2021/02/21 のログ
ご案内:「落第街大通り」に羅刹さんが現れました。
■羅刹 > 落第街の一角。
そこは、今のところ不気味な静寂に包まれていた。
そろそろ、移送車が動く時間。
それに合わせたことを悟られないよう、表向きは反抗の理由を報復としている。
特務広報部に虐げられた組織の反抗という名目だ。
「…位置に付けたか。言った通り、矢面に立つのはデコイだ。
『梟』、例の作戦は準備できてるな。
…ならいい。
『蛇』、弾薬、爆薬、その他制限は無ぇ。好きに撃ち、投げまくれ。
『尾』は隙を見て適当な相手を攫え。睡眠ガスは届いているな?
要塞には近づくなよ。そこもデコイで固めてある。
どうせ鉄火が出張ってきたら、要塞っつっても、簡易的だ。そう長くは耐えられねえからな
だが、それでもいい。…むしろ、そっからが本番だ。心配するな
『骸』、大道具から追加で速度リミッター外した『作戦道具』が届いてるはずだ。上手く使え」
指示を出す羅刹は、遠く離れた地区の地下。
戦場から、既に戦う気の無い者には避難を促している。
今、戦場に居るのは…『大道具』が呼び出したデコイの軍勢と、覚悟の決まった者たちだけだ。
表に爪痕を残すため、憎しみを瞳に宿した者たちである。
「さぁて。……始めるか」
言ってから、指示を出す。
予想では、風紀委員の到着まであと少しだ。
風紀委員、特務広報部以外にも誰かが来るかもしれないがその時はその時だ。
まずは。
表の連中にとっては『悪質』な一手を打ってやろう
■羅刹 > 羅刹が指示を出した直後。
デコイの群衆の中から現れたのは。
『神代 理央』
だ。
いつもの砲台異形を引き連れ、デコイたちがたむろする『落第側』へ姿を見せる。
姿かたちはそのもの。
服装は…とある日、羅刹と邂逅した際に来ていた服。
もちろん本物ではない。
他のデコイと同じく大道具が再現した…いわば偽物だ。
そして、そのデコイが声を発する。
羅刹自身が調整に協力し、神代理央本人に非常によく似た声音で。
■神代理央? > 『私は、こちらにつくことにする』
それだけを言う。
短い期間の調整では、その程度が限界ではあったが…音声はしっかり拾えるようにしてある。
映像も、『梟』が記録している中、『表』側に向けて…偽物の異形達が開戦の狼煙として、火を噴く。
丁度、移送が始まった頃だろう。
まるで本当に、『鉄火の支配者』が裏切ったかのような、映像。
それが…どちらにしても情報統制はかけられるだろうが。
見れるものには見れるように、広められていく。
動揺が見られれば。
即刻…蛇による攻撃が開始されるだろう。
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
彼等の決起に合わせ、風紀委員、特務広報部の面々が落第街へと赴く。
とはいえ、その大半は漆黒の装甲服――特務広報部の戦力が、大半なのだろうが。
そうして、始まった戦い。
先ずは、特務広報部より先に現地でにらみ合いを続けていた警邏部の風紀委員達は、突如現れた異形と、味方である筈の少年委員の姿に大きな動揺を見せるだろう。
その動揺の隙をつくように。或いは、血気に流行った面々が攻撃を開始すれば、混乱した警邏部の面々は有効な対応を取る事も出来ずに下がっていくばかり。
そして、少し遅れてやって来た特務広報部の隊員達は――奇妙なまでに遠巻きに、ソレを眺めているばかり。
味方が下がってくるのを支援する為に、散発的な射撃こそあれ。
『ナニカ』を避ける様に、大きく前には出てこない。
その『ナニカ』は、直ぐに敵味方共々に理解を得る事になるだろう。
ひゅるひゅる、と。風切り音と共に上空から迫るのは――
ご案内:「落第街大通り」にふぇんりるさんさんが現れました。
■神代理央 >
「…砲兵の何たるか、を一度教えてやった筈だがね」
前線より少し離れた場所。
廃墟やバラックの狭間にポツンと現れた空き地。
かつてここには、それなりの大きさのビルと、其処を拠点にする違反部活があったのだが――ビルごと砲撃によって崩壊させられたのは、2週間程前の事。
そして、その空き地には今。
20を超える鋼鉄の異形と、それを従える風紀委員の少年の姿。
「私が普段、これ見よがしに近接距離で異形による戦闘を行っているのは、砲兵の真価を悟らせない為でもある」
「遠距離(アウトレンジ)からの制圧砲撃。反撃の行えぬ場所からの『爆撃』」
「では、ゴロツキ共に戦争を教えてやるとしよう。
戦闘教義(ドクトリン)すら持たぬ雑兵に、私の鉄火が止められるかな?」
轟音と爆炎。
最前線から味方を下がらせて、其処に降り注ぐ鉄火の嵐。
膨大な量の砲弾が、『蛇』達の頭上に……遥か遠方から、降り注ぐ事になるのだろうか。
■ふぇんりるさん >
