2020/10/12 のログ
雪城 氷架 >  
おこちゃまだもんな、なんて言いかけて
──そうか、ゆぇとずっと一緒にいれる普通の人間なんていないんだな、と口を閉じる

後ろから首に抱きつかれれば、ほんの少し擽ったい
髪をツインテにまとめているのでおくれ毛の下には細く生白い肌の、氷架のうなじ
思いっきり蹴ったら軽く折れてしまうんじゃないか?なんて思うくらいに華奢な首筋だ

「…ゆぇがそーなった時に私が未婚だったらそーしてくれ。
 手下になったら若返るのかどうか、知らないけど」

甘えたいムーブを嫌がることはせず、させたいようにさせる
甘えたがりのルームメイト、しかも小さい子供(見た目)、忌避する要素なんてなんにもないし、むしろ…
この子のおかげで寂しくない、なんて事実もあったりするわけで

劉 月玲(リウ・ユェリン) > 「んふー。
そーするね!
そうなったらひょーかもずっと一緒~♪」

たぶん、そんなことはしないけれど。
いくらさみしいからって、友達をそんなバカなことに巻き込むつもりはない。

「ところでひょーか、今日体調大丈夫?
お腹すいたんだけど、血飲んでもいい?」

歯がきらーん、と光る。
準備スタンバイだ!

雪城 氷架 >  
「もしそうなったら、の話な…」

人懐っこくくっついてくるこの小さな娘が悦ぶなら…
まぁそれも悪い未来じゃないかな、なんてことは普通に思ってしまう

「…あぁ、別にいいけど。…あんまり沢山は勘弁な。明日貧血になる…」

O型の血は…ゆぇにとってはどうなんだっけ、なんて思いつつ
そっと首元のシャツを引っ張って、首筋を開けさせる

奇妙な同居人との、奇妙な同居生活の夜
なんだかんだでいつもどおりの流れに収まるのだろう

ご案内:「女子寮・部屋」から劉 月玲(リウ・ユェリン)さんが去りました。
ご案内:「女子寮・部屋」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「Free1」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「Free1」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「女子寮 レイチェルの部屋 浴室」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「女子寮 レイチェルの部屋 浴室」に園刃華霧さんが現れました。
レイチェル >  
潔感のある白に覆われた浴室。
その浴槽の縁に交差させた腕を、そしてその上に細い顎を乗せて、
金髪の半吸血鬼は、じっと壁を見つめていた。

―――
――


浴室。いつもの浴室だ。
一人では、はっきり言って広すぎるな、といつも思う。
でも、今日ばかりはちょっと事情が違った。
脱衣所から気配を感じながら、オレは少しだけ深く息を吐いた。
ああ、何だかちょっと緊張が飛んでった気がする。ちょっとだけ。
 

数時間前、女子寮に珍しく華霧がやって来た。
珍しいことだったから、驚いたもんだ。

何でも、血を吸わせる約束をしたもんだから、
そのことが気になってきてくれたらしい。
……適当に見えて、そういうこときちんとしてるんだよな。

話の流れで、当分明かすつもりのなかった秘密を、告げちまった。

『恋をした吸血鬼は、好きな人の血がなければ生きていけない』。

とんでもねぇ呪いだ。
遠い昔に、吸血鬼の父親から言われたことがあった。一度だけ。
『吸血鬼は、恋に縛られる。お前みたいな純粋なのは、
 ちゃんと相手を選んで恋をするんだ』って、な。
そんなこと言ってたっけ。

でも、一度好きになっちまったもんはしょうがねぇ。
恋や呪いに振り回され過ぎることのないように気をつけながら、
あいつと向き合ってくしかねぇ。

……ま、今は愛だの恋だの言ってるよりも、
まずあいつと向き合うことが大事なんだけど……。
だけど。


さて。
十分に歯を磨いて口を濯いで、後は華霧を待つだけだ。

……正直、心臓がさっきからうるせぇ。耳もちょっと熱い。
でもって……牙の辺りが少しだけ、むず痒いときた。
つまりは、そういうことなんだろう。
ああ、畜生。これだから、オレ達はどうしようもなく『化け物』なんだ。


