2020/11/04 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 大会議室」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
風紀委員会本庁のとある大会議室。
其処に集まるのは、嘗て違反部活生だった者達。
風紀委員に保護され、正規学生へ至る為の手続きを行っている保護観察処分の者達。
言わば、荒くれ者。はみ出し者。『正道』から外れ、其処に戻ろうと足掻く者達。
不安と緊張、そして敵意を滲ませた彼等の視線の先には、簡素な演壇。
其処に立つのは、漆黒の制服を纏い、真っ赤な風紀委員の腕章を付けた小柄な少年。
直立不動で己を見上げる『元』違反部活生達を見下ろして――静かに、唇を開いた。
「……君達は愚かにも違反部活へ身を落とし、懸命にも風紀委員の保護を求めた溝鼠以上野良犬以下の者達だ」
「本来であれば、君達が此の島で真っ当な生活を送る為には、長い時間と厳しい審査が必要となる。また、その結果島外追放処分となる可能性も十二分に存在する」
「君達が身を置く『元違反部活生威力運用試験部隊傘下独立遊撃小隊』は、例の事件以後冷や飯喰らいと化して久しい。
君達の待遇が劇的に改善される事は無い…筈だった」
「しかし、私は君達の処分と待遇について一任された。
よって、現時刻を以て、君達を特務広報部へと迎え入れる。
例え、獣畜生に近い君達であっても、学園の、社会の、体制の役に立つ機会を与えよう」
■神代理央 >
「君達の任務は至って簡単だ。
此の学園において、体制を揺るがす者を。風紀を乱す者を。
――我等の敵を、撃ち滅ぼす事だ」
「それは即ち、君達に嘗ての同胞を撃てと言う事だ。
情け容赦なく、冷徹に、機械的に。
"風紀委員会の敵"を、君達は断固として、果断に、滅ぼさなければならない」
思わずざわめく会議室。
少年を見上げる者達には、困惑と恐れ。そして変わらぬ敵意。
「……そして、それを見せつけるのだ。敵に、敵対者に、君達の同胞に。
我々が、情け容赦無く彼等を撃ち滅ぼす存在である事を、知らしめてやらねばならない」
「それが、君達が幸福になる唯一つの道だ。
君達は、嘗ての同胞を踏み付け、連中の憎悪をその身に浴びて、自らの幸福を、掴み取らなければならない!」
次第に熱を帯びる少年の言葉。
聞き入る、という程でも無いが、この小柄な少年が次に何を言うのか。
自分達の"支配者"が、何を告げるのか。
ざわめきは掻き消え、固唾を飲むかの様に。
社会から追い出され、其処に戻ろうと足掻く者達は、少年を見つめていた。
■神代理央 >
「――戦え!嵐の様な闘争を!獄炎の様な闘争を!
嘗て君達がそうしてきたように!嘗て君達がそうであったように!
血を啜り、泥に埋もれ、瓦礫に押し潰されても尚!
戦い続けるのだ!君達自身の、栄えある栄光と幸福の為に!」
「それが、君達が未来へと踏み出す為の一歩だ!
社会に刃向かう者共を、幸福の為に踏み砕け!
常勝し、連戦し、そして勝利せよ!
闘争と勝利は、君達の義務であり崇高な使命である!」
「私達が勝利の信念に揺るぎなければ、今こそ決意を新たにすぺきである!
勝利は目前にある。ただ、それを掴みさえすれぱよい!
私達は次の言葉を合言葉としよう─立ちあがれ!嵐よ吹け!」
■神代理央 >
――全てが終わり、大会議室に残ったのは小柄な少年唯一人。
まあ、出足としては上々といったところだろうか。
実際に、彼等の忠誠心がどんなものかは、前線に出してみなければ分からない。
後ろから撃たれる可能性も十分あり得るなんて、笑い話にもならないな、と溜息を一つ。
「……道化を演じるのも中々に肩が凝る。
過去の為政者達は、よくもまあこんな事を真面目くさった顔で出来たものだ」
己には中々荷が重い仕事だった。
だが、その仕事はまだ、終わった訳では無い。
「……寧ろ、今からが始まりか。いや、既に終わっているのかも知れんがな」
再び、深い溜息を吐き出して。
少年は会議室を後にするのだろう。
ご案内:「風紀委員会本庁 大会議室」から神代理央さんが去りました。