ふぇんりるさんは悪くない。
子分?の野良犬どもが逃げ出す中、何か剣呑な雰囲気の『居心地のよさそうな』場所を見つけたのだ。
生まれ育ったところに比べると随分大人しいが、こういう場所で寝るのは嫌いではない。
日もくれたしと気儘に、空地の適当な所にごろりん。
青い箱から手に入れた肉をむしゃむしゃしながら、いつの間にかへそ天でぐっすり寝ていたふぇんりるさんである。
危険なんて感じる神経など持ち合わせていないのだ。
■ふぇんりるさん >
氷で覆われた世界『にう”るへいむ』でも平然とそこらへんで惰眠を貪るふぇんりるさんである。
この世界の冬などものともしないのだ。
ずががんっ、どごーんっとなんか煩い中でも平然とむにゃむにゃ幸せそうな寝顔なのである。
手に持っていたなんか衣が付いた骨付きお肉は、寝ている間に地面にぽとり。
夢の中で、おっきな獲物を仕留めて。その肉にいざかぶりつこうと。
寝顔で唇の周りを舌でぺろりっ。
湯気が出るほど新鮮な仕留めたばかりのお肉は好物なのだ。
■羅刹 > (……妙なのが寝てる?…向かってこねえ限りは無視しろ。既に戦う気がねぇ奴は下がれっつってある。
巻き込まれてもそいつの責任だ)
梟からの報告は逐一受け取る。
不釣り合いな存在が居るとは報告を受けるが…一旦それを気にかけている暇はない。
(…長距離砲撃か。
蛇は後退。けが人は蜘蛛の拠点へ運べ。死人は一旦放置だ。
デコイを前面に出し、相手の逃げ遅れたやつに肉薄。できるだけ巻き込ませるようにしろ。
要塞まで届いちゃいねえようだが…。梟は砲撃地点を割り出せ、すぐに蛇を向かわせる
応射も始めろ)
それはもう見ている手札だ。
何人かが砲撃に巻き込まれるものの、デコイの動きが変わる。
速度重視で、下がっていく相手の最前線に追いすがらせていき。
あわよくば、砲撃に巻き込ませようとする。
その間に、梟が砲撃位置を特定。
蛇が反撃を仕掛ける準備を始める。
位置は、見張りが立っているであろう広場の近くは避け。
僅かに視線が通る、広場から少し離れたビル上に…何か、細長い荷物を背負って位置取る。
そして、要塞からも。
ギリギリ射程圏内であろう砲撃が、散発的に放たれる。
本来であれば迎撃用であるため…射程は短いため反撃とは言い難いが。
目くらましには十分のはずだ。
■神代理央 >
「……何?異邦人が寝ている?作戦行動に影響を及ぼさない範囲で、避難誘導を行え。起きないなら放っておけ。避難の遅れた者を相手にして、此方に被害が出ては意味が無い」
前線を再構築しつつある隊員からの連絡。
此の忙しい時に、と舌打ちしつつも、避難させられるようであれば後方に下がらせる様に命じる。
それ以上の事は出来ない。此方とて、戦闘の真っ最中だ。
「……前線を上げてきたか。構わない。其処で前線を維持。砲撃は最前線には行わない。前線を上げて来たのなら好都合だ。
敵の最前線と後方の中間を遮断する。前に来た連中は、其方で対応しろ敵の増援くらいは漸減してやるから泣き言は言うなよ」
敵が速度を上げて此方の最前線と接触しても――着弾地点は変わらない。
それどころか、少しずつ後方へ。敵の要塞へ肉薄する様に、少しずつ砲撃の精度は上がっていく。
直ぐに要塞に命中弾が及ぶ、という事は無さそうだが――先ずは、要塞から最前線への敵の戦域を荒らそうと試みる。
敵が速度を重視するのなら、その補給線を先ずは絶とうとするかの様に。
「…と、此方にも反撃が来るようになったか。となれば、以前の様に"目"が通っているな。此処迄は、互いに予定調和といったところだろうが…」
今のところ、目くらまし程度の敵の砲撃ではあるが。
重要なのは『此方の位置が割れた』ということ。
前回は、目が居るであろう高層へ砲撃を集中させたが――
「……敵のヘイトが私に向いている内に、前線を整理しろ。
あらゆる火器の使用を許可する。歩兵戦で、連中に後れを取るな。
『英雄狩り』の本領を、見せつけてやれ!」
通信機に短く叫ぶ。
士気が上がるかどうかは、分からない。
最前線で奮闘しているであろう副部長の活躍に期待するとしよう。
■ふぇんりるさん >
戦火のちょうど中ほどで寝ているのである。
そのため、周囲やふぇんりるさんに流れ弾や瓦礫などがびしびし当たっているのだ。
ふぇんりるさん、ちょっと眉が寄ります。
今にもお肉(夢の中)を食べようとしたら、なんか男神の槍でつんつく突かれて邪魔されている夢を見ているのです。
痛くはないですけど、お肉から気をそらされます。
「~~~っ」
(夢の中の)男神の槍を払うように、肉球手袋を付けた軽く右手を振って、地面をずがーんっ。
寝相ですぐ横の地面が、なんか地面に埋まっていた高性能な爆弾がはじけたように。
