2021/02/15 のログ
ご案内:「神代理央 自宅」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「神代理央 自宅」に比良坂 冥さんが現れました。
神代理央 >  
此の日、少年には少し疲労の色が見えていた…かも知れない。
何時もより少し遅い時間に帰宅して、何時もより少し遅い時間に風呂を済ませて。
ずっと思案顔――どうせ仕事の事なのだが――をした儘、最低限必要な事だけ終わらせて。

今は、遅い時間のニュース番組をBGM代わりにリビングのソファでタブレットを操作しながら考え事の真っ最中。
勿論、タブレットの画面も風紀委員会の資料等々。

「………ふう」

小さく溜息を吐き出しながらも、タブレットから視線は離さない。
――普段であれば、保護している少女の危うさから決して気を抜く事は無いのだが。
今夜は、悪い意味で気が抜けてしまっていた。仕事をしながら、少女の様子を気に留める、という細やかな事が出来ない程度には。

同居する少女にも、きっと一目瞭然だろう。
此の部屋の主である少年は、良くも悪くも何時もに比べて無警戒。
隙だらけ、というに相応しい状況である事に。

比良坂 冥 >  
そんな隙だらけの少年、神代理央の背後から
するりと冥の腕が少年の首元へと絡みつく
ソファの後ろから抱きつくような形で…

「……お疲れ様?理央」

抑揚のない、いつもの声
それが耳元を擽るように囁かれる

ふわりと、鼻につかない程度の柔らかな甘い香りが漂った
少年が甘いものが好き…という情報から選んだコロン

「……お仕事頑張るの、いいけど…無理はダメだよ」

時期に反して薄着であることがその服の袖からもわかる
薄い布地越しの低いながらも体温が伝わる、そんな距離感だった

神代理央 >  
文字通り、絡み付く。背後から、柔らかな何かが己の首元へと。
何時もなら、事前にある程度気配は察知出来るのだが…今夜は、それは叶わなかった。
少し驚いた様に身動ぎして、その拍子にタブレットが手元から零れ落ちる。
ポフ、と軽い音と共にタブレットは少年の脇。ソファへと投げだされた。

「…あ、ああ。そうだな。少し…少しだけ、疲れていたかもしれない。冥が近くに来るまで、全然気付かなかったよ」

ぱちくり、と瞳を瞬かせて、少しだけ首を動かして視線を少女に向ける。
鼻腔を擽る甘い香り。香水か何かだろうか。キツ過ぎず、薄すぎず。とても、好きな香りだった。

「……そうだな。少し根を詰め過ぎていたかも知れない。
無理をし過ぎて仕事に差し支えたら、元も子もないしな」

と、少しだけ苦笑い。
そんなやり取りの最中にも、少女の体温が己の首元からじわり、と伝わる。
視線を落とせば、此の時期にしては随分と薄い生地。

「……空調が効いているとはいえ、もう少し着込んだ方が良いんじゃないか?風邪、引くぞ」

振り返れば、少女がどんな姿をしているのか。
一瞬過ったそんな思考を振り払う様に、勤めて真面目な声色で少女に言葉を投げかけるのだろうか。

比良坂 冥 >  
驚いたような様子を見せる少年に、くすりと薄い唇を少しだけ歪める
白く細い指先が擽るように、理央の首元を横切るように撫でる

「……あぶないね。今の理央だったら、私でも殺せちゃいそう」

もちろん、大好きな相手にそんなことはしないけれど
少女なりの注意喚起なのだろう

「……ん、寒いのには慣れてるのが平気、だけど…。
 理央は女の子は厚着してるほうが好き…?」

ストラップシャツにミニスカート、部屋着にしては、だが余所行きにしては派手すぎないといったような格好
言い換えれば、家の中であっても誰かに見せるための服装…ともとれる

「──昨日、理央がいなかったから…今、あげようかな……」

ごそごそ、片手が引っ込むと、すっと今度は目の前に透明な器に入った小さなチョコレートケーキをもった冥の手が差し出される
コロンの香りに、香ばしいチョコレートと生クリームの甘い香りが加わった

