2022/07/19 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 人の気配のない廃神社。
社の屋根にふわり、降りたのは淡い蒼に輝く大きな双翼を背に生やした月色。
『――少し、場所を借りるわね。』
もうここには居ない存在に告げるかの様、紡ぐ言葉は使い慣れた言語。
翼を隠し、小さく息を吐くと屋根の上から麓を眺める。
大時計塔から見る眺めも好きだが、此処は此処で別の視点から見下ろせる。
片耳につけているチェーンイヤーカフに付加した氷属性のお陰で暑い夜も快適だ。
特に何をしに来た訳ではないが、今暫くは一人の時間を過ごすとしよう。
ご案内:「青垣山 廃神社」に『黒き神』さんが現れました。
■『黒き神』 >
――夏の夜、人々が眠れぬ夜にこそ、存在に容を得るモノがある。
「――ほう、月の娘か。
斯様な場所にも訪れるのだな」
ぼんやりと、まるで月色の光に照らし出されるように、黒い影が夜の色に浮かび上がる。
黒いローブに包まれたその体躯は、吹けば飛びそうなほど小さいが。
その白い右手が引きずる紅い大剣が、異様な気配を醸し出している。
――いや。
「人気の少ない場所へ逃れてゆくのは、怪異であれ、神霊であれ、変わらぬものか」
黒い霧を伴って、ローブの下で足が動く。
廃神社を包んでいた夜の闇が、一斉に蠢いたように感じるだろう。
しかし、その気配は単一――そして、濃い神性が闇に溶け込んでいる。
月色が届かない場所には、どこまでも、黒い霧が広がっていた。
■セレネ > 『――あら』
蒼が一つ、二つ、瞬いた。
そうして細められる蒼に写るのは、小さな体躯。それに、片手に持つ紅い大剣。
「貴方……”あの子”の。」
人の子が見れば何らかの反応は示しそうな気配ではあるものの、
然程動揺する事もなく納得するように言語を変えて投げかける。
「こうしてお話するのは初めましてかしら。」
軽く肩を竦めながら小さな存在――神族に、挨拶を一つ。
「誰だって一人になりたい事もあるでしょう?」
物思いに耽りたい時だとか、若しくはただのリフレッシュだとか。
己は比較的人の子に近いのもあってか、行動原理は割と曖昧なのだけど。
■『黒き神』 >
言語を合わせた月の蒼に、顔を上げる。
ローブの下から浮かび上がるのは、白い顔――そして、右目から浮かび上がる黒い炎。
「ほう――やはり気づいていたか」
ふわり、と。
音もなく地を蹴り、屋根の上に立ち、わずかに低い場所で膝をつく。
「返礼しよう、月の娘。
吾はすでに名も無い残滓――吾が使徒には、『黒き神』と呼ばれている」
膝をつき、フードを取ると、よく見知った顔の――けれど別人とわかる顔が夜闇に浮かぶ。
右目に揺らぐ炎はそのまま、しばし目を閉じ、月色に向けて頭を垂れた。
「――今宵の月明かりは美しい。
銀月の御許に死の微睡が並ぶことを許し願おう」
そう、最も敬意を示す姿を見せる。