……それでも、上手くやってみせる。


そんなことを考えながら、オレは浴室に入ってくる華霧を、待っていた。

園刃華霧 >  
「んー……」

別に改まることもないんだけどなあ……などと思いながら。
そうはいっても、促されたのでとりあえず風呂に入ることに。

よくよく考えれみれば、温泉とかもそうだったけれど、
浴槽?ってのに浸かるのってあんまり経験ないんだよな。

そういえば肝心の家主はなんか先に入ってしまっていた。
しょうがないのでアタシはのんびり後入りとくる。


「ほい、入るヨ」


脱衣所と浴室を隔てる扉を迷うことなく開けて入っていく。
前に温泉にも一緒に入ったしね、今更だよね。

レイチェル >  
「あいよ、いらっしゃい」

裸の付き合いは、初めてじゃない。大勢の風紀委員と一緒に温泉に行った時も、
一緒に入ったしな。
けど、二人きりでとなると、これは初めてだ。

……牙の辺りが、むず痒い。クソ。

頭を軽く振る。よし。

「こうして裸で一緒に居ると、風紀の温泉、思い出すよなー」

ずっと昔のことにも思える。
男女問わず、皆でワイワイ騒いだっけ。
バカみてーに暴れて、面白かったな。
あ、そうだ。

「風紀といやぁ……お前、所属どーすんだ? もう決めたのか?」

湯にゆったりと浸かりながら、気になったことを投げかけた。

園刃華霧 >  
「ほイほイ……おヤ、思っタより風呂大きイのナ?
 ンー……なラ、二人入れルか?」

ふむー?と眺める。
寮の風呂なんて一人分くらいしかないだろー、くらいに思ってたのでちょっと意外だった。

「ウん、そウね。あの温泉以来ダ。アタシが留置所から出テさー。
 なっつカしーナー……ってホど前じゃナいよナぁ……なんか大分前の気がスる。」

へらりと笑う。
あれから多分、色々あったからかもなあ……
毎日が忙しくて何よりなのかもしれない。


「アー……そーナぁ……
 刑事部、前誘わレたって言ったケど……アタシでヤってけルかネ?」

刑事ーって感じしないしなあ、と、ヘラっと笑う。
 

レイチェル >  
「そ、けっこー大きいもんだぜ。一人じゃ広すぎるくらいだ。
 だから一緒にあったまろーぜ」

部屋も大きめだ。元々二人部屋だったらしい。
贅沢なことに、今は一人で使わせて貰ってるんだが。


「いやー、結構前に感じるな。ほんと、色々あるとな。
 色々……あったな。ほんと毎日目まぐるしくて……
 辛いこともあるけど、やっぱり最高に楽しい。
 昔、最初にここへ来た時は不安だったもんだが……
 すっかり馴染んじまったな」

ここに来た時のことを思い出す。
あの時に風紀に拾われてなかったら、
落第街あたりでずっと好き放題やってたかもしれねぇな。
なんて、思う。

「行動力があって、誰かを助ける為にマジになれる。
 そんなお前だから、合ってんじゃねーの?
 
 後はほら、オレがちゃーんとサポートするからさ。
 そこんとこは、安心してくれよ。

 ……ほら、こっち来いよ。あったけーぞ」

軽く笑ってそう返しつつ、湯桶をゆったりと指さす。

園刃華霧 >  
「ぜータくー」

ケラケラと笑って浴槽までくる。

「へー、レイチェルでも不安になっタんだナぁ。
 ま、ソんなモンか。
 常世学園、なんて妙なモンに関わっテからソんな経ってもナいんだヨなあ」

実際のところずっと片隅にいたのは居たけれど、
学園の一人、としてかぞられてからは本当に僅かの間だ。

その僅かの間に、本当に色々あった気がする。
アタシの人生の大半がそこに詰まっているかのような。

「ンー……まァ……そウ、かモな。
 ひひ、最悪事務仕事でもしテれば良いかもナ」


やると決めたら紙仕事も嫌いではない。
決めてないとあんまりやりたくはないけれど。

「ン、じゃ。遠慮なク。
 よい、しょ。」

とぽん、と湯船に浸かる

レイチェル >  
「そりゃな。師匠に拾われて、学校に通わなくなってから、結構経ってたからな。
 元々学校に通ってた時期も短くて……
 学校はオレにとって、憧れになってた。平和な、壁の中の世界。
 そんな憧れの世界に飛び込むのはわくわくしたけど……不安だったよ」