周囲のビルの高さまで上がる土柱と、その後にひび割れへこんだ地面をつくっちゃいます。
ついでに避難誘導しようとしにきた人を吹っ飛ばしちゃうかもしれません。
よく見れば、ズダンッやズドンッと当たったはずの弾などがぱぃ~んと軽い感じで跳ね返ってころころ地面に転がる様子。
衝撃をほぼ受け止めた上で柔らかく跳ね返しているのだった。
当たったら爆発するようなモノは、当たったはずなのに爆発もせず転がっているので、
二階から生卵を落としても割れない衝撃吸収シート真っ青な衝撃吸収なのである。
■羅刹 > 確認する限りでは、寝ている誰かは此方の陣営ではない。
なら、相手の方の足かせとなるはずだ。
奴らは無辜の人物を傷つけることはないと信頼している。
だから、こちらからは放っておく。
少しでも相手の動きが鈍るなら御の字だ。
更に、最前線に肉薄していくデコイたちは所詮人形。
補給など、今は必要ない。
そして、要塞に砲弾が迫ってきても…焦ることはない。
むしろ、壊されるためにわざと…ハリネズミのように機銃などを配置しつつも骨格は弱くしてある。
(肉薄したデコイから仕込んだ爆薬を爆発させる。地雷原、罠地帯AからCに誘導しろ。
砲撃が届く位置は変わってねえ。できるだけその範囲には近づくな)
思考を巡らせながらも命令を出し続ける。
既に死傷者は今までの比ではないほど出ているが、止まるわけにはいかない。
一個の生物の様に、デコイが動きを変える。
撃たれて肉片となった瞬間、あるいは…飛びついた瞬間に爆裂し。
『副部長』の能力によってある程度殺傷能力は抑えられるだろうが、派手な花火はあがる。
それと共に、蛇による散発的な銃撃と手投げ弾によって相手最前線を誘導しようと試みる。
誘導される先は、地雷などのトラップが満載の一角。
更にデコイが減ってくれば―――
(よし。礫。例の催眠ガスを叩きつけろ)
(了解了解、ボス)
これも、以前行った行動。
超遠距離からのベクトル操作による攻撃だ。
放り出されるのは、睡眠ガスが込められた手投げ弾。
炸裂すれば、視界を奪うと共に強烈な眠気を誘うもの。
それが方々で炸裂し始め…同時に、『尾』の部隊が広報部員を拉致しようと動き出す。
死ぬことを厭わない、強引な略取。
更に、事態は続く。
位置取りを終えた蛇が、長大な布を取り払えば。
そこに現れるのは…、アンチマテリアルライフルなどと呼ばれる大型兵器。
訓練自体は完全に完了してはいないが、そういった強力な兵器があるということを知らしめることが肝要だ。
(撃て。撃ったらそれはもう捨てて構わねえ。ルートC-43がまだ無事だ。地下を通ってやり過ごせ)
拉致騒ぎに乗じての同時攻撃。
けたたましい爆音と共に…戦車装甲程度であれば貫く大質量兵器が放たれる。
この程度で鉄火が取れるとは思っていない。
何かしらの防御策は講じているだろうことはわかっている。
■神代理央 >
「……起こしに行ったら吹き飛ばされた?
……ならば放っておけ。そのくらいの力があるなら、多少の事では死にはすまい。敵が其方に流れない様に注意する、くらいで良い」
此方の避難誘導を受け入れない状況であるのなら、此方も此れ以上の手は打たない。其処に人員を割けるほど、余裕がある訳でも無いのだ。
「……前線を上げる必要は無い。障害物や装甲車をバリケードにし、前線の固持に努めろ。自爆攻撃も、既に何度か経験済みだろう。焦ることはない。
我々が行うべきは、敵の戦力の漸減であって、戦国時代宜しく占領地を増やしに来た訳では無い。
陣地を固め、前線を維持し、連中の手が尽きるのを待て。現場の戦力で拮抗しているのなら、投射火力に勝る此方が優位だ」
此方にも、相応の被害が出ている。副部長の活躍もあってか死者数そのものは辛うじて極少数にとどまっているが、負傷者の数はじわじわと増えてきている。
これまでは、特務広報部の象徴でもある装甲服が敵の銃弾を防いでいた様だが…自爆攻撃には、流石に耐え切れない。
「地の利は敵にある。迂闊に敵の誘いに乗るな。先ずは、敵の歩兵戦力を漸減する事に努めろ」
さて、取り敢えず前線はそれで良いとして。
補給路を断つ此方の砲撃に、敵が焦った様子は無い。
最前線に送る人員が減る。組織の人員が減る。
其処に脅威を感じていない様な敵の動き。となれば――
「……最前線は囮か。成程、となれば此方も…二枚目の手札を切るしかあるまいか」
砲撃を敵の要塞に集中させつつ、状況の推測が立ったところで、再び通信機が鳴り響く。
報告は二つ。一つは、敵が此方の隊員を捕縛する動きを見せ始めた事。何かしらのガス弾と思われる物が投射され、敵が迫っている。
もう一つは――移送車が、襲撃されている、との情報。
「……ガス弾如きに慌てるな!何のためのガスマスクか。暢気に眠りにつくのは、精々警邏部の連中だけだ!
