2020/07/05 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」に劉 月玲さんが現れました。
劉 月玲 > 「うあぁぁぁぁ~!!」

バシャバシャと雨の中、鞄を頭に抱えて走っている。
もはやカバンガードの意味はなく、服もスカートもずぶぬれ状態。

今日は夜に雨が降る、というニュースだったが一足早く、運悪く下校時に雨が降りだしたのだ。

劉 月玲 > 雨が降るまでには帰れるだろうと甘い推測をして
ちょっと欲を出して買い食いをしようと中華料理店の肉まん屋に寄って
あれやこれやと悩んだ末にゴマ団子と肉まんを買って
さぁ帰ろうとした矢先にこれだ。

「あ、バス停っ」

そういう訳で、バシャバシャ雨の中を走っていたが、よさげな屋根付きのバス停をみつけ緊急避難をしに来たのだった。

劉 月玲 > 「うえぇぇ……全身びしょびしょ。
サイアク~」

一先ずカバンを椅子において、髪と顔の水滴を飛ばすためにぷるぷると顔を振る。
ピンクの下着が透けているのはもうどうしようもない。
カバンの中に入れておいたハンカチを取り出し、髪の毛や腕の水滴をとっていく。

ご案内:「路面バス/停留所」に三椏 ケイさんが現れました。
三椏 ケイ > ちくしょう、今日は最悪な日だ!
前の日にトレーニングで疲れすぎて寝坊しかけ、そのせいで妹に余計な手間をかけた。
遅刻ギリギリで登校したせいで体操着を忘れ、ジャージで授業を受けるハメになる。
昼メシはいつも食ってるコロッケパンが目の前で売り切れた。
そして今、こうして雨に降られている。降るのは夜じゃなかったのかよ……!

学生鞄を傘代わりにしたところで焼け石に水。
横殴りの雨に容赦なく全身を濡れ鼠にされながら、ようやくバス停が見えてきた。

「(……ん? 誰かいるな)」

ここは廃線でもなんでもない。そりゃ利用客くらいいるだろう。
何の疑問も持たず、雨宿りも兼ねてバス停の屋根の下へと駆け込んだ。

劉 月玲 > バスは既に行った後。
来るのも数十分後だ。
普段なら歩くなり飛ぶなりで帰るが、この土砂降りの中を歩くのは自殺行為だし、おとなしくバスが来るまで待つしかあるまい。
そんなわけで、体を温めるために先ほど買った肉まんを鞄から取り出そうとして。

「ん?」

自分と似た境遇なのだろうか。
駆けこんできた男子生徒を見る。

三椏 ケイ > 「あんたも急な雨に降られたクチか?」

視線を感じたが、相手の方は見ずに声だけかける。
チラッとだけ見た感じ、背丈は妹と大して変わらなさそうな女の子だ。
少なくとも俺と同じ二年の教室棟じゃ見たことがないから、一年生だろう。
これでまた教師とか言ったら俺は常世学園の倫理を疑わないといけない。

「ったく、予報通りに降れって話だよな……」

水を吸って重たくなったワイシャツの裾を絞りながら愚痴をこぼす。
肌に張り付いて気持ち悪いが、こんな所で脱ぐわけにもいかない。
赤いTシャツを下に着てて良かったといったところか。

劉 月玲 > 「あはー、同じ同じ!
大変だよね~、おかげで全身ずぶぬれー。」

ぱたぱたと制服を仰いで水を抜こうとする。
当然効果はないが、へそがちらちらと見える。
本音を言えば、さっさと服を脱いでお風呂へゴー、なのだが。

三椏 ケイ > 気休め程度に水を絞り出したところで時刻表を見る。
ほんの少し前に発車したばかり。今日はこんなんばっかりだ。
タオルも持ってるが、今ごろ鞄と一緒にびしょ濡れだろう。

「風邪引かないように気を付けろよ……って、うわっ!?」

つい兄貴めいた事を言って、声のした方を向いてしまった。
そこには濡れた夏服の裾を持って扇ぐ女の子の姿。
ただでさえ白いセーラー服は透けやすい。そのうえ扇ぐことによって大きくめくれ上がる。

「おま……何やってんだ! 人前だぞ!?」

妹くらいの年頃とはいえ、率直に言って目の毒だ。
咄嗟に反対側を向いたから変なところは見ていない。はず。

劉 月玲 > 扇いでも抜けない水気に不快な顔をしてしまいつつも

「ん?別にこのぐらい~……。
……♪」

彼がそっぽを向いて注意してくる。
別に肌を見られるぐらい――むしろこれからの季節を考えれば――なんてことないのだが。
面白い玩具を見つけてしまった。
自然と口角があがる。

「ねーねー、どうしたの?
向こうのほうむいちゃってどうしたのー?
人と話すときは、人の目をみて話すようにってお母さんから言われなかったー?」

そろりそろりと近づきながら言葉をかける。

三椏 ケイ > 「どうもしねぇよ……! いいからあっち行ってろッ!」

声が近付いてくるのを感じて、壁を向いたままシッシッと手で払う。
完全にからかおうとしてる口ぶりだが、この雨の中じゃ逃げ場はない。
他に利用客らしき姿がないのは幸か不幸か……いや間違いなく不幸だ!

