2020/08/26 のログ
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」に鞘師華奈さんが現れました。
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
■鞘師華奈 > 本日は帰省から常世島へと戻ってきたとある友人と待ち合わせての屋内プール施設で遊ぶお約束。
常世広しといえど、プライベートプールみたいなのはあまり覚えが無いので探すのには苦労した。
が、偶然話に聞いたとあるお社の裏にそういう施設が最近出来たらしい、と聞いて早速予約をして――現在に至る。
「着いたよ睡蓮――しかしまぁ、何か凄いね、破壊神の社だってさ」
珍しいラフな私服姿に、着替えやタオルを詰め込んだ小さいリュックを肩に引っ掛けながら、隣に佇む少女へと声を掛けようか。
ちなみに例のチョーカーはばっちり着けている。と、いうか基本起きて行動する時は大抵着けているくらいだ。
「えーと、確か家の前に案内板があるとか聞いた気が…ああ、これかな?」
黒い石の置かれた祭壇のある社に、家庭菜園のある一軒家…その家の前に【プライベートプールはコチラ】の案内板。
――ここからでも見えるあの無機質な二回建ての建造物がそれらしい。
取り敢えず、ここで突っ立っていてもしょうがないので、友人を促してそちらの建物へと向かうとしよう。
入り口から中に入れば、正面には受付――そちらで「予約した鞘師です」と、受付の女性に予約確認をしてから、ロッカー室や更衣室へ繋がる奥の方へと通されるだろうか。
「さて、じゃあ行こうか。――しかし、まさか私が水着を着る事になるとは……うーーん」
■群千鳥 睡蓮 >
しばらくの実家への帰省は良いリフレッシュになった。
"行ってきます"の後に島に戻ってきて、寮のルームメイトや友人に"ただいま"を言うのは、
少し不思議な感覚だったが――まあ、でも、悪い感じはしなかった。
あの写真の。スーツがキマっている"かっこいい友だち"との関係は、
穏やかに迎えてくれた両親や姦しさ三割増しの姉たちには――まあ、
ぼかして伝えたころもあった。
「まさか本当にプライベートプール見つけてくるなんて……。
いやー、今年結局泳がずに終わると思ってたから、嬉しいけど。
ここ大丈夫なの……? 二人で入って生贄にされるとかそういうのない?」
お金持ちの道楽、というイメージのある遊びなものだったから、
お手頃な予算で遊べる施設というだけでも驚く。
あと店名にも驚く。まあ物怖じせずに入るんだけど。
――むしろ一番気をつけなければいけないのは隣の女性だし。
「うわー……おどろおどろしい内装かと思ったらすごい綺麗。
お金持ちの別荘ーって感じ、いいねいいね。
ご飯も食べられるのかな? まあそうじゃないなら鍵預けて途中でどっかに――
――ってなに!? ここに来てまだそこで渋るの!?あたしひとりに泳がせるつもり!?」
しげしげと楽しげに内装を見回して後、足取りは軽く。
カーディガンを脱いで、選んでくれた水着は――着てきてしまった。
だがまだ渋る様子だ。仕方がない。
「……それとも何、脱がせて欲しいとかそういう?」
ちょっと首傾げて挑戦的なことも言っちゃう。
ここは押してやれ。ホテルの時のように主導権を取られはしない。
■鞘師華奈 > 既に親類縁者――身内を亡くしている少女にとって、実家への帰省というのはとても新鮮に聞こえた。
正確には島の外の実家に帰る――という感覚だ。島で生まれ育った自分には未知数のもの。
彼女の家族の話は聞いてみたくもあったが、あまり根掘り葉掘り聞くのも躊躇われる。
でもまぁ、興味はあるので土産話ついでに聞いてみたいものではあり。
「――いやいや、そこはちゃんと私も確認してるから。これでも公安だから調査に抜かりは無いよ。
ちゃんと営業の届け出が出てるのも確認したし、そっちの書類方面も問題なし」
こういう”裏付け”みたいなのは、自身が所属する委員会の特性が活用される。
しかし、友達と泳ぎに行くなんて初めての経験だ――成程、私はワクワクしているらしい。
何処か他人事なのは、まだ実感に乏しいからだろう――入念に調べて予約して、と張り切りっていたのは分かり易いが。
あと、何かそれとなく警戒されている気もするが彼女のそれは正しい。何せ初対面でやらかしかけた前科がある。
(――うん、でもアレで踏み止まったから、今の関係もあると考えると…。)
私の理性もまだ捨てたものではないのかな、と思いながら隣の睡蓮をチラっと赤い瞳で見遣る。
あまりジロジロ見るのも流石に友人に失礼だから自重しよう――後で水着姿をたっぷり拝むつもりだし。
「うーん、流石に食事のサービスは無かった気がする。少なくとも調べた範囲では無かったね。
何か食べるなら一度抜けないとだから、睡蓮の言うとおり鍵を一度預けて外に出ようか」
受付を済ませて鍵を受け取り、片方を睡蓮に手渡しながら食事についてはその方針で。
さて、更衣室に向かいながらもこちらの呟きに睡蓮が反応すれば、肩を竦めて。
「あのね?泳ぐつもりじゃなきゃ流石に頑張ってプライベートプール探したりしないでしょ?
