2020/10/01 のログ
ご案内:「第四特別教室本部」に四方 阿頼耶さんが現れました。
ご案内:「第四特別教室本部」に鞘師華奈さんが現れました。
マキノ夫妻 >  
常世島の港付近にぽつんと建てられた一見の家屋。
何の変哲もないそこは、家主の『マキノ』という夫婦が生活をしている。
常世島の島内住人であり、島の物流関係の仕事を行う教師だ。

学生といっても、教鞭を振るっている訳ではない。
常世島にて生活している、違法ではない入島者。
そのうちの、インフラを支えている正規の”部活”に所属し、運営している者。
学園都市として特殊な形態がなされているこの常世島でも、経済を回すのならば当然存在しなければならない”普通の一般住人達”だ。
異能者、異邦人が集まるこの島にとっては、特に目立つ事すらない、ただの住人。

「おっと…いらっしゃいませ、鞘師さん。
 どうぞ、お茶でも飲んでいってください。」

その家に、一人の女性が入っていくだろう。
何も不自然な事はなく、ただ普通に、客人を迎えるように、マキノ夫妻はそれを招き入れる。

「最近は寒くなりましたね。温かい飲み物の方がおいしくなってきました。」

そんな雑談をしながら、招き入れた女性を居間へと案内し、キッチンへと飲み物を用意しに行く。
中は何の変哲もない、ただの、居間だ。

鞘師華奈 > 常世港から適度に近い場所にある一軒の家屋。一見すると何処にでもあるありふれた民家だ。
家主のマキノ夫妻とは少なからず交友があり、本日はある目的の為に夫婦の元を訪問したスーツ姿の女。

「やぁ、どうもマキノさん。お構いなく…と、言いたい所ですが折角ですし頂けますかね?」

親しげにマキノ夫妻と挨拶を交わす黒髪に赤目が特徴的な女…首元には黒い革製のチョーカーが際立つ。

「そうですね…熱いコーヒーが好みですが、緑茶も偶に飲みたくなりますね。」

そんな、何処にでもある世間話のような軽い雑談を交えながら夫妻に居間へと通される。
ゆっくりと中を見渡す…ごく普通の、だが落ち着いた雰囲気の居間…家主の人柄が出ている。

「ああ、そうだマキノさん――…『お手洗いは右ですっけ、左ですっけ』?」

それは何の変哲も無い、ただ手洗いの場所を聞いただけのような気軽な問い掛けだ。
だが――…それこそが符丁…勿論、彼女”達”以外に知る者は居ない。

マキノ夫妻 >  
「あぁ―――お手洗いですか。
 それなら、”廊下の左手です”」

柔らかくそういって、どうぞどうぞ、と。

言われた通りに行けば、廊下には右手に1つ、左手に1つ扉があるだろう。


















左手にある扉は”さっきまでなかった”扉だ。
その扉を開ければ、その先には、下りの階段が続いているだろう…

鞘師華奈 > 「どうもすみません、じゃあ少し”お借りします”ね?」

マキノ夫妻の言葉に薄く笑顔で会釈を返しつつ、そのまま居間を出れば、左右に扉が一つずつ――だが、左手の扉は先ほどは無かったものだ。

その扉を躊躇無く開けば、その先は地下へと真っ直ぐに降りる階段が姿を現す。
その階段を慣れた足取りでゆっくりと下りていく。そんなに長い距離ではないが、相応に深い。

そして、やがて階段の終点には扉。その扉の前に立てば、まるでモールス信号のように特定のパターンで扉を数回ノックして待つ。
マキノ夫妻との会話で出た符丁、そしてこの特定のパターンのノックによる身分証明。単純だが下手なハイテクより優れている。

四方 阿頼耶 >  
「どーぞー。空いてるから入ってきていいよ?」

扉の奥からは気の抜けた男性の声。
貴方の”上司”に当たる人物の声が聞こえてくるだろう。

…曰く、昔海底基地として宇宙飛行士等が訓練に用いていた施設を改造したものという。
今では公安委員会の一部署である”彼ら”の本拠地として利用されている、ある意味での”我が家”のようなものだ。

