2020/09/23 のログ
ご案内:「常世学園付属常世総合病院・中庭」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ >  
病室を抜け出して、中庭。
緑さざめく芝の上で、よいしょ、と正座をして座る修道女が一人。
現在は、黒い検査衣を着ているだけの入院患者ではあるが。
昼の陽光に照らされ、金色の髪は眩しいほど。

更に長くなった金髪を芝に垂らしながら、目を閉じて。
ところどころ腐っている部分はあれど、自分の身体の復調を感じる。

「………………おおよそ完調に近いですかね。」

目を開けば、鮮やかな緑色が広がる。
視界がモノクロに染まるのも、頻度はだいぶ減ってきた。

左の手も、日常生活には不便しない。
 

マルレーネ >  
「………戦う力をちゃんと取り戻さないといけないですね。」

この世界に来て、戦う必要は無いと思っていたけれど。
それは、誤りだった。

戦える人間は戦わねばならない。特に、大人ならば猶更だ。
真剣な表情で、そっと手元に引き寄せた小さな枝を見る。

人の肘から指先程度の枝。
 

マルレーネ >  
その枝を手にとって、まっすぐに念じる。
枝の先端にまで魔力が行きわたらせて、地面にそっと先端をあてがえば。

ぐ、っと力を入れるだけで、その地面が豆腐か何かのように、とすん、っと枝がまっすぐ突き刺さる。

「…………まだ力はちゃんとあるみたいですね。」

少しだけほっとする。
これができなくなったら、もはや一般人と変わりない。


退院したら、もっとがんばらないと。少しだけ吐息を漏らして、青空を見上げて。
 

ご案内:「常世学園付属常世総合病院・中庭」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「旅館「山椒館」」に日月 輝さんが現れました。
ご案内:「旅館「山椒館」」にマルレーネさんが現れました。
日月 輝 > マリーが退院した。
入院中は携帯デバイスを買い出したり、本を届けたりとしていたし、それとなく様子を見たりはしたけれど、
それらは所謂月並みなものであって、何処となく他人行儀なものだった。
だって、大変だから入院をしているのに根掘り葉掘りを問うなんてしたら、花は枯れてしまうものでしょう?

「──と、言う訳で此処が山椒館名物……名物なのかしら。
 ちょっとわかんないけど、岩風呂ってやつ。一応郷土研究部監修のいわゆる日本らしい露天風呂。らしいわ」

時期尚早の秋の夕暮れを頂く岩風呂はあたしから見ると古色蒼然と映る。
本当は、自分の好みの煌びやかで華やかな所でお祝いを──と思っていたのだけど、
不思議と最終的に選んだのは故郷の文化が色濃い所だったわ。

「あたしからみると……まあ普通って奴だけどさ。マリーから見るとどう?こういうの。
 いわゆる日本文化ってやつらしいけど。ちなみにそれは掛湯ね。浸かる前に浴びるやつ」

目隠し以外一糸纏わぬ恰好で、観光ガイドもかくやに言葉を並べ、本日の招待客ことマリーの返事を待つ。
きっと病院で交わした言葉よりも雄弁で、きっと病院で述べた言葉よりも感情が入る。

もしかしたら、少なからず死の匂いがある病院で、色々な話をするのが怖かったのかもしれない。
そんな事が脳裏の影に転がっていた。……かもしれない。

マルレーネ >  
おおよそ8割。
身体が元に戻ったところで、ようやく退院の許可が下りた。

その次の日は前々からのお約束。どちらかといえば病院ではすぐに帰ってしまった少女ではあるが、この日のためにしっかり準備をしてくれていたらしい。
そういうものは遠慮しようとしたものの、押し切る力は圧倒的に相手の方が上だった。