「……理央が帰ってくるかわからなかったから、手作りじゃないけど。バレンタインデー……」

神代理央 >  
首元をなぞる、少女の細い指先。
その感覚に擽ったそうに身動ぎしつつ、少女の言葉に浮かべるのは困った様な笑顔。

「…それは、困るな。私にはまだまだ、やらないといけないことがあるんだから」

とはいえ、少女の接近に気付かない程疲れが滲んでいるのも事実。
少し息抜きが必要かな、と少女の笑みを見ながらぼんやりと考えていたが――

「…いや、別にそういう訳じゃない、けど…。
……何と言うか、何時もの部屋着とは少し違うな…って」

少女が纏う甘い香りと同じ様な。
部屋着にしては華やかだが、余所行きにしては奥ゆかしい。
奇妙な程に"程良い"甘さを体現した様な少女の装いに、普段の堅物めいた態度が僅かに崩れてしまうのは…疲労の所為、だと思いたかった。

「……あげる?なにを――」

と、少女の言葉に首を傾げかけて。
昨日いなかった。今日渡す。其処から連想出来ぬ程、流石に鈍感ではない。
少女の香りに混じる、チョコレートと生クリームの香り。
それは、とても好ましいものだった。

「……ありがとう。そっか、バレンタイン昨日だったものな。
昨日は帰れなくて悪かった。そして有難う、冥。嬉しいよ」

壊れ物を受け取る様に、そっと少女の手からチョコレートケーキを受け取って。
嬉しそうに、ふわりと微笑んで少女からのプレゼントに応えるのだろうか。

比良坂 冥 >  
「……おうちでも、好きな人に見せる格好と、そうじゃない格好があるから、ね…」

するりと腕を解いて、するんとソファの前へ…
理央の隣へと、ちょこんと腰を降ろす

手にはチョコケーキ、そしてもう片手にしゃきーん、と金色のフォークを取り出して

「……甘いもの」

「……疲れた時にはいい、よね?」

ぷすっとチョコケーキをフォークで刺して
等間隔に切れ目の入っていたそれは、丁度一口サイズとしてフォークの先で揺れる

「……あーん♡」

嬉しいよ、という言葉に満悦したのか、食べさせる気が満々だった

神代理央 >  
普段であれば、やんわりと話題を流したり。
好意の云々について語ったり――したのかもしれない。
けれど、今夜くらいは。自分の為に、装いも変えてお菓子も用意してくれた少女を、少しだけ甘やかしても良いかな…なんて、思ってしまった。
だから――

「……あ、ん……む。………うん、おいしい」

少女が隣へ腰掛けた事へも何も言わず。
ちょっとだけ、羞恥心と折り合いをつける為に間を空けた後。
ぱくり、と少女の差し出したフォークに、口を運んだ。

金色のフォークが一瞬少年の唇の中へと消えて、ケーキが飲み込まれて。こくん、と小さく喉を鳴らして飲み込めば、その甘さに思わず頬を緩めるのだろう。

比良坂 冥 >  
ケーキの出来栄えは、及第点
売り物なので当然といえば当然で、最低限の保証はされている味だった
シチュエーションが少しだけ味を良くさせて…いたらいいな、なんていうのは少女の内心

「……今日の理央はいつもよりももっと、優しいね」

唐突なあーん♡を嫌がったりも、遠慮したりもしなかった
するりと自分の行動、行為を受け入れてくれた少年に、思わずケーキの残りを近くのテーブルへと置いて
飛びつくように抱きついてしまう

「……好き。理央、大好き…ねえ、キスしよ…して、理央……」

互いが触れ合えば、その自身の欲求を惜しむことなく、隠すことなくぶつけはじめた──

神代理央 >  
「……っと、と」

既製品のケーキが、随分と甘く感じたのは――きっと甘味料以外の原因もあるのだろう。
それが一体何なのか。考えようとして、考えてはいけない様な気がして。
――そんな些細な煩悶は、少女が抱き着いてきた事によって、中断される。

「……全く。急に抱き着いてきたら危ないだろう?私は非力なんだから――」

と、冗談交じりに笑おうとして。その言葉は、少女の言葉によって中断される事になる。
キスをせがむ少女。それに応えるべきなのか。応えたとして、それは果たして同情か、義務感か、それとも――

「…………ああ、いいよ。おいで」

ごちゃごちゃとした思考を振り払う様に、僅かに吐息を零すと。
ぐい、と少女を引き寄せて――そっと、唇を重ね合わせようと。
唇に触れるだけの、軽く重なるだけのキスを、少女に、と。

