2021/11/15 のログ
ご案内:「青垣山」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > 『転移荒野』と呼ばれているらしい場所から、とある村に世話になって数日。
住人達に礼を述べてからその区域を抜けたのはいい…いいのだが。
(……で、何処なんだ?ここは。)
南側から迂回して異邦人街から落第街へと戻るつもりだったのだが、まさか山があるとは。
そもそも、落第街やスラム以外の表の世界を殆ど知らない男だから、この山がどういう場所かも知らない。
(……山道を歩くの初めてだが、中々堪えるな…。)
既に日の帳は落ちていて視界も最悪だ。夜目は利く方なので、それでも進めてはいる。
とはいえ、現在地――つまり山のどの辺りに居るかなんてさっぱり分からない。
(…俺みたいなのはさっさと落第街に戻るべきなんだが…。)
実際は道のりがまだまだ遠い事をこの青年は知らない。
時々木の幹に背中を預けるようにして休憩を挟みつつ歩くが。
同じような景色ばかりでこれは完全に迷ったな…と、溜息もつい零れ落ちて。
■狭間在処 > …とはいえ、肉体的な疲労は歩き慣れない、というか初体験の山道の割には意外と少ない。
それに、後遺症が殆ど出ていない…つまり、何時もより体の調子が良い。
(…妙な感じもするし、ただの山ではない…のだろうな。)
出来損ないの失敗作とはいえ、一応は怪異の端くれとして――感じ取れるものがあるのだろう。
小休止をしながら、周囲を探る――人間の気配は無いが、『別の気配』は先ほどから時々感じる事がある。
それが何なのか――そこまでは青年には分からないけれど。
一息、再び山道を歩き出す――相変わらず視界は最悪だが、まだ歩けるだけマシか。
(…転移や飛行の魔術なり異能があれば今頃は戻れていたんだろうけど…まぁ、無いもの強請りだな。)
■狭間在処 > この山に漂う妙な気配というか空気も気になるが、しかしこれは落第街に戻れるのは何時になるやら。
人間ベースの怪異ではあるが、空腹などは感じ難いのでその点で今すぐ動けなくなる事は無い。
だが、体の調子が幾ら普段より良いとはいえ、疲労は確実に蓄積されていく。
先ほどから歩き続けてはいるが、根拠も何も無い…山道の歩き方など知らないからだ。
(まさか、こんな形で表側を彷徨う羽目になるとは思わなかったな…。)
裏の人間は裏の人間らしく、あの街から自発的に出るつもりはなかった。
今回こちら側に居るのも、ハプニングみたいなものだ。
――しかし、矢張り気になる。先ほどからの気配…見られている?何に?
(…何処か『黄泉の穴』に少し似たものを感じるが――もしかして山そのものが異界なのか?)
■狭間在処 > まぁ、転移荒野といいこの山といい…表側にしては妙な場所ばかり巡っている気はするけれど。
だからといって、学生街などを歩くかと言われれば否だ。
(……羨ましくない…と、言えば嘘になるが)
裏から表に出る者も少なくないが――誰も彼もがそうなれる訳でもない。
少なくとも、自分の様な『欠陥品』が表で暮らすなど無理な話だろう。
「―――…。」
眩し過ぎるから。そんな呟きはしかし声として発せられる事は無い。
…さて、大分歩いたような気はするが未だに終わりが見えない。
そもそも、登っていた筈が何時の間にか下っている気がする。
■狭間在処 > そうして、暫く山を彷徨った挙句――結局は野宿をする羽目になるのだった。
さて、落第街に戻るまでの道のりは遠そうだ――
ご案内:「青垣山」から狭間在処さんが去りました。