2020/07/26 のログ
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」にラヴェータさんが現れました。
神代理央 > 本庁での会議を終えて、後は帰路につくだけ――だったのだが。
共に暮らす恋人は入院中。ともなれば、特段急いで帰宅する必要も無い。
自動運転をオフにして。夜の高速道路を切り裂いて。
一台の黒いセダンが、人気の無いSAに滑り込んだ。

「………気晴らしにもなりやしない、か。いや、多少はなったのかも知れないが」

車から降りればふう、と小さく溜息を吐き出して。
ぽつぽつと大型トラックが止まっているだけのSAを歩いていく。
向かう先は喫煙所。誰も、誰もいない静かな喫煙所。

「……今夜は随分と静かだな。皆、異変をかぎ取って静かにしているんだろうかな」

咥えた煙草に火を付けて。
紫煙を燻らせながらぼんやりと独り言を吐き出すだろう。

ラヴェータ > そしてそんな人気のないSAの、更に人目に付かない電灯の灯も照らさない隅で一人突っ立っている軍服に狐の少女。
普段獣の姿で歩き回ったりして人様を揶揄って遊ぶとかいうタチの悪い彼女だが、今日はらしくもなく静かで。
ただ、よく見ると表情も落ち着きがなく、ソワソワしている感じだろうか。
その手に握られているのは...『狐まっしぐら』と安直な名前のついたチュール。
そしてそれを握る手はわずかに震えており...

「買ってしまったが...買ってしまったが...食べる自信がないな...」

俗にいうちゅるちゅる。中毒性が高いだとか非常に美味いだとか。
狐仲間がそんな興味を唆るような事を言うものだから、つい買ってしまった。
しかし、その仲間の言う中毒性やら堕ちそうになっただとか。
随分と物騒な事を聞いたが為に食べられずに居て。
そんなところに、見知った顔が...

「ん?理央ではないか?
貴様、風紀の癖に喫煙とは中々肝が座っているな」

そう、自らの飼い主基監査人の神代理央が煙草を吸いながらなんか言っている。
チュールを握っているからか、どこかやましいことでもあるのかとでも言った風に神代に近づいて声を掛ける。
やはりその調子にもいつもの勢いはなく、どこか弱々しい。

神代理央 > 投げかけられた声は、聞き覚えのある監査対象の声。
こんな場所にいるとは珍しいな、と思いを巡らせながら視線を向けて――

「バレなければ重畳。バレても、もう俺を咎められる程風紀委員は戦力が充実していない。それでも、一応組織に顔を立てて表立っての喫煙は控えているがね」

日本産の煙草の中でも特に高級に位置するそれは、二人の間に甘ったるい紫煙を漂わせる。
しかし、その紫煙と暗がりの中で。何時もより随分と…殊勝というか、弱々しい彼女の姿に、不思議そうに首を傾げて。

「……どうした。具合でも悪いのか?影に入る時間が………
――…一応聞いておくが。その手に持っている物は、何だ?」

心配そうに声をかけるが、途中でその声色は段々と呆れた様なものへ。
何だそれ、と言わんばかりの視線を彼女に向けるだろうか。

ラヴェータ > 「貴様はまだ子供だと言うのに。
変に大人のような事をしようとするな」

何て、呆れた様子で、ただし揶揄ったり馬鹿にしている様子はない。あくまでも呆れている、と。
やはり手元のそれが気になるようで、揶揄うまで意識が回らない。
前の世界である程度嗅ぎ慣れた匂いではあるが、やはりあまり好かない匂いだな、なんて思いわずかに頬を潜めて。

「あ、あぁ...これは、チュールというものらしくてな...
同族から勧められて買ってみたのだが...少々食う自信がなくてな」

呆れた調子で尋ねられれば、それこそ物を壊した子供が親に叱られるような。
徐々にフェードアウトしていく声。
向けられた視線と我ながら可笑しな様子を見せていることに耐えきれず、しれっと目を背けていく。