近接戦に切り替えろ。恐らく、捕縛に来た連中は『本物』だ。
可能な限り殺せ。捕虜を取ろうだとか、其処までしなくても良い。
数を減らす事だけに集中しろ」
特務広報部は標準装備として装甲服とガスマスクを装備している。
かつて捕虜を捕らえた我等の副部長が、それを有効活用したように…少なくとも『装備だけは』一級品である事が特務広報部の売りでもある。
その為、視界は奪われこそすれ、昏倒に至る者は特務広報部に至っては皆無、といっても良いだろう。偶々現場に居た特務広報部以外の風紀委員はそれをまともに受ける事になるだろうが。
寧ろ、ガスが効かない事を敵が察知する前に、と。
隊員達は、上司の命に従って迅速に近接戦へと戦い方を切り替えた。その戦闘で刀を振り回しているのは――多分、副部長たる少女だろう。
とはいえ、移送車の襲撃は不味い。念の為、先日雇った傭兵を其方に回してはいるが……これは、敵の策にはまった、と言うべきだろう。
しかして、そうした指示を出している間に。
己が放っているのとは異なる、爆音。
一瞬の後、砲弾が風を切る音と共に――少年の周囲を包む、爆炎。
「……けほ、けほ。やれやれ、異能が間に合っていなければ魔力を無駄に使うところだった」
巻き上がる粉塵の中から現れたのは――小型の球体が発生させるシールドに守られた、少年の姿。
そして、少年の直上。天空に輝くのは、直径5m程の金属の巨大な球体と、それを取り囲む無数の小型の球体。
「……バベルの守護者を起動させた。以降、戦域全体を"焼く"事になる。同士討ちなぞ、間抜けな事に成らぬ様に注意しろ」
己が召喚出来る異形の中で、尤も攻守に優れた異形。
高出力の光学兵器による殺戮。僚機としてバスケットボール程の大きさの球体を無数に従え、その僚機はエネルギーフィールドと低出力のレーザービームを放つ。
多少の損壊は周囲の物質を取り込むことで自己再生し、天空から塵芥を焼き払う、鉄火の支配者の傲慢が形になった様な『異形』
『蛇』との戦いで決して見せてこなかった異形。
といっても、公式の記録には幾らでも残っているので、情報自体が秘匿されていた訳では無いが――まあ、兎も角。
鉄火の支配者の従僕『多脚』『大楯』そして、『バベル』。
三種の兵器が、今揃う事に成った。
「……焼き払え!」
短く告げた激と共に、球体は光り輝く。
刹那、あらゆる生命を決して祝福する事の無い、人造の裁きが――蛇達に降り注ぐ事になる。
狙いも極端に正確。それまでの砲撃とは異なり、正しく必殺の光線の雨霰が――降り注ぐ事になる。
■ふぇんりるさん >
むくりっ。
――ふぇんりるさん、起きる。
周囲がやかましいのだ。ふぇんりるさん、耳がとってもとってもいいのだ。
顔を手首でごしごししながら、フードの耳がきょときょとと動くのだ。
左を見る――右を見る――。
両方、なんかやかましいっ!
と、手を見ると食べかけだったお肉がない!
大変なことだ!
慌てて周囲を探せば、地面に落ちている食べかけの骨付き肉。
ふぇんりるさんはこの世界の常識をしっかり学んでいるのだ。
そう、見つけて3秒以内なら食べてOK!
素早く拾うと、土などごと美味しそうに食べ、骨もばりばりばりっ。
その間もびしばしなんかあたっているけど大したことではないので、今は肉の味に集中。
ふぇんりるさん的に大事なことである。
――さて・・・・。
食べ終わり、肉球手袋と唇に付いた脂も舌で綺麗に舐めとってからぎろりっ、
ちょっと目つきが悪くなる着ぐるみフードに付いたデフォルメおおかみっぽいモノの目。
どちらにしようかと獲物を定めるように見ているだけだけど、
普通の人には結構な殺気のようなのをちょろっと飛ばしながら左と右を見比べるのだ。
大事な、とても大事なあたしのお肉を地面に落としたのはどっちのやつだ。
食べちゃったけど、食べ物の恨みは『にう”るへる』よりも深いのである。
気持ちよく寝てたのに起こされたのにもオコである。
あと、夜に煩くすると串肉の屋台のじいちゃんからアイアンクロ―を喰らうのである。
来たばかりの頃、月に遠吠えしていたら喰らったから確かな経験だ。
あれは知り合いのとぅーるちゃんの『とぅーるちゃんはんまー』より痛かった。
と、片っ方がなんか明るくなった。
「なんだなんだ?、もう朝か?」
きょとりとしたふぇんりるさん。
そっちから何か暖かいのが沢山来たので、まずはそっちにのこのこと近づいていくのだ。
「お前らのせいであたしの肉が地面に落ちたぞ!
