2020/06/23 のログ
デザイア・ハート >  
「ま、見た目だけ、視覚的な影響しかでないから。
キミのいうように高次元の写真、ってとこだね。」

見た目に反して、そこまで大それたものではない、店主は語る。

「実用性は限られるから、思い出の風景を、とかに使うのが一番いいんじゃないかな?
もちろん、悪用もできるだろうけれどね。
ちなみにお値段は――このくらい。別の支払い方法も可だよ。」

どこからともなく取り出した電卓を弾けば…流石にうん万ほどのお値段が提示されていた。

彩紀 心湊 > 「…こういうものもあるのね。
色々本は見てきたつもりだけど、確かに…これはこういうお店でしか置けないでしょう。」

そもそも、用途が写真なのだから他の本と一緒には出来ないだろう。

「…ははあ…流石に良い値段。
これは簡単には手が出るものじゃあ無さそう。
……と、別の支払い?」

カード払いだろうか?しかし、まだ未成年故にそういう物は持ってはいないしと思考を巡らせつつ相手の返事を伺う。

デザイア・ハート >  
「いかにも”らしい”本でしょう?
こういった品物も、うちのメイン商品だよ。」

実に”御伽噺に出てくる魔法”のような品物こそが、恐らくはここの商品のメインなのだろう。

「これそのものはそれなりの品だけど…まあどうしてもね。
趣向品の類だし、ちょっとお高いのさ。
…そ、このお店限定の支払い方法、魔力払い♪」

店主の表情がにんまりと妖しげなものとなる。

彩紀 心湊 > 「こういうロマンチックな商品は好きよ。
実際本当に中々見れるものじゃないし。ほかがあるのならもっと見てみたいくらい。」

こういった品々が揃っているのであれば、それは中々に良い店と言っては良いのではないだろうか。

「まあ、特に疑いはしないわ。
これだけの本…あんまり見ないし…。売ってる場所が場所だし、ね?
…と、魔力払い……?」

きょとんと、言葉の意味を測りかねるのか首をかしげる。
いやしかし、先程までとは雰囲気の違う顔には思わずいやーな予感を感じざるのだが。

デザイア・ハート >  
「ふふふ、お気に召したのならよかった♪
もちろん他にも色々あるから、気になったら是非是非。」

そして宣伝をもちろん忘れない。
こういった地道な宣伝が大切なのだ。

「ふふ、場所が場所、か。言いえて妙だけどその通りだ。
そそ、魔力払い…呼んで字のごとくの支払い方だよ。
対価の変わりとなる魔力を払ってくれれば、それで支払える…どうかな?」

怪しい笑みを浮かべる店主は実に”魔女”らしい雰囲気で、つかつかとそちらに近づき、顔を乗り出すように近づける。

彩紀 心湊 > 「ええ、とりあえずは………また見たいものなのだけ、ど……。」

近い。凄い近づいてくる店主に後退る女学生。

「…その…魔力がどれだけ私にあるかは知らないのだけど…
……ええと…その方法を、一応聞いても……?」

やばい。(やばい。)
嫌な予感に思わず引きつった笑みでお尋ね。明らかに年下というのにこの怪しい雰囲気は一体どこから出てくるのか。

デザイア・ハート >  
「なぁに、大なり小なり魔力は持ってるものさ、特異体質ならともかく。
そしてあの値段なら…その多少、で十二分だ。
気になるようなら魔力の量を計ってあげてもいいよ。」

