2020/10/16 のログ
■水無月 沙羅 >
「生きる……か。
生きるって……難しいよね……って、これ前も言ったっけ。」
一緒にやっていこう、そういう彼の言葉に少しだけ顔を曇らせる。
彼が一緒なのが嫌だとか、そういう事では決してない。
寧ろ家族が増えるという事はとても喜ばしいことだろう。
けれど、けれど。
自分が本当の意味で生きて行くための大事なものを失ってしまった状態で、それができるのかどうかがわからない。
椎苗や、華霧、今はレイチェルや、レオも自分を気遣って、こうして声をかけてくれる。
心配して、傍に居ると言ってくれる。
それでも、それでも。
本当に、一番傍に居てほしかった人間は、もうそばには居ないのだ。
自分が欲しかった日常は、やってこないという事がわかってしまっているから。
「私も、君も、理央さんも、みんな。
いろいろ犠牲にしすぎたから、取り戻していかないとね。」
答える笑顔は、何処かぎこちなくなってしまうのだろうか。
■レオ >
「‥‥…そうですね」
色々、犠牲にしすぎた。
その通りだ。
大事な人を喪う傷は……自分も知っている。
それを不死が背負う苦しみも……何度も見て来ている。
”誰か”と重ねているのは、紛れもない事実だ。
それはかつての、大事な人の事でもあるし…自分の事でもあって。
――――だから、こそ。
あの時……病院でこの人…水無月沙羅と出会った時。
放っておけなかったのだから。
「……僕も、大事な人を喪った事があります。
もう…会う事が出来なくて。
時を重ねる度に、日が落ちる度に、その大事だった人の記憶は、どう足掻いても薄れていくのが分かって。
どんな声だったか、どんな事を話したか……
それが段々自分の中から消えてくのが、怖くて。
もう、その人の傍にいる事は絶対にできないのを、認めれなくて。
死にたいとも、思って。
僕は、不死ではないですが……
沙羅先輩に、死ねるって…いざとなったら、僕が殺すって言ったのは、多分……そういう自分がいる事を…
自分も同じ恐怖を持ってるって…分かってたからだと思うんです。
…その気持ちは、今も変わってないです。
でも……」
その上で。
水無月沙羅という一個人として、彼女と向き合わないといけない。
向き合う為に…自分がしなきゃいけない事は、きっと。
自分も、否定しないように…していく事なんだと思う。
「……それとの向き合い方を。
”自分を大事にする”為に……考えないといけないと、思い始めて。
だから……」
未だ迷路の中にいる青年には。
その先の言葉は…見つからなかったが。
「……沙羅先輩。
僕も支えますから。
だから……
……」
彼女の手に、自分の手を置いた。
ボロボロで、傷だらけで……ゴツゴツとした手。
「…一緒に、考えていきましょう。
ゆっくりでいいので……答えを、探しに……
自分を苦しめるだけじゃない、答えを…
神代先輩の事も……一緒に、付き合っていきますから」
…あぁ。
神代先輩の事は、話題に出さないようにって…思ってたのに。
たのしい話で、気分を楽にしようって…決めてたのに。
他の人よりもずっと、彼女に関わってきていないのに。
でも…それでも。
彼女の事は放ってはおけないから。
■水無月 沙羅 >
「……そっか、君も、つらいんだね。
ううん、知っていたけれど。
君が私を、殺せるって言った時から、きっと重いものを背負っているとは思ってた。
ううん、もっとずっと前、初めて会った時から。」
自分が泣きながらあの場所に居た時、記憶はおぼろげではっきりとしていない。
それでも、彼のどこか異常な雰囲気を感じ取っていた。
『鉄火の代行者』になると言った彼も、覚悟というにはそれはあまりにも悲壮で。
だから、そこから少しでも遠ざけたらいいと、無理やり書類仕事を押し付けていた面もある。
「……まったく君は。」
デコピンをして、やれやれと首を振る。
どうしても、背負いたがってしまうらしい。
自分のことも精いっぱいの癖に。
いや、それはお互いさまともいえるのかもしれない。
水無月沙羅も、そうやって生きてきた人間だ。
「私を支える、とか、そういうのは自分を支えられるようになったら、だよ。
足元も、地盤も固まってない人がどうやって他人を支えるの。
レオ君、私が言うのもおかしいかもしれないけど、まずは自分を大切にしなさい。
目の前のことを一つづつ。
一気に解決しようとしちゃだめだよ。
ゆっくりでいい、自分の心と向き合ってくの。
消化できなくていい、引きづっていてもいい。
折り合いをつけて、どう付き合っていくか、私たちはきっとそれを知らないといけないんだ。」
想い出は薄れるとしても、消えてしまう事は無い。
この胸にいつまでも、大きな疵として残り続ける。
なら、付き合っていくしかない。
「それとさ、こういったらいいにくいんだけど。
愛の告白みたいだよ、その、格好的にもさ。」
触れられた手を、少しだけこまったような顔で見つめて恥ずかしそうに頬を掻いた。
自分には忘れられない特別な人が居る、それに変わりは無いが。
自分に素直にそうして向き合ってくれる人間を邪険に思えるほど悪人でもない。
それに、その気持ちは十分に嬉しいものだったから。
愛の告白が、ではないことをここに強調しておく。
■レオ >