神代理央 > 「大人の真似事をしなければやってられない事が多くてな。…尤も、それは私だけではないだろうがな」

と、小さく肩を竦めながらも彼女の表情を伺えば火を付けたばかりの煙草を灰皿に押し付け、中へと落とす。
普段ほど揶揄ってくる様子の無い彼女に、不思議そうな表情を浮かべつつ。

「……ちゅーる?食う勇気が無い?市販品なのだろう、何をそんなに躊躇っているんだ?」

チュールとはなんぞや、と疑問符を頭に浮かべながらも、革靴の音を鳴らして彼女の元へ。
あろうことか、彼女の手元からそのチュールを奪おうと手を伸ばすだろうか。

ラヴェータ > 「なんでも非常に美味いそうなのだが...
あっ返せ貴様!それは私が買ったのだ!」

この狐の小遣いは風紀から与えられている。
行動を縛るのが難しい以上、食費も含まれたその小遣いは買い食いする分には困らない額だが、そう多くはない。
ついでに言うと監査役は自由に小遣いを取り上げることも可能ではある。

ウズウズと、力ない様子を見せている少女の手から容易く取り上げられるチュール。
それを取り返そうと即座に手を伸ばすも取り返せず。
ウズウズの元凶を取り上げられれば更に挙動不審に怒った様子を見せて抗議する。
怒るというのも、この少女にしては珍しいのではないだろうか。

「チュールは美味いらしいが...中毒性だとかも強いらしくてな
少々怖くてな。」

取り返そうと試みる気も起きず、再び目をそらしつつチュールについて知りうる情報を伝えて。
やはりチュールが未知である分恐れもあるようで。

神代理央 > 「ふむ。非常に美味くて、中毒性が高い。ほお」

たかが食品一つで、と思わなくも無いが、本当に楽しみにしていた……とは、また違う様子だが。
兎も角、彼女に取っては余程気になる物なのだろう。

「……其処まで怯える事もあるまい。まだ封も開けていないじゃないか。ほら、所詮は唯の食品なんだから」

此処迄説明されても、未だ危機感の様なものは伝わっていない。
ふーん、と軽く相槌を打ちながら――彼女の耳に聞こえるだろうか。或いは、目に入るだろうか。

己が、チュールの封を勝手に開き始めている様が。ぺりぺりと袋が破かれていく音が。

ラヴェータ > 「それを言ってたやつがその時もずっと食っておってだな...その顔が....って貴様何を勝手に開けておるのだ」

多分そのうち返してくれるだろう、なんて弱気に考えていれば当然の如く封を開く神代の姿とその音を捉えて。
開けてしまっては食べるしかないだろうに、なんて事をしてくれた、と。
嬉しさ半分怯え半分の様子で開かれたチュールに視線が釘付けになり...

「...確かに貴様の言う通りただの食品かもしれんな。
開けたのだから食わねばならんだろうが全く貴様は...ほら、よこせ。さっさとよこせ」

早くよこせ、早く食わせろと神代を急かす少女。
その目は半透明で綺麗な色をしたチュールに釘付けで、様子もソワソワが増して落ち着きがない。
らしくもなく、欲しがる様子である。

神代理央 > 「んー…猫にマタタビをやる様なものなのか?む、良いじゃないか。どうせ食べるんだろう。態々開けてやったんだから――」

其処で、彼女の視線に気が付く。
普段の彼女からは想像も出来ない。唯の食品に、視線が吸い込まれている。フラフラと揺らせば、それを追いかけるんじゃないか、という程に。

「……さて、どうしようかな。普段から聞き分けの悪い監視対象に、早々恵んでやるわけにも、いかぬよな?」

閃いた!という様な顔をした挙句。
にっこり、と爽やかな笑みのまま――彼女から一歩遠ざかる。
チュールを握ったまま、見せびらかすように、遠ざかる。

ラヴェータ > 「は?何を言っているんだ。それは私が買ったのだ。返せ」

つい素が出てしまっている狐。
抗議する声色で、しかしその視線はチュールに釘付け。残念狐。
一歩遠ざかる神代に対して三歩近づく勢いで急接近していけば近い背丈で神代に顔を近づけて。
尻尾も後ろで荒々しく揺れている。我慢しているようで。