くいもんよこせ!」
ずずいっと肉球手袋を付けた右手を前に、たべるものを要求するのだ。
これはふぇんりるさん的に正当な交渉なのである。
ちなみに、ふぇんりるさんの着ぐるみ面積分だけ前にも後ろにも被害がいかないのである。
まるで不壊の防壁になる如く。
■羅刹 > (ちっ、一部が吹き飛ばされやがったか。面倒な。
だが構ってる暇はねえ)
張った罠が一部、何者か…先ほど寝ている、と報告を受けた場所で吹き飛ばされた。
厄介であろうことはわかる。
味方に付けられればいいが…その時間が惜しい。
刻々と変化する状況の中で、説得、に時間を割いている余裕は、今はない。
(効いてねえか。人数は裂いてねえ、すぐに下げる。あ?…今すぐ、全域避難!そいつぁ、多分ヤツの切り札だ。
DからHまでの直通通路を開ける!動ける奴は全員飛び込め!)
睡眠ガスが効果が無いこと。
装備が揃っていない者は、しっかりと攫えたようだが。
こちらの損害と比べるとイコールか、ややこちらが損、といったところか。
それほど人数はかけていなかったものの、対応がやはり早い。
チェスの早打ちをしているような、対応の連続。
その中伝わってくる『礫』と共に戦った時には見せなかった行動。
それは、確実にこのようなときのために隠してきたものだ。
奇妙な光が観測された瞬間、即刻、次々に盃を繋ぎ、連絡が付く者に避難を矢継ぎ早に伝えるも。
超遠距離に居た者、行動が早かった者以外は、かなり『呑まれた』
神の裁きのような光。
正確無比かつ、威力も申し分ないそれは、過たず大通りを、要塞を爆砕していく。
生きているものを狙っているのではないかというほどの砲撃は、戦闘区域をあっという間に焦土へと変えていくだろう
資料では確認していたが、資料で正確な威力が計算できるはずもなく。
(梟、生きてるか。ドローンを飛ばせ。
………………あ?、好都合だ。さっきまで寝てた奴がそんなにつええなら、目を引いてもらう。
あいつらにゃ証拠がねえ。うまくすりゃ場をかき乱せる。同時にあれを出すぞ。全構成員退避。
時間稼ぎを始める。礫は移動しながら今の距離を保て)
生きている梟に命令を飛ばし、状況を把握する。
今迄触れていなかった何者かが…何かに興味を惹かれたか、風紀委員側を向いている。
だから、砲撃から少しの間は撤退に徹し、目立たないようにする。
より興味が、風紀委員側に向く様に。
そうして、こちらの構成員が退避した後。
「…使わせてもらうぞ。………起きろ、深海の夢見る神、まつろわぬもの」
どこに居ても届くであろう、起動の文言。
『バベル』によって破壊された要塞から…何か、巨大な…ビルにも劣らない大きさのナニカが立ち上がる。
タコのような頭部、緑色の…人に似た体躯。
深淵を思わせる暗い大きな瞳。
[―――――――――――――――――――――――――――――――!!!]
それは、大道具が再現した…レプリカの神。
周囲に、『本物』よりはレベルは低いものの、正気を失わせる叫びを吐き出し。
一直線に、大きな歩幅で…砲陣地へと向かっていく。
未だあちらの方は時間がかかりそうだ。ならば、こちらが折れるわけにはいかない。
■神代理央 >
「食料を要求された…?……確か、幣たちが夕刻炊き出し用に握り飯など準備していただろう。…ああ、そうだ。後方の避難所だ。
其方に案内しろ。ごねる様なら、私の所迄連れてこい。
その程度の余裕は、作ってやった筈だろう」
異邦人については、最悪後方である此方まで下げれば良い。
そう考える余裕が出る程には、バベルは、無事に敵へそれなりに損害を与えたらしい。
と言っても、此方に伝わる情報は前線からの報告と、しょっちゅう撃墜される空撮用のドローン。
そして、空中を揺蕩うバベルからの映像を共有する程度。
"見える範囲"では、相当の敵を焼き払った様に見える。
――まあ、物陰に隠れていたり地下に潜られてはどうしようもない、のだが。
「……対空兵器に力を入れるべきだったな。さて、後は掃討戦――!?」
幾分の余裕を取り戻した吐息を吐き出そうとした時。
"叫び声"が、戦場へと響いた。
「……下がれ!前線を捨てても構わん!負傷兵と…落第街の住民を、可能な限り後方へ下がらせろ!
アレの声を聴くな!アレは…アレは、不味い…!」
かつて、落第街において同種の魔力を持つ者と戦闘を行った。
此の世界とは異なる理。異なる魔力。異なる節理に至る神々。
何せ、己自身もその魔力を取り込んで…一度、暴走へと至ったのだ。
身に染みて、その危険性は熟知している。
「あのデカブツの気は、可能な限り私が引き付ける!