扉を開ければ、そこは”窓から海中が見える”ことを除けばいたって普通の、洋風のリビングが広がっている。
テーブルの前には、4人の人物が座っているだろう。

どれも見知った顔ばかり。
一人は小さな少女。一人は、大柄だが優しそうな、マスコットのクマのような外見の男性。
そしてもう一人は金髪の、女性のように見える、不機嫌そうな顔をした彼女の”友人”
そして……

「やっほ。
 いやぁ、悪いね急に呼び出しちゃって」

中央に座る青年が軽そうな口調で声をかける。
髪の毛を軽く後ろに流した、サングラスをつけた青年。
この基地の”リーダー”の青年だ。

鞘師華奈 > すっかり聞き慣れた気の抜けたような”上司”の声に、やれやれ相変わらずだなぁ、と思いながら扉を開けて中へと入る。

「…済まない、少々遅れて悪かったボス。……私が一番最後みたいだね。」

上司である男と、同寮3人の姿を順に見て肩を緩く竦めつつ。丁度”友人”の隣が空いていたのでそこに腰を下ろす。

「さて、と。メンバー全員召集とか――もしかして緊急の案件かい?ボス。」

第四は他の公安の部署と比べても人員が特に少ない。本当は”もう一人”居た筈だが、その彼も今は風紀委員の所属だ。
ネクタイを軽く緩めながら、ボスへと視線を向ける。この上司はさらっと無茶な指令を時々出してくるから油断ならない。

四方 阿頼耶 >  
「俺とゾネさんとアールマティはここ住みだから謝る必要なんてないない。」

そう言いながらテーブルに出された芋羊羹をぱくっと食べ、ひらひらとすれば「君もどう?」と差し出される。
今日の茶菓子は彼の用意したものらしい。
第四特別教室の会議があるときは基本的に誰か一人が茶菓子等を用意するのだが、夢莉の場合は激辛菓子、ゾネ…と呼ばれた大柄の男性の場合は作りたてのホットケーキ等が用意される。
青年…四方の場合は、彼が好きな和菓子系の甘味が基本だ。

残りの一人…というか一機。
アールマティは何も用意しない。外見は少女だが、中身が機械の為に何を用意すればいいのかあまり分からないとか、なんとか。

「緊急じゃないけど、ま…久々に”表”でウチらの存在をアピールしようかと思ってね。
 ゾネさん、例の奴だしてちょーだいよ」

鞘師華奈 > 「まぁ、私は寮暮らしだしユウリも”家族”が居るからね…。」

隣の友人に軽く笑みを向けつつ。このメンバーとの仲は良好だが、一番親しいのは隣の彼だろう。
相変わらず不機嫌そうにも見えるが、それも見慣れたものだ…何せコンビを組む事も多い。

「和菓子…って事はボスが用意した物だね。前回はユウリ、その前はゾネさんだったから…」

次は私かなぁ、と呟く。噂の『ラ・ソレイユ』で今度洋菓子でも買って来ようか。
特にローテーション等はないのだが、何となく次は自分の番のような気がして。
アールマティ…この少女は色々と特殊なので、まぁしょうがない。
ともあれ、ボスから差し出された芋羊羹を一つ頂く……む、美味しい。相変わらずチョイスが的確だ。

「――ああ、他の公安の部署も一部が”やる気”出してたみたいだし、何かあるとは思ってたけど…。」

さて。今回はどんな難題なのやら。”遊撃”の側面が強い第四は、相応に無茶な仕事も回される。
取り敢えず、ボスの言葉にゾネさんへと赤い視線を向けつつ静かに説明を待つ。