「岩風呂、ですか。
 あれですよね、山とかに湧いてる温泉を模したっていう。」

覚えてますよ、と掌を合わせる。

「思い出しますよ、旅の途中にこういうのがあると、とりあえず近場で火をおこしたりして。
 一時期はフェンスみたいなもので囲って入ったりもしましたねー。

 こういう自然のお風呂が文化なんですか?」

少しだけ興味深そうにしながら、掛湯の桶を持ち上げて、そいや、っと頭から被る。
 

日月 輝 > 「山野に湧く天然温泉を模した……という奴ね。
 わざわざとこういう様式にするのは庭園文化とかなんやかんやあるんでしょうけど……
 生憎あたしは郷土研究部じゃないから知らないのよね。後で宿の人に聞いて──」

掌を合わせる横で此方は芝居がかった所作で肩を竦めた。
由来を知らないからでもあったし、マリーの言葉に困ってしまったからでもあったわ。

「うっわワイルドね……入浴中に襲われたりとかしなかった?
 ほら、マリーの世界って怪物が普通にその辺に居たんでしょ。
 そっちにはこーゆー自然っぽいお風呂文化。みたいなのは無かったの?」

それから、掛湯を使って体を流しながらにマリーを見る。
当然と彼女も裸で、金色の髪の毛であるとか碧眼であるとか、
どちらかと言えば日本人的ではない体型であるとかが判る。

かといって彼女の世界のお風呂が欧米的な入浴施設であるとも思えずに、雑談的に異世界文化を問う事にもなるわ。
……マリー、夏のBBQの時と比べると少し痩せた気もするけれど、きっと気のせいよね。

マルレーネ >  
「ありましたよー。むしろ、一番危険ですよね。
 野生動物なら、焚火をたくさん焚いたり。
 賊がいそうなら、トラップをしかけたり。

 そう、ですねぇ。 自然というより、むしろ手の入ったお風呂の方が豪華、ってイメージにはなりますかね?
 ほら、話した通り、自然のままだと危険ですからね。」

あはは、と笑いながら顔をごしごしと擦って。
体型はいつもは完全に隠すような修道服だから、そういう意味では初めて見せるかもしれない。
視線を集めるスタイルではあれど、見られても特に気にせず。

どちらかといえばやせたこともそうだが、肌が少しだけ白くなっていることも分かるかもしれない。
 

日月 輝 > 目隠し裏の眼差しは訝し気に歪んでいた。
マリーの語る彼女の世界のお話は大体が複雑怪奇であたしの理外にあるもので、
今回のお話もまたそうであったから、あたしがそうした反応になるのは"いつもどおりのこと"だった。
そういった他愛の無い日常。

「あー……そっか。天然温泉の傍に山賊とか野盗みたいなのが待ち伏せてるのね……」

野生動物は解るけれど温泉強盗は予想していなかった。
そうであるなら、豪奢な造りの大浴場とかのがマリーの好みなのかもしれない。
或いは豪快な?頭から掛湯を被って顔を擦るのは中々どうして男らしさに溢れていたものだから。

「ふふふ、そりゃあ次は手の入った所も。と言う所ね。あたしの財布が届けばだけど。
 ……それはそうとマリー、少し痩せた?病院の御飯って美味しくないとは聞くけど食べないと駄目よ。
 あたしが言うのもなんだけどさ。」

釣られて笑って、会話をしながら岩風呂に浸かり、それからと無遠慮にマリーの二の腕に触れた。
元より細い側の言うことでも無いけれど、色の抜けた風船を少しだけ想起して口元が曖昧に歪みもする。

「痩せる時は胸からって言うし。プロポーションが崩れたら勿体無いものだしね。
 マリーが元気無いと皆心配するでしょうから」

皆。
彼女に尽力した様々な人達のこと。

マルレーネ >  
「そうですね、それに天然温泉といっても、人の手が本当に入ってないんで、ちゃんと入れるなあ、なんてところ珍しいんですよ。
 すごい濁っていたり、硫黄の香りが強すぎたり。」

自然と共に生きてきた、ある意味野生のシスター。
相手の言葉を受けて、ころころと笑う。

「でも、懐かしいな、とは思いますよね。
 こういう岩に服をひっかけて、お風呂に入ったりとかはしたものです。
 私は、逆にそういうところを誰かと入ったことはないから新鮮ですけどね。」

