2021/11/04 のログ
シャンティ > 「ふふ――すく、なく、と……もぉ。私、は……ファン、よ?」

男の返答にくすり、と笑う。それを人気、と取るかは本人次第の話であるが。


「そう、ねぇ……よく、鍛え、て……ある……ぁ、ん……」


女はあまり考えてなかった。腕を晒すことで、まさか男が触れてくるとは。別に不快ではない。ただ、想定外で少し声が漏れる。



「ふふ……お褒め、いた、だい、て……うれ、しい……け、どぉ……白い、は……さす、がに……ちょぉ、っと……盛り、すぎ……よ、ぉ? ま、ぁ……あん、ま、り……日に、あたって、は……いな、い……け、どぉ? あぁ……やわ、らか、い……の、は……そぅ、かも?」


くすくす、と女は笑う。朴念仁、などと評した記憶も在るが――この辺もあまり変わっていなさそうだ、と女は思う。こういう飾らない人間はあまり見ないので、実に楽しい。

杉本久遠 >  
「ん、お、あ、す、すまん、つい」

 うっかり手を伸ばしてしまったが、慌ててひっこめた。

「その、すまん、気安く触れるのは、よくなかったな」

 また、ますます顔を赤くする。
 全くと言っていいほど女性慣れしていないのが見てわかるようだ。

「ああ、うむ、その焼けていない、綺麗な肌だと言いたかったんだけで、だな。
 いや、オレはその、白い肌が好きというわけではなく、だな、君の色もとても魅力的だと――ああいや、なにを言ってるんだオレは!?」

 なんて言いながら、ぐぉぉ、と唸りつ、頭を抱えてしまう朴念仁だ。

「やわら――す、すまん、妹相手でないのに。
 しかし、その、うん。
 妹と違って、ずっと……ああ、なんて言えばいいんだ。
 ずっと、うむ、女性らしく感じた、のか?」

 なんて動揺を微塵も隠せない様子を見せる。
 ついには自分の感性にも自信が無くなってきてしまったようだ。

シャンティ > 慌てて手を離す男。女性慣れをしていない一方で、無意識には特に気にせず動いてしまう。そういう、在る種の純粋さが快い。


「別、にぃ……いい、の、よぉ……? ふふ。痛く、も……ない、しぃ……? ただ、ちょっと、予想外、だった、か、ら……驚、いた……だけ、だ、しぃ?」


事実、不快ではなかった。むしろ、そういう一挙手一投足が面白く……日常、という世界に関心を向けたくなる……そんな感覚であった。


「ふ、ふ――そう。魅力、的……ね、ぇ……? あり、がと、ぅ……うれ、し、い……わ、ぁ……」


本当に、慌てる男が面白く。ただただ、それを眺めているのも楽しそうで。ついつい、からかいたくもなる。


「あ、ら……妹、扱い……だった、の……か、しらぁ……? じゃ、あ……おにい、ちゃん……って、いった、ほう……が、いい、のぉ……? それ、とも……そこ、か、ら……昇格……?」

小さく首を傾げて、くすくすと笑いながら問いかける。

杉本久遠 >  
 楽しそうな様子だが、そんな笑みにも、一度女性を意識してしまえばたじたじとしてしまう。

「う、あぁ、うん」

 不器用な誉め言葉を受け取ってもらっておいて、出てきたのはぎこちない相槌。
 しかし、おにいちゃんなんて呼称を妹以外からされてしまえば、噎せ返ってしまうのも無理はない、かもしれない。

「ゲフッ、げほっごほっ!」

 おにいちゃん、という呼称だけでこれだというのに、さて、その先の言葉が理解きるような朴念仁ではなかった。

「けほ、ん、な?
 妹から昇格……姉か?」

 

シャンティ > 「あら……姉? そ、れは……考え、て……なかった、わ、ねぇ……?」

男が、そういう機微に疎いことは分かっていた。故に、どういう受け取りになるか女としては興味深かったのだが。なるほど、そういう方向できたか、と思う。ある意味シンプルで、そのままの応えであるが。なかなかどうして、意外性はあった。


