2021/11/03 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 女は、停留所の側……バスを待つ列とやや離れた場所に静かに佇んでいた。人待ちでもしているのだろうか、と稀に視線を送る者はいるものの――多くは興味を失い、視線を戻すか。もしくは、乗るべき車両が到着し、中へと吸い込まれていった。


「ふふ――こう、いうの、も……悪く、は……ない、わ、ねぇ……しば、らくは……見る、ことも、でき、ない、かも……だ、しぃ……」


女の気怠い声が宙に消えていく。


「あっち、は……元、気に……その、気、らしい、し……さて、どう、なる、か……」


小さく首を傾げる。


「でき、れば……スポーツ、観戦、とか、も……した、い、け、どぉ……」

ご案内:「路面バス/停留所」に杉本久遠さんが現れました。
杉本久遠 >  
 普段と変わらない日常。
 例年、例月、例日の通りにジムへ通い、汗を流したその帰りである。
 ふらりと立ち寄った停留所に、見覚えのある女性の姿があった。

「――む、どうした、具合でも悪いか?」

 と、歩み寄っていき、顔色を窺うように、顔を近づける。
 しばらく顔を合わせていなかったが、その合間を感じさせない気安さで声をかけた。

シャンティ > 『男が歩いてくる。それは、長身で体格の良い――鍛えられた肉を持つ男。彼は、迷いなく女に歩み寄る。「――」』


「あ、ら……? ふふ。平気、よ。お、久し、ぶり、ねぇ……久遠、くん?」


そういえば、大会以来だったかしら――と、女は考える。


「元気、だった、か、しらぁ……? 大会、みて、た……けれ、どぉ……ふふ。随分、やんちゃ、して、た、わ、ね……?」


くすくす、と。楽しそうに笑った。

杉本久遠 >  
 ふむ、と顔色を窺っても体調が悪い様子でもない。
 安心して体を起こすと、腰に手を当てて笑った。

「だはは、あの時の大会は、今思えば随分と恥ずかしいものを見せてしまったなあ」

 そして、照れ隠しをするように頭を掻く。

「あのせいで、夏の大会はすっかりマークされてしまってなあ。
 ひたすらドッグファイトに巻き込まれて参ったよ。
 妹にも、いい加減ファイターに転向しろだなんて言われたしな」

 もしかして夏の大会も見られてたのだろうか、と思うと少し顔が赤くなってしまう。
 多くの選手に警戒された結果、随分な成績になってしまったのだ。
 胸を張るには少々恥ずかしい結果に終わってしまっている。

「だがまあ、困ったことに元気ではあるぞ。
 今日も軽く体を動かしてきたところだ」

 パンパンに膨らんだスポーツバッグを軽くたたいた。

シャンティ > 「あぁ――あれ、そう、いう……こ、と……だった、の、ねぇ……? 人気、者、は……つら、い――わ、ねぇ?」

くすくす、とからかうように女は笑う。

女は興味を持って以来、できる限りの試合をみることにしていた。彼以外の選手が出ているものも含め、それなりの数に上る。ただ、女自身は競技そのものには未だ詳しくない。戦術、戦略――そういったものを察するに至るところまでは行かない。

「ん……」


実際には見えているわけではないが、しかし――顔を上から下まで眺めるように動かして、様子を確認する。


「そう、ねぇ……元気、そう……ふふ。あい、かわ、らず……鍛え、て……る、の、ねぇ…… 私、なん、て……こん、な……よぉ?」


そういって、細腕を見せる。ほどよく肉は乗っているがどちらかといえば細身のそれが目に映ることだろう。

杉本久遠 >  
 くすくすと彼女が笑うと、急に顔が熱くなってしまった。
 誤魔化すような咳払いは不格好で、慣れていない不器用さが現れている。

「――いや、はは。
 普通に、人気者になれたらいいんだけどな」

 なんて、顔を赤くしたまま言ってみるが。
 じっと眺められると、ますます気恥ずかしくなるようだった。

「お、おう……これは、まあ、好きだからな」

 体を鍛えるのは趣味のようなものだ。
 ライフワークと言ってもいい。
 む、と眉を動かして、彼女の腕を見る。

「……こんな、と言うもんじゃないさ。
 うん、細く白い、女性らしい腕じゃないか。
 それに――ああ、肌も柔らかい。
 うむ、オレはこういう女性らしさは大事だと思うぞ」

 そう言いながら、見せられた腕をそっと支えるように触っていた。
 無意識の行動で、柔い細腕は、大きくゴツゴツとした手が緩く掴んだ。