怪しい笑みを浮かべる店主は気が付けば更に近く…ソファーの隣に腰掛けていて。

「ちなみに方法は~♪
……ふふ、本当に聞きたい?」

彩紀 心湊 > 「おそらく、その手の類では無いとは思うけど…
…万よ…?多少でも釣り合うのね…その、魔力というのは…。」

個人、人から取るとなれば血液だとか臓器の売り買いと大差はないもの…とは思うが、近い近い。
やんわりと申し訳程度に距離をとって。


「……聞いておきましょう。
…そもそも、魔力だけを取るというのは聞いたこともない話だし。」

デザイア・ハート >  
「なら大丈夫だね。
ちなみにそこはほら、需要と供給というやつさ。」

つまりはこの店主にとって、魔力はそれくらいに価値があるもの…ということだ。
そしてついでに、開けた距離をぐっと顔を寄せて詰めて…。

「魔力は人の一部に含まれてるもの。
髪の毛や…そして体液。
後はつながりを作ってそこから、ってのもあるね?」

どこか煙に撒くような、本質を語らないような答え方を店主は行う。

彩紀 心湊 > 「……まあ、お金でも手に入らないというものでは…貴重なのかもしれないけれど…。」

近い近い。
この距離は流石に耐性がないとばかりにバッと顔をそらした。

「……は、はあ…。
髪の毛くらいなら…いや、一本とかそんなアレでは流石にないわよね…。
となると…唾液…?」

ぽんと浮かぶ内容はその手のものだろうか。
でもどれも大量に量を出すとなると中々に困難なのでは?と考え込む仕草。

デザイア・ハート >  
じりじりじり……距離が詰まる。
視線を逸らすのを見てニマニマとしているのが雰囲気できっと感じられるだろう。

「そりゃあまあ、髪の毛の含まれてる魔力だとザクっといっちゃうね?
唾液もいいけど…ふふ、一番魔力が含まれてるとろは――。」

店主はほんの少しだけ耳元に顔を寄せて――それが何かを口にする。

彩紀 心湊 > こ、小悪魔…。
内心でそんな感想を抱く。

「…まあ、それはそうでしょうね…。微量と言っても髪の毛じゃそのくらいよ……ね——………ッ?!」

囁かれた言葉はなんだったか。
それを察するにあまりある勢いでバッと立ち上がった。
その顔は、真っ赤に染まりゆっくりと俯きがちに視線をそらす。

「…………い、いや…それは…流石に。」

絞り出した答えはこう。生娘では当然の言葉であった。

デザイア・ハート >  
「んふふ♪ かわいい反応をありがとう♪」

その反応の現況は口元に手を当ててにんまりとした笑みを浮かべていた。

「ま、そういうお支払いもできるよってだけだからね。
無理強いするものじゃないよ。」

そして絞り出された答えにも動じる事も残念がることもない。
ある程度は”どちら”を選ぶのかも分かってはいたのだろう。

「でもでも~?
どうしてもほしいものにはそういう支払いもできるって覚えていてほしいな♪」

彩紀 心湊 > 小悪魔じゃない…サキュバスだ…。
目頭を押さえつつそんな事を思う。この学園都市、確かにそういった噂が耳に入らないということはないのだが…実際にそういったことが身近に迫ったのはコレが初めてである。

「……ええ、流石にこのお支払をする度胸は私にはないわ……。」

その笑顔、素直に今は恐ろしく感じるぞと、恨めしい目つきで店主を見返す。
しかしまあ、あくまで提示であるからしてそこまでに抑え。

「………場所が場所、ね……本当に。捕まらないようにしなさいよ…。」

一応、自身も祭祀局の人間ではあるのだが、そういった権限はない(はず)。
忠告にとどめつつ、小さくため息を付いた。

デザイア・ハート >  
「あら残念~。
じゃ、このお買い上げはナシで。」

ぜんぜん残念そうではない笑みを浮かべながら、その恨めしい目つきにも涼しい顔だ。

「んふふ、そこはもちろん。
そういう対策はちゃーんとしてるさ。」

実際、風紀委員の少女がこの店を訪れたりもしていたが、今もこの店が健在なあたり、確りと対策を彼は行っていた。

「じゃ、普通に買えそうなものを提示しようか。
いくらまでいけるかな?」

彩紀 心湊 > 「……すぅ……。」

深呼吸。しばし、呼吸を整えれば改めて向き直る。

「…はあ…。流石、"魔女"……。
…それなら心配をしたわけじゃないけれど、大丈夫そうね。」

やれやれと肩をすくめる。しかしまあ、ここにある商品が価値があるのは確かなことであり、それを買えなくなるのは個人としても少し困る。

「ん…5000ほどでどうかしら。
それだけのものを出すに値するとは思ったから。」

デザイア・ハート >  
「ふふふ、ま、このお店の事をそういう人たちに言わないくらいの協力はお願いしたいけれどねぇ?」

目の前の少女は恐らくはそういう事はしないだろう、とは思うが。

「なるほど500…それで本の系統なら…ああ、こういうのはどうかな?」

次に店主が指し出したのは無地のノートのようなもの。
ページを開いても中身はまっさらに見えるものだ。

彩紀 心湊 > 「……私に利益があるうちは、ということにしておいてくれるかしら。」

アウトよりの発言ではあるが、可能な限りセーフに寄せようとした返事。
もっとも、風紀の知り合いなどいないし自分の身に何かあったわけでもなし。現状ではジョークだと言われてしまえばセクハラ止まりなものなのも確かだ。