「ん……それ、じゃ、あ……そう、して、も……いい、のぉ……? 弟、くん? 久遠、くん? あぁ……これ、じゃ、代わ、り、映え……いない、わ、ねぇ……久遠?」

面白そうに、様々な呼び方を検討してみる。こうして考えてみると――家族、なんて存在をとうに忘れていたことを思い出す。自分の中で、もうどうでもいいものと化していたが、意外に味わい深いものかもしれない。女は、そう思い直してみた。


「弟、なら……お願、い、とか、も……して、いい、の、かし、ら、ねぇ……こき、使った、りぃ……?」

杉本久遠 >  
「え、いや、オレの呼び方くらい、好きにしてくれれば――う、うむ」

 好きにしてくれればいい、と言うつもりが、呼び捨てにされると言葉が詰まってしまった。
 顔が妙に熱く感じる。
 直接見えていないとわかっていても、つい腕で鼻先を隠してしまった。

「お願い、か?
 こき使われるのは、まあ、なんだ、慣れてるしな。
 なにかあるなら、オレに出来る事なら何でもするぞ?
 ほかならない、君のお願いだしな……姉でなくても、うむ」

シャンティ > 「ふふ……なんで、も……いい、のぉ……? な、らぁ……久遠、で……」

顔を上気させる相手の様子を読み取りながら、それならば、と女は選択した。女としても存外しっくりくるもので、これなら姉でも悪くないか、と考えてみたりもする。といって、血が繋がっている、などという事実はないのだから虚構どころではなく虚無に近いことではあった。それも、"劇"として考えるなら――なるほど、ありかもしれないと一人、女は納得する。


「ん……」

唇に人差し指を当てる。

半ば冗談で言ったことで、特に頼むことなど考えてもいなかった。が……相手が相手だ。きっと本当に"出来る事なら何でも"してくれるのだろう。そう思えば、女は何か考えてみようか、という気になった。


「そう、ねぇ……一つ、はぁ……ふふ。きっと……言う、まで、も……ない、と……思う、けれ、ど、ぉ……前、の大会、に……懲りず、に……エアースイム、して、欲しい、わ……?」

言葉通り、言うまでもないこと。彼はそういう人間だと女もわかっている。だからこれは、願望であり次の願いを繋げる前フリのようなもの。


「それ、と、ぉ……また、会って……くれ、る……か、しら、ぁ……?」


ぼんやりとした願い。約束にもならない約束。これも、女には答えが見えている。


「……あ、と……」

顔を寄せる。

杉本久遠 >  
「む、う……そうか。
 オレも、なんだ、呼び捨てているしな」

 しかし、呼ばれてみたら途端に距離が近づいたような気がしてしまう。
 親しみを込めてくれるのは嬉しいが、やはりどうにも照れ臭くなってしまう。

「はは、それならお安い御用だな。
 前に話した通り、オレは泳ぎ続けるさ。
 どれだけ躓いたとしても、な」

 きっと彼女もそれはわかっていて言っているのだろうと、鈍い久遠にもわかる。
 だからきっと次からが本題だろうと思い――。

「……それは、ああ、もちろん。
 オレも会いたいから――」

 彼女の顔が近づく。
 それに慌てるよりも早く、彼女の声が鼓膜をくすぐった。

「――そうか」

 色々と、途端に腑に落ちたようだった。
 そして、彼女が静かに打ち明けてくれたことを、素直に嬉しく思う。

「もちろん、オレでいいなら」

 久遠は、彼女の言葉に憐れみや同情を抱かなかった。
 ただ本当に単純で分かりやすく。
 頼ってくれたことを嬉しいと思ったのだ。
 それが、女性に頼られたからなのか、彼女に頼ってもらえたからなのか、それは自分でもわからなかったが。