ただ、水着なんて多分初めて着るからそれなりに心の準備が私だって要るんだよ。
――まぁ、でも。確かに渋ってもしょうがないしさっさと着替えようか」
と、言いつつもまずはお財布とか貴重品はロッカーへとチョーカーはどうしようか迷う…が、付けたまま。
そして、更衣室に移動すればささっと服を脱いでからごそごそと水着を取り出す。
「……私は脱がせて貰うより脱がしたい方だから。……ふぅ、よし。」
水着を前に深呼吸。正直、まだ覚悟が決まっていないフシがあったが…女は度胸(?)。――いざ!
次の瞬間、例の”早着替え”にて一瞬で水着姿に変わるだろう。
■鞘師華奈 > そこには、黒のクロスビキニを纏い髪型をツーサイドアップからポニーテールへと切り替えた女が佇んでいた。
「…んーと…その…えー…なんだ…に、似合うかなこれ?」
■群千鳥 睡蓮 > 「はぁー、そっか、そういうのって公安の管轄……。
落第街のほうだとあんまりよろしくなさそーなお店もあったからねー。
最近行ってないな、カードに麻雀。 また今度足伸ばすかなー。
――あ、いいねいいね。 こっちのほうあんまり来たことないし!
美味しいお店、探そ。そしたらまた夜まで泳いで!」
体力は余りまくっている。一緒にお出かけ。心弾まぬわけもない。
服を脱ぐ――脱ぐ。 まあ、自分も。誰かと二人で泳ぐ、というのは初めてだ。
「……ああそう。 それじゃあさっさと着替えた着替えた!
ここで押し問答して貴重な時間を浪費しちゃうのもアレだしね。
っつーか、夏休み本当に早くてあと一週間もないとか信じらんな――早ッ!?」
こういう物言いは取り合ってはいけないやつだな?
下に着込んでいたものはといえば、ライトネイビーカラーのタイサイド。
トップスを複数のストラップで支えていて――あんたいい趣味してんな、って言ったのを覚えている。
「……ふーん? くっくっ……よく頑張りました。
脚やっぱ細いよな……羨ましー。モデルさんみたい」
相手へは肯定の姿勢。からかいすぎると拗ねそうなので、まっすぐ褒めるに留まる。
こちらも四肢のスパンや腰の引き締まり方。
体つきには気を使ってはいるけど、女の肉付きは日々成熟するばかりで。
太腿とか並ぶとあからさまに――そう。
こちらも露出度を引き換えに、ストラップトップスのせいで色々強調されるのは、
スキニーなどのお洒落を強要した対価だ――としても恥ずかしさが遅れてやってくる。
「……じゃ、さっさと行こ行こ! 泳ぎたいし。
どんな夏休みだったのか、まだ聞いちゃいないしさ」
手を引いて二階プールへ急ごう。妙に意識してしまうのはよろしくない。
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」に鞘師華奈さんが現れました。
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」に鞘師華奈さんが現れました。
■鞘師華奈 > 「落第街とか歓楽街あとは――常世渋谷も色々ありそうだね。最近は私的には常世渋谷辺りがマイブームだけど…。
…あーカードゲームとか麻雀かぁ。私あんまり詳しくないんだけど…うーん、嗜むくらいはした方がいいのかな。
――うん、良い料理があったら是非レシピとか知りたいね。…いや、夜までって私の体力が持つか心配だね本当に」
まぁ、こちらも相応に体力はあるので、彼女が望むならとことん付き合おう。
しかし、この水着姿というのは――落ち着かない、本当に落ち着かない。露出あれこれより女っぽい格好というのが気分的に落ち着かない!!