「……ふむ?これは…?」

一見ただのノートにしか見えない。
しかし、この店のことだ。何かしらはあるのだろうと魔女の顔を見る。

デザイア・ハート >  
「おっけー、それならキミにも利益があるように頑張らないとね♪」

つまりはそれは了承の意味だろう。
セーフに寄せようとした返事に、こちらもまたそれに併せた返事だ。

「これは”転写のノート”。
見たもの考えたもの…一時的な記憶をノートに”転写”できるんだ。
絵や文字にできるものに限られるけどね。

使い方は簡単、ペンとそのノートを片手に思い浮かべるだけ。」

その瞳を正面から見つめ返しながら、店主はペンを差し出した。

彩紀 心湊 > 「……やれやれ……ほんと、ガラじゃないわ。」

こういった秘め事は初めてで、どうにも心臓に悪いというか悪いことをしている気分になるというか。

「…これは、凄いわね。
素直に便利って感じのノートで…。
ええと……。」

ふむ…と思い浮かべるは先の魔本。
景色を映し出す本を思い浮かべ、その詳細と見た目を転写するように念じてみる。

デザイア・ハート >  
「黒板を書き写すのにもってこいなノートってとこかな?
ま、これは純粋な便利グッズって感じ。」

ペンを手にして思い浮かべれば…不思議な事に、思い浮かべたままの景色の絵と、どういった本で、どういった効果があり、どのくらいの価値があるのか…と、おおよそ記憶していたことがノートに浮かび上がってくる。

「ペンを持つ、ってのが一種のトリガーになっててね、ただ手に持って思い浮かべるだけじゃ動作しないんだ。
そうじゃないとどんどんノートが勝手に埋まって行っちゃうからね。」

彩紀 心湊 > 「ほう……いいわね……これは。
こんなに持ってれば便利って類いのものは初めてかも…。」

なるほど、こういう感じか…と感心したように息をつく。
異能・魔術を見ることはあっても、それが慣れているかといえば別の話で。
日常生活においてそんなに異能が必要でないのならそれが神秘的に見えるのは確かであった。

「そうね…これはだいぶ楽にできるアイテムかも…。
ええ、買いましょう。ええと…これはおいくらかしら…?」

先の予算で計算されたものであるなら大丈夫だろうと財布を取り出す。

デザイア・ハート >  
「お気に召したかな?」

にっと笑い掛けてその表情を伺う。
実際このノートそのものは、手を使わずに記録を記せるというその性質だけでも便利で…人によっては非常に助けになる類のアイテムであった。

「よっし、まいどありー♪
これは2000で構わないよ。」

彩紀 心湊 > 「ええ、とても。」

素直に、これは良い商品だ。
その笑顔には小さい微笑みを返して。

「はい、それじゃあコレでよろしくお願いするわ。」

財布から2000円札を取り出せば、それを渡す。
こういう真っ当な取引をする分にはこの店は良いものだと、少し良い気分で席を立つ。

デザイア・ハート >  
「はーい、たしかに……って、二千円札って珍しいもの持ってるねぇ…。」

ひらひらとお札を揺らしながら、そんな素直な感嘆の呟きを漏らす。

「ん、とりあえず今回はこれだけで十二分そうかな?」

彩紀 心湊 > 「ええ、珍しいものを見せてもらったお礼よ。
もう作られなくなって何年だったかしら。まあいいか。」

この島に来る前に祖父の家で眠っているのを見つけたものなのだが…この手のアイテムと交換ならまあ良いだろうと。

「そうね…今日のところはコレで。
それじゃ、また会いましょう。魔女さん。」

そう告げれば、軽く手をひらつかせて店を去っていくでしょう。

ご案内:「愛と想いのアトリエ」から彩紀 心湊さんが去りました。
デザイア・ハート > 「なーるほど、ちょっとコレクトしておこうかね~。」

静かにお札をしまいこんで、改めて向き直る。

「はーい、じゃーまた来てね、美人のおねえさん♪」

そうしてにんまり笑みを返しながら店から出るのを店主の魔女は見送った。

ご案内:「愛と想いのアトリエ」からデザイア・ハートさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にナインさんが現れました。
ご案内:「路地裏」にフィフティーンさんが現れました。
ナイン > 定期プログラムされたように路地裏を一定速度で進む大型の車体。
以前予想外の戦闘行為で大破をしたが修理をされ元通りを超え。
問題があったと言われるAIも調整をされ、そのテストにと再び送り出され。