さらには見せびらかされたチュールを奪い取ろうとその手を伸ばして。
まあ端的に言えば必死である。

神代理央 > 「返せ?言葉遣いがなっていない。そもそも、私は貴様の監査役だぞ?監査対象に悪影響を及ぼしかねない食品であれば、廃棄が妥当かと考えるが」

此れは本当に猫にマタタビ、というものなのだろう。
普段は小生意気――彼女の方が年上なのだが――な監視対象の狐が、己の手元のチュールとやらを必死に求めている様は、何というか、そう。
――実に、愉快である。

「監査役である私を敬い、きちんと言葉にして、コレを下さいと言うのであれば。食べさせてやらん事もないぞ?駄狐」

接近する少女。背丈が近い彼女と距離が縮まれば、自然躰が触れ合う。それでも、彼女にチュールを渡すまいと油断しきったその手を掴んで動きを封じながら、愉快そうに嗤う。
必死な彼女を弄ぶ様に、チュールは天に掲げられた手の中でひらひらと揺らされているだろう。

ラヴェータ > 「ぐぬぬぬぬ...」

先日、神代を揶揄ったときに言わせたぐぬぬが返ってきたかのように。
それはもう悔しそうに、巫山戯るなと言いたげな表情で。
掴まれた手も力なく垂れ下がり、大人しく下がって。
神代の愉快そうな様子を見れば更にぐぬぬ。

「神代監査官...私にそのチュールを...ください...」

ギリギリギリギリギリと、歯軋りが聞こえてきそうなほど。
歯茎痛めて血が出てくるんじゃないかってぐらい悔しそうな表情で。
睨みつけたらどうせやり直しを要求してくるだろうと、目元は極限まで耐えて、口元に凝縮される...
そしてその間も見つめられるチュール。
まさにまたたびのような物。

神代理央 > 「……く、ハハハハハ!いやあ、今のは是非録音しておきたかったな。とはいえ、貴重な場面だからこそ、記録に残すのも無粋。今のは、今夜だけの私の愉悦、ということにしておこう。駄狐」

からからと愉快そうに笑いながらも、約束は果たす。
というか、果たさないとそろそろ殺されるかもしれない。

「ほら、これが食べたかったんだろう?そんなにがっつかなくても、くれてやるから」

ゆっくりと手を下ろせば、そのままチュールは彼女の口元へ。
さあどうぞ、と言わんばかりに、己の手に握られたチュールは開けられた切り口から僅かに身をはみ出している。

この時点で、未だ、神代理央に、危機感は

無い。

ラヴェータ > パクッと行った。
散々お預けされた分、その勢いは音速の如し。
いや、そこまでは流石に速くないのだが、落ち着きなく行った。
神代の嫌味に言い返すことなぞ優先順位に存在すらしないと言いたげに。
チュールを持つ神代の手を両手で掴み、チュールの先端に口をつけて。
そのまま僅かにはみ出た部分を唇で口の中へと吸い込めば...

「!!!!!!!!!!!!!!!」

ずっとチュールを見ていたその目が大きく開いた。
口の中に広がるチュールの食感とその味に驚いて。それはもう、初めての高級料理ぐらいの勢いで。

「うまひっ」

チュールを咥えたまま、小さく、つい漏れたと言った感じで零せば、そのままチュールを吸い込み始める。
その目はチュールしか見ていない上に、それはもう幸せそうに、幸せそうに。
今なら死ねるとか言い出しそうな様子で、それ以外には意も介さないと言った様子で。
だいじだいじにチュールを少しずつ、それでも一気に必死に吸い込んで行って。