「ああ、早着替えは私の特技みたいなものだし…夏休み中にプールに来れたのは幸いかな。
まぁ、ここ屋内だし楽しめたらリピートもいいかもしれないね…」
そして、睡蓮の水着姿を眺める。何時もの緩い無表情で落ち着いているようだが…赤い瞳は彼女の水着姿をガン見である。
ちなみに、いい趣味してるというのは褒め言葉と受け取ったので、笑顔で軽くサムズアップした覚えがある。
「睡蓮だって――いや、見た事はあったけど、本当に成熟してるよね…まだ成長しそうな気がする」
特に胸が。女もそこそこはあるが、彼女に比べたらまぁそりゃ小さいだろう。
最終的にほぼ胸を凝視しているような感じになっていたが、我に返ればこほん、と咳払い。
「――うん、でも凄い似合ってると思うよ私は。――あぁ、でもあんまり周囲には見せたくないかもしれない」
小さく苦笑いして肩を竦める仕草は、何時ものスーツ姿などとは違う水着姿なのに意外とサマになっており。
成熟した睡蓮の体と対比するなら、こちらはモデル体型が近いだろうか。
「私の夏休みなんて大して変化もないし面白くないって。それより、睡蓮の土産話の方が聞きたいなぁ」
等と二人して雑談をしながら、時間も惜しいので移動するとしよう。
左手側にある階段を登って2階へと至れば、すぐにプールが確かある筈だ。
「着いた着いた…と。おーー本当にプライベート、って感じだねこれは」
屋内プールに到着すれば、ロングポニーの髪型を揺らしながら感心したように呟いて。
■群千鳥 睡蓮 >
「そわそわし過ぎでしょ……そんでもってじろじろ見んなってーの!
そーだよ。 他の誰かの眼があるわけでもないんだし。
……見せる予定も、ないよ。 保体取ってないし、人混み苦手だって言ったじゃん?」
女の格好。ということに妙な忌避感を持っている彼女に苦笑い。
――どうしても、性欲を向けられる、というのに若干の不慣れな感覚もあり。
掌を眼前にかざして視界を塞ぎながらも、まあ、――ご機嫌は取っておこう。
特別だ。選んでくれた水着だし、一緒に遊びたかったのは本当だ。
「……ほらー。 華奈、そゆとこ良くないよ。
あたしが。あんたがどういう風に過ごしてたか知りたいんだ、って。
そりゃもちろん、こっちは話すことたくさんあるけど――あんたのも。
聞かせてよ。話そ? 電話とかより、会って話すのが好きなんだよ、あたしは」
わかってねーなー、って。堂々としてるくせに、妙に自己評価が低い相手だ。
自分の中身が、まるで空っぽであると言いたげな。
それが妙に腹を立たせるので、拗ねたように彼女の手を引いてやる。
"こちら"へ、来てもらう。 ――まあそんなもやつきは。
「おー。 ……よしっ。
一番乗りもらいっ! やっほーうっ!」
ほんとに"お金持ちの道楽"の空間――であれば。
迷いなくプールサイドから踏み出して、そのまま踏み切った。
プールの中央まで軽やかに跳躍し、大きな飛沫を立てて躰を沈ませる。
――少しの間、その冷たい水のなかに躰を晒して。
「―――ぷっは! あははっ、つめたーっ!
いーのかなぁ、これほんと独占しちゃって!」
テンションが一気に上がった。
ばしゃり、と水面から顔を出して、犬のように身震い。
濡れた黒髪をかきあげて、黄金の双眸で華奈のほうを見て、笑った。
学校のプールをこっそりつかったこともあるけど、泳げなかったし。
■鞘師華奈 > 「――睡蓮?目を逸らしながら話すっていうのはどうかと私は思うんだけど。じろじろは兎も角、会話をしてたら自然と見ちゃうものさ。
――うん、まぁ私も睡蓮以外に見せる予定は無かったしね…」
人ごみはあまり好きじゃないのは同じく。それに、そもそもさっきまで渋ってた往生際が悪いレベルでこういう格好は苦手なのだ。
睡蓮以外でこういう姿を見せたい、と言うのは今の所は無い訳で…。
掌で視界が塞がれたら、やんわりとそれを退かしつつも視線は彼女の胸元から顔へとクローズアップ。
「――うーん、とはいえ、睡蓮が楽しめそうなネタは――…うわ、ちょっと?」
いや、あるにはある。”裏常世渋谷”――だが、アレは迂闊に友人に話したり巻き込んでいいものでもあるまい。
そうなると、何か別の話題。何かあったかな…と、赤い瞳がやや遠い目になる。
――もし、貴女がそう感じたのなら。きっと気のせいではないのだろう。
何故なら、鞘師華奈という女は過去に一度死んでいるのだから…その中身は少なくとも、一度は確実に抜け落ちている。
だが、それはそれ。睡蓮に手を引かれて”こちら”に体も心も引っ張られる。――きっと魂も。
「あ、こら睡蓮!軽く柔軟くらいは――まったく」
一番乗りでプールに豪快に飛び込んだ友人を呆れたように眺めていたけれど。
まぁ、二人きりだしここは防音もしっかりしていると聞くし遠慮はしなくていいのだろう。
浮かび上がり、犬のように身震いしてから前髪を掻き揚げた彼女の黄金の双眸を見つめて苦笑を一つ。
「―――なら、私も――っと!」
予備動作も無くひらり、と跳躍――睡蓮の隣へと空中で鮮やかに回転して頭から飛び込んだ!!
