2020/09/02 のログ
川添 春香 >  
「さっき言ったのが全てですよ」
「確実に助ける、絶対救う、間違いなく守る───」

「それが約束できるのは神様だけです」

後ろ手に手を回して笑う。
再び大気が揺らいだのか、バイクの機関部が焦げる匂いが鼻孔をくすぐった。

「それでも私は足掻くことを終わらせません」
「助けようとする手を止めません」
「守ろうとする歩みをやめません」

穏やかに笑ったまま、告げた。

「未来は何も約束してはくれません……」
「過去を覆すのは、今を生きる自分だけなんです」

「───そうじゃないと、嘘でしょう」

風紀の車輌が。近づいてきていた。

龍宮 鋼 >  
「……」

まぁ、そりゃそうだ。
誰かを助けるのならば必ず助けろと言うのは自分のわがままでしかない。
助けられるものではなく、彼女でもなく。
自分を守りたいだけ。

「――わぁったよ。悪かった」

両手を軽く上げて。

「ならせめて、さっきみて―な事はやめろ。それで死んだらどうにもならねーだろ」

人を助けるにも、助けようとするにも、自分が無事でなければ何もできない。
少しでも多くの人を助けようとするのなら、まず自分が先だ。

川添 春香 >  
「わかりました、お気遣いいただきありがとうございます」

深々と頭を下げて。
顔を上げると凛と表情を作って。

風紀の車輌が近づいてきたので、手を振って。

「自分を助けられない人に、誰か助けられるわけないですからね!」
「それでは私はこれで! 風紀の方に説明できないことが有るのでー!」

「ええと……現場からの逃走とかけて」
「曲がった松の木とときます」

人差し指を振って。

「その心は! はしらにゃ、ならない……」
「また会いましょう、お姉さん!」

脱兎の如く。すごい勢いで。その場を走り去っていった。

龍宮 鋼 >  
「おォ……?」

何故謎掛け。
イマイチよくわからない顔。

「――龍宮鋼だ! 落第街でなんかあったら頼って来い!」

走り去る彼女の背中にそう声をかけて。
風紀の車両が近付いてくる。

「あぁクソ、めんどくせぇなぁ……」

かと言って離れればもっとめんどくさいことになりそうで。
仕方なく、彼女のことは隠して、事情聴取を受けることにしようか――

ご案内:「常世島環状道路:一般道」から龍宮 鋼さんが去りました。
ご案内:「常世島環状道路:一般道」から川添 春香さんが去りました。