「…沙羅先輩だって、同じでしょう?」
その言葉に、少し迷ってから……微笑んで返した。
今だってそうなのだから。
言う権利は、ある。
「…言っててそれっぽいな、とは思いましたけどね。
……でも沙羅先輩なら、大丈夫かなって
ほら…僕は弟か、ペットみたいなもの…なんでしょう?」
くすりと笑って言うそれも、彼女の言葉。
それと…彼女にはまだ言えないけど。
好きな人はちゃんと、いるから。
■水無月 沙羅 >
「うん、だからお互い様ってやつなんだと思う。」
地盤を固めないといけないのは、自分も同じこと。
判ってはいるのだ。
ただ、それを見つけられるのかどうか、まだそれすらも判然としない。
華霧にだけ話したあの感情も、完全に消えてなくなってしまったわけではないのだから。
「さすがに言葉のあや、だけどね。
まぁ、弟っぽいっていうのは結構思ってるよ。
ほら、髪型とかそれっぽいでしょう?」
くすりと笑って、少しだけ髪を揺らして見せる。
彼女のチャームポイントでもある、犬のしっぽの様に一部だけ長い髪の毛が宙に舞うだろうか。
どこか、フローラルな香りがあたりに漂うかもしれない。
「まぁ、それは置いておいて。
そういうのは本当に言いたい人に取っておきなよ。
あぁ、ちょっとニュアンスが違うかな。
愛する人に、とか、そういう意味で。」
■レオ >
「たしかに。
見てみれば、似てますね。髪型とか
…僕は姉弟とかはいなかったけど、でも…実際、沙羅先輩と一緒にいるときはちょっと、思います。
姉妹がいたらこんな感じなのかな…って。
…同い年なのに、変な感じですね」
くすりと笑うその顔は、初めて会った時よりも随分、柔らかく。
1か月前よりも随分変わったように、思えるかもしれない。
それを、彼自身は自覚してはいないが。
そう言いながら、愛する人と言われれば…
「…そうですね。
次こういう風に言うのは、好きな人に取っておきますね」
そう、返すだろう。
”アテ”でもあるかのように。
■水無月 沙羅 >
「そっか、好きな人いるんだ……ふぅん。
紹介されるの、楽しみにしてもいいのかな。」
病室のベッドでそんなことを言っていると、すぐに死んでしまうフラグのように感じてしまうが、生憎自分は不死者だからそんな必要はない。
彼が今どんな女性に惚れているのかというのは気にはなるが、深く追求することもないだろう。
何れきっとわかる事だ。
「……私ももうすぐ退院するから、それまでしぃ先輩の事、よろしくね。
あと、私刑事課に配属になるから、君も来る?」
■レオ >
「言えそうな時がきたら、言いますよ」
来るかは、分からないけれど。
相手が相手だから。
その相手、をよろしくと言われたのには内心どきっとしたが。
そっと表には出さずに了承する。
刑事課については…
「そう…ですね、少し考えてみます。
…僕は元々戦闘ばっかりしてきたので、刑事課が向いてるかと言われると微妙ですし……
何より……流されるまま、っていうのはダメかなって」
だから、考えてから選ぼうと。
選べる事から、自分で選ぶということを…始めようと思って。
それが、自分が変わる為の意識だったから。
「でも、刑事課に行く事になっても、別の所に行く事になっても、僕は沙羅先輩の味方ですから。
今まで通り…何時でも声、かけてくださいね。
さて、と…それじゃあ、そろそろ僕は戻ろうかなって。
マシュマロのご飯を用意しないといけないので…っと、と」
そう言いながら、携帯端末を手に取ろうとして……
するっと滑り落ちて、それを落としてしまう。
かしゃん
そんな音を立てながら、指先が触れていたのか端末の画面が切り替わり……
■レオ >
別のアプリが開く。
入れた覚えのないアプリ。
写真データを記録する、アルバムアプリのようだ。
「…?」
見覚えのない画面をよく見ると……
■レオ >
その中には多数の画像データ。
浴衣の椎苗、ネコマニャン着ぐるみの椎苗、肌着だけの椎苗、サイズの大きなネコマニャンTシャツ一枚の椎苗。
他にも湯上がりの姿や、ネコマニャンの大きなぬいぐるみに抱きついてる姿など、様々な写真が収められている。
どの画像も何故か、誰かが撮影したように撮られている。
ずらりと神樹椎苗の写真が、並んでいる。
「 」
全 く 身 に 覚 え が な い 。
■水無月 沙羅 >
「あ、まったくおっちょこちょいだ……なぁ……?」
思わず目に入った携帯端末の中身に絶句する。
仲が良いとは思っていたとは、そこまでとは誰が予想しようか。
というか、入っている写真がかなり倫理的に危ないものが多い。
もしかしなくても彼の好きな人っというのは。
「……あの、レオ、くん?」
レオを見る目は、限りなく冷たいものに変化してしまったのは言うまでもないだろう。
■レオ >
「いっ…いやいやいや、待ってください!!
これ…僕、全然身に覚えな…っ!!
本当に無いんです!! 撮ってないですよこんなの!!!」
全力で否定した。
それを信じるか信じないかは……彼女次第だろう(?)
ご案内:「常世学園付属総合病院 入院患者用個室」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「常世学園付属総合病院 入院患者用個室」からレオさんが去りました。