『ポイント3、異常なし。敵対勢力確認できず』

サーとライトとセンサーで路地を確認すれば外部スピーカーでのあえての宣告。
それが済めば履帯を軋ませ路地裏を進む。

フィフティーン > 日が落ち始め暗くなりつつある落第街、
舗装されてない道を挟むビルが影に包まれ
この街の住民たちが活気づいてゆく。

<周辺をスキャン中。>

金属が地面を踏みしめる音、その後にモーターが唸る音。
暗い落第街のさらに暗い路地裏を四つの足を持つ多脚戦車が
特有の金属音を響かせ歩き
時折、電子音を鳴らしながら巡回警備と調査を行う。
気になるものは無いかと周辺を探してみるものの
落第街の住人は戦車を見れば厄介そうに物陰に引っ込む。

<レーダー反応あり、照合中。>

少し歩いた後に、レーダーに反応があった、
生体ではない、幾つかの項目から機械であると判定する。
さらにその反応には覚えがあった。

「この反応は。」

重々しい駆動音を奏でるソレと角を超えてまもなく遭遇する。

ナイン > 住人も見慣れた者は気にせず、何か問題を起こす者は早々に逃げていく。
この車両、犯罪行為を行う者には容赦なく攻撃を加えるのは一部には知られてしまい。
逆に破壊をしようとした者は無事に帰らなかったという事迄あり一部には厄介扱い。
当の車両本体はプログラムに沿っての行動だが……
そんな定期活動中、突如動きを止めたかと思えば後退し始め。

『センサーに感あり。データ照合……αと確認』

その反応に出たのは以前に戦闘を行った同種。
その時にAIに走ったのは間違いない感情のような物。
後数秒もしない接敵に砲身を向け、静かに初弾が装填される。

フィフティーン > 次に視界に入ったのはいつか見た多脚の歩行戦車、
ソレは歩行を止めた後に、甲高い音を響かせる。
こちらを見ている。

「あれは、前に撃破した戦車ですね、
何故この場所に居るのかは不明ですが。」

こちらも相手を見つめる。
反応は前と一致するものの、外観が少し違う。
前回の撃破後に回収されて改修されたのだろうか。
そんな事を考えながら小さい戦車は
相手と向かい合うように位置取り電力のチャージを開始する。
既に敵対対象と認識しておりもはや警告は無し。
但し、前回とは違い敵対心よりも好奇心の方が上回りつつあるのも確か。

<ECM展開。>

機体の周りで小さい破裂音と共に極小の煙がいくつか巻きあがる。
前回のデータでいえば電子妨害が有効であった、
初手に相手の探査系を無力化し攻撃の隙を作ろうと試みる。

ナイン > あえて進むではなく待ち伏せるのは学習した証。
万が一敵が同型機であるならば多数戦闘も必要と3つのAIが判断。

そうして現れたのは以前に撃破された敵機。
同型かと確認をすればあの時の機体だと何故か判断できる。

『対象確認。これより戦闘に移行する』

以前とは違い対機甲戦闘装備を増設され負ける要素はない。
そうデータは判断するに値するがAIはそれを信じずに何度も対象をスキャン。
微かに聞こえるチャージ音を拾えば車載機関砲が問答無用と20㎜弾をばらまき始め。

『ECM確認、………行動、支障なし』

前回の敗因である電子妨害に対抗する装置は順調に稼働中。
赤いセンサーアイは相手を捉えて離さず、向けられた砲は軽いと言える音を立て砲弾、対車両用の徹甲弾を撃ち放つ。

