2022/01/13 のログ
ご案内:「列車内」にノアさんが現れました。
ノア >  
17:50発、前方3両目の座席。
ご指定の席に呼びつけて来た本人は不在、と。

「……人探しね」

新年初っ端の初仕事。
信頼できる筋からのらの紹介という事もあって引き受けたが、えらく用心深いこって。

席の下には紙袋、依頼対象の写真と内容が記された物が収められていた。

「一般学生が歓楽街に入って行ったっきり行方不明ね……」

歓楽街、とは書いてあるが風紀では無くこちらに仕事が回ってくるという事は、
つまるところ落第街の方面なのだろう。

ノア >  
『見つけたらここに連絡をください』

淡々と綴られている便せん一枚程度の依頼文。
筆跡を隠すためにだろうか、角ばったクセの無い字で書かれたそれを見やりため息ひとつ。

「いや、手書きで書かれちまったら筆跡も何も関係ねぇんだけどさ」

紙に書かれた文字を指でなぞる。
依頼を受けるか受けないかは内容を聞いてから自己判断を。
紹介者からもそう言伝を受けてはいたが、読んだ時点で腹は決まっていた。

「まぁ、身体慣らしにはちょうど良いだろ」

達成したとて、たかが知れている。
道楽程度になら引き受けても良いかと思える程度のはした金。
裏を返せば、他に頼んだところで相手にもされないような依頼内容と報酬だった。

ノア >  
報酬云々で依頼を決める程、資金に飢えている訳でも無い。
それでも触れた文字の向こう側、ペンを握る少女の姿を幻視した時点で詰んでいた。
依頼者の事を知れば二つ返事で受けるだろうと、
話を繋がれた時点で見透かされていたかのようで口の端が緩む。
いや、実際その通りなのだろう。

――ドアが閉まります。

暫くぶりの歓楽街、あるいは落第街に向かう電車は進みだす。

ご案内:「列車内」からノアさんが去りました。