派手に水しぶきを上げれば、ぶくぶくと水の泡が浮かび上がり…次の瞬間、ざばぁっ!と、浮かび上がる。
「――ふぅっ!いやぁ、やっぱり悪くないねこういうの」
普段、あまり羽目をはずした様子を見せないが今は別だ。睡蓮へと赤い瞳を向けて笑みを返し。
■群千鳥 睡蓮 >
「あはははっ、華奈もやるぅ……泳ぐの得意?あとで競争しよっかー!」
飛び込みから浮かび上がった仕草。
その飛沫を浴びても楽しそうに笑いを弾ませるばかり。
誰かと遊ぶのは――好きだ。ごく当たり前のこと。ごく当たり前の日常。
それを享受できるのがどれほど幸せか、最近はとみに実感する。
「こんだけ広いところ、独り占めだもんね……。
レジャー施設だと、こういうの――ほら!
できないでしょー。 今後も空いてるなら、ぼちぼち来たいな、ココ」
指を組み組み、今更ながらぐっと背筋を伸ばして、軽くプールの床を蹴る。
水を含んだ髪を水面に広げながら、水面に寝そべるようにした。
天井と向き合う。天窓は閉まったままだ。日焼けは避けたい。
「カードと麻雀はさ、お小遣い稼ぎにやってんの。
服賭けたりしてレート上げたり!やりすぎると眼ぇつけられるからほどほどに、だけど。
――で? あれでしょ、渋谷! 常渋! 面白いとこあった?」
まずはこっちから、さっきの話題に食いつこう。
ゆらゆら。水面を漂いながら――、楽しそうに。
目の前のひとと、話したいのだ。
■鞘師華奈 > 「それなりに得意なつもりだけど、睡蓮もかなり運動神経良さそうだしねぇ」
彼女の跳躍力もそうだが、身体能力が高いと言うのは身を持って経験している。
そういえば、こうやって友達と遊ぶという経験は殆ど無かったな、と今更に思いながら。
「そうだね。まぁ予約制だからこういう贅沢できるっていうのもあるけど…。
睡蓮が良いなら、また来るのもいいかもね。予約の手順は私が分かってるし」
お互い人ごみが苦手だし肌を焼きたくない、となればこういう屋内かつ人ごみの心配が皆無のプールはありがたいものであり。
現実的な所だと、意外とお値段も学生にも届く範囲の料金設定なのが地味に有り難い。
睡蓮がプールの床を蹴って水面に寝そべるように浮かんだままプールを漂っていく。
こちらも後を追うようにゆるーい泳ぎで付いて行く。先ほどの飛び込みと違い、女の泳ぎは基本的に”静か”だ。
「服を賭けたりって…まぁ、睡蓮は勝負強そうだし引き際とか分かってるだろうからどうこうは言わないけどね。
――んー、例えば底下通りかな…異邦人がやってる屋台とか飲み屋とか色々穴場のお店があってお奨め。
あと、これはお奨めはあまりしないけど、風俗の店舗中心の常世街とか…それと、裏常――…こほん」
いかん、つい最後に漏れてしまった。どうも睡蓮の前だとガードが甘くなるなぁ、と思う。
■群千鳥 睡蓮 >
「屋台と飲み屋。ああ、ガード下みたいな感じ、かな?