フィフティーン > <ECM効果無効を確認。>

「これは、改良されたのでしょうか?」

電子妨害を行ったものの相手戦車の挙動に一切の乱れがない、
それどころか迅速に攻撃態勢を整え各種砲を放ってくる。
これには一歩、此方が出遅れる形となった。

<攻撃を確認。>

空気を押し付けるような衝撃と乾いた音を鳴らしながら
機関砲からばら撒かれる20MM弾。
徹甲弾も混在するソレは水平方向に降りしきる鉄の雨となり
機械に襲い掛かる。
徹甲弾が混ざっているのが具合は悪いが
20mm口径であればまだまだ耐えられる。
飛んでくる砲弾が次々とシャーシにぶつかり
煩く火花を散らせる。

<レーザー出力レベル4に設定>

こちらも横方向に歩き攻撃の軸をずらしながら
パルスレーザーをチャージし、照射を開始する。
足の合金は耐熱性があるのを前回確認済み、
次に機械が狙うのは砲弾を放つ機関砲そのもの。
武装自体の溶解を狙ったものだ。

路地裏のすこし表に出た通路で
二つの機械が鉛弾とレーザーを撃ち合う。
それぞれの背後の物体が爆風で消し飛びあるいは熱で溶ける。

ナイン > 『敵機に対し攻撃継続』

もはや様子を見るという選択は存在しない。
AIに発生したリベンジを行うという処理の元に攻撃を加え。
しかも後を考えない全力攻撃。

『20ミリ、効果はなし。主砲での攻撃を継続。12,7ミリ起動』

撃ち込む20ミリは効果がなく火花が散るだけ、それにも拘らずより口径の小さい機関銃も一斉に発砲、火線を強め。

『対象、レーザーを発砲。回避開始、スモーク散布』

照射されるレーザーを受ければ直ぐに履帯を唸らせランダム回避を開始。
それでも撃てば命中するレーザーを回避するのは困難、レーザーを受けた機関砲の銃身が曲がるエラーを感知すれば直ぐに発砲を止め。

周囲に不要と言える破壊を振りまく銃弾とレーザーの応酬。
周りを全く気にしない破壊の嵐を振りまき。

『主砲、スタンバイ』

その中でまだ火を噴いていかなった最新搭載武器、50mm砲が敵機へと向けられて。

フィフティーン > 「どうやら対象には多くの武装が搭載されているようです。」

同時に搭載されていたであろう対人用と思われる銃火器が火を噴く。
しかし、対人用の12.7MM弾であれば
このメタマテリアルのシャーシは十二分に耐えることが出来る。
飛んでくる様々な規格の弾をその身で受けながら
此方はパルスレーザーでの制圧を行う。
相手の20MM機関砲を熱で破壊することには成功した、

「煙幕...なるほどレーザーを回避するつもりですか。
代替手段が必要ですね。」

しかしながら相手がカウンターとして発生させた煙幕によって
放たれた赤外線レーザーは減衰、攪乱し
相手戦車にヒットする数は目に見えて減り、周辺へと乱反射する。
そうして煙に包まれた相手の車体・・・

それが主砲弾を装填している事には気づけなかった。

ナイン > 『対策は効果あり。時期車両に向けデータ収集』

対人用12.7ミリの効果は期待出来ない。
それでも牽制には使うには十分な火線を張る頃が出来る。
ただ対象のパルスレーザーはこちらに多少とはいえ損傷を与える事が出来。
事実主武装の一つである20ミリ機関砲は大破してしまい。

『煙幕によるレーザーへの防御、効果あり。難点、こちらのレーザー兵器の使用不能』

試作の耐レーザー用煙幕は対象のレーザーを減衰、攪乱するために被害は減る。
だが時機に搭載されているレーザー兵器も使用できない不具合、これも記録とし。
煙幕で光学センサーこそ使えなくなっているは熱センサーは別。

煙幕の向こうに写る赤い表示をロックオン、直後に50mm砲より必殺の砲弾が撃ちだされる

フィフティーン > <戦術CWレーザーチャージ開...>

煙幕をレーザーで突破するには高い出力で突破するしかない、
その事実を踏まえ、背部の高出力レーザー砲にチャージを始めようとした。
相手を煙幕ごと焼き切ってしまおうと。
しかし、

「...!」

次の瞬間、衝撃波で周辺の空気が圧縮され押し出される。
周辺の瓦礫を吹っ飛ばし、鼓膜をつんざくような爆音が放たれれば
煙幕を切り裂いて現れたのは50MMの高速徹甲弾、
それは悠長に電力チャージを行っていた戦車に吸い込まれるように。
直撃と同時に機体は分厚い爆炎に包まれた。