大曾根真澄 >  
「てことで、僕の方から簡単に説明させてもらうよね。」

そういって、大柄の優しそうな男性の方が話を切り出す。
大曾根真澄。
公安第四特別教室の、技術顧問をしている人物だ。
主に第四特別教室で扱う事になった案件の情報をまとめたり、会議の進行を四方の代わりにやったり……
まぁ、つまるところここの雑務をほぼ一人で賄っている、縁の下の力持ちだ。

普段は一応学園の教師という立場らしく、偶に学園の方でも顔を見るだろう。

「裏常世渋谷。
 名前くらいは全員聞いた事があると思うけど、常世渋谷に存在する”異界”で最近、少し大きめの怪異による被害が出てるんだよね。
 放って置くと表の方でも被害が出る可能性があるから、風紀委員会だったり色んな所で今も対処をしてる。

 えーっと、ああ、これ。
 簡単に言っちゃえば、妖怪列車だよね。」

そう言いながら、纏められた資料をそれぞれの端末に送る。
四方とアールマティは既に閲覧済みのようで、実際に見るのはゾネを含め3人ほどだが。

「怪異”朧車”
 極東の妖怪なんだけど、今回出てるのは言い伝えの姿とは少し違って、基本的に列車の姿をしてるみたいなんだよね。
 どうにも裏常世渋谷にある列車に影響が起きて、怪異化したとかなんとか。

 今伝わってる情報だと、空を走ったり、突撃してきたり、火を吹いたり、重火器で周りを撃ってきたりするらしいよね。
 個体ごとに差が結構あるみたいで、全身火達磨みたいな状態のとか、ロボに変形したのもいるって。

 単体で結構強いって話で、しかも下級の怪異を従えてる奴もいるみたいだよね。」

四方 阿頼耶 >  
「簡単に言っちゃうとまぁ……
 コイツをさ、俺たちも倒す事にした訳。

 ノルマは一人一体ね。ノルマ以上だったら何体でもいいけど

 名付けて”公安第四特別教室「朧車」撃破作戦”
 何か質問、あるかい?」


ゾネの言葉の後、四方がざっくりと、緊張感もなく、言い放つ。

鞘師華奈 > 第四の技術顧問を務める、大柄な男へと視線を向けつつ、軽く足と腕を組む。
正直、煙草を吸いたい気分だがそれは会議が終わってからでもいだろう。
上司が割とフリーダムなのもあり、実質的に彼が進行役や各種フォローを努める事が多い、まさに縁の下の力持ち。
自分や友人は実働任務が多いし、アールマティに至っては、その特殊性も相俟って頻繁に現場に出る訳ではない。

「裏常世渋谷――へぇ…?」

僅かに目を細める。自身が個人的に探索している場所であり、”相棒”と今度探索に赴く予定でもある。
まさか、それより先に仕事で赴く事になりそうだとは思わなかったけれど。

「…風紀委員だけじゃなく、公安も参戦するって事だね…まぁ、相手は中々強そうな怪異だし無理も無い、か」

「こういう時にレオ君がこっちに居てくれればね…」と、小さくぼやくが今言っても仕方が無い。
そして、問題なのはこの妖怪列車じみた朧車もだけど、うちの上司がさらりと出した言葉だ。

「あーー…ボス?作戦名のセンスが無いのは何時もの事なんだけどさ。
ノルマが一人一体って…中々に無茶振りじゃないかな?…せめて、何か”装備”を手配して欲しいのだけど」

風紀の特別攻撃課――あの精鋭集団が持つとされる個人専用の武器…『決戦兵装』。
あのレベルとは流石に言わないが、相応に怪異に通用するレベルの武器がほしい。
女の手持ちの術や武器だと、あの朧車とやらに対抗出来るかは少々怪しいもので。

