2021/02/19 のログ
■刀々斬 鈴音 > 「……一個目はわかったよ。」
それは分かる。
今のままではいたちごっこ情報を元にして狙ってもひっかるのは抜け殻ばかりで蛇の尻尾はつかめない。
それどころかじわじわと襲撃されて部員達も疲弊している。
「……二個目はよくわかんないよ。
それって上手くいかなかったら被害が出るようにやられろって事?
……鈴音も出来るなら皆には正規の学生になって欲しいよ。
欲しいけど……。」
鈴音はこれほど長く同じ組織に所属したことがなかった……あまりに長く居すぎた。
特務広報部に特務広報部の部員達に強い愛着を持ってしまっていた。
「……鈴音が部長くらい強かったらよかったのに。
そしたら今から行ってパパって片づけてこれたのにね。」
だが、鈴音は弱い。
「……嫌だなあ……戦うの。」
■神代理央 >
「違う。全力を出して戦って、それでも尚被害が出た…という事実が大事なんだ。
やられろ、となど断じて言うものか。唯、力が及ばなかった時の事も、考えなければならないと言うだけさ」
そう。敗北を前提に戦うなど、己の信条に反する事。
だから決して、負けろとか、やられろ等とは言わない。
しかし、決して此方が優位な環境ばかりで戦う訳にもいかない。
そういう理由が、難しい理由があるのだ、と。
力無く笑ってみせるのだろう。
「…お前は、随分と隊員からの評判もいい。私から見ても、良く皆を纏め、暫定とはいえ副部長の仕事をこなしている。
だから、私の考えにも反対なのだろう。皆に犠牲を強いる様な方法を、好ましくないと考えているのも分かる。しかし――」
――だから、彼女を副部長にと思ったのかもしれない。
特務広報部の全員が己の様な考えでは、何れ破綻する。
極論。或いは、勝利の為に時には『駒』として部下を扱う己に対する反対者は必要なのだ。
だけど。いや、だからこそ。ゆっくりと視線を上げて彼女を正面から見据えて、静かに唇を開けば。
「『忠誠こそ我が名誉』」
それは、嘗て少女を特務広報部に迎え入れた際の言葉。
彼女の妖刀を人質にとって、此の場所に引き入れた――あの時の。
「お前の刀は私の刃。お前が刀を振るう相手は、私の敵。お前が強かろうと弱かろうと、戦うのが嫌だろうと、その意思は関係無い。お前は、私の手中にある。
その事を、努々忘れるな、鈴音。お前が血腐レを振るう理由は、私が与えているのだから」
それは冷酷な声色で紡がれた残酷な言葉。
彼女の想いも感情も『忠誠』という一言で片づけるだけの、言葉。
「……私からは以上だ。早く部屋に戻って休め。
疲労で倒れられては、計画が狂う」
己は、畏れられる存在でなければならない。
それは時に、味方にすらそうでなければならない。
だから、冷たく言葉を発した後、報告書に目を通し始めれば――
もう、彼女に視線を向ける事は無いのだろう。
■刀々斬 鈴音 > 「だったら…」
相手に準備が整う前に……。
それでこそ全力と言えるのでは……。
そんな言葉は力ない笑みの前に途切れる。
「『忠誠こそ我が名誉』……。」
背筋に冷や汗が流れる。
嫌な記憶、思い出したくなかったそれが頭の中によぎって手にした刀を強く握る。
もう、放れることがないように自らの半身とも、魂ともいえる『血腐レ』
……力には、強い力には逆らえない。
逃げるか、従うか、それしかない。逃げ場はない。
「……わかった。」
そう言って部屋から出ていく。思い切りドアを閉めて飛び出していく。
「……少しでも……少しでも準備しないと。」
決まった流れを変えることは出来ない。
そんな力は鈴音にはない。
でも、それでも少しでも被害を抑えるように準備を整えよう。
ご案内:「風紀委員会本庁 特務広報部室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁 特務広報部室」から刀々斬 鈴音さんが去りました。