2020/10/29 のログ
園刃 華霧 >  
「ナるほドね」

相手の言葉に納得する。
納得すると同時に、今度はケタケタと面白そうに笑う。

「やれヤれ、笑ってイいのカ、呆れテいいノか。
 お互い、考えテることガ似てるってコとは……さっきは思わずタメイキになッチまったケどサァ……
 やっぱ笑っテいいっテことカな?」


けたけたと笑い続けながら言葉を続けた。
いや本当に……ねえ


「先輩、かァ……ドーだロな。
 誰かを助けタくテ……デ、『自分は?』って聞かれテ困る。
 あーンま変わんナいよ?」

本当に似た者同士だ


「ま、ソれナらお互いにお互いデ探すシかナいのカもだケどなー」

水無月 沙羅 >  
「ほら、やっぱりそっくり。」


ケタケタと笑う少女に、思わず自分も微笑む。
似た者同士で、それでもここまで違う人間になりえる。
共通の知り合いに聞いたとしても、この二人が似ているという話はきっと聞かないだろう。
それがどうして沙羅には理解できたのか、それはやはり、彼女が在籍していた、今は亡き組織の存在が大きいだろう。
結果として沙羅が苦手としていた日ノ岡あかねは多くのものを残していったのかもしれない。、
たとえそれがどんなに多くの犠牲を出していたのだとしても、


「そうだね、探すしか、無いのかな。
 私は、何ていうか。
 ……全部手の平から落っこちちゃった感じするから、本当、探さないと、いけないかなって。
 本当、理央さんに依存してたんだなぁ。
 自分の存在意義も、居場所も、何もかも。」


そういって、少し寂しそうに、笑う。

園刃 華霧 >  
歩んだ人生の違い、環境の違い
そういった違いがあって、二人は明らかに違う人間では在るのだけれど
どこまでも似た者同士であるのは、どういった運命の悪戯か


「ま、少なクとも、ダ」

ケタケタとあげていた笑いを止めて、指をふる。
此処からは、少し真面目で、少し大事な話


「サラ。一回、ゆっくり見回してみな。
 全部、零した? きっとば。どっかに、何か引っかかってるさ。」


その言葉は……ずきり、と自分にも刺さる。


「なにより……アタシと、しぃは、絶対に……其処に、居るし、な?
 サラが傷ついたりすりゃ、色々と思うとこもある。」

ああ、そうか。
そうだよな。
だから、思うことをついでに


「……後ろ向きかも知れないけど。まずは『他のやつ』の中の、自分、を考えてみると良いんじゃないかな?
 意外と、世間の連中の認識もそんなもんかも知れないぞ」


そうそう。
他の連中だって、どこまで自分、なんてことをわかってるのか知れたものではない。
あんまり気負うのもよくない、と思う。

水無月 沙羅 >  
見回せば、何処かに引っかかっている。
『アタシとしぃは絶対に其処に居る。』
その言葉にハッとして、思わず頭を下げた。


「ご、ごめんなさい。 かぎりんとか、しぃ先輩の事を忘れてたわけでも、大事でも無い訳じゃなくて。
 えっと、そう、なんていうのかな。
 もう、自分の一部……っていうか。 あはは、ゴメンネ言い訳っぽくて。」


我ながら苦しいな、と思いながら頬を少しだけ掻いた。
二人は、何時でも傍に居ると言ってくれたから、『自分』の中に含まれている。
掌に在るモノじゃなくて、心に存在する者。
それが沙羅にとっての『家族』。


「他の人の中の、自分……?」


「……ぼ、暴走機関車。」


率直に、俯瞰的に見た結果出てきた言葉だった。

園刃 華霧 >  
「ひひ、気にすんなって。わかってるって。
 ちと意地悪だったかな?」

――忘れたわけでも、大事でも無い訳じゃなく

そんなことは十分承知で口にしている。
ただ、本当に困ったら其処に立ち返ってくればいい
それだけのことだ

そして


「ぷは……っ」

思わず笑ってしまう。
いや、これはよくなかっただろうか。
けれど、ちょっと予想外の答えが出てきてしまったのだから仕方ない。


「いや、うん……ごめんな。
 ちょっとこう、思ったのと、違う感じになったから……うん。」

まだちょっとだけ笑いながら、謝る。


「おまえのことを、想ってくれるやつの、中での、サラ、な?
 まあ、そう想ってるやつも、いるのかも、しれないけど」

勿論、そういう評価もわかっておいたほうが良いとは思う。
ちなみに、自分は「悪食」とか「不良」だろう。

水無月 沙羅 >  
「わ、笑った! 今笑ったね!?
 ちょっとそれっぽいって思ってるでしょ!!!」


自覚はしているが笑われると流石に恥ずかしいので、顔を真っ赤にして抗議する。
いつまでも昏い雰囲気で居るよりは余程よかったと内心少しだけ胸を撫ぜたが。


「私のことを思ってる人の、私……かぁ。
 あんまり考えたことなかった……というか、流石に其れは、うぅん。
 かぎりんとかしぃ先輩はもうなんていうか大体わかるけど。
 他の人ってなるとちょっと……その、浅く広くだからちょっと。」