「それに、個体差があるのも悩ましいね…強力な個体に当たったら、ノルマ所じゃないさ」

少なくとも、女は前線タイプというかガンガン真っ向から遣り合うタイプではない。
相応の装備や作戦が無いと、流石にノルマ達成というのは無茶振りが過ぎる。

夢莉 >  
「そもそもオレとかは戦闘からっきしなんだが…」

呆れた顔で言いながらじとっと上司を見る。
公安での仕事に荒事はつきものだが、怪異との戦闘が出来る人間はそう多い訳ではない。
所謂、裏方仕事の多い組織だ。
単純に戦うのなら風紀委員の方が得意な者は多い。

「レオ…あー、アイツ、ケガで今向こうの仕事休んでるって言ってたぞ。
 朧車とやりあった時に足折ったんだと。

 ……ん、そんなんとやりあんの?
 四方とマティは兎も角オレらも?」

無理じゃね?という顔。
レオというのは、一時期第四特別教室に居た少年の事だ。
いつのまにか四方の手によって風紀に異動になってたが、戦闘でいったら自分や隣の友人……カナよりも数段強い。
そもそも、オレを戦闘の頭数に入れるな、という話だが。

四方 阿頼耶 >  
「勿論夢莉は頭数に入れないとして……」

弱いし、夢莉。
戦力にならないのは重々承知なのだ。

「俺、アールマティ、そしてカナちゃんがメインで仕事はしてもらう事にはなるかな。
 夢莉はカナちゃんのサポート。
 友達なんだし、二人でやっちゃってみてくんない?

 …あ、勿論”倒し方は問わない”から。
 公安らしく、頭使ってやらないとね。」

夢莉 > 「あ?」
鞘師華奈 > 「まぁまぁ、落ち着いてユウリ。ボスがナチュラルに無神経なのは何時もの事だろ?
…で、私はやっぱり頭数に入ってるんだね……まぁ、仕事とあらばやるけどさ。
じゃあ、私はユウリとのコンビで1体撃破を取り敢えず最低限のノルマにしておくよ。

――頭を使ってねぇ?」

正直、このメンバーの中では頭の回転は悪い方に入る自覚はあるので、苦笑を浮かべるしかない。
とはいえ、風紀と違って裏方な自分達は派手に立ち回る訳にもいくまい。…相手と状況次第だが。

「…で、ボス、それにゾネさん。ヤツらは個体差があるらしいけど、朧車に共通する特殊能力とかはあるかい?
もしくは、”現時点で確認されている個体で厄介なタイプ”とかさ。
そこを知っておかないとこちらもちょっと対応しきれない所が出て来そうなんだよね」

四方 阿頼耶 >  
「ははは、無神経じゃなくて仲がいいと言ってちょうだいよ」

夢莉じゃなかったらこんな事言わないよ、と言いつつ。

大曾根真澄 >  
「ウチはケンカ絶えないからね。カナちゃん来て大分たすかってるよね」

はははと苦笑しつつ。

「あぁ、その辺は心配は必要ないよね。
 データからある程度の個体が接敵前に判別できるから、”倒せる相手”に僕らの戦力はぶつけれるよね。
 
 だから必要なのは――――」

四方 阿頼耶 >  
「”倒し方”
 ま…作戦かな。
 
 今回の作戦で見たいのは、その辺だからさ」

トントン、とテーブルを指で叩きながらそう言う。

「正直に言ってカナちゃんと夢莉二人合わせても朧車1体とマトモに戦うのはぜんっぜん釣り合わないと思ってるからさ。
 そこを補うために、さっきも言ったように二人には”頭”を使ってもらおうと思ってね。
 