 自然と、彼女の手を取っていた。
 細く華奢で、綺麗だと思った。

「必要な時は、いつだってだ。
 オレが、君の目となって耳となる。
 約束だ」

 その手を取って、彼女の光を映さない瞳を確かに見つめ返した。

シャンティ > 「……うん、知って、たぁ……」


迷わず、泳ぎ続ける、という答えを出す男。女は、その当たり前の言葉に満足する。様式美、とはまた違うのかもしれないが――決まりきった答えが決まりきったように出ることもまた、美しいと、思った。


「…………」


答えは、きっと、そうなのだろう、と予期はあった。けれど、その答え合わせはしようがない。ただ手に触れるぬくもりだけが、一つの回答を女に与えていた。


「冗談、とは思わないのね?」


明朗だが、小さな声が男の耳をくすぐる。


「なら……よろし、く……お願い、する、わ、ねぇ……?」


いつもの気怠い声に戻り、女は微笑する。手にはいつもの本が抱えられている。

杉本久遠 >  
「――はは、思わないさ。
 それになんだ、冗談ならオレがからかわれるだけだろう?
 それよりも、オレは君の、シャンティの本当の声を冗談にしたくない」

 それは全て、彼女が全て本当の事を言っている前提での答えだ。
 最初から微塵も疑うつもりのない、そんな返答。
 もしこれが嘘や冗談だったとしても、その時も久遠は笑って返すだろう。
 そうか、それはなによりだ、と。

「うむ、お願いされるぞ!
 ……とはいえ、なんだ。
 君が困ったときに駆け付けられないようじゃ、いかんな。
 あー、携帯機器とかは、使えるのか?」

 うっかりしていたが、約束を交わしても連絡しあう手段を知らないのだった。
 よく考えずとも、なにが出来て、なにが出来ないのかも知らないのである。
 

シャンティ > 明朗に笑い、応える言葉。それはかろうじて女に捉えることが出来た。気構えする必要がない答えに、満足を覚える。久しく覚えのない、気を使わない会話、というのも悪くない。


「あ、ら……だ、い、た、ん……ふふ。携帯、くらい……つか、える、わ、よぉ……?」

どこからか、携帯端末を取り出す。実際に使える品であるが、普段遣いではないものだった。


「それ、でぇ……どこ、まで……知り、たい、の、か、しらぁ……?」

くすくすと笑いながら、尋ねた

杉本久遠 >  
「大胆?
 ――あ、いやっ、そういう意味じゃなくてだな!?」

 そこでようやく、今更のように先ほどのやり取りが照れ臭いように思えたのか、あっという間に顔が真っ赤に染まっていく。
 今の言葉も、まるでナンパのようじゃなかっただろうか、などと考えて、余計に恥ずかしくなった。

「う、その、だな、連絡先くらいは。
 普段はそれで、連絡が取れるんだろう?」

 顔を赤くしながらも、自分も端末を取り出す。
 連絡先を共有できるように操作しながら、ちらちらと彼女を見る。
 どうやらさすがに、真っ向から見るには照れ臭いようだ。

シャンティ > 「ま、あ……久遠、が……その気、なら……そう、いう、の、でもぉ……い、い、け、ど、ぉ?」


笑いながら端末を操作する。手慣れたような手付き、に見える動きで連絡先を共有できるようにする。その時間は、わずか。ほんの数十秒程度のことだった。


「ど、ぉ? もっと、ぉ……?」


気怠い声がささやくように、問いかける。


「よ、く…考え、て?ふふ」


くすくす笑いが響く

杉本久遠 >  
「う、いや、そういうのは、だな。
 もっとお互いを知ってから、順番がほら、ある、よな?」

 見るからに戸惑いながら答えるが、もしかして最近はそういうものじゃないのだろうかと、少し自信がなくなった。
 それも妹以外の女性と親しくなる機会なんて、とんとなかったのだから仕方ない。

