2024/05/29 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > ベンチに、女が腰掛けていた。
手を膝に添え、そこには奇妙な表紙の本が乗っていた。
しかし
「…………」
呼気すら伺えず、生気も薄く
その姿は遺体にすら見える
「………」
ゆるく風が吹く
ほんの僅かに、女の銀髪が揺れる
「……」
それでも、まるで彫像のように
女は微動だにしなかった
ご案内:「路面バス/停留所」にアリシアさんが現れました。
■アリシア >
私は。
どうにも。
停留所というヤツが苦手だ。
片手に大量にゴミが入った袋。
片手にトングを持ったまま。
私は彼女? をじっと見ていた。
流れる美しい銀髪。
美を形にしたらこういう存在であろうという顔。
瞳を覗き込むも、微動だにしない。
人形、だろうか。
私はたまたま路面バスに乗ることがあった。
だが停留所があまりにもゴミだらけ。
生活委員会が来るまで我慢ならなかった私は。
ゴミ袋とトングを錬成し、ゴミ掃除に勤しんでいた。
そこで見つけたのは────
■シャンティ > 「ん……」
女の薄い唇から吐息のような声が漏れる。
それは彫像でもなく、死体でもなく、生者の証であった。
「……ぁぁ。いけ、なぃ……わ、ねぇ……」
ぽつり、と気だるい声で言葉が紡がれる。
「そろ、そろ……動き、はじ、めた……か、しらぁ……?」
本を手に、立ち上がろうとして……
『◆◆と似た顔立ちの金色の髪をしたその少女は、ゴミ袋とトングを持ち佇んでいた』
謳うようにそこまでいって
顔を、アリシアに向けた
「……あ、らぁ……?」
■アリシア >
「うあっ」
不動の存在から急に声が漏れた。
私はそれに驚いてしまったんだ。
「動き始めた……? ああ、バスなら…その、アレだ」
時刻表を指した。
これが親切のうちに入るのであればよし。
そして急に彼女が流麗な言葉遣いで似た顔立ち、と言った。
「アリス姉様のことを知っているのか?」
いや、待て。今はまだ彼女は私の顔を見てはいない。
ならば、何故……?
「おはようございました?」
小首を傾げて彼女を見た。
ゴミ拾い用のトングが所在なさげに右手に収まっていた。
■シャンティ > 「ふふ」
くすくすと、女は笑った。
馬鹿にするでもなく、ただ面白いとでもいうように。
「おど、ろか、せて……しま、った、かし、らぁ……?
えぇ……あり、がとう……ね?」
そのまま、金髪の少女に頭を下げる。
「……さ、て。
ん……まず、は……おは、よう……ござ、いま、す……から、かし……らぁ?」
人差し指を唇にあて、少し考えてから目覚めの挨拶をする。
そのまま、虚ろな瞳をまるでまじまじと相手を見つめるかのように向ける。
その視線には焦点があるのか、どうか。
そこに気づくだろうか
「アリ、ス……えぇ……
ほん、の……すこ、ぉし……だけ、だ、けど……ね?
姉、様……と、いう、こと、はぁ……妹、さん?」
相手の言葉から想像できることを口にする。
ただ、それにしては記述に違和感がある気もしている。
「いれ、かわ……り、で……きた、の……かし、らぁ……?」
■アリシア >
「いえ、いえ、いや、私は、何も」
まずい。美形の上に礼儀正しいタイプだ。
私はボロを出さずに丁寧な対応ができるだろうか?
日本語というのは、とても難しいぞ。
「ああ、おはよう。気持ちの良い……」
空を見る、曇り空だった。
「……気持ちの良い曇り空だな」
視線の先を見る。どうやら私を見ているらしい。
「そ、そうか! 姉様の知り合いか!」
「私はアリス姉様の妹型なんだ、姉様は綺麗だっただろう?」
やや興奮気味にそう言って。
「あー……そうだな、姉様は卒業してしまった。私は入れ替わりにここで学んでいる」
■シャンティ > 「ふふ……そう、ね、ぇ……
晴れ、すぎ、ても……暑く、て……仕方、なさそ、う……よね?」
くすくす、と少女の言葉に笑う。
軽く、空を見上げるように顔をあげ――
「曇り、も……悪、く……ない、わ……ね?
気持ち、も……いい、わ、よ。
雨、は……いや、だ……けれ、ど。」
真面目にいったのか、それとも誂っているのか
その気だるい口調からはなんとも捉えづらいかも知れない
「ん……えぇ……
女、の……私、から……して、も……きれい、な……子、だった……わ、ぁ?」
どこか、遠くを見るようにして……ほんの僅かにだけ会った少女のことを思い出していた。
目に映るわけではないが、それでも
良い印象だったことだけは覚えている。
「ん……お姉、さん……好き、なのか、しらぁ……?
ふふ。いいこ、だった……わ、ねぇ……」
そして、ほんの少し考えて
「……あな、た……は……本、好き……?」
そう、問いかけた
■アリシア >
「そうだな、今くらいが過ごしやすくて良いかも知れない」
困ったように頬を掻いた。
どうにも自然体というやつは難しい。
「雨……そうか、雨…」
人間は雨が降ると嫌なんだな。
ここは話を合わせておかないと。
「ああ、雨は大キライだ」
真顔でそう答えておいた。
そして姉様の話が続くと、喜色満面で頷いた。
やっぱり姉様は最高なんだ。
「ああ、姉様は私に名前をくれたんだ、だから私はアリシア・アンダーソンを名乗っていられる」
そこまで早口で喋ってから、言ってはいけないことだったと気付いた。
「そういう設定でごっこ遊びをしていたんだ」
相手の言葉に頷いて。
「ああ、本は大好きだ。日本の本はとても興味深い」
「桃太郎とか面白いよな、犬、猿と来て鳥じゃなくてキジなんだ」
「意表を突かれる、とても面白い本だった」
「あとは……浦島太郎だな、多分だが…」
「彼は乙姫との褥で母親の話を出したに違いないんだ」
「そうでもなければ、恩人があんな仕打ちを受ける理由がないからな」