2021/02/07 のログ
ご案内:「常世総合病院・病室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
──病院へと緊急搬送されてから数日が経った

壊滅状態だった手足の外科手術は終わり、魔術医による治療がはじまる
面会謝絶の札も外されて、比較的自由な時間が使えるようになった

「(…と、言ってもまだまだ車椅子もままならないのですが)」

現状を嘆きつつ、内心でセルフツッコミをする程度の余裕も出てきた

伝えられることは信頼できる後輩に伝えることが出来た
生真面目な彼のこと、自分の所属する部署にも正確に情報は伝わっているだろう

伊都波 凛霞 >  
ならば、今は言われた通りゆっくりと身体を治すこと。それに専念しよう

冬空から光差し込む窓を見やる
ようやく首のコルセットが外れて、比較的自由に視線も動かせるようになった
ベッドを操作して状態を起こすようにすれば、外の風景もよく見えた
同時に、窓ガラスに映る自分の姿も

──魔術医さんの治療で、綺麗に治るといいなあ
なんて思いながら、静かに時間が過ぎてゆく

ご案内:「常世総合病院・病室」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 >  
仕事は仕事
物騒なのは承知の上だ
とはいえ――

どうしてこう、連中は酷い有様になるんだ
どいつもこいつも

本当にもう、こいつらは……

病室の扉を眺めながら、つらつらと考える
しかしまあ考えたって仕方ない
とりあえず、ノックをする

そして、一息


「……起きていらっしゃいますか?」


特別製の余所行き声で声をかける

伊都波 凛霞 >  
「──? どうぞ」

外から聞こえたのは聞き慣れた声だったけれど
いつもと違う雰囲気に少し首を傾げながら、そうドアに向けて声をかける

──促されるままに病室に入れば中は当たり前だが、白く、簡素だ
そしてベッドの上でリクライニングで背を起こした少女の姿が目に入るだろう

ポニーテールに制服の見慣れた姿ではなく、
髪も結わず、病衣と包帯に包まれた…まず見ることのない姿であることは間違いない

園刃 華霧 >  
「……お加減は、とは聞くまでもなさそうですね?」


普段のがさつな有様ではなく、物音もさせないのではないかと感じられる
静かな足運びでゆっくりと部屋の主に寄っていく。

そして同じく
椅子を丁寧に引き寄せ、ゆったりとベッドの側に座った。


「それで? 一体、どういう有様なんです?伊都波凛霞さん」


静かに、そう口にした

伊都波 凛霞 >  
「……あはは、来てくれたんだ。ありがと、かぎりん──」

自分のよく知る彼女との余りにも大きな雰囲気の差異
なんだか緊張してしまう、というか改まってしまうというか
ものすごい圧を感じる……

「ごめんね。報告書も書けなくって…。
 油断、したつもりはなかったんだけど。異能者が相手って、難しいね──」

申し訳なさそうに苦笑する
一応の報告や怪我の状態何かはは風紀委員に情報として伝わっているかな、と思いつつ
どういう有様、と口にする彼女の眼をまっすぐに見られない
ご覧の有様、としか言い様もないのである

園刃 華霧 >  
「……やレやれ」

一つ、ため息。
鉄火巻馬鹿はこれで動揺したりとかしたんだけども。
ただ、何がしかの圧は感じたようだ。

緊張してるなら、まあそれはそれでいい


「ソりゃ、お前さンが油断ナんぞするタぁ思わンよ。
 けドなー、メンドクサげなトこに一人で行ってンなら……
 そりゃ、油断トあんマ変わラないんじゃネーの?」

いつもの口調にすっかり戻って、いつものように喋る。
普段と違う服装も相まって奇妙な感覚があるかも知れない


「ごメんも、コテもあったモンじゃなイだろホントさー。
 どイつもこイつも……なーンで馬鹿バっかなんダろな?」

特徴的な歯をむき出しにして、睨めつけるような顔で見る


「あと、アレだ。顔。
 顔、みロってノ」

顔に手を伸ばし……一瞬、手をなにやらわきわきさせて
結局引き戻してそういった

伊都波 凛霞 >  
「……ほんとに、ごめん」

油断と変わらない、と言われればそれまで
ただ、並の異能者や違反学生相手なら遅れをとらない自信はあった
結果を見てみれば、それは過信になってしまっていたのだろうけど

もちろん単独行動していたのには理由もあるが…
その話はまだ確証が持てない上に、口にしてしまえば抜けない棘を委員会に残すもの
故に、ただごめんと謝るに留めてしまった
少し小狡い気もして、心が痛む──

