維持していると言っても良い。
公安委員会とは蜜月とは言い難いが…まあ、それは仕方のないことだ。

そもそも、体制が揺らぐほど治安が悪化するという事態は、歴史的にみても大きく二つの状況からしかない。
強大な外圧に屈する時と、統治機構への絶大な不満だ。
両者とも、戦争や紛争。大規模な不況をイメージするのが分かりやすいだろう。

となると。そもそも常世学園においては、風紀・公安の両委員会で対処不能になる程に治安が悪化する可能性がそもそも低い。
此の場合、常世学園の統治機構とは即ち生徒会そのものであり、学園に所属する生徒の多くは常世学園のシステムに不満を抱いている訳でも無い。

神代理央 >  
『表』の世界に溶け込めない者達が形成する落第街やスラムは、学園の社会構成においてはそもそも少数派である。
彼等が如何に不満を持っていようとも、その不満が学園のシステムに何かしらの影響を及ぼす事は無い。

従って、特に武力組織としての一面が強い風紀委員会が憂慮すべきなのは強大な武力組織による大規模抗争ではあるのだが。
そういった敵対組織が無ければ、組織としての縮小化を招いてしまう恐れもある。
完成された組織であり、社会転覆の不安の無い島だからこそ、体制側の武力組織である風紀委員会は、極論常に敵を必要としている。

平和な儘であれば、特段自分達の様な過剰な武力を翳すメンバーは必要無いのだし。

神代理央 >  
「……とはいえ、その為に犯罪者を放置していては本末転倒ではあるがな」

…なんて、取り留めのない思考を紫煙と共に吐き出した。
平和を謳歌する今の常世学園であれば、父親の財力やコネクションを使って風紀委員会でもそれなりの地位につけるかもしれない。
『強大な敵』が育ちやすいように、特務広報部に更なる力を与える事も出来るかもしれない。

しかし――それは何だか、己の矜持に反する事だ。
戦う相手を求める為に、その種を育てようとするなど、それこそ本末転倒だ。
ぷかり、ぷかり、と。甘ったるい紫煙が朽ちた境内に漂う中。
闘争に明け暮れていた少年は、微睡む様な思考に耽るばかり。

神代理央 >  
そんな紫煙と思考を暫く棚引かせた後。
少年は此の場から立ち去るのだろう。

ご案内:「青垣山 廃神社」から神代理央さんが去りました。