「あはは、病院のご飯は食べてますよ。
 ただ、ほら、運動をする分筋肉は落ちたかなって。」

触れば、二の腕はぷにりと柔らかく。

「何言ってるんですか、もうすっかり元気ですよ。
 やることもたくさんありますし、休んでる暇なんてありませんからねー。」

なんて、指を立てて笑顔。ふふーん。
 

日月 輝 > 「沸いてるだけの泥水。みたいなところは流石に入れないでしょうしね……。
 でも懐かしいのなら良かった……のかな。そう思えるってことは、多分に良い思い出でもあった。
 そういうことでしょうし」

脳裏に浮かぶのは坊主地獄さながらに泡立つ沼地。硫黄の刺激臭も色濃い中で呆然とするマリーの姿。
傍には誰も居なくて、裏付けるように彼女の言葉が追従する。そんな一人旅模様。

「ふうん、じゃあ今の内だけの感覚ね。またいつだって一緒に来れるもの。
 こっちの世界じゃ旅は旅行。楽しむ為にするものだから、いつか独りで浸かる事が新鮮にもなったりしてね」

想像の一人旅模様を湯気に紛らわせる中、触り心地のよい二の腕に確かめるように触れていると
すっかりと事件以前のように戻ったかのような振舞いをするものだから、
あたしは指を立てる所作を邪魔するように彼女の脇腹に指を滑らせる。主に、擽る為に。

「そっちこそ何言ってるのよ。病み上がりでしょ病み上がり。
 あんたがやるのは休むことよ。修道院はエルネストさんが務めてくださっているし。
 学校の方だって事情を斟酌してくれようもの。それでも元気だって言うのなら、
 あたしが検診の一つでもしてくれようぞ~。なんてね」

おどけるように言葉を崩し、けれども指は崩れず水面下。
いざいざとマリーの笑顔を笑い顔にせんとするわ!

マルレーネ >  
「あはは、まあ、いい思い出ばかりではないですけど。
 それでも、懐かしくは思えたりしますね。」

肩を竦めながら、そういうものですかね、と指を顎にあてる。
これが当たり前となる、のだろうけれど、未だにピンとこない。

「にひゃんっ!?」

脇腹を滑らせれば、思わず変な声が出てしまって、ざばん、っとお湯が波打つ。

「だ、ダメです、ダメですってば!
 うう、いやその修道院が一番不安っていうか。
 あは、あははっ、あはっ………んんっ!」

笑いながらも、妙に悩ましい声を出してしまって、口を手で塞いで我慢しようとする。首をぷるぷると横に振って。
 

日月 輝 > 擽り触れる。
湯の暖かさ越しにマリーの、確かに生きて此処に居る人の体温に触れる。
脇腹からお腹へ、伴って上がるマリーの声は歓声とも抗議ともつかない。
けれど、生きている人の声な事は解って、判る。

それを心の底から、良かったと思えた。

「やーだマリーったら変な声出して、もし本当にお医者様の検診だったらどうするのよ。
 別に、他にはだーれも居ないのだから我慢しなくたっていいのに──って修道院、不安?」

はた、と指が止まるのはそうしたマリーの言の葉に齟齬を感じたから。

「お知り合いでしょ?エルネストさん。BBQの時にも居たし、なにより此方の世界の神父さんだし。
 あたしはてっきり異世界宗教交流でもして知り合ったのかなあ。なんて思ってたんだけど」

ちがうの?
そう訊ねながらに、曰く筋肉が落ちたらしい腹部を抓もうとする。
でもしなやかで、均整がとれていて、無駄なお肉を感じさせなかった。

マルレーネ >  
「くすぐったいのだめなんですってば。
 我慢、っていうか、その。 恥ずかしいですからね。」

とりあえず手を止めさせようとしたところで止まってくれて、はー、っと吐息が漏れる。
頬が真っ赤になってしまった。その頬を手で押さえながら。

「………んー、神父さん……ではなかったような。
 神父の真似事をしてみた、って言ってましたからね。
 まあ、彼なりにこう、違和感を無くそうとしたんだとは思いますけど………」