劉 月玲 > クスクス笑いながら近づく。
こんな面白いおもちゃをどうして手放せようか。
さらなる追い込みをするため、こちらを追い払おうとする手にわざと当たり

「ね~ね~、なんでなんで――きゃっ!」

ぺち、という音と一緒に後ろへ倒れて尻餅をつく。

三椏 ケイ > 手先に触れた微かな手応え。直後に聞こえたのは、床に溜まった雨水が跳ねる音。
転ぶほど勢いを付けた覚えはないし、わざとらしいってのは分かってる。
それでも、目の前で倒れる相手がいたら気にしてしまう。
もし本当に怪我でもさせていたら、と考えてしまう。

「っ……おい、大丈─────」

だから、迷わず女の子の方を向いてしまった。

劉 月玲 > 彼を見上げながら、ニマニマ笑っている。
上は雨でぬれて、張り付いた制服がピンク色の下着を映しているし。
下は全体をスカートで隠されているものの、白いフリルや紐っぽいものが見えているような気もする。

「あー、痛かったー。
お尻が冷たいー。
ほら、早く起こしてー」

クスクス笑いながら手を伸ばして、引っ張るように求める。

三椏 ケイ > 「く……コイツ……!」

待ち構えていたのは満面のニヤけ顔。ちくしょう、心配して損した!
慌てて視線を背け直したが、雨に濡れた制服の下にうっすら見えたピンク色がばっちり目に焼き付いてしまった。
スカートとニーソックスの間の白い……何だ? 見えたらマズそうなものも一緒に。
異能の関係もあって動体視力だけは良いと自負していたのが仇になった。

「わざと転んだくせによく言う……自分で立てるだろ、そんくらい」

文句を言いたいのはこっちの方だが、どうせ俺が動かなきゃ立たないつもりだろう。
片手で顔の半分を覆いながら、もう片方の手を女の子に差し出した。

劉 月玲 > やはり視線をそらされた。
声に出るほど笑ってしまいつつ最後の作戦。

「わざとじゃないですもーん」

そんなことを言いながら、差し出された手を取って――えいっと引っ張る。
ついでに引っ張る瞬間、相手の足元を蹴って滑らせてみよう。
うまくこっちに転ぶだろうか。

三椏 ケイ > 「嘘つけ、絶対わざ───とぉあっ!?」

引っぱり起こそうとしたその時、逆に向こうから引っ張られた。
不意を突かれたとはいえ、鍛えている男が小さな女の子に力負けするはずもない。
足を蹴られたところでびくともしない。
……そう、床が渇いてさえいれば。

しかし、ここは雨水に濡れたコンクリートの上。
靴底が滑り、俺の体は空中へ投げ出されたように縦回転をする。
そして小悪魔チビの思惑通り、彼女の方へ倒れ込むように落ちていった。

「ッ……!」

通常なら受け身を取るところだが、そのままでは下敷きにしてしまう。
咄嗟に異能を発動し、その小さな体を押し潰さないように両手を伸ばして床につく。
腕には物凄い負荷をかけることになるが、二人まとめて大怪我するよりはマシだ……!

劉 月玲 > 引っ張ったあと、もし潰されたらどうしようと思っていたがどうやらうまくこらえてくれたようだ。

「あはは、お兄ちゃんすごいすごい。
反射神経いいんだね!」

彼の下で拍手しながらケラケラ笑いつつ

「ところでお兄ちゃん。
逃げずに動かないで聞いてほしいんだけど。
この体勢って他の人が見たらどう思うかな?」

にやり、と獲物を見る目。

三椏 ケイ > 当の小悪魔チビはこの期に及んで小憎たらしく笑っている。
俺が反応できなかったらどうするつもりだったんだ、こいつ?

「いいから、さっさと退きやがれ……!」

無理に腕を使ったせいで、さっきから鋭い痛みが掌と腕を襲っている。
この体勢もいつまで維持できるか分からない……ん、体勢?
どう思うか、と訊かれて今の俺達の状態を頭の中で客観視してみる。

 人気のないバス停。
 濡れて透けた服の女の子。
+それを押し倒すような姿勢の男。
────────────────
=事案

「ッざけんな! 全部お前が仕組んだ事だろうが!」

最初から俺をハメるつもりだったな、このガキ……!
今すぐ立ち上がろうにも、こいつが退いてくれないことには動けない。
もしここで他に人が通りかかったら一巻の終わりだ。

劉 月玲 > 「えへへ、そんな怒んないでー。
ちょっと言う事聞いてくれたらすぐ解放するから」

仕組んだなんて人聞きの悪い。
結果的にこうなっただけで、計画はしていないのだ。
ほら、未だ見ぬ血なので、つい。

「なので、クエスチョンワーン。
お兄ちゃんの血液型を教えてもらってもいい?」

三椏 ケイ > 通報されでもしたら、いくら無罪を主張しようが被害者(に見える)側の完全有利。
冤罪だと証明できても一生レッテルを背負って生きていくことになる。
そんなことになったら家族に、妹に、とてもじゃないが顔向けできない。
俺は今、こんな小悪魔チビにさえ逆らえない状態に追い込まれてしまったのだ。

