2021/10/10 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」にシャンティ・シンさんが現れました。
シャンティ・シン > 「幽霊……お化け……精霊……妖異……と、すれ、ば、ぁ……ふふ……この、辺り……から……種を、蒔く、のが……一番、か、しら……ね、ぇ……? 廃れ、て……しまった、神域……あ、はぁ……」


くすくす、と女は笑う。不可思議な幽霊騒ぎ。未だ正体のわからない、話の元。そもそも都市伝説なるものは、そんなものなのでただの益体のない駄法螺であることは十分にありえる。けれど――彼女にとって、それはどちらであっても構わない。それならそれで、『本物』を解き放つだけなのだから。


「そう、ねぇ……せっかく、だし……羅刹ちゃん、にも……お裾、わけ……で、も……しよう、か、しらぁ……?」


ただただ、種を蒔くだけではやや面白みにかける。悪意の扱いということなら、自分の知り合いの中で一番おもしろく扱ってくれそうな人物を思い浮かべ――


「あ、らぁ……?」


気づく。どうやら、取り込み中らしい。その相手も……ああ、これはこの間の……


「ふふ……捕、まっちゃ……った、の、ねぇ……? あぁ、あま、ぁい……子。ふふ……どう、なるか……しら、ねぇ……あは」


くすくすと笑い……手近にあった大きな石に腰を下ろす。お遊びよりも、面白そうかもしれない。


「……刺激……足り、なかった……もの、ぉ……他、に……なに、も……なけ、れば……しば、らく……見学、か、しらぁ……?」

シャンティ・シン > 「……そぅ、ね、ぇ……とは、いえ……前も、でき、なかった、し、ぃ……」


人差し指を唇に当て……手にした奇妙な表紙の本を膝の上に。そして、虚空からまた一冊の本を『取り出す』。



「まつろ、わぬ……もの……童子……精霊……荒御魂……和御魂……ふふ……この、世……なら、ざる……もの、たち……よ…… 集え、集え……朽ち、たる……神域……荒れた、る……地…… 幽世、と……現世、の……隙間…… 常世、の……島、へと……」


謳うように語るように、澄んだ声が小さく響く。

ご案内:「青垣山 廃神社」に五百森 伽怜さんが現れました。
五百森 伽怜 >  
怪事件。常世にはそういったものが毎日起きている。
そういったものを追いかけ、記事にするのが新聞同好会の務めだ。

さて、様々なネタが蔓延っている昨今ではあるが。
その中でも何か大きなネタを――と。
探し回っている内に辿り着いたのがこの廃神社。
見れば、何やら怪しげな気配が――。

(な、何か面白そうなネタ……なんスかね)

見たことのない褐色の女性が、何事か呟いている。
手にしているのは本。そして、全身を突き刺すような『嫌な』感じ。

さっさと全力ダッシュするのが賢いのだろうとも思いながら、ポラロイドカメラを構えつつ、シャッターチャンスを待つ。

何も、本当に考えなしのバカという訳ではない。
概念擬態《カモフラージュ》。
精神的動揺や物理的衝撃が無い限りは、音や臭いなどの気配を消すことができる魔術。それを行使しながら、密かにチャンスを待っている。

ご案内:「青垣山 廃神社」から五百森 伽怜さんが去りました。
ご案内:「青垣山 廃神社」に五百森 伽怜さんが現れました。
シャンティ・シン > 「……」


偽装、擬態。常なる感覚を持つものであれば容易に騙せるであろう超常。しかし、それは『事実』として其処に有る限り『この世ならざるモノ』の記述からは逃れられない。といっても、あくまで認識が可能なだけではあるが。


「……隠れ……忍び……現世、を……覗く、だけ、の……境目、の子……おい、で……おいで……こちら、へ、おい、で……ふふ。ヨモツヘグイ、は……ない、けれ、どぉ……こちら、の……水、も……きっと、あまい、わ、よぉ……? そした、ら……あとは、あなた、の……思う、まま……ふふ。お好き、に……どう、ぞ?」


謳うような蕩けるような気怠い声が、続きのように響く。それは、何に呼びかけたものか。ぞくりとした『嫌な』感じと爽やかな『良い』感じが漂ってくる。

五百森 伽怜 >  
「っ……!?」

思わず、声にならない声をあげてしまう。
同時に、魔術による姿の隠蔽は崩れ去り。
現れたのは、鹿撃ち帽を被った少女。

常ならば、全力で逃げ出しても良い筈だ。
どのような手段を用いてか知る由もないが、概念擬態を見破り、こちらへ声をかけてくる存在に対して、背を向けずにどうしようというのか。

(逃げなきゃ……マズいッスよね)

それは新聞同好会に属する者としての志か、或いは『嫌な』感じに混ざってきた『良い』何かに誘われたか。それとも双方の影響か。
いずれにせよ、その少女はゆっくりと木の裏から出てきたのだった。
明確には言い表せぬが、決定的に自分とは異なる未知の存在に対して、少女は少しばかり身体を震わせる。特大ネタへの期待と、拭いきれない恐怖からだ。
それを武者震いだ、と決め込んで少女は口を開く。

「……じゃ、邪魔したッスね。どうしてあたしのこと分かったんスか」

他にも聞きたいことは色々あった。境目の子という呼び方、そして何より目の前で行われていたことについて。
それでも、彼女が震えた口から出せるのは、それが精一杯だった。

シャンティ・シン > 「あ、らぁ……誰、か……いた、の……か、しら、ぁ……?」


女は、怯えながらも出てきた少女の方に顔を向けるでもなく何処か遠くを見るような変わらぬ姿勢のまま――くすくすと、笑う。まるで、少女がいたことに気が付かなかった、とでもいいたげな言葉だったが真意は……


「わか……った? ふふ……なに、かの……勘違、い……じゃ、ない……か、しら、ぁ……? 私、は……ここ、で……すこ、ぉし……歌って……た、だけ……だ、し?」


くすくすと、変わらぬ笑いを浮かべたまま言葉を紡ぎ続ける。



「ふふ……で、も……そう、ねぇ……つま、りぃ……あな、た……隠、れて……なに、か……して、た……と、いうこ、と……か、しらぁ……? ん……カメラ……もって、る……もの、ねぇ…… で、もぉ……風景、写真、という……感じ、じゃ……ない、わ、よ、ねぇ……?」


面白そうに女は、推理したような言葉を紡ぎ続けていく。