神代理央 > 「…うわあ。………うわぁ」

此れは違法薬物ではないのだろうか?
製造している会社への査察を真面目に検討しながら、チュールに吸い付く監査対象を見つめる。
こんなのを監査していたのかと思うと涙が出て来る。チュールに敗北するな第一級監査対象。
しかし――これはこれで。揶揄い甲斐がある。

「……おっと手が滑った」

棒読みの儘、無理矢理手を彼女から引き抜く。
チュールを引き抜く。
残ったチュールの入った袋を、再び彼女から遠ざける様に、天高く掲げてしまうだろう。

「さて。それじゃあチュールも堪能したみたいだし、俺はそろそろ戻るからな。じゃあな、駄狐」

しかもあろうことか、そのまま彼女を置いて帰ってしまうような素振りを見せる。
チュールを彼女から取り上げた儘。

ラヴェータ > そんな神代の悩みも涙も意に介さずチュールを吸う第一級監視対象。
残念、第一級監視対象はチュールに敗北する。
仕方がない、狐なんだから狐チュールに勝てるわけがない。
狐まっしぐらとはまさに文字通りだったわけだ。

「むぐ...
ジュル......おい理央、何をするんだ」

さて、このままチュールを吸い切ってしまおうと思っていた矢先、神代がチュールを引っこ抜いてしまえば、それに釣られて前のめりになる狐。
零れかけたチュールを勢いよく吸い上げてなんとか溢さないで耐える。
そしてその味を数秒かけて堪能してから...非難する。
さっさとよこせ、引っ込めるなと、睨み付けるが...

「おい待て!何を帰ろうとしている?!せめて残りを置いていけ!」

神代がチュールをそのまま持って去ろうとするのを見れば、それを追いかけながら悲痛な声でそう叫んで。

神代理央 > 「…置いていけ?ああ、残念だ。残念だよラヴェータ。先程、監査役に対する敬意と言葉遣いの話をしたばかりだと言うのに」

立ち止まり、振り返り。
言葉とは裏腹に、ニコニコと笑みを浮かべながら。
チュールは、天に掲げられた儘。

「でもまあ、構わないさ。持って帰っても塵になるだけだ。お前にくれてやる分には構わない………っと、手が滑った」

わざとらしく手をストンと下げれば、大地に向けられた切り口からチュールが滑り落ちていく。全て、では無いだろうが、残ったチュールの大部分が袋から滑り落ちていく。
このままでは、彼女が何も口を――もとい、手を打たなければ。
狐まっしぐらは大地にまっしぐらし、見るも無残な事になってしまうだろう。

ラヴェータ > 「ッ!貴様!」

第一級監視対象《血濡れの戦犯》の名に恥じない凄まじい憎悪の視線を神代に向ける狐。
親でも殺されたのかと勘違いされたり、一般人なら竦みあがり身動き取れなくなりそうなぐらいには悍しい視線だが、その理由はチュールである。監査役が泣くのも理解できるというものだ。
まあ落とされた側の狐からすればそれだけでも大分どころかかなりを超えて激怒してブチギレてるわけで。
まあしかしその視線も一瞬で。チュールに即刻視線を戻せば一滴も溢さないぐらいの勢いで両手で掬いに行く。
かなり無理がありそうな勢いで両手をチュールに向けて突き出しー

「理央、覚悟しておけ?」

ギリギリ、半分落とした。
よってその憎悪の視線は再び神代に向けられることとなる。
まあ半分は回収出来たために、十秒ぐらいで手のひらのチュールに視線を戻して。
手のひらのチュールを。食べ始めた。
チュールが如何にうまいといえど、地面に落ちたものには流石に手は出さないが。
掌のチュールは手がべたべたになることなぞお構いなしにどんどん食べていく。
その姿はまるで野生の狐のよう...人型の感じがしない。

神代理央 > 「いやあすまないな。手が滑ったんだ、手が」

わざとだが。勿論わざとだが。
出来ればその憎悪の視線はもっとまともな理由で向けて欲しかった。それと、査察は行おうと決意した。これ絶対産業区で作ってない。原料落第街産地直送。