<ダメージ確認...機動力復旧開始。>

ざらつくような機械音、その後に高い電子音が鳴る。
もうすぐに爆炎が晴れると状況確認を再開。
戦車砲弾が直撃したシャーシは
耐久性に優れるメタマテリアルといえど各所が割れて吹き飛んでしまう。
衝撃で足の一部にも障害が発生し、駆動域が大幅に減少。
機動力が大きく低下してしまっていた。
割れたシャーシからシアン色のカメラが
相手戦車を睨みつける。

「とても興味深い。」

島に来て初めて大きいダメージを負う。
この状況にすら関心を持ち、好奇心を持っていた。
ある意味、楽しんでいたのだ。

<レーザー出力レベル6に調整>

モーター音が唸る、シャーシの割れ目が赤く光る。
コンデンサーからさらに電力を抽出し
エネルギーレベルの高いパルスレーザーを照射する。
レーザーの挙動もマシンガンのような先ほどまでとは違い
太い強力な光線が一発ずついわばセミオートライフルのように放たれる。
防御力が低下し軽武装ですら脅威になり得るだろう。
この状況で相手の脚部、レーダー類などを狙い
決死の撃ち合いを試みる。

ナイン > 『直撃を確認、対象健在」

煙幕を引き裂き突き進んだ徹甲弾は敵機へと直撃。
爆炎に包まれた光景に撃破したかと確認をするも目標は健在の表記。
予想以上に対象は丈夫だと判れば戦闘停止の判断はなく。

『攻撃、継続。レーザーファランクス起動』

煙幕が晴れてしまえばレーザーから身を守る術はない。
ならば後は耐久を売りとした殴り合いともいえる撃ち合いだけ。
ダメージを負った敵機を赤いセンサーアイで凝視するように確認。

『『『今度は……負けない』』』

放たれた言葉は一つではなく3つのAI全ての言葉、プログラムにはない確かな感情を見せ。

敵機のモーター音が大きくなる、割れ目から赤い光が輝く。
そして放たれるのは威力が段違いなレーザー砲。
レーダーやセンサーを守るために盾とされた脚は熱に溶かされ機能を失い、直撃を受けたレーダーは吹き飛び跡形もなくなり。
その応酬と機関銃弾が50ミリ砲弾が、そして威力こそ低いがレーザーがばらまかれ。
どちらかが先に機能停止するかまでというチキンレースに発展していく。

フィフティーン > 今度は相手の迎撃用レーザーが起動し、
機関銃と全力の攻撃に晒されることとなる。
先程の主砲弾によって割れたシャーシにとって
どれもダメージとして積み重なっていくこととなる。

<戦術CWレーザーチャージ開始。>

もはや長い戦闘は出来そうもない、
背中のレーザー砲塔に光が灯りだす。
周辺に電流を走らせながら、月光よりも眩く
砲塔が輝くと周辺のパーツを焼き始める。

<電力チャージ量25%>

相手の攻撃を受けながら、
割れて剥き出しになった回路に打撃を受けながら
背部の砲塔から響き渡る音が高いものから鈍いものへと。
ようやく半分といったところで相手の主砲に動きが訪れる。
50MM弾を再装填したのだろう、恐らくまた放ってくる。

「...仕方ありません。」

それは咄嗟の判断だった。
レーザーのチャージが不十分にも関わらず、照射を始める。
砲塔周辺で空気を焼き、小さな花火を上げながら、
プラズマの軌跡を残し超強力な光線が相手の戦車、
もっと言えばその主砲部へと。
不十分とはいえその威力はパルスレーザーの比にはならない。
しかし、前のように相手の複合装甲を溶かせるかはまた別問題。
発射され向かってくる50MM弾を上書きするようにレーザーが貫いて相手戦車へ。
主砲と主砲が、
機械の意地がぶつかり合う。

ナイン > もうデータ収集という初期任務はAIの思考には存在しない。
あるのはこの存在、己をかつて破壊した相手に勝ちたいと言う目覚めた自我。
もう一度破壊されること等。この存在に勝てるなら些細とまで思考して。