「ん……顔…?」

ちょっとした怒気と、睨まれて少し気後れしながら
それでも口調がいつものよく知る華霧に戻ったことに安堵しながら

自分の手をやれば相変わらず顔の半分ほどを覆っているガーゼに触れる
今朝取り替えてもらったばかりで、血が滲んでもいないはず…と
よくわからなさそうな顔をして…

園刃 華霧 >  
「ダーかーラー、謝んナってノ。
 そンなん一文にモならんッテ。」

そんなつもりはないだろうが、謝罪の言葉なんて並べれば並べるだけ薄っぺらくなる。
謝れば全ておしまい、という流れは許さない。


「マー、お前さンにも理由はアったんダろーけドさ。
 あったニしてモ、保険くらイかけトけってノ。」


高い能力も相まって、単独行をしたがる連中はそれなりにいる。
……ただまあ、目の前の相手はそれ以外のナニカ、もありそうではある。
シンデレラ、とかそういうの抜きに。

ただ。そこまでは詮索しても何も出さないだろうし、とりあえずはおいておく。


「アレだ、アレ。目を見ロって。
 ……あと、は……いヤ、いい」

本当なら、顔の一つも掴んでこっちを見させようとも思ったが。
流石に包帯まみれの顔をひっつかむのは気が進まなかった。
それだけの話だ。

それは、口にしかねたので黙ってしまう。

伊都波 凛霞 >  
「だって──……」

言葉に詰まる
一文にもならない、その言葉通りだ
申し訳ないという気持ちを伝えたって、何かが解決するでもない
風紀委員が落第街で大怪我、病院に搬送──なんていうのは不祥事だ
それ以上に、仲間に心配だってかけている
謝罪で済ませる、そんなつもりはなかったけれど、言い訳は口噤み、出さなかった

「…あ、ごめん。なんだかバツが悪くって…
 って、また謝っちゃった…」

ダメだね、と苦笑する
そしてようやく、視線を合わせる
合わせる顔がない、なんて言葉もあるけれど
やっぱり訪ねてきた相手の顔もまっすぐに見れないのは、失礼だ

「…うん、ほんとはすぐに応援を呼べるようにしておいたんだけど、端末が故障しちゃって」

「……レイチェルさん、忙しくさせちゃってるかな。
 かぎりんも、レイチェルさんのこと助けてあげてね。
 私も、ちゃんと怪我治して、戻るから──」

そして、ちょっとしたお願いをする
聞いてくれるかはわからないけれど、書類仕事を苦にしない自分がしばらくあの部屋に戻れないとなれば
代わりに誰の机に書類が乗せられるのかはすぐにも察しがついてしまうから

園刃 華霧 >  
「ったク……ソレで良イんダってーノ。」

つん、と額を軽く突く。
できるだけ痛くなさそうなところを狙って。


「あンなー、アタシらは仲間ダ。ンでもッテ、トモダチだ。
 なラ、手助けもナんも当然だロ?」


やれやれ、と肩をすくめてみせる。


「……マ、先にヤらかシたアタシが言えた義理じゃナいけドさ。
 やッチまったンなら、サっさとトりもドして帰ってクる。
 そンでいいダろーさ。難しク考えンなって」

実際は、そこに色々ある
ありはするが、知ったことではない

仲間が、友だちが、しっかり復帰してくる
それで それだけで 十分だ

……正直言えば
まだ、少し思うところはある
けれどそこはこっそり握りしめた片方の手の内で落ち着かせる


「むシろ、アレだ。戻ってキたら仕事無くナってる心配でモしてナ。
 アタシが本気ダしたら、割と凄いゾ?」

ケタケタと笑ってみせる。いつもの笑いだ。


「……しかし、端末の故障、カ。
 そレもそレで油断ダなー。便利グッズなんて壊れリャおしまいってナもんダ」

単なる故障か、それとも相手の策略か
いずれにしても、その程度で駄目になる保険では心もとないということだ

伊都波 凛霞 >  
額を小さくつつかれて、また苦笑
こういう空気感の中だと、この子には敵わないなと思わされる

「当然でも、口にするのとしないとじゃ、違うからさ。
 ──戻ってきたら仕事が0に?
 それはそれで、見てみたいなーとは思うけど」

かぎりんの本気の仕事モード!
…普段の姿からは想像もつかないが、なにやらふわっとした只者ではない感じを持つ彼女のことである
もしかしたら…と思わせてくれる
ますます、ちゃんと治してその仕事ぶりを拝見しにいかなければならなくなった