掌で受け止めたチュールを懸命に。舐めとる様に食べる彼女を見下ろしながら、袋に残った僅かなチュールを己の右手に落とす。
ぺちゃ、という水音と、含まれる油分が少し気持ち悪い。

「だからほら、残ったチュールはちゃんと全部やるよ。欲しいんだろう?これが」

そのまましゃがみ込んで。動物に餌をやるかの様に。
チュールの乗った右手を彼女に差し出した。
その瞳は、愉しげに細められている事だろう。

ラヴェータ > 「根に持ってやるからな覚悟しろ理央」

食べ物の恨みというのはそれはもう大層強く、重い。それを侮ったことを後悔しろとキッと視線を叩きつけて。
それがチュールともなれば、語るまでもないだろう。
人間チュールが出た暁には同じことをしてやろう。きっと生産されないだろうが。

幸せそうな瞳で必死に手のひらのチュールを食べ続ける狐。
それを食べ終わる頃には口元も手のひらもべたべたになっており。
なに、陰に潜るなり獣の姿にでもなればいいと思っているのだろうが。
もしくは何も考えずに必死に食っていたか。

そんなチュールが尽きれば、もっと食べたいと思う。それがチュールの恐ろしいところ。
きっとこの狐も神代も、その恐ろしさを身をもって知ったところだろう...

そんなチュールを手のひらに乗せて差し出されれば、どうするかは火を見るより明らかである。

神代の右手を、チュールを残さず食べきるために舐めとられた両手でがっしりと掴み取り、右手に顔を突っ込んでチュールを食べる。
まあつまり、ベッタベタなわけで。

そしてこの狐、チュールのためならプライドも捨てるのだろうか...
随分と嬉しそうに、そしてやはり必死に食い続ける。どれほど美味いのか...

神代理央 > 「恨みの類は買い込み過ぎて在庫過剰でな。すまないが、一々覚えてはいられぬかもしれんぞ」

彼女の恨み言も視線も何処吹く風、と言わんばかりに。
というかチュールに対してちょろすぎないだろうか。監査役は結構真面目に心配していた。
これに味をしめて買い込む様になるなら、お小遣を絞らなければならないか。いや、逆にチュールをくれる相手なら言う事を聞いてしまうのではないか、と本当に仕方の無い事でちょっと真剣に悩んでいたり。

そんな中。差し出した右手とチュール。
握手会のファンか、という様な勢いで掴まれて、一生懸命にチュールを貪っている。
人間体なのに動物みたいだ。本当に狐か何かに見える。

「……そんなに美味しいのか?それなら、偶には褒美代わりにやらねばならんだろうな。一本だけだと、物足りないだろう。ラヴェータ」

此処迄喜ぶのなら、飴と鞭の飴代わりに使っても良かろうと。
自由な左手でそっと彼女の耳を。突き出た狐耳を撫でようと伸ばしながら。

ラヴェータ > 「...美味かった...
けど、たまにでいいし今日はもう十分だ」

美味いが、こればかり食っていたらやばいぐらいの自覚はある。
チュール一本を完食(※落ちたのは除く)した感想は、やばい、の一言に尽きた。
やばいほど美味いし、やばいほどまた食いたくなる。
だから、今日ももうこれ以上食うのはよろしくないだろう。

神代の手のひらに乗っていたチュールを完食した狐は、冷静に言葉を紡ぎつつもその瞳に込められているのは幸福感。
チュールで脳味噌から溢れ出たしあわせが瞳から零れ落ちて来そうだ...
そんな目で真面目なことを言われても説得力は薄そうだが、しあわせで圧迫された脳味噌にもまだ冷静な部分は一応残されており。
狐耳を撫でられれば、幸せで溢れた脳味噌が敏感な部位への接触をいつものように抑えきるのも難しく、片目を閉じて少しくすぐったそうにしている。