比良坂 冥 >  
──とくん。胸が高鳴る
要求に応えてくれた
自分の欲求を受け入れてもらえた
こうなれば、もう冥の、少女の瞳には理央ただ一人しか、入らない

「……───」

引き寄せられ唇が重なる
柔らかいものと、柔らかいものが触れ合う心地よい感触──
触れ合うだけのキスはすぐに離れて、…少女はやや名残惜しそうな顔をする

「……嬉しい。でも、もっと…したいな……」

頬を染め、昏い瞳を潤ませ、更に続きを要求しはじめる
少年が受け入れ、一歩進んだ先…──

それはまるで深い深い…
甘い綿菓子の雲に踏み入ってみたら実はそれが底なしのような沼
踏み込んだ足は沈み、無数の手に引き込まれるような──そんな感覚
言い換えれば危機感──を与えるかもしれない

神代理央 >  
もっと、と強請る少女。
…きっと、そうなるだろうとは思っていた。
少女の精神面が危うい事を知っていて、それでも、少女の願いに応えたのは。応えてしまったのは。

「……いいよ。好きなだけ、幾らでも」

風紀委員として、それなりに死線を潜り抜けて来た。
だから、分かる。此れ以上先は、危険だと。
……何故、かと問われると分からない。謂わば、動物的な本能だろうか。此れ以上、この少女に入れ込むのは危険だと。
踏み込むのは危険だと、理性が叫ぶ。

「……偶には、甘やかしてやらないとな。何時もひとりぼっちは、寂しいだろう?」

――そんな理性を無視して。引きずり込まれてしまうのは。
きっと庇護欲だけではない。もっと、薄暗くて仄暗いモノ。
己自身の欲の入り混じったモノ。
…或いは、もう既に"引き込まれた後"だったのかも知れない。

だから、続きを要求する少女に微笑むと。
もう一度、少女と唇を重ね合わせる。
今度は、先程よりも少しだけ深く。啄む様な口付を。

比良坂 冥 >  
「……──理央」

その答えに、少女は表情を一変させる
瞳からは昏さが消え、文字通り花の咲くような、若々しい笑顔を見せた

「……うんっ…嬉しい。ほんとは、ずっと一緒にいたいけどがまん、するね…」

だから、今は思いっきり甘えさせて欲しいのだと
暗に含んだ少女はもう遠慮はしなかった、再び唇を重ね、少年の背に腕をまわして
何度も、もう一回、更に、もう一度、と…せがんで、繰り返して──

「……理央。理央……」

合間に、名前を何度も何度も口にする
これが、少女が望み、求め続けているもの
接触欲求──触れれば触れるほど、距離が近ければ近いほど…
阻むものがなくなればなくなるほどに、相手のことを好きになる。求めるようになる
そして、無論…その最終形は…

「……ね、理央…」

「えっち、してほしいな──」

融け合う、こと……

テーブルに置かれたチョコケーキの横をするすると、冥のペットの蛇が横切る
蛇は二人をぴたりと見つめ、鎌首を擡げて…そのままするりとどこかへと去る
その様子はまるで…諦めを見たかのようなものだった

神代理央 >  
何度も、何度も唇を重ねる。
ソレを決して、拒むことは無かった。
それが少女への慰めなのか。或いは――
…もう、己自身にも、分からなくなってきた。

「……ん……それ、は…」

それでも、少女が告げた"次"の願い。
躰を重ね合わせる事。その要求に僅かに逡巡を見せたのは、此れ以上先へ進む事へ、理性が危機感を以て警戒心を高めたから。
それに、純粋な罪悪感もある。庇護した少女に己の欲望をぶつける様な事を、果たしてして良いのか。
少女の不安定さに、付け込んでいるだけではないか、と。

「………それ、は…冥に、私の欲望を、ぶつけるだけに、なってしまう。冥の想いに、付け込んでいるだけに、なって、しまう…」

反論、と言うよりも、精一杯の自制に近い言葉だろうか。
普段の己からは想像もつかない程、弱々しい言葉と口調で目を伏せる。
――けれど、密着した少女には伝わるだろう。
少年の熱が、既に少女にも伝わる程…"形"を成している事に。