友達いないがここにきて胸にまた刺さる。
他の人にとっての自分、とは何なのだろう。

あぁ、でも何人か、いる。


「あぁ、でも星空お姉さんって言ってくれる子なら、居るよ。」


そういう在り方をしている子が、一人いた。
そのつながりで少しだけ仲良くなった女の子もいる。
彼女たちは今頃何をしているのだろう。


「あ、そっか。 私が忘れてるのって、そういう事なんだ。」


目の前の事ばかりに捕らわれて、見えなくなっていた光が、確かにそこにはあった。

園刃 華霧 >  
「悪かった、悪かったって!」

顔を真赤にして抗議してくる相手に、まだちょっと笑いながら謝り直す。
怒ってはいるが、悪い怒り方ではない。
少しだけ安心する。


「いーんだよ。それなら、広く、深く、していきな。
 それが……」


そこまでいいかけて、相手の続く言葉に口をつぐむ。


「へえ、星空お姉さん、か……いいじゃんいいじゃん。」


前に、先生と呼んで恥ずかしがられたことを思い出す。
流石に、今は口にしない。
ああ、でも……本当にそれは素敵だ


「そうそう。わかってきたじゃん。
 サラはさ、色々やってきたさ。やってきたからこそ……
 普通の時の、普通の何かを、見落としてるかもしれないよ?」


――それよりも……君が過ごしてきたこれまでの日々。
――分からなくて、はっきりしなくて、曖昧でも。
――それらの中にこそ、『君にとっての真理』は眠っているのではないかな。
――君が生徒として過ごしてきた時間に。君が会った人々の中に。


ああ……そう。そう、だよな。
まったく、また其処に戻るんだな、アタシは


「サラがこれまで過ごしてきた日常を、振り返ってもいいんじゃないかな。
 ひひ、『真理』はそこにあるかもよ?」

少しだけ、冗談めかせて笑う。

水無月 沙羅 >  
「私が過ごしてきた日常……か。
 ずっとないがしろにしてきて、もう残ってるのかも自信がないけど。」


日常という名の平穏をかなぐり捨ててきたひと夏だった。
その中で、小さく輝く光が、小さな星が、私の中で輝いている。
それが、『水無月沙羅』という人間を作り出している。
それは、なんだかとても素敵なことに思える。


「真理……真理か。
 日ノ岡茜は、トゥルーバイツは真理を特別な事のように言ってたけれど。
 それはとっても、さりげない幸福なのかもしれないね。
 ううん、きっとそれが喉から手が出るほど欲しかったからこそ、彼女達は行動を起こしたんだろうけど。」


冗談のように紡がれた言葉に、それでもそこに大切なものがあると言葉にする。
だって。


「命を懸けるに値する、私たちが、風紀委員が守るべき『日常』が。
 彼女たちが欲しかったものが、『真理』がそこに在るなら。
 華霧、ありがとう、私たちにその大切さを教えてくれて。」


もういない彼らや、彼女達の代表の様な彼女に、そう笑いかけた。

園刃 華霧 >  
「もしも残ってなきゃ、拾い集めてもいいさ。
 大丈夫、何度だってやり直せる。」

そんな言葉を自分がもらったのは……わずか前のはずなのに、もうはるか昔のようで。
しかし、それは自分の中に、確かに息づいていた。


「……アタシが、ついてる」


力を込めて、口にした。


「『真理』……なんてのはさ。人それぞれだよ、サラ。
 そして、それはどんなにちっぽけだろうと……そいつにとっては、『特別』なんだ」

戻らぬ妹の命を求める男が居た。
ささやかな食を求めた男が居た。

事情が違うだけで、その両者の重みは全く変わらない。
ただ、それが『特別』なだけ。


「ま、『真理』なんて言ってはみたけれど……
 サラなら『星に願いを』みたいな感じのほうがそれっぽいのかね?」

少し照れ隠しもこめて、くすり、と笑ってみせる。
お礼を言われるのは、なんだかむず痒い。
 

水無月 沙羅 >  
「……うん。 かぎりんが一緒に居てくれるなら、安心だね。」


共に、隣に居てくれるなら。
例え全て零れ墜ちていたとしても、一緒に拾ってゆける。
諦めずに、また一歩踏み出せる。
そう思える。


「ん? んー……。
 どうだろう、星に願い事をするのは、ちょっと違うかもしれない。
 私にとっての星空は、さりげない幸福っていうよりも、うん、そう。
 浪漫、だからさ。」


二へへと笑いかえして。


「誰かと星を見に行く、みたいなのが、きっと私の『真理』なんじゃないかな。」


もう叶わないであろう、その約束を。
真理という名に置き換えて。


「かぎりん、今度星を見に行こう、本物の。」


笑いながら、静かに泣いて、彼女にそう誘った。
あぁ、結局彼も、私の中の『日常』だったのだ。
 
 

園刃 華霧 >  
「ん、そっか。そうだったな。
 サラにとって、星は……そういうもの、だったな」

星は浪漫
星に願い、というより、星に載った願いそのものを
物語を

人々の想いを


「誰かと星を見に行く……か。
 確かに浪漫だ」


優しく微笑む


「いいよ、いつだってな。
 そいつは、間違いなく……素敵なことだ」


にしし、と笑ってみせた。

水無月 沙羅 >  
「うん、そうだね。
 絶対に、いこう。」


その笑いに、救われて。
約束を今度は本当にするために、またがんばろう。


「じゃぁ、仕事終わらせちゃうね!」


そうして真っ暗になった窓を見て、くすりと笑う。
また、最初の話題に巻き戻りだ。

園刃 華霧 >  
「おう、絶対にいこうな」

にこやかに返して……


「だーかーらー!」


ひょいと書類を奪ってしまう

その後は、
奪い合いになったか結局どちらかが折れたか
はたまた二人でオシゴトしたのか……

ただ言えるのは
二人が
姉妹のように睦まじく
過ごしたということだけ

ご案内:「風紀委員会本庁・刑事課」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁・刑事課」から園刃 華霧さんが去りました。