端末の故障
確かにタイミングは良かったけれど
あれが"彼"のせいだとは思っていなかった

「うーん……いっそテレパシーでも使えればいいんだけど、ないものねだり。
 まあ、結構酷使というか身につけたまま戦闘行動とか、したりもしちゃってたからね…」

たまたま、という線は拭えないし
何より華霧の言うとおり、二の手を準備しておくべきだった
あの博士がその気だったなら、自分はまず今、生きていないのだろうから

「いいクスリになったよ」

注意はしていたつもりだった、が
十分ではなかった

園刃 華霧 >  
「まー、リンリンにオネダリさレたラなー?
 ひひっ、少しはマジにナるしカないじゃン?」

啖呵を切ったものの、さてさて実際はどこまでできるのか
その辺はやってみないと分からないはわからない

ただまあ、書類をうまく転がすのは得意といえば得意だし

ただどこまで持久力が続くかはちょっと謎。
そこも、今回の"お願い"で、まあまあ頑張る気にはなれそうだ。

あとでご褒美でも貰おうか、などと不穏なことを考えつつ


「ほーンとサー。りおちーもダけど、リンリンもサー。
 そーユーところだゾ?」

やれやれ、とまたため息。
自分が大丈夫だから、と色々と酷使しすぎる。
この手の手合は少しは真面目に手を抜くことを覚えるべきだ。

「真面目すぎ、マジで。
 少しは気を抜ケってノ、ホントさ」

もう一度、つん、と突く

伊都波 凛霞 >  
「頼りにしてる」

くす、と小さく笑って
見透かしたわけでもないが、快復したら何か奢らせてもらおうかななんて考えて

「……えー…、神代くんほどじゃないと…わっ」

再び額をつっつかれる

「気を抜くっていっても、責任のある部活だし…。
 や、うん…わかりました。善処シマス……」

適宜、気を抜くのといい加減は違う、と頭ではわかっているのか、
言い訳は再び言葉をとしては出ずに…

「……でも神代くん程ではないよね?」

一応の、確認

園刃 華霧 >  
「任されました、お嬢様」

すいっと手を胸にやり、大仰にうなずく
声色も、どこか別の人間のようで奇妙な感じがある

が、一転ニヤッと笑い

「ソうそウ、善処しナさい。
 ほーンと、ドいつモこイつも、あの委員のメンツはサー」

そう言い放つ。
そして


「あ、其処気にシちゃウ? 気にシちゃウんだ?
 アタシに言わセりゃ、ドっこイどっコいだゾ?」

確認された言葉には、無慈悲に返す。
程度、というか質としては大して違いないと思っている。

……バカさ加減、というならまた別だろうが

伊都波 凛霞 >  
快く、大仰に頷く華霧
別人のような声色、だけどなぜかとてもしっくり来る、不思議な感じだった

「私が言うのもなんだけど、しょうがないよ。
 信念とか、想いとか…正義感も。
 すごく強い、そういったものを持ってないと、風紀委員になろう!なんて、多分思わないもん」

──そういえば目の前の少女はなぜ風紀委員になったのだろう
あまり気にしたことがなかったけれど、今度また、機会があったら聞いてみるのも良いかもしれない

「……そ、そっかー…」

ちょっとフクザツ
そんなに生真面目かなあ、なんて自問自答
自分から見ても真面目過ぎる後輩だと思ってたのに、周りからみたらそう変わらないらしい

「…でももう少し不真面目に、っていうのもなんかなー…。
 ……せっかく考える時間とか、一杯もらったし…そういうコト見直してみるのもいいかな」

どうせまだ散歩も満足にできないのだから、良い機会なのかもしれない

園刃 華霧 >  
「信念、想い、正義感。結構ナこッタ。
 別に悪いタぁ言わンよ。けド、バランスとれッテ言ってんノ。」

何事も、バランスは大事だ
偏りすぎはどこかで決定的に、何かを駄目にする
なにより、面白みに欠けるだろう

かく言う自分だって、まあ……何かに偏りすぎたんだろう、と思う


「そうソう。馬鹿は死ななきゃ治らない、なんテいうケど。
 ホントに死ンじマっちゃ元も子もナいしサ。」

どこぞの火力馬鹿は死なないと駄目そうだが……
あっちはあっちであの件もあるし、一回様子を見に行ってみようか

「ま、フマジメ、なンて真面目なリンリンにゃ無理だローさ。
 別に、サボれッテ言ってンじゃなイよ。
 たダ……ン―、なンだロ。余裕? ちょっト違うカ。
 ま、とにカく、なンか抜けルときヲ増やシとけッテ感じカね?」