師匠に拾われた時、平和な世界とは決別したつもりだったんだよな。
それでも今、この奇妙な学園にやって来て、
騒がしいけれど何処か安心できる、そんな日々がいつも傍にあるってのは、
嬉しい。

「事務仕事でも良し、机並べて一緒にがんばろーぜー」

思わずたはは、と笑う。
何だかんだ、結構華霧はやりそうだな。
改めて、頼れる同僚になりそうだ。


「あいよ~……って、相変わらず何事も勢い良いな、お前」

どぼんと浸かれば、水飛沫が思いっきり顔にかかるのであった。

あーもう、全く。子どもかっての。


………でも。

……何で、こいつは。

……こんなに『当然』のように、オレの傍に居てくれるんだろう。


「……なぁ」

一緒のお湯に浸かる華霧の方へ向き直った。
どくん、と胸が高鳴る感覚がある。
そして、あぁ。牙が。
奥歯を噛み締めて、声をかける。


「華霧……」

少しだけ華霧から距離をとって、浴槽の隅の方へ身体を寄せる。
思わず、だ。意識して距離をとったわけじゃなかった。
ちょっと顔を伏せちまった。でも、目だけは華霧へ向ける。
これを聞くのも、正直ちょっと怖い。
どんな返答が来るのか、分からない。

「約束だとか言ってたけど……さ。
 うん、分かってる、お前は約束を守ろうとしてくれるんだろうさ。
 それでも、血を、吸うんだぞ……今から……なのに――」

でも、確認しなきゃいけないと思った。

「――怖く、ねぇのかよ? 嫌じゃ、ねぇのかよ?」

そう、確認した。
嫌な記憶がフラッシュバックする。
人の血を吸う吸血鬼は、いつだって。
なのに、こいつは。

レイチェル >   
 

「……本当に、いいのかよ」

最後にぽつりと口にしたオレの身体は、きっと震えてた。 
 
 

園刃華霧 >  
「ナーるほドなー。
 そイや、レイチェルって色々アってカラ拾わレたんダっけカ。
 そリャ、そウか……なくシた日常、ナ……」

ああ、そういうのには、おぼえがある
そうだよな うん
よく わかる

「ま、どッチにしテもお仲間ッテのは悪くなさソーね。
 じゃ、マジで考えルかナ?」

うん、悪くないかもしれない。
ああ、でも。
日課だけは……やらせてもらいたい気がするな。
それは後々の交渉次第、みたいなもんかな。


「……へ?」


急になんか深刻な顔して、声をかけられる。
なんだろう、と思ってると。

「え? なんで?
 なんで、怖いとか嫌とかになんの?」

きょとん、と。不思議な顔をする。
質問の意図が理解できない。

だって、当然のことなんだから

レイチェル >  
華霧の口にする言葉を聞いて思わず頭の中で、
あの日々を思い返しちまった。

『ふふーん! 今日もねっ、魔術のテストで先生に褒められたんだよっ』
『そう、アミィは偉いわねぇ』
 
なくした日常。
当たり前だと思っていた日常は、
ずっと昔になくして、名前と一緒に置いてきた。
いつか、華霧に伝える時が来るんだろうな。


「おう、待ってるぜ」

ああ、一緒に働けるのは、やっぱり嬉しい。
本当に、嬉しいな。
耳がまた、熱くなった気がした。


そして。きょとんとした様子の華霧に、
伝えなくてはならないことを。聞かなくてはならないことを、問いかける。

「……吸血鬼は、人食いの化け物だよ。
 血か肉か、それが違うだけで、お前自身を食べようとしていることには
 変わりない。
 なのに、何でそんな……普通に受け入れてくれるんだ……?
 本当に、怖くないのかよ……?」