「ああ、参った、あんまり笑わないでくれ。
 君に笑われると、なんだ、落ち着かないというか――いや、君が笑っているのは好きなんだが、うん」

 連絡先を確認しても目が滑るよう。
 もっと、って何だ?
 考えてって何をだ?
 と、全く慣れないやり取りに目が回りそうだ。

シャンティ > 「あら、じゃ、あ――識る、とこ、ろ、から、ぁ?」


くすくすと笑う。擦れていない感性で、此方の言葉に反応されれば、役者冥利、というとなにか違うが。十分な満足を女に与える。


「連絡、先……ちゃぁ、ん、と……み、れて、るぅ? わか、るぅ…? ふふ。なに、か……あった、ら……連絡、して、ね?」


元々の話は、あくまで女からの連絡用、だったはずだ。けれど、そんなことは忘れました、とでもいうようにしゃあしゃあと逆のことを口にする。


「しば、らく……は。私、いそが、しい……か、も……だ、けど、ぉ?」

杉本久遠 >  
「お、おう。
 うん――そうだな、ちゃんと知らないとな」

 すっと、真面目な顔になって、彼女を見る。
 いざという時に助けられるよう、しっかりと彼女の事を知らなくてはいけない。
 なんて、本人は至極真面目に考えているのだが。
 言葉のやり取りだけ取ってみれば、お付き合いしましょう、ではお互いを知るところから始めましょう、というやり取りなわけである。

「ああ、わかった、ちゃんと連絡しよう。
 いや、しかし、忙しいようなら猶更、手伝わなくていいのか?
 君が大丈夫なら、いいんだが」

シャンティ > 親切にも、男は協力を申し出る。それは、地獄へ一歩踏み込む行為だと知らぬ間に。女の言葉次第で、どのようにでも彼を誘い出すことはできるだろう。


「あぁ…… そっち、は……手伝い、無用、よ、ぉ? 大変、なの、はぁ……確か、だ、けどぉ…… ちょ、ぉっと……お、手伝い、は……お願い、しづら、いの、よぉ。と、く、に……オトコノコ、に、は?」

含むように口にする。秘密、とでも言うように耳にこっそりと


「な、ぁ、ん、て」


くすくすと笑った

杉本久遠 >  
「ん、え、そ、そうなのか。
 それはなんだ、その無粋だったかな」

 耳をくすぐる声。
 離れて冗談のように笑う姿が、妙に可愛らしく見えたのは気のせいじゃないだろう。

「なら、オレに手伝えることがあったらいつでも呼んでくれ」

 そう言ってるうちに、ようやく顔の熱がひいてきたようだ。

「さて――シャンティは寮生か?
 そうでなくても、帰るなら近くまで送っていくぞ」

 そうたずねながら、手を差し出した。

シャンティ > 「ふふ……し、り、た、い?」

くすくすと笑って……そして、手を差し出す。時間も頃合い。そろそろ、次のことを考えなければいけない。相手から言われたのは僥倖だ。


「私、は……学生街、の方、で……おうち、借りて、いる、わ……ふふ。あがって、いく?」


それでも、ほんのすこしだけスパイスを効かせて。楽しみは、やはり必要だから。

そして――何事もなければ、素直に家路へとつくことだろう。

杉本久遠 >  
「それは、まあ。
 気にはなる、よな」

 花に触れるかのように、優しく手を握る。
 知りたいかと言われれば、なんだって知りたいと思ってしまうが。
 そうしてなんでも知ろうとする事こそ無粋だろうとも思うのである。
 ただ、気になるという気持ちは嘘偽りなく口にしてしまうのだ。

「あがって――いやいや、流石にいきなり上がり込むわけにはいかないだろ。
 と、ともかく、学生街だな。
 なら暗くなる前にいこう。
 もうずいぶん冷えるようになったしな」

 そう言って、やってくるバスを少し待ってから、手を引いて乗り込む。
 そして、言葉にした通り、しっかりと家まで送り届ける事だろう。

ご案内:「路面バス/停留所」からシャンティさんが去りました。
ご案内:「路面バス/停留所」から杉本久遠さんが去りました。
ご案内:「常世港」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
二回目、ともなれば。
関係各所への連絡も通達も慣れたものだ。
生活委員会、及び港湾作業に従事する部活動などと打ち合わせを行い、近日中には物資を満載した貨物船の入港が始まるだろう。
両者にも、良い顔はされなかったが。何せ、運ばれて来るモノの使い道と言えば――