この際、敵味方は問わん。戦場から離脱出来る者は、全て離脱しろ!救える者は救え、動けぬ者も、引き摺っていけ!
動ける車は全部出せ。あのデカブツから、何としても距離を取れ!」
狂気に呑まれては、敵だろうが味方だろうが関係無い。
だから、まだ生き残っている者は可能な限り救出し、戦場から離脱する様に通信機に吠える。
その間に、小型の球体を組み合わせえ足場を作れば――それに飛び乗って、空中へと。
此方へ向かう巨人と相対するかの様に、バベルと共にその正面へと滞空するだろう。
「……まさか、こんな切り札を準備していたとはな。
コレが叫べば、貴様らとて何時までも正気を保ってはいられまい。…いや、コレを使わざるを得なくなるほど、我々が憎かったか」
懐から取り出した煙草に、火を付ける。
揺らぐ紫煙の向こうで、正面から『神』の瞳を見据える少年の姿は、場所が上空という事もあって、どの場所からでも容易に観測出来るだろう。
「……我々は英雄狩り。神殺しは専門外だ。しかし、人理の鉄火は、神すら焼き滅ぼす。
『神は死んだ』と、もう一度知らしめてやろう!」
殊更、己の存在を誇示する様に吠えた後。
地上の異形。空中のバベル。その全てが、持てる火砲を全て『神』に放った。
鋼鉄の砲弾。レーザー。エネルギーの奔流。
ありとあらゆる火力が、全て偽りの神へと集中するのだろう。
『神』の叫びから逃れる為。そして、遠方の住民達の避難の為。
特務広報部の隊員達は、戦場から遠ざかり始める。
結果として、歩兵戦においては双方の戦力が撤退を開始している事になり――退避している『蛇』への追撃は、殆どなかったのだろう。
その点においては、特務広報部一手及ばず、という事に成る。
煙草を蒸かし、砲火の行く末を見守りながら――その事実に、苦々し気な表情を浮かべる事になるのだろうか。
■ふぇんりるさん >
堂々と、案内されていくふぇんりるさんである。
時折、頭の狼ヘッドの鼻がくんくんと動いて匂いを嗅いでいるのである。
「お、おぉ・・肉はないのか?」
握り飯などを手に入れて心弾むのである。
ぱくりっ、と口にすると・・・とても美味しい。ふぇんりるさん感激である。
ふと、手に持ったおにぎりと、あの暖かい光を見比べて。
素早く暖かい光の出ている下に行き、ちょいジャンプ!
しゅしゅっと素早く手を動かしてその光でほどよく温めてから、ぱくりっ。
うぬっ、握り飯というのも侮れん。
数人前を素早く食べると、こっちは満足だ。
「許してやる」くるりっ、と踵を返す。
とっとこ。
もう一つのほうからも喰うものをせしめないといけない。
くるっと振り返ったふぇんりるさん。
その着ぐるみのフード頭のおおかみ鼻がひくひくっ。
なんか、食うものも渡さず逃げようとしている輩を的確に嗅ぎ取るのだ。
――逃がさぬ!
ふぇんりるさん、ちょいだっしゅ!
ずぎゃんっと土煙と地面を盛大にへこまして早足だ。全力を出すには、この世界の地面は脆いのだ。
この世界は地面が丸いらしい。たぶん、そのせいだろう。
・・・・途中で、なんか緑色で大きいけど神威的には小物なのがいたけど、
さっきまで居なかったのだから、新入りなので関係ない。
『しゅうまつのきょじん』の奴らが酒盛りしてる時みたいに吠えて煩いので、あとで注意してやろう。
夜は静かにしないとアイアンクロ―なのだ。
それよりも今はあたしの肉の仇?の方が大事である。真理である。
何か塊や暖かいのを背に浴びながら、ふぇんりるさんは駆け抜けるのだ。
横を通った塊をしゅばっと素早くつかんでみて、口に入れてみる。
ばりぼり――歯ごたえはそこそこあるが、あまり美味しくないのだ。
でも、歯ごたえはちょっとあるので、しゅばしゅばっと掴んでは口に放り込んでばりぼりしておく。
そして大きな奴の脚の間をすたこらっと駆け抜けて、匂いからこっちが近道だと、
目の前にある建物をふぇんりるさん普通ぱんち使うまでもなく、
そのまま突撃して豆腐よりも脆く建物に穴を空けていき、まっすぐにもう片っ方の誰かを適当に捕まえるのである。
勿論――。
「お前らのせいであたしの肉が地面に落ちたぞ!