貴子も、そうだった。あいつには理由を聞けずじまいだったけれど、
せめて華霧には聞きたかった。
そして更に、彼女の場合は。

「……お前の場合は、他にも、さ。
 特別じゃねぇか。
 
 オレの秘密、聞いただろ。
 オレが生きていく為には、華霧の血がなくちゃいけないってこと。
 
 もしかしたら、これからずっと、になるかもって……伝えたと思う。
 
 でも、さ。それはつまり、オレが……
 もしかしたら、これから長いことお前を縛っちまうことになるかもだし、
 お前の身体に負担もかけちまうことになるかもしれねぇし……
 それ……嫌じゃないのかよ?」

おそるおそる、華霧の顔を見た。
やっぱり身体は、震えちまってるんだろうな。
それすらも分からないくらいに、顔と胸が熱い。

「……ごめんな、この期に及んで我儘言って。
 でも、お前の為にも、オレの為にも聞きたいんだ。

 本当に、最後の確認だ。
 
 お前からそいつを聞いたら……聞けたら、オレも最後の覚悟、ちゃんと決める」

彼女と一緒に居る為には、彼女を傷つけなくてはいけない。
それはオレにとっても、どうしようもなく辛いことだった。
けど、こいつが本当に覚悟してるってんなら、

「……決めることが、できる」

オレも改めて、最後の覚悟を決めようと思っていた。

園刃華霧 >  
「ああ、なんだ。そんなこと?
 吸血鬼がどうとか、別に関係ないでしょ。
 レイチェルはレイチェルなんだし。」

そもそも、そんな枠組みで考えたことがなかった。
だから怖がる、とか……想像もつかない。
レイチェルを怖がるねえ……?


「それを抜きにしたって……少なくとも、アタシの知ってる吸血鬼は。
 たった二人しかいないけれど、どっちも怖いやつじゃない。
 ……どっちも、かけがえのない……そういうヤツだ」

あの日の、あの時の
あの顔と、あの声を
思い出してしまう

ああ アイツも こういう思いをしたんだろうか
それとも……


そして、続く言葉は、不安。
どうして そんな ふあんがるんだろう

「? なんで?
 レイチェルに必要なんでしょ?
 なら嫌がる理由なんてどこにもないよね。
 なんでそんなに確認したがるのさ」

本当に本当に不思議そうに
きょとん、と聞き返す

レイチェル >  
「仲良いと思ってた奴が、さ。
 実は自分の血を欲しがってたなんて知ったら……
 怖がるんじゃねぇかと思ってた」

だって、そうじゃねぇか。
……いや、こいつは血の問題だけじゃねぇな。
好きだって感情も、そうかもしれねぇ。
どっちも、傷つけたくないから、傷つきたくないから伝えられなかったことだ。
戦場じゃ幾ら傷ついたって平気だったのに、こういうことになると
どうしても臆病になっちまうのは、一体何でなんだろうか。

「そか、怖いやつじゃないか……そう言って貰えると、安心だ」

かけがえのないヤツ。
もしかしたら、そいつがオレの他に、
華霧に想いを伝えたヤツなのか、な。


「……オレはこれまで、お前に色々伝えた。
 血のことも、特別な気持ちのことも。

 そんな中で、華霧は快く受けてくれた。
 少なくとも、完全に拒否することはしなかった。
 本当に、良い奴で居てくれる。
 
 そんな『お前自身』の本当の気持ちが、分からなかったから……
 だから、不安……だったんだよ」

そうだ。
こんな風にオレを受け入れてくれるこいつの気持ちが、
どうにも掴みきれなかった。
だから、不安だったんだ。
口にしながら、改めて自分を認識させられる。


そして、オレは。
華霧の方へ身体を寄せた。近づけた。
もう、いつでも腕を伸ばせる位置まで。