「…とはいえ、それでも拒絶する事が出来ないのが宮仕えの悲しさだな。御互い様、と言うべきかもしれないが」

それに、物資の到着を待たずとも――『闘争』は開始される。
元々その為の部隊。その為の予算。その為の権限。
何より、落第街を火の海にする程度であれば別に自分一人でも構わない…というのは、まあ烏滸がましい考えではあるが。
違反部活と対峙するだけなら、大規模な装備だの兵器だのは、本来必要ではない。
今回調達するのは、謂わば部下達の為のものだ。

戦地まで安全に移動する為の歩兵戦闘車。
遠距離からでも敵の拠点を叩く為の野戦砲。
重機関銃とロケット砲を搭載した重戦闘ヘリ。
対地・対人に特化したドローン兵器群。

「…いやに準備が良いのが、何とも腹立たしいな」

それは手配する兵器のリストを作成していた神宮司も。
それに迅速に応えた、自分の父親が率いるPMCも。
両方への呪詛の様なもの。

秋も深まる夜の埠頭。
冷たさを多分に含んだ潮風に当たりながら、停泊する船とその向こう側の地平線を眺めて、独り言は海へ消えていく。

神代理央 >  
とはいえ、既に事は動き出した。
落第街に展開していた特務広報部は一時撤退。
風紀委員会内部には、此方側の派閥から何かしら通告が出ているだろう。
そこからどう動くかは、各々の風紀委員次第ではあるが。
何にせよ、此方の行動指針は既に確定したのだ。


懐に収めていた通信機が、短い電子音で着信を告げる。


「……そうか。ああ、分かった。
…いや、暫くそのまま待機だ。何時もの様に、或いは今迄の様に包囲だのなんだのと、する事は無い。する必要はない。
…………察しが良いな。そういう事だよ。作戦書に書いてある通りだ。
今回は"二回目"だが、前回と多少異なる。最初から、殲滅を目的としている。
作戦指示書は目を通しただろう?あの通りだよ」

冗談交じりであるかの様に、朗らかな口調で通信機へ言葉を返す。
その内容は、決して冗談では済まされないものではあるのだが。

「………うん、そうだ。それで良い。
私の指示があるまでは、動くんじゃないぞ?
味方を私の鉄火に巻き込みたくはないからな」

通信機からの了解の返事まで聞き遂げて。
再び懐に仕舞いこんだ。
此処は、随分と寒い。

神代理央 >  
そして。
秋の潮風と、潮騒の喧騒を掻き消す様に。
空からの轟音。大気を切り裂く音。
埠頭に佇む少年を照らす、夜闇を切り裂く光源は。

「……時間通りだ。少しは"躾"の成果が出てきたかな?」

二対のプロペラを掻き回しながら降下するヘリコプター。
砂塵を撒き上げながら着陸した鋼鉄の巨体から駆け寄ってくるのは、漆黒の装甲服にガスマスク姿の特務広報部隊員達。

「…御苦労。では、行こうか。
休暇中の隊員を含め、全隊員に通達しておけ。
本日より、特務広報部は所定の作戦案に沿って行動を開始する。
各々は部隊長の指示に従い、作戦書通りに行動する事」

屈強な装甲服に守られながら、ヘリに乗り込む。
座席に腰掛けたところで、会話していた隊員が本庁の本部と通信を始めて――此方に、声をかける。
作戦名は何かあるのか、と。

「…作戦名?いや、考えてはいなかったが…。
…あった方が良い?そういうものか。まあ、分からなくも無いが…。………では、文章にはこう記しておけ」

少年を乗せたヘリが、ゆっくりと上昇する。
目標地点は、今更語る迄も無い。

神代理央 >  
 
 
 
「Operation Downfall。
作戦名は、その様に記しておけ」
 
 
 
 

神代理央 >  
 
 

かくて、巨鳥は鋼鉄の刃を掻き回して飛び立った。
失墜を。破滅を。破綻を与える為に。
 
 
 
 

ご案内:「常世港」から神代理央さんが去りました。