2021/12/26 のログ
ご案内:「プレ娘キューティダービー」にアリスワールドさんが現れました。
■アリスワールド >
プレシップス娘。
それは走るアイドル。
プレシップス娘。
それは君の夢を駆ける存在。
これはプレ娘たちの熱いレースとライブの物語である。
っていう設定のVRゲームだ。
■アリスワールド >
今日は年末の大勝負、G1レースであるザインプレシップス記念。
18人のプレ娘のうち、ライブでセンターを取れるのはたった一人。
涙も。栄光も。悲しみも。喜びも。
そして積み重ねてきた全ての練習も。
全ては………この日のために。
■アリスワールド >
パドックをゆっくりと歩く。
跳ねる鼓動。
落ち着くはずもない。
みんなこの日に一番を取りたいんだ。
勝ちたい。誰にも負けたくない。
その願いが18人分、星になって輝く。そんなレースなんだ。
歓声に手を振って答える。
今の私はアリスワールドだから。
見ている誰かの願いに答える義務がある。
ううん、違う。誰かの願いだって、背負って駆け抜けてみせる。
■実況 >
「ここ、西京レースステージからザインプレシップス杯をお送りいたします」
「一番人気、2番クワイエットリン。長い沈黙を切り裂いて、伝説のプレ娘が帰ってきました」
「二番人気、12番絶対強者ハイエンペラー、その威容ある立ち振舞とトップスピードは圧倒的です」
「五番人気、7番アリスワールド。スターダスト杯を勝ち、勢いのあるプレ娘と言えます」
■アリスワールド >
五番人気。こんなものかも知れない。
でも、次からは。ザインプレシップス杯のセンターである私が一番人気だ。
絶対の自負がなければ、心で負ける。
心で負ければ勝負には勝てない。
プレ娘は人事を尽くして、最速を走る。
ゲートに入って目を閉じる。
ふぅ、と息を吐いた。
今回も終盤で差す。差して勝つ。
クリスマスの次の日に夢を駆ける18人のプレイヤーたち。
最速を。最強を。決めよう。
■実況 >
「晴天に恵まれて足元は良好、幾千もの夢を乗せて18人のプレ娘が」
「今、ザインプレシップス杯を」
「スタートしました!!」
■アリスワールド >
いいスタートが切れた。
でも、それは他のプレ娘も同じ。
レースの破壊者、7番人気インテグレーターが先頭を牽引する。
番狂わせだってあり得る。
誰だってこの勝負、負けるつもりで挑んではいない。
私だって……勝ちたい。
中盤をキープして落ち着いてスキルを発動。
ゲイザー(睨む者)のスキルで慎重にデバフをかける。
■実況 >
「先頭インテグレーター、その後をフルメタルリンク」
「それ以外は末脚を残すにしてもこの差は圧倒的です」
「何が起こるかわからないレース、最強を大逃げで決めることだってありえます」
「問題は仕掛けるタイミングです」
「自分のペースを乱したプレ娘は厳しい戦いを強いられるでしょう」
■アリスワールド >
いくらなんでも先頭集団が遠い!!
行き交うデバフ、自分を加速するバフ。
どれも決定打になり得ない!!
そうか、それなら……!
私の意地を見せるだけ!!
固有スキル、アリスの時間発動!!
加速して第二コーナーから先を追撃に移る!!
■実況 >
「7番私の夢はアリスワールド!! 上がっていきます!!」
「しかしこれは仕掛けるタイミングが早すぎます!!」
「今まで数々の場面を差し切ってきた名勝負の紡ぎ手が」
「今、焦ってしまったのか猛追です!!」
■アリスワールド >
追えば先頭集団も必死に逃げるわけで。
後の人たちもペースを乱されながら仕掛けたり、足を溜めたり。
でもね。
みんなが混乱している真っ只中は。
不思議の国を生きる……アリスワールドの独壇場なんだよ!!
コーナーを曲がり切ってインテグレーターに追いすがる!
■実況 >
「誰も彼もがアリスワールドを追わずにはいられない!!」
「沈黙を破ってクワイエットリン!!」
「圧倒的、圧倒的加速だ!! 本領発揮先頭に躍り出る!!」
「次を追ってハイエンペラー!!」
「この混迷の中を迷わず駆け抜けます!!」
「続いてアリスワールド、インテグレーター、ラッキーリップが並んで追います!!」
「やはりアリスワールド、不慣れな戦術に苦戦を強いられるか!!」
■アリスワールド >
不慣れで、似合わないことをしているのはわかってる。
でも、みんな最高のプレ娘だから。
奇策だって使う。
その上で………気持ちで上回ってみせる!!
「勝つのはッ!!」
セカンドスキル、異次元の不確定粒子。
アリスワールドは……二段ロケットでいく!!
「私だああああああああああぁぁぁぁぁ!!」
■実況 >
「なんということだ! またアリスワールドが伸びる!!」
「クワイエットリンが逃げる!! ハイエンペラーが駆ける!!」
「その両者の絶対を引き裂くように!!」
「アリスワールドが加速する!!」
「不可思議なる加速!! その強さが今! 今!!」
「先頭集団を追い抜くか!! リンか! アリスか!!」
「今、アリスワールドが駆け抜けて一着ぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
■アリスワールド >
鼓動が痛い。
勝った……?
大歓声の真っ只中にいて、まだ信じられない。
勝ったんだ!! 私が!! アリスワールドが!!
1番だ!!
■アリスワールド >
ウィナーズライブが始まる。
みんなの先頭に立って、歌い始める。
曲は……『明日を超えて』。
なんていうか、普通の。
なんならデビュー戦を終えて3、4回勝ったプレ娘が歌う。
そんな基本の歌。
でも、今はこれが歌いたい。
心からそう思う。
「諦めないでBelieve in!」
「走り続けて明日を超えて!」
歓声の渦の中で声を張り上げる。
■アリスワールド >
眩いステージの光の中を。
歓喜の中央を。
心からの喜びと感謝を。
歌に込める。
「Daylight! 輝く木漏れ日
Shining! 止まってなんかいられない
悲しみの涙さえ振り切って」
明るく、楽しく。
プレ娘は、夢を与える存在だから。
泣きそうになる気持ちを押さえて、今は歌う。
「Future! スタートは同じ
Best yet! あとは気持ちで勝負さ
雨も風も虹も光も追い越して」
ダンスは完璧。ここでミスるG1レースの勝者なんていない。
■アリスワールド >
隣で歌うプレ娘たちと振り付けで目が合った。
みんな、みんな笑ってくれた。
さぁ、サビだ!!
「君の想いコネクト!
掴んで見せる幸せだって
この先にあるなら何度でも」
歌おう。涙は今はいい。
今、この瞬間に。笑顔だけを見せていたいから。
「君の願い叶える!
スパートした先にある未来
誰も知らない景色へ駆ける」
最後のフレーズのためにセンターからさらに一歩前に出て。
「誰よりもあなたのために
この祈り届けると誓うよ!」
歌いきって、さらに大きくなる大歓声の中で両手を上げた。
みんなの夢のために。
みんなの心のために。
歌うよ、だって私はアリスワールドだから。
歌い終わってVRゴーグル『スペクトラルギア』を上げると。
ただの空調の効いた私の部屋でしかなかった。
さて……エゴサしよっと!!
ご案内:「プレ娘キューティダービー」からアリスワールドさんが去りました。