ご案内:「常世島環状道路:高速道路」にラヴェータさんが現れました。
神代理央 > 「おや、そうかね?自制が出来るのなら、それに越したことはないのだが」

自制する理性は残っていたらしい。心の底から安堵する。此れで自制心がチュールに負けていたらどうしようかと思う所だった。
少なくとも、今日は。今夜は。此れ以上チュールに溺れないと自制出来ている。流石は己の監査対象だと誇るべきなのだろう。
……チュール相手である事を思いだし、やはりちょっと悲しくなったが。

「……まあ、たまには、だからな。余りこれに溺れて貰っては、俺も困るというものだし」

と。左手で軽く彼女の狐耳を撫でた後。
するりと手を離し、懐から取り出したハンカチで手を拭いながら苦笑い。
しかし本当に此れ市販品なんだろうな、と内心首を傾げつつ。

ラヴェータ > 「私も...これを教えてくれた仲間はどうにかしておこう
これはやばいものだ」

語彙力やら思考能力やらが死んでいる脳味噌で。
これをずっと食べてた同族はなかなかに不味いことになっていそうだ。
もうこれ市販していいところ超えてないか?と奇しくも考えていることは自らの監査官と同じで。

さて、自分も影から適当なハンカチを取り出してべたべたな口周りや両手を拭き取っていく。
見苦しい姿を晒してしまった...
何も考えていなかったことがバレて、汚かった手も口周りもある程度綺麗にすればその瞳にも冷静な色はだいぶ戻ってきたようで。

「ふぅ...
...チュールが悪い。そうだろう?」

つまり、まあチュールで変になっていた時のことも思い出すわけで、冷静な頭がしっかりと整理するわけで。
全てチュールのせいにしてしまおうと。そうだろう?と問いかけるように、仕方ないと言いたげに。

神代理央 > 「そうしてくれ。中毒性に溺れているのなら、治療が必要だろうし。
…まあ、目の前にあれば欲しくなるだけであればまだ良いのだが」

このチュール欲しさに犯罪を犯す様になれば本気でヤバイかも知れないが、そうでなければコレは本当に『ただ獣人の大好物になる食品』でしかない。
寧ろ、獣人ではない生徒がこれを悪用していないか心配になる。このチュール、確か狐用以外も売ってた気がするが――

「真面目な顔してチュールの所為にするんじゃない。たかがチュールに完全敗北したのはお前だろう。……獣の様に、俺の掌からチュールを食い漁る様は、愉快ではあったがね?」

と、呆れと愉悦を滲ませた声色で彼女に言葉を紡ぎつつ。
ゆっくりと腰を起こせば、綺麗に拭った右手を彼女に差し出した。

「ほら、本庁まで帰るぞ。お前には必要無いかも知れぬが、車で送ってやっても良いし」

ラヴェータ > 「ふん、たかがチュールされどチュールというだろう?
そういうことだ。」

言わない。
どういうことだ。

「ああそうだな、どうせだし送られてやろう
...少しそいつについて相談もしたいしな」

その同族も中々重症で...金欠だとか言っていたし、そろそろやらかすかもしれないな、なんて不安で。
その相談も兼ねて、今日はお前の車に乗ってやろうと、乗せてもらう側の分際で傲慢に、神代の手をとった。

神代理央 > 「…いや、分からんが。このチュールに其処までの効能があるとは、流石に思っていなかったし」

其処に胸を張られてもな、と小さく苦笑いしつつ。
彼女が此方の手を取れば、その手を引いて己の車へと。

「…ふむ。そうだな、込み入った話もあるだろう。どのみち、本庁までは戻るのだ。話を聞こうじゃないか」

こうして、少年と少女は車に揺られて風紀委員会の本庁へと。
道中、車内で彼女の話を聞く少年は、呆れた様な真剣でいる様な。
何とも言えない感情と表情で、彼女と話をしていたのだろうか。

ご案内:「常世島環状道路:高速道路」からラヴェータさんが去りました。
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