大丈夫かなぁ、なんて溜息をつく。
パンツ盗るし。 パンツ盗るし。 あとパンツ盗るし。

「ひゃぃ、んっ!?」

また今度はお腹を摘ままれて、やっぱりくすぐったがった。
 

日月 輝 > 「あら、良い事聞いちゃった。覚えておきましょうっと」

マルレーネは擽りに弱い。なんてことはとっくのとうに知っている。
改めて口に出し、口元を意地悪い魔女のように歪めてみせて差し上げる。
これも、他愛の無い日常。

「……で、神父さんじゃなかったんだ……。
 凄い堂々としてたからてっきり留守居役をしているのかなあって……
 ……あれ、ということはもしかして、留守番とか彼が勝手に?」

上気した顔で溜息を吐き、次には再度頓狂な声をあげるマリーに顔を向ける。
目隠し越しでも視線を向けているだろうと解る角度を向け、それからと手を離すわ。

「……でもまあ、悪意とかは感じなかったし。あたしはいい人だと思ったわ。
 マリーの為にやった。のは間違いないでしょうし、人徳よ人徳。
 神名火さんや山本君が手伝ってくれたのもそうでしょうし、他の方だってきっとそう。
 もう心配かけちゃ駄目よ──なんて、年下のあたしが言うのも変だけど」

今度は彼女の濡れ髪に触れ、頭を撫でるように。

「ま、この世界1年生のマリーに対し、あたしはこの世界16年生だからね」

務めて先輩風を吹かしてみせもする。

マルレーネ >  
「堂々としてるから………堂々としてるから怖いんですって。
 代理とかじゃなくて、本物だと思うわけですよね………。
 いやまあ、悪意とかは全く感じないので、それはそれでもう怒ってないんですけど。」

遠い目で溜息をついて。

「………そうですね、心配をかけないようにしなきゃ。
 本当にやることが多くて困っちゃいますね。」

くすくすと笑いながらも、油断をしているのを見れば。
すすす、っと後ろに回ろうとする。

「意地悪するなら私だってお返しくらいしてもいいですよね。」

とりゃ、っと後ろからがっちり確保する。パワーこそパワー。右腕でがっちりと抱きしめて、左手で脇腹を狙う。
 

日月 輝 > 「あたしが訪れた時、神父様みたいな恰好で堂々と腕を広げて歓待してくれたのよね。
 あんまりにも自然だったから……次会ったら何て言葉をかけたものやら」

神父のようで神父ではないエルネストさんについては一先ずとしましょう。
夕暮れの空を見上げると爽やかな彼の笑顔が浮か──ばない。

代わりに溜息を浮かべるように吐いて、次には言葉ごと止まる。

「はぐっ!?な、ちょ……マリー!?」

背後からマリーの腕が確とあたしを抱えたからよ。
勿論両手で掴んで脱しようとするけれど、
歴戦の旅人の腕力は、入院生活で些かに衰えたとはいえ、あたしの敵うものではなかった。
触り心地の良い二の腕の恐怖と、背中に当るそれはそれは女性的な柔らかと、脇腹を這う指が特に理由なく(要出典)あたしを襲う。