本土にもそーゆーとこあるよ。 あたしはお酒飲まないからさ、あんまり行かないけど。
烏龍茶だけで入れそうなとこある? 焼き物とか煮物とか、そーゆーの食べたい!」
軽く脚をぱたん、と振って、波紋を残して彼女を置いて少し遠いとこまで泳いじゃう。
どこまでついてきてくれるだろう。
こちらは楽しく泳いでいる。運動神経は良いほうだ。
――まあ、あの時の騒動でともに落第街を駆け巡っている。誤魔化すのは今更だ。
「こっちはさ、お姉ちゃんたちと服とか色々買ったよ。
今日着てきたやつのもそう。また今度色々着てくから――秋ものとかも買いに行こうね」
そしてまた次も会おう、という。
常世島の日常に、華奈は深く組み込まれている。
と、視線を向けて、微笑んだ。水面に映る視線は――鋭い。
「それで――"裏"って?
そこ言いよどむのナシだと思うよ。あたしは。
――何聞かれたって、こたえるつもりなんだから」
やましいことでもあるの?って。
黄金の瞳は射抜くように細められた。
■鞘師華奈 > 「本土はねぇ、いずれは一度くらいは出向いてみたいものだけど…。でも、まぁ本土にもあるのは確かに聞いた事はあるね。
多分、睡蓮がイメージしているのと概ね違いは無いと思うよ。
そうなると、食べ専的な屋台になるかな――幾つかあったと思うよ」
と、散策した当時を思い返しつつ。まぁ、女は普通に飲み屋でお酒とつまみを軽く楽しんだりしていたが。
彼女が脚を使って、波紋を散らしながら少し遠い所まで泳いでいく。
ならば、と――音も立てずに、波紋も最小限に緩やかに加速して追いついていこう。
泳ぎの姿勢そのものは特に変えていない。体の使い方を若干変えただけだ。
「――ん?睡蓮は姉妹がいるんだっけ?私は一人っ子だったから、兄弟姉妹の感覚がよく分からなくてさ。
――えーと、さっきの服装は…タンクトップにホットパンツに…あとカーディガンかな。秋物…まぁ、私は相変わらずその辺りが疎いからサポート頼むよ」
と、この前の買い物と似たような事になりそうだけど、誤魔化しや去勢より素直にそう頼もうと。
勿論、ちゃんと自分自身で選ぶつもりでもあるが、如何せん今までお洒落にまっっったく興味が無かったのが痛い。
常世島の日常――睡蓮の中に自分が含まれているならば、その逆も当然だ。
どうしても、”目的”の為に日常から非日常を渡り歩く日々が増えそうなので彼女の存在には助けられている。
――とはいえ。うっかり襤褸が出てしまったなぁ、と思う。その微笑に反して――水面に映る黄金の双眸は鋭かった。
「あーー私とした事が迂闊だったかな…全く、気が緩み過ぎているのも考え物かなぁ。
――”裏常世渋谷”――調べてみたら噂とか色々情報で出てくると思うけど…。
一言で言うなら…常世渋谷の街並みをした”異界”、かな。
私はちょっと前に偶然その裏の異界に迷い込んでね。まぁ、色々あって助けられたんだけど」
そして、今は自らその裏常世渋谷を調査する探索者じみた事を仕事やプライベートの合間にやっている。
――自らの目的の為には、多少の危険を冒してでも裏常世渋谷に行く必要があるからだ。
「――まぁ、怪異とか色々出現したりする危険地域なのは間違いないね」
■群千鳥 睡蓮 >
「そ、さくねーちゃんとりんねーちゃん。
いろいろ教えてもらったよ。引っ張られなきゃずっと本読んでるだけだし、あたし。
――んー、おねーちゃん、ってほど離れてないからな、あたしと華奈って。
あんまり年上、って感じもしない」
それだけ気安い間柄でもある。大人っぽさ、を彼女から感じることもある。
15歳にとって、ひとつふたつの年の差であれ存外に大きく見えるもの。
それでも距離を近く感じるのはなんなのだろう。
眼を細めて彼女のことばをきく。
「……裏の、渋谷。 ……おなじ街並み?
どういう……ああ、鏡に映したみたいな……?」
なに言ってんだ――と胡乱な目つきで睨みかけたが、
冗談というには若干作り込まれている話な気がして、
顎に手を当てて天井に視線を向ける。
「……あの、服買いに行った時に。
一瞬――変な、道が……見えたきがして、三叉路に……。
あれ、かな。いや、あれは別口かもしれないけど――」
少し考えてから、はぁ、とため息。
「いかがわしいお店かなんかと思ってた」
と、疑った理由をあらためて口にしつつ、だ。
ばしゃりと音をたてて水から腕をあげると、前髪をあらためてかきあげる。
「そーゆーとこに出入りしてんだ、いま。
ずいぶん激しい夏休みだこと――それ、ってさ。
あの、一回死にかけた、ってのと関係ある?