自分でもその辺はうまく言語化できない。
まあ、少しくらい無責任に生きてもいいじゃん、くらいのアレだ。

伊都波 凛霞 >  
「そういうのがあるから、つい頑張っちゃうんだろうね、って思って」

バランスはもちろん大事
想いだけが先行しても、うまくはいかない
けれど原動力が形のないものなだけに、塩梅というものが違うのだろう
中には高給目当てに風紀委員にいる者も、まぁいるのかもしれないけど

「…そうだね。私だって──」

命を奪われなかったのはただひたすらに、不思議だと思う
あの場で気を失って、手足も用をなさない、全身ボロボロの状態で生き残ったのだから
生かされたと考えるのが普通だろう、と思う

「なんか、妹がいるせいかずっとこんな感じなんだよね。
 ほら、なんかお手本にならなきゃ、みたいな…
 …でもまぁ、それも善処する。約束するね」

心配もかけちゃっただろうから、ちゃんと誓おう

園刃 華霧 >  
「妹……妹、か……
 なラ、尚更、ダ。返って辛イ思いナんかサせんナよ?」

妹に良いところを見せる……というのとは、また違うのだろうけれど。
そういう姉馬鹿、みたいなのでやらかしてたら世話はない


「……ン。約束、だナ。」


にへら、と笑う
久しぶりの純粋な笑顔


「……と。怪我人にちト言い過ぎタかナ。
 悪い悪イ。」

ふと、思い出したように口にする

「ンで、そーイや。飯とか普通ニ食べレんの?
 まダ無理?」

全身上から下まで見回して
ついでだから、病衣でわかりやすくなっている膨らみなんかも見つつ
そんな質問をする

伊都波 凛霞 >  
「ほんとにね。気をつけなきゃ」

素直に同意
以前ほどべたべたのシスコンではなくなったとはいえ、
やっぱりお互いに大事に思っている姉妹である
こんなことで心配をかけていたらまさに世話はない

「ううん。全然。
 ちょうどまともに話とかも出来るようになったところだし…
 そういうかぎりんっぽいところも見れてなんか安心したし。
 なんだかんだで一人部屋だから、寂しくって」

外にも出れないし、である

「んー、ちょっと前までは流動食、だったけど…
 今はもう普通のご飯かな。ダイエットできちゃいそう」

手足にはギプス、病衣から覗く肌には包帯、まだまだ大怪我した人、といった風貌である

「体力的には問題ないらしいから、魔術医さんの治療が始まったらすぐ治っちゃうかも」

そう言って笑う
実際には、手足は完全に元通り運動能力が戻るかどうかは不明だと言われたけれど
そこは不安にさせる意味も、心配させる必要もなかった

園刃 華霧 >  
「うン?アタシらしイ?
 アー……まぁ、好き放題シてンのがアタシらしいっちゃア、そーカね」

その辺りの自覚は正直薄いのでなんとも言えない。
そもそも、自分らしさ、とは?みたいなところもある。


「ソーなァ……まあ退屈ダしなー。
 あっチこっちに声かけテおくカねー」

一人部屋の寂しさ、と言われると自分はかつての勾留暮らしを思い出す。
寂しさ……はなかったと思うが、まあ退屈だった。本当に

「そリャいカん。しボ……ンン。
 ま、食えルよーニなったンなら、寝て食べテりゃ戻るダろーサ。
 ヤ、一応、見舞いにテキトーに持って来たンだけどサ。
 食べれナきゃドーしヨーかと思ってナ?」

そういって……虚空から、包みを取り出す
中には、フルーツやらお菓子やらがとりあえず突っ込んであった


「なンか食べる?」

そう言って首を傾げた

伊都波 凛霞 >  
自分らしさ、がよくわかっていなさそうな華霧にくすりと笑み
大丈夫、自分らしさがちゃんとわかってる人なんて稀なのだから

「ふふ。病室だから賑やかにはできないけどね。
 あ、っと…どうなのかな…食べれるけど看護師さんに聞いてみなきゃ…」

やはり真面目である、と思わせる返し
そしてしボ…しボ?
何を言いかけたのかちょっと気になったが

「でも嬉しい。かぎりんがお見舞いに来てくれたってだけで元気出た」

その言葉通り、話しはじめとは表情の明るさが違っていて

園刃 華霧 >  
「ったく、真面目ダなホント。
 まあ体ノことダし、今回はしゃーナいか」

気にすんな無視無視、とまでは流石に言えなかった
ちょっとした怪我程度だったら絶対そうしたけど

「ン、そりゃ、ナ。見舞いクらい、来るサ」

一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
薄暗い表情をして、すぐに消す

これは自分の問題
掘り出された自分の欠点

もう知られている相手じゃないなら
あえて言うこともないだろう

「元気になっタなら、良かったヨ」

だから、にっこりと笑う