「ひゃっ、ゃ……あはは、はひ……マリーちょっとやだ、意外と慣れひへ、あははは!」

湯気の籠る岩風呂にあたしの悲鳴が染み渡る。
もがいても、もがいても、掴む藁なんてありはしない。

マルレーネ >  
「本当、まあ、………悪意は無いとは思うんですが。
 何するか全く分からないので、それはその、驚くばっかりで。」

よいしょ、っと抱き上げながら自分の膝の上に抑えるようにして。

「………ふっふっふ、私がずーっと一人でいるわけないじゃないですか。
 いつまでもやられてると思わないことですねー。」

ふっふっふ、と笑いながら。
左腕で抱えたら、正直一寸だけ不安があったけれども。
右腕ならばそう簡単にはいかない。

「……参りました?」

なんて、左腕を離せば、両腕でぎゅっと抱きしめながら満足気。
柔らかい椅子になってあげて。
 

日月 輝 > 「──……今のあたしからすると、今のあんたの行動にも驚くばかりなんだけど」

お湯の中であるから、あたしは容易くマリーに抱えられるような姿勢。
そのまま凭れても彼女は倒れない。それを頼もしく思う。

「……思わないったら。マリーの世界のことは解らないけど……
 こっちの世界じゃあなたは独りじゃないんだから」

マリーの視界はあたしの背中が塞いでいるから、別に良いかと目隠しを取った。
視界を開き、左右合わせて4つの瞳が空に現れ始めた月を視る。

「ええ、参った。参りました。こうさーん。
 あたしは堪え性なんてないからすーぐ手をあげてしまうわ」

万歳をするように諸手をあげて、更に凭れて寄りかかり

「だからねマリー。あんたも何でもかんでも堪えないでさ、独りじゃないんだからさ
 大変な時は無理をしたらだめよ」

ついでを装い泡のような言葉が出た。
彼女はどうであれ歩いて行ける人で、その道行をどうこうしたいのは、あたしの我儘で。
ただ、ずっと一人で居る訳無いとマリーが言ってくれるなら、誰かがそうなってくれたらいいなと思うの。

マルレーネ >  
「そうです? やられたんでやり返したんですけどー?」

もたれかかられても、特には気にしない。
優しく抱っこをするような恰好のまま、目を細めて。

「んー………特に堪えてる気はしないんですけどね。
 困ったときには、ちゃんと困ったって言いますしね。」

相手の言葉には、少しだけ首を傾げる。
本人には、全くその気がないのだ。
だからこそ性質が悪い、ともいえるが。
 

日月 輝 > 「因果応報って奴ね……ええ、人を呪わば何とやら。
 今度やる時は仕返しされないように徹底的にやるわ」

ふ、と芝居がかって鼻が笑って、次には背後からの困惑した声に落胆する。
取った目隠しをきちんとつけ直し、柔らかくなった抱擁から脱し、改めてマリーと正対するようにするわ。

「本当にぃ?マリーってどうも我慢強いというか、面倒事を押し付けられてそうというか……
 BBQの時の準備とか後片付けもそうだし……微妙~に心配なのよねえ。……えい」

堪えてる気はせず、困窮すれば声をあげる。
宜しい、そうであるなら如何にも困らせてやろうと、あたしの右手がマリーの形良い胸に触れた。
触れた、というか掴んだ。勿論形ばかりだけれど。

マルレーネ >  
「もー、何言ってるんですか。
 んー、まあ、アレは自分がやるべきだと思ったからやっているだけですし。
 何より、みんながたくさん参加してくれたので、ちょっと嬉しかったですし。」
「落第街の方だって、困っている人はたくさんいるので、それを少しでもなんとかできれば、と思いますし………。」

優しい言葉をつらつらと唇から零していれば、ふにゅん、っと指が触れて。

「……ひゃ、っ……!?」

か、っと赤くなる。

「……あ、あの、………その……?」

触れられながら、えっと、えっと、と焦る顔を浮かべる。
怒らないし逃げないけれども。
 

日月 輝 > 柔らかい。
シスター・マルレーネの言葉はとても柔らかくて、優しい。
その善性に付け入る誰かが居ない事を祈りたい気持ちになる。

──ついでに、手に触れる彼女の乳房も柔らかい。
触れながらに我が身を視ると、平坦な肢体が良く判って、緩やかに頭を振る。

「……いえ、ちょっと困らせてやろうかと思ったんだけど。
 困った時には困ったって言うなら……言ってくれないとあたしがむしろ困るんだけど……」

おずおずと手を離す。困るは困るでも困惑はちょっと想定外だった。
はて、そうなるとマリーが困ることって何かしらと、彼女の焦る顔を他所に考えてみる。

「……んー……マリーってどういう時に困るの?
 そういえば聞いた事なかったわ」

考えても浮かばないから聞いてみましょう。
最初から聞けと言われたらその通りだけれど、多分、つい勢いとかもあったのかもしれない。