許してほしければ喰うもの渡せ!」
ぶれないふぇんりるさんである。
■羅刹 > この地区に住む、戦う意思が無い者に対して避難を勧めていたのはこの巨人を使うためだ。
叫び声を聞いて発狂され、無用な恨みを買うくらいなら手間をかける。
ある者には金を払い、ある者には女をあてがい、この空白地帯を造り出した。
レプリカであり、弱まっているとはいえ。
その叫びは狂気を呼ぶ。
既に蛇は…多くを焼き払われたからか、続々とその叫びの範囲外に脱出し始めている。
だが、単純に撤退しているというわけではない。
(…網を張る。そこに引っ掛かった車両を撃て)
人数が削られた…というより、まともに動けるのは現在『礫』が主だ。
叫び声が届かない場所へと陣取らせ、撤退ルートを予測し、指示。
そこを通った『避難車両』に、『礫』が散発的に攻撃を仕掛ける。
使われるのはその辺りの石や瓦礫だが…礫の能力により、徹甲弾の如き威力となる。
あくまで、相手にも被害を負わせようとする手。
ただ、その途中、避難している最中であった蛇から通信が入る。
なんでも、よくわからない奴に掴まり、食料を要求されているとのこと。
状況と照らし合わせれば…先ほどまでの妙な存在だろう。
あの光を受け、巨人の叫びを受けてもブレないとは。
…敵で無かったのが幸いか。
レプリカであるため、叫びに即効性は無い。
見つめ続けたり、叫びを聞き続けていないなら影響は薄い。
(食い物?、厄介な奴だ。…攻撃されたから反撃っつーわけじゃねーなら…。
…外側の『蜂』に引っ張っていけ。あそこなら酒も食い物もある。それで足りないなら、空中に浮かんでる奴がたくさん持ってると伝えろ
『蜂』、聞こえたな。なんでもいい。適当に用意しろ)
強大な力を持っていることは予想できる。
下手に刺激するわけにはいかない。幸い、砲撃は『神』の方に向かっているようだ。
ならばやることは…少しでも厄介ごとを起こさないこと。
更に幸いと言うべきか、今迄部隊それぞれに出していた命令が、『神』への命令だけで済むようになった上に…
あれは大道具にオーダーした通り再生能力に優れている。
異形の砲撃、『バベル』からのレーザーやエネルギーの奔流を浴びても、気持ちの悪い音を立て…敢えてグロテスクな面を見せながら再生していく。
流石に維持するためのエネルギーが尽きれば、その再生は止まるが。それまでは注意を惹きつけられる。
現に、『神』は歩みを止めず…確実に、宙に浮く支配者へ迫っていき。
指示を受けた構成員は、横暴な着ぐるみに丁寧に話すだろう。
『ここには無いが、たくさんある場所に案内する。それで足りなければ、あの宙に浮いている人がたくさん持っているよ』と。
横暴な着ぐるみがついてくるのならば、しばらく地下通路を歩いた後に…薄暗い店でいくつかの料理を出されるだろう。
妙に淫らな香りのする店だが、一応従業員用の食料は多量にある。
…着いてこない場合が厄介だが、それを考えても仕方がない。
(鉄火の相手はしばらくアレに任せる。体勢を整えろ。
それと…今の鉄火の姿を一瞬でもいい、ドローンで撮っておけ。後で合成して使う)
■神代理央 >
「…数人前の握り飯を平らげて敵陣へ走っていった?ふむ……いや、構わない。此方に来るようであれば、異形を護衛につけて下がらせようかと思っていたが…。
……ふむ…?そうか…攻撃されているのか。いや…分かった。
そうか、そうか…。」
鳴り響く通信機。
最初の報告は、件の異邦人の件。食料を渡すと素直にそれを平らげて、敵陣へと駆け抜けていった…らしい。流石に隊員も、追い掛ける事は出来なかったという。
取り敢えず、敵対する意思はなかったのだろう。ともすれば、本当に単なる異邦人か。それとも、他の意図があるのか。
もう一つの報告は、撤退途中の車両が攻撃を受け、行動不能になっているとのこと。
更に、内部にいた隊員も、それなりの重傷を負っている、と。
幸い、リカバリーは十分間に合う距離との事だが、車両は捨てざるを得ないだろう。この戦いが終わった後の事を考えれば――此方の手駒が、また減ってしまったということ。
しかし――
「…住民の姿も無い。敵は、攻撃を続行している。何より…私は兎も角、地上の隊員達は、今のところ正気を保っている、か」
正面から叫び声を聞き、その瞳の真正面に立つ己は――少なくない嫌悪感と忌避感を覚え始めている。
逆を言えば、それだけだ。最初は、己が同種の魔力を取り込んでいるからだろう、と思っていたのだが…。
「……紛い物か。いや、気配そのものは似ているから、どのレベルの紛い物か分からんが…」
"本物"ではない。少なくとも、まつろわぬ神々が顕現した訳では無い。
であれば、これは傀儡か。誰かに使役され、召喚され、此方へ向かう様に『命令』されている巨人。決して『神』ではない。
で、あれば。
「……結果的に、部下を下がらせたのは正解だったと言うべきかな。これで、何も配慮する事無く…事に当たれるという訳だ」