「こんな事して何が狙い……はぁ? 血液型?」

脅して金品でも要求されるのかと思ったら、斜め上の質問が飛んできた。
嘘を吐くべきか迷ったが、今時DNA鑑定とかで簡単に分かってしまうことだ。
教えたところで困ることもないし、ここは素直に従っておくべきだろう。

「……B型だ。それがどうかしたかよ」

せめてもの抵抗として、そっぽを向いたまま答える。
何より、さっさと終わらせてくれないと腕がもたない。
手をついた拍子に擦り剥いたのか、じんじんと焼けるような痛みが掌を襲っている。
もしかしたら血が出ているのかもしれないが、確かめようもない。

劉 月玲 > 「B型か~……」

ごはんとしては、微妙だ。
ほんとにまずいのに当たったら吐き出してしまう。
美味しいのは美味しいのだが……。

まぁ、いいかと思いなおす。

「じゃあ、いただきますっ♪」

首に腕を回して近づき。
そのまま首にカプッと噛みついてちぅちぅ、と血を吸おうとする。

三椏 ケイ > 「聞いといて何だよそのリアクションは」

勝手に巻き込んで勝手にガッカリして、何がしたいのか。
やっぱり潰しておけばよかったか……なんて物騒な事を考えかけた時だった。
不意に首元に腕が回される。彼女が顔を近付けてくる。

「……は? おい、何する気だお前───ッ!?」

思わず向き直ってしまい、小悪魔チビの顔を直視してしまった。
幼さの中に底知れぬ色気のようなものを感じ、不覚にも顔が熱くなる。
しかし、その熱は首筋から血を抜かれたことによって瞬く間に引いていくことになった。

劉 月玲 > 彼の思いなど露知らず。
カプリといってちゅーちゅー。
――逆にこの現場を見られれば自分もかなり危ないのだが。

数十秒間、彼に引っ付いて血を吸い、零れる血は舐めとりつつ。

「ぷは、ごちそーさま♪
不味くはないけど~って感じ?
安いファストフードみたいな感じがするかも」

んー、と考えながら味評価。

三椏 ケイ > 「っぐ……ぁ……」

病院で血液を抜かれるのにも似た、もっと強烈な脱力感。
日頃から低血圧だったら間違いなく貧血を起こしていただろう。
これほどまでに健康優良児で良かったと思ったことはない。
小さな口が離れれば、額に汗を滲ませ荒い息を吐きながら小悪魔チビを睨み付けた。

「ッは、はぁっ……お前、吸血鬼か何かかよ……!」

何をされたかくらいは分かる。血を吸われたんだ、このチビに。
両手が動かせないせいで牙の痕を抑えることもできず、舐め取られるのにもされるがまま。
吸血鬼なんて漫画でしか知らないような存在だ。変な気分になるより先に寒気が襲ってくる。
おまけに微妙な評価を下された。本当に何なんだ。

劉 月玲 > 「うん、吸血鬼。
正確にはそれに類似する吸血種らしいんだけど、私はそこらへんわかんない♪
そういうのはお医者さんとか研究者さんに聞いて」

血を吸った影響で、目が赤くなり猫のように目が細くなる。
だいたい、みんな吸った後はこのような反応をするが、彼はちょっと吸いすぎただろうか。

彼の下からもぞもぞと抜け出して、楽な姿勢になれるように介助してあげよう。

「ごめんね、お兄ちゃん。
ちょっと吸いすぎた?
殺すつもりとか全然ないし、おなかへったからちょっとだけ分けてほしかっただけなんだけど……。
あ、肉まんいる?
血吸っちゃったし、おなか減ってない?」

カバンをごそごそと探して、既に冷えた肉まんを取り出して渡そうとしてみる。

三椏 ケイ > 最初に見た時とは違う、細くなった瞳を見てゾッとする。
腕の下を抜け出されたと同時に、冷たい床に大の字で寝転がった。
掌を見れば、案の定というか擦り剥けて赤くなっている。

「んな事ぁ知るかよ……」

吸血鬼と吸血コウモリくらい分かりやすい違いじゃなきゃ分かるはずもない。
魔術学の先生にでも聞いたら知ってそうな気はするが、事の経緯を説明するのが死ぬほど面倒そうだ。

「……食いもん寄越すなら、せめて血が増えるもんにしろよな」

腹が減ってるのは確かなので受け取った。市販……だよな、よし。
冷えた肉まんを頬張る。皮が硬くてパサパサで不味い。
手づかみしたせいで掌の血が染みてしまった部分を見る。
こんなのよりは俺の血の方が美味かったってことか? そうだとしても喜べねぇ。

「お前な……やるにしても、もうちょっとやり方はあっただろ。
 こんな騙し討ちみたいな真似、俺が人間じゃなくて反撃されたらどうすんだ」

不味い肉まんを食べたら無性に腹が立ってきて、その元凶に説教を垂れた。