"変な寝方"とか。 あんた、自分のからだに抱えてるでしょ」
■鞘師華奈 > 「でも、睡蓮って、そう聞くとインドア派っぽいけど、実際運動神経とか身体能力凄いし活動的だしずっと本だけ読んでるイメージはあまり無いんだよね、あくまで私から見たら、だけどさ。
――私は一応18歳だけど、別に年上ぶるつもりはないし、そういう年上の余裕みたいなのもないしね」
睡蓮とは3歳ほど年齢差があるとはいえ、それが如実に出る事はまず無い。
むしろ、睡蓮のほうが大人びていたり鋭い場面が多々あったりするくらいだ。
「――睡蓮、もしかしてだけど何かいかがわしい店とかそういう類だと思わなかった?
初対面の印象引き摺るのは仕方ないけどさ…別に好き好んでそういう店舗に行かないよ私は」
胡乱な目付きで睨まれても静かに赤い瞳で見返して。少なくとも作り話ではない。実体験済みだ。
そして、睡蓮の”思考”が始まればそちらに追い付きつつも、隣で佇みながら彼女の呟きを聞いていて。
「――ああ、三叉路とか交差点とか、そういう道が交わる場所は迷い易いらしいね。
ただ、”正しい手順”を踏めば自分で行く事も一応は可能だよ。私はそうやって赴いてる。」
やっぱりいかわがしいのと誤解してたかぁ、と溜息を零しつつも、彼女の推測には肯定の言葉を。
彼女が再び前髪を掻き揚げて、その黄金の双眸でこちらを見つめてくる。
それを、炎のように赤い瞳で静かに見返す――沈黙はどのみち肯定と同じだ。
かといって、嘘でその場凌ぎなんて睡蓮には通じない――何となく分かるのだ。
「――そうだね、正確には”死にかけた”じゃなくて”死んだ”…が、正解だけど。
――あぁ、そういえば睡蓮は私の寝顔も何度か見てるんだっけ。あまり人に見せないようにしてたからなぁ。
…私には目指してる”場所”があってね。…そこは異界じみた場所だから、同じように異界である裏常世渋谷で色々と情報や、異界でも通じる道具と術式とか手に入れたいんだよ。
―――その、目指してる場所が私が一度”死んだ”場所でさ。…探したいんだよ私は」
私が何で今こうして生きているかという理由と。あの時、自分が死んだ後で何が起こったのか。
そう、それをハッキリさせないと――私の”物語”は止まったままだ。
■鞘師華奈 > 「私は死人(デッドマン)なのか、蘇生させられたゾンビの類か、それとも人間なのか――ハッキリさせたいんだよ」
■群千鳥 睡蓮 >
「……本読んでると独り言すっごいみたいで」
癖なんだけど、と気まずそうに言う。
実際先日禁書庫で不思議な少女と会った時も、だいぶ"喋って"いたはずだ。
他人に文学少女、という印象を持たれたいわけでもないし、と。
「さっきの視線とか見てるとどーもそう思っちゃうだけ。
……だからこういう格好してるひとたちが多いとこには、
あんまり行かないでくださいねってことー」
胸を強調するストラップの一本に指をかけて、ぱちんと弾いて。
彼女が自分を周囲に見せたくない、と言うなら。
これくらいの我儘は――許されるのか。ため息は青くなる。
友達づきあいが上手いわけではないから、こういう――名状しがたい関係は。
なにもかも手探りだ。
「……………なるほど?」
彼女の言葉をあらかた受け止めた後。
視線をあらためて天井に向けて、ぷかぷかと水面に浮かびながら。
指先を唇に這わせる。考えている仕草。
「要するに華奈さんの……"唯一の生き残り"になった時の。
いまの"鞘師華奈"のルーツ……正体?
まあ、そう……、"世界"の、一番の謎は、"じぶん"だから」
わからないでもない、と幾らか理解を示すものの。
「それがわからないと何も始められませんってことね。
いつ心臓が停まるかも、寝たらもう目覚めないかもしれないから?
――実際あの寝顔みたときさ、ほんとうに起きるか不安になった。
白雪姫、……いばら姫。 毒りんごか棘の呪いか……」
ぶつぶつと独り言。
本を読んでいるときみたいに――そうして、ぐっと水に漂いながら伸びをして。
「探して見つかるともわかんないもののために。
そんなヤバいところに出入りしてます、ってこと?」