半分程残った煙草を虚空へ投げ捨てて、指を鳴らす。
発動する異能。巨人が向かう砲陣地に、一体の多脚の異形が現れる。
その姿は、他の多脚と大差無い。強いて言うなら――背負う砲が、歪に歪んだ円柱であるだけ。
「Gutsherrschaft、術式構築…起動。
収奪対象、現戦域において収奪可能の全エネルギー。
抵抗分子への第二次攻勢術式はカット。魔術、及び精神抵抗の無いモノからの収奪に集中」
それは、新たに見せる己の手札。
此処迄大盤振る舞いするつもりは無かった、のだが。
それでも、敵とてこの巨人を見せて来たのだ。出し惜しみは、出来ない。
「収奪エネルギーは全て魔力へ変換。圧縮し、砲身へ転送。
術式解除後に、全魔力の解放を承認。目標は、敵巨人」
此れ迄使用してこなかったもう一つの手札――魔術。
少年が持つソレは、ありとあらゆるエネルギーを文字通り奪うモノ。とはいえ、魔術防壁や強靭な精神を持つ者には、収奪まで時間がかかる。
故に、奪うのは主に位置エネルギー。そして、抵抗に失敗した者達の生命エネルギー。まあ、蛇からは奪えればラッキー、程度にしか考えていないが。
収奪の魔術によって、戦場を包んでいた業火は熱を失い、掻き消えていく。下水道を走り回る鼠たちが、バタバタと死んでいく。
場所によっては『礫』が放った攻撃のエネルギーすら、奪われていくのだろう。
そうして集められたエネルギーは魔力へと変換され――歪な砲身を生やす多脚へと、集中する。
何と言うことはない。魔力を収束し、粒子砲の様に放つだけの単純なモノ。
唯、その魔力が――戦場の様々なエネルギーを、収束したものと同義である事だけが、大きな違いだろうか。
「……Brennen!」
鋭い一声と共に、収束した魔力は淡く白金色に輝いて――異形の砲身から、放たれた。
文字通り、光の奔流となって迫る膨大な魔力の一撃。
本当に単純に、魔力を固めてぶつけるだけの、砲撃。
それは、単純であるが故に威力は膨大。さて、此れが巨人に通じると良いのだが――
■ふぇんりるさん >
「なんだ、喰うものは持っておかないと取られるぞ?
ヘビとか巨人とか、ロキパパとかに」
さっきもすぐに出されなかったが、こっちもらしい。
自分のものを自分から離しておくなんて、なんとも平和で呑気なやつらばかりな世界である。
いや、屋台のじじいは、肉串を盗ろうと手を伸ばしたらすぐアイアンクロ―してきた。
こいつらが平和ぼけしてるだけか?
なんて考えながらも、ついていくのである。
危険なんてまるで感じない――いた世界で時々あった『らぐなろく』の戦いをわくわくするふぇんりるさんなのである。
世界が壊れる程度では危険は感じないのだ。
・・・・今の恐怖は、屋台のジジイのアイアンクロ―である。
喰うものの方が大事である・・・空に飛んでるのって、あそこの奴か?
と見上げ、匂いを嗅いで覚えておくのだ。
あいつからもせしめてやろう。
口の周りを舌でべろりとするふぇんりるさんであった。
案内されたところは、何か『へいずるーん』のとこの匂いと似てる感じがする。
こっちは肉も豊富そうだ!
「肉だ、肉を出せっ!」
酒もふぇんりるさんはいける口だ。というか、飲み水のようなもんだ。
――味はいまいち、さっきの握り飯とやらの方が旨かったか。
だが、量はある。
レアレアな肉を食い散らかし、酒で喉を潤す。
がつがつがつっ、遠慮しない――というか、結構あるようだ。
今のうちに肉の喰い溜めだ。
骨も残さずかみ砕き、身体に見合わない量を食い散らかす。
野菜は喰わない。
喰えなくはないが肉があるのに喰う気にならないのだ。
ちなみに、先ほどの握り飯、梅干しが入っていたのにあたっていたら、ふぇんりるさん暴れていたかもしれない。
程よく腹3分ほどで飢えはとりあえず収まれば――数十人前ほど――を喰えば、
残りの肉を袋に詰めるように指示して――「許してやる」と一言。
よく縛られて岩に打ち付けられて下層に落とされていたふぇんりるさん、飢えに強いのだ。
肉の包みを担ぎ上げながら、てこてこと自由に店を出るのである。
この肉は、子分(野良犬)たちと分け合うのだ。
ふぇんりるさん、群れるのは好きくないが、慕ってくる奴を邪険にできるような狼ではないのだ。
外に出ると、まだ緑の大きいのが煩い!
耳をちょっぴりぺたりとさせて、はたっと気が付く。
そうだ、夜に煩くしたらイケナイことを教えてやらねばならなかったのだ。
それがこの世界の常識と屋台のジジイも言っていたのだ。
すぅっと息を吸うと、少しお腹に力を入れて纏めて注意するふぇんりるさんである
■ふぇんりるさん >
「うるさいのだっ!!」
■ふぇんりるさん >
・・・・ちょっと力こめ過ぎたのだ。
周囲の既に被害があった建物ががらがら崩れていく。
力の余波でふぇんりるさん周辺の建物が被害を受けている中、
その終末災害な神の力が少し籠った声は目標まっすぐ――緑の巨人を、光の本流とでサンドイッチしてしまうのでした。