 今回二人にやってもらうのは、戦力を見て、作戦決めて、どうやったら”朧車”を倒せるか、っていうのを練って実行してもらう、って事。
 
 そー、うー、だー、なー……
 カナちゃん、この中なら、どれが一番やりやすい?」

そういって、テーブルの上を滑らせるようにタブレットをカナの方へと送る。
そこにあるのは、現状各委員会で報告があった朧車の個体情報だろう。

『イ号』『ロ号』『大朧轟』『G号』

分類分けされたそれらの情報が、分かっている範囲で事細かくまとめられている。

鞘師華奈 > 「まぁ、喧嘩するほど仲が良いとは言うけどね――むしろ、何で私が潤滑油みたいな役割になってるんだろうね…。」

ボスやゾネさんの言葉に溜息を漏らす。そういうのはむしろゾネさんの方が向いてる気がするのだけど。
とはいえ、彼は縁の下の力持ちで色々第四を支えていてくれる。なら、自分もメンバー間の取り成しくらいはしなければならない。

「接敵前に判別出来るならそれに越した事は無いけど――私とユウリのコンビで倒せる相手、か」

そうなると、矢張り相手との相性問題も少なからず出てくる。
余計な戦闘で体力の消費はしたくない。そうなると――不意打ち且つ短時間で一気に仕留める必要性があるが。

「成程…まぁ、真っ向から遣り合うのは犬死にするようなものだし、不意打ちするにも相応の作戦は必要だろうしね。
……さて、どうしたものかな」

ボスから渡されたタブレットの画面を静かに赤い瞳で眺める。
現時点で確認され、名称が付けられている朧車の個体は4種類のようだ。
勿論、今後その種類は増えて行く事も当然ながら考えられるけれど。

「――まず、確実にこの『大朧轟』は…情報を見る限りは私には無理だね。お手上げだ。
…で、最初に確認されたタイプの『イ号』…これも、やり方次第だろうけど少しキツイかな。
で、『G号』は――速度が乗る”前”に接敵出来たなら多分行けると思う。

――で、『ロ号』。炎を扱う事に特化したタイプ。…相性で言えば多分コイツかな。私はね」

もっとも――ここのメンバーにすら話していない、”あの力”を使う事が前提となるが。
タブレットで詳細に一通り目を通してから、そのまま隣のユウリにもタブレットを渡して確認させておきつつ。

「――結論から言えば、『G号」か『ロ号』。ただ、後者はちょっと私個人の”不確定要素”が絡んでくるから確実性はちょっと低いね」

速度が乗る前に接敵出来るならば、倒せそうなのはG号になるだろうか。
もっとも、自身の能力や技術と照らし合わせての消去法に近いが。

夢莉 >  
「G号は分かるけど、ロ号?
 火で燃えてる奴だろ?確かレオがやりあったのもコイツだぞ。
 むしろ相性悪ぃ気すっけど……」

少し首をかしげる。
歩く火山のような相手だ。近づくのも難しいのはすぐに分かる。
確かにカナの異能は近づく必要はあまりない。
とはいっても倒すなら大型火器を持っていくか、近づいてトドメを刺すしかない筈だ。

「その不確定要素ってのが関係するワケか?
 何するんだよ?」

鞘師華奈 > 「ああ、レオ君はコイツとやりあったのか…まぁ、炎属性というか、火を原動力にしているなら私にとっては都合が良いんだよね」

何せ、自身は――■■■なのだから。隣の友人が疑問に思うのも無理は無い。
実際、普通に考えれば相応の装備…もしくは近づくしかない訳だが。

「――簡単さ。炎の勢いを私が吸収する――その負荷を私の能力で変換してコイツに叩き付ける。
どうやら、炎の勢いが弱まると性能が落ちるみたいだからね…上手く行けば、”一撃で倒せる”。…勿論、上手く行けばの話さ。
さっきも言ったけど、私個人の不確定要素があるから、確実にノルマを挙げるなら『G号』の方にするべきだろうね。

…まぁ、こちらはこちらで速度への対処を考えないといけないけど」

一息。ちょっと独自で装備を調達するしかないかもしれない。まぁ、それはさておき。

「とはいえ、ユウリとのコンビだし私の一存で決めちゃいけないね。ユウリの意見も聞いて決めたい。今回はコンビでの討伐だからね」

夢莉 >  
「ふー、む……」

少し思案し、考えをまとめる。
G号と、ロ号。
戦闘出来る訳じゃないから正直どっちもどっちなのだが……

「…オレはロ号のがやりやすい。
 G号は戦闘に入る前に潰さねえとヤベぇんだろ?そうなると、オレが出来る事はなんもねぇからな。
 万が一作戦にトラブル起きたら、オレらはそのままペシャンコにされるってのが目に見えてら。
 