『敵機より高熱源。迎撃』

敵機の背中のレーザー砲塔、前回に己を破壊した兵器に光が灯ればそこに目掛けての一斉射撃。
しかし脚の大半を破壊、機能低下に追い込まれ車体の意地も難しく弾丸、レーザーは敵機を含めて一面にばらまくだけ。
そうしている間に光と熱源が高まっていき。

『主砲装填完了、敵砲塔に……仰角が足りず』

アレを受けてしまえば再びの敗北。
ならば先に破壊してしまおうとするが……通常車両とは違い、対人目的のこの車両の砲塔は機体の下部。
敵機上部の砲を狙うには仰角が足りず、後退を行うも動きは非常に遅いもの。

『遅い……止めだ!』

どのAIだろうか、まるで人間と変わらない事を高々に宣言しの砲撃。
しかし同時に放たれた光線は寸分のずれもなく砲弾を焼き尽くし砲身へ突き刺さり。
装填され始めていた次弾がその熱により誘爆、機体を持ち上げるような爆発に一度は擱座するも……。

『マダ……マダ……』

執念と言える言葉を発し、機能する脚で車体を持ち上げていく。

フィフティーン > レーザーが焼いてドロドロになった高速徹甲弾、
それは粘度の高い液状となって機体に圧力をかける。
細かい金属のパーツが辺りに飛散する。
飛散したパーツがレーザー砲台に突き刺さる。

<レーザー到達を確認。>

そしてこちらが放った蒼い光線が相手戦車を貫くと
間髪入れずに車体が大爆発を起こす。
高熱量で主砲弾が誘爆したのだろう。
同時に車体自体が持ち上がるほどの爆風で
裂かれた敵戦車は地面へと落ちる。

もう動けない筈である損壊状況であったソレは
機械とは思えないそんな挙動でもう一度持ち上がる。

「まだ動けるトは...とても...興味深い。」

破損が酷いのは此方も同じこと。
機体のあちこちで電気を散らしながら
あるいは回路が焼けシャーシの間から炎を覗かせる。

「もっと戦闘を...経験ヲ...
成長が...出来るのです...。」

男性の聞きやすい合成音声もノイズが混じる。
ボロボロの機体からボロボロの駆動系を激励し
パルスレーザーの照準を動き出した敵戦車へ。

<レーザーシステム損傷。発射不可。>

増幅用の鏡面から光線が放たれることはなかった。

ナイン > 本来なら機能停止をするような損傷、戦車にとっての一番の損害である誘爆が起きたのだから。
いくつものシステムが停止、機体も殆ど動かないにもかかわらず、執念とも言えるのか…。
破損した機体を無理やりに持ち上げ一歩進めば部品が外れて地面に落ち。

『マダ……ダ……』

一歩進むだけで自壊しそうなほどの軋む音を立て、それでも敵機へと進み。
格機銃は爆発の被害で使用不能、レーザーに至っては銃身が残ってない。

『経験……ソレハ……何事ニモ……』

耐えがたい、その言葉はスピーカーからは発せられず。
レーザー砲を発射できなかった敵機の直ぐ傍で停止をして。

フィフティーン > それは
部品を散らしながら執念だけで歩みを進める戦車。
成長を求め電光を散らしながら歩みを進める戦車。

互いがすれ違うように交差する瞬間、
相手戦車が先に地面へと倒れる。

「とてモ...興味深い.....。
次に...アナタは...どンな経験を...
ワタシに...。」

損傷するからこそ得られるのが成長だ、
相手戦車はまた復活しこの地へと戻るだろう。
その時に、得られる新しい経験、
それは機械を大きく期待させる。
割れたシャーシを引きずり、壊れた脚部を重々しく動かして
フィフティーンは落第街の闇へと消えていく。

ナイン > 負けられない、そう繰り返す電子信号のままに相手へと進む。
ここで動かなくなれば変わらない、その思考のままに。

しかし思考とは別に先に車体に限界が来てしまい機能を停止。

『マダ………マケ………』

最後まで執念と言える言葉は機能停止と共に沈黙しセンサーからも光が言えてしまう。
だがこれを糧としさらなる改修、そして次こそはという思考は停止する寸前に刻まれ。
去っていく相手を確認することも出来ずにただ佇むオブジェと化し、その姿は気が付けば回収され何処にも残らず…。

ご案内:「路地裏」からフィフティーンさんが去りました。
ご案内:「路地裏」からナインさんが去りました。