2022/10/26 のログ
パラドックス >  
防壁で抑えたとはいえ、アーマーのダメージの蓄積は予想より遥かに上。
侮ったわけではない。此の島を護れるほどの秩序機構。
それを抜きにしても、此の島民たちの戦闘力。
底を見たなどと決して自惚れた訳では無い。


──────だが、何処まで強大なんだ。この学園都市は……!


初めから無謀な事と知っていても、この底知れなさは"畏怖"さえ覚えた。
だからこそ、だからこそ滅んだのだ。故に、滅ぼさねばならない。

<ウインド!>

剛速球で投げられたパンタグラフは、直撃する直前で風に撒かれ軌道を逸らされた。
ぐ、と拳を握り込めば魔力を疑似再現したエネルギーが鉄の魔法使いの周囲をうねり始めるが……。

『……タイムオーバーか』

別路線から列車が迫る音がする。
その猛スピードは、決して人々の生活を支えるものではない。
重厚な鉄の軋む音は、武装列車に他ならない。時間を掛けすぎた。
誘い込む以前に、安綱 朱鷺子との戦闘で迅速に包囲網自体が完成しかかっているようだ。
命を捨てるステージは、此処ではない。周囲のエネルギーが、ふ、と消えた。

『安綱朱鷺子。その生命、今は見逃してやる。
 だが、私は此処で止まるつもりも、お前如きに止められる算段も無い』

<ペイント!>

迫る武装車両の足止めをすべく、周囲の路線にぶちまけられる黒い液体。
粘性の液体だ。どれだけ早かろうと、減速を避ける事はできない。
月下を背に見下ろす鉄の魔法使いは、鬼を指さした。

『……私が憎いか?安心しろ。既に此の力も"私のもの"だ。
 お前達の此の時代は、お前達自身の力で滅びる』

『止められるものなら、止めてみせろ』

決して止まる事は無い。
慈悲も慈愛も必要無い。
この挑発に燃える憎しみがあるのであれば、何度でもぶつかってくるが良い。

<インビジブル!>

高速の電子音声の詠唱が破壊者の姿を消し、気配さえ消えてしまうだろう。
結果的に、破壊者の排除・捕縛には至らなかった。
だが、大勢の人物の活躍により、今宵失われるはずだった生命が救えたのは、紛れもない事実だっただろう。

ご案内:「交通機関:激熱の特急列車」からパラドックスさんが去りました。
安綱 朱鷺子 >  
明後日の方向に飛んでいくパンタグラフがどこに墜落したかは分からぬ。
殺し損ねた。牙が罅割れる程に噛みしめる…!

「けたくそ悪ィ…!」

仲間の亡霊を戦わされるような悪趣味な催し、『風紀』だからこそ腹立たしい!
科学技術とは、兵器とは、量産し誰にでも使える利便性という…
今の常世では権勢をやや緩めている技術、なれど!
斯様な冒涜、赦されるものか…!

「あ?」

背から投げかけられた光のせいで逆光が生まれる、それが助力のヘッドライトだとは理解が及ぶ。
視界の外で起こった車両の減速に姿勢が揺らぐことはないが…

「邪魔すんなやっ! …あァ!? 見逃すだァ?
 巫山戯たこと抜かすなや…ぐっ!?」

だが、然し!
相手が姿を晦ませど、周囲を探るは視覚だけ成らず!
捕まえるのに一切の支障なし、としたところで、
首輪が点灯し、がくり、その場に膝を突く始末。
監視員からの強制異能発動措置…助太刀の本丸が到着した今、あわやお役御免!

「…ならばっ! こう言うたるわ…!
 風紀は、この島の秩序は、あんたを絶対に逃がさん!
 無関係な命を巻き込んだ犯罪者に、救世主も破壊者も気取らせはせん!
 あんたはその生き方を続ける限り、希望を確実に喪っていく!」

鋼鉄の魔人、否犯罪者に…殺人者に。
吠え立てるその声は、はてさて如何なる遠吠えか?

「思い知らせたるで……絶対に!
 あんたの世界は、あんた自身が壊すことになるんやってなぁっ!」

夜闇に谺する怒りの声。哀切の叫び。
常世学園の秩序は、信じるに値せぬと。
言外に告げられたならば、秩序の守り人は悪逆への罰の為、研いだ牙を剥くのだ…

ご案内:「交通機関:激熱の特急列車」から安綱 朱鷺子さんが去りました。