 で、ロ号は…速度はG号よりも遅いんだろ?
 つっても列車だっつうからアホみてえに速いんだろーけど。
 それでも相手にめっちゃ遠くから攻撃するって方法ねえなら、オレが揺動出来る。
 時間を稼ぐだけならなんとかなると思うからな。そういう意味でオレはG号よりロ号の方がいい。」

勿論、自分は、というもの。
実際にG号をすぐに倒せるなら一番楽だろうし、それなら自分の仕事は少なく済む。
けど、それが失敗した後を考えれば……
ロ号よりG号の方がどうにもならない状況になりかねない、と思った。

鞘師華奈 > 「―――まぁ、正直な話。今回のコンビ作戦だとユウリは囮役でワタシが仕留める役だろうしね。
情報でしか判断は出来ないけど、G号の加速は厄介だし、何より狭い路地でも形を変えて走行できるみたいだし…。
そうなると、狭所への誘導も意味が無くなるから、矢張り速度が”ノる”前に仕留めるのが確実なんだけど…。」

既に接敵する段階で速度が出ていたらどうしようもない、とは言わないが極めて討伐が難しい。

ユウリの意見に頭の中で己の不確定要素と倒せる算段を天秤に掛ける。

(――もし、ワタシが”そういうモノ”になっているなら、炎はむしろ”餌”だ…だけど)

怪異の炎を一気に吸収して自身の身に変調が起きるリスクも十分にある。
ただ、炎さえ何とかすれば、攻撃力や速度、耐久性が落ちるらしい…だったら、自分の異能と合わせれば相性は少なくとも悪くは無いのだ。

「―――決めたよボス。私達は今回『ロ号』を討伐目標にする。」

少しの間、こめかみを指でトントンと叩く仕草をして考え込んでいたが、やがて彼へと視線を向けてそう結論を告げる。

四方 阿頼耶 >  
決めた、という言葉に少し口角を上げ、目の前の少女に向けて指で丸を作る
 
「―――OK。
 
 じゃ、夢莉とカナちゃんはロ号討伐の方法をしっかり練ってもらおっか。
 ただし、作戦に組み込むのは”事前に伝えておいた情報”だけ。
 ここの全員に話す必要はないにしても、”作戦メンバーには”情報を共有しておかないとダメだよ。
 これは室長代理命令。」

そういってから、ゾネの方を向き。

「ゾネさん、オペレーションとか必要な道具の手配よろしくね。
 作戦は最大30分、それ以上経過するか状況悪くなりそうだったら俺に連絡ちょーだい。」

今度はアールマティの方に向いて。

「アールマティは俺と一緒に作戦やるから、そのつもりでよろしく。
 つっても俺から何かする事はないから。
 ”例のアレ”のテストのつもりで思いっきり暴れてみてよ。」

大曾根真澄 >  
「了解だよね。
 じゃあ、二人ともサポートは任せて欲しいよね。
 言ってくれれば用意できる分で装備も見繕うから、どんどん言って欲しいよね」

そうなると、何が必要かな…と端末を操作し始めながら二人にそう言い。

アールマティ >  
「命令了解です。
 AM-081の実用試験ですね。」

アールマティは短く抑揚のない言葉でそう返した。
彼女は戦闘が”派手になる”という理由で、基本的に公安ではあまり全力で戦う機会がない。
今回は、場所が場所。派手に戦った所で誰に迷惑をかける訳でもない。

何を行うのかは、まだ秘密のようだが。
表で出来ない事をやるのは、間違いない。