2020/09/22 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」にアーテルさんが現れました。
■アーテル > 「んっんー。」
屋根を撃つ粒の音を背景音に、ざぁざぁと外に降りしきる雨をぼんやり眺めながら、
赤髪の男は独り、他に誰もいない停留所に備え付けられているベンチに、足を組んで座り込む。
雨。それも、この時期特に多くなるのが通り雨。
いつものように散歩と興じていたら、一気に降られてしまったものだから、慌ててバスの停留所まで駆けこんできたのだ。
多少、衣服が濡れそぼるくらいは許容範囲内だが、この雨脚では外に出られそうにない。
それならバスを待てばいいのだが、たまたま持ち合わせがなく、本当に立ち往生しているという状況だった。
「……あー、やんなっちゃうなあ。」
退屈だ。
何か面白いことでも起きないか…と、他人任せな願いを抱くも、叶うかどうかは神のみぞ知ることだろう。
■アーテル > 「…………ん。」
まんじりともせず時間を浪費していると、いつの間にか雨がやんでしまっていた。
…何を考えて、こんな時間まで過ごしていたのだろうか。
途中バスがやってきては停車したが、自分が乗る気がないことを察すると、
早々に停留所を後にしたのを何度か目にした程度のはずだが。
「いっつの間にこんな時間に……」
ベンチに手を着き、腕を伸ばしながら立ち上がる。
わしわしと頭を掻きながらまだるっこそうに外に出てくると、雲の切れ間に僅か灯る月の明りを見上げて。
「…秋間の天気は変わりやすいもんだなあ。
くわばら、くわばら……」
すっかり夜の帳が降りた時間、雨に濡れた露地を男が独り、闇に消えるように停留所を去っていった―――
ご案内:「路面バス/停留所」からアーテルさんが去りました。