比良坂 冥 >  
「……理央は真面目だね。
 それが理央の欲望でも、何でも…
 私に向けられるだけで、私は嬉しいのに」

するすると、這うような動きで少女の手が、少年の熱を見つける
緩やかに撫でるように、その存在を確かめるように優しく触れ、そして…

──…その身を、離した

ソファの前に立ち、座る少年を見下ろす冥

「……私は理央の全部が好き…今、知らないことも含めて、きっと、全部…。
 理央が私の何を求めたって、それは変わらないよ。
 カラダだって、嬉しい。心だって、嬉しい…。
 私は理央に、何もかもあげる準備はずっと前から、出来ているんだもの──」

「……私は別に、理央が風紀委員だから好きになった、わけでもないし、ね…──」

保護されたこと、されている現状
それらはただのきっかけに過ぎないのだと
風紀委員としてでなく、一人の男性としての神代理央として接して欲しいという
そんな想いが、その言葉には込められていただろうか──

「……それに」

「……えっちしたら、そんな蟠り…なくなるかもしれないし…?」

そう言って、くすりと妖艶な笑みを浮かべるのだった

神代理央 >  
熱に触れられれば、僅かに喉が鳴る。
幾ら取り繕ったところで――根本的には、健康な男子学生でしかない。
まして、己を求めるのは美少女と言っても過言では無い少女。
我ながら、強靭な理性の持ち主だと褒め称えてやりたくなる。

……そんな下らない思考も。己を見下ろす少女の言葉に掻き消えた。
風紀委員でも無く。保護されたからでもなく。
唯の神代理央として、求めて欲しい。
少女の言葉と想いは――確かに、己にも届いた。

「………蟠り、か。成程、言い得て妙だな。燻って、溜まって、つっかえてしまっている事には違いないだろう」

妖艶に微笑む少女の腕に、手を伸ばす。
少女が拒まなければ…再びその躰を、己の腕の中に収めてしまおうとするだろうか。

「……冬の夜は長い。私よりも先に、へばってくれるなよ?」

比良坂 冥 >  
「──あ…」

手を引っ張られ、抱きとめられる
自分からくっついていった先ほどとは逆で…少女の胸もまた、再び高鳴ってゆく

「……嬉しいね。やっと。
 一人の女の子として…見てもらえた、かな……?
 もしかして、わざとそう見ないようにしてた…?」

少年の腕の中で囀る
絶対に潰せなかった少年との距離が、今…潰れた気がした
互いに零距離になったなら…──あとは、互いに重なり、融け合うだけ

「……で、先にシャワーとか浴びさせない派?
 ……あ…そういう…匂いフェチ、みたいな……」

そんな状況下でも何かとマイペースを崩さない少女
退廃的かと思えば、妖艶的で、唐突に素に戻ったりと、不安定
少年はその日の夜、どこまでもペースを乱され続ける…のかもしれない──そして

少女、冥は……その底なしの欲求をはじめて、理央へと晒すことになるのだろう

神代理央 >  
「………保護した女の子に手を出す様じゃ、その…弱みに付け込んでるみたいで、とか、思ってた…からな…」

少女の問い掛けには、少しだけ気まずそうな声色で。
腕の中に少女を抱きとめた儘、少しだけ視線を逸らせるのだろう。
図星です、と言葉と態度で露骨にアピールするかのように。

「……拘りは特には無いよ。強いて言えば、そうだな。
…私だって色々と我慢していた事だけ、分かって欲しいものだな?」

妖艶な雰囲気から、何時もの少女に戻った様な言葉に、浮かべるのは僅かな苦笑い。
こんな風に少年はきっと、何だかんだとペースを乱され続ける。
それは、底なし沼で足掻く様な物なのかもしれない。

……けれど、少女にもきっと、晒してしまうのだろう。
己が抱えている獣性。穏やかに接していた時とは違う顔。
唯、獲物を喰らい尽くす様な、そんな獰猛さ。
比良坂冥、という少女を貪る様な有様もきっと、晒してしまう。

それを少女がどう感じるのか。思考の片隅で鳴り続ける危機感を無視した儘――夜は、更けていく。

ご案内:「神代理央 自宅」から比良坂 冥さんが去りました。
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