2021/02/26 のログ
ご案内:「特殊異能研究所」にダリウスさんが現れました。
ご案内:「特殊異能研究所」に葛城いつかさんが現れました。
ダリウス >  
「さて…」

此処は研究区の一区画、特殊異能研究所
昼間だと言うのにブラインドの降りた一部屋に、白髪の男性が一人

可愛らしい絵柄のマグカップでコーヒーを頂き、一息をついた男は机の上の紙束を手に立ち上がる

網膜照合でロックされたドアの先
いくつかのカプセルが鎮座する
普段此処で雑務や諸々のこなす…表向きにはちょっと変わった人材達
通称ファミリアの調整用ベッド、とでも言おうか

「実験用の異能のインストールと調整も終わった頃だと思うけど、どうかな?」

スリープは工程が終われば自動で解けるようになっている
手元の紙束をぺらりぺらりとめくりつつ、室内に視線を巡らせた

葛城いつか > 「はい、良好です」
カプセルから、平坦な声が響く。

ぷしゅ、と白煙が吹いて、カプセルが響いて、現れたのは、彼の娘に瓜二つだが、色が違う、濡れ羽のような黒の髪に、濡れたチョコレートのような褐色の肌、そして首につけられた、『安全装置』という枷

「特殊弍式発展型強化ファミリア、起動しました」

琥珀色に輝く目を、開いた

ダリウス >  
「うん。よろしい。──おはよう」

返ってきた明瞭な声に浅く頷く

「服はそこに用意してあるから着替えて。
 動作にも問題はないみたいだね。着替えたら、いくつかチェックをしようか」

にこやかな笑みを讃える男は、カプセルの脇に綺麗に折り畳まれた衣服を指差して、そう言葉を続ける

目覚めたファミリア…いつかの準備を待って、再び口を開く

「では、僕が誰かわかるかい?
 そして君に与えられた身分と、主な目的を口頭で答えてもらえるかな」

手元の紙束をもう一枚、捲くる

男はデータの保存を、メディアと紙に分けていた
消えて困るものは、メディアへ
消えないと困るものは、紙へ
である

葛城いつか > 「……はい」

平坦な声で用意されていた服に着替えていく、羞恥心は薄いらしい。
そして着替え終えて

「……マスター・マスターダリウスです、私は”備品”です、異能を沢山使ってデータを採収するための”道具”です、そのためにたくさんの異能を使って戦闘に用いることが目的です」

淡々と目的を告げる、それはそうであることを疑いもせず

ダリウス >  
「ふむふむ、概ね良い感じだね。
 僕に対する返答としては完璧だ」

紙面にペンで何かサインをして、次を捲くる

「では、"表向き"の君は、どういった存在かな?
 ここが重要だよ。何せちょっとした疑念が色々と解れを生みかねない」

こう見えて結構ギリギリの橋を渡っているからね、と笑う

葛城いつか > 「はい」
言葉のトーンが上がりつつ。

「葛城いつか、常世学園の学生として編入し、風紀委員会特務広報部に入部することが表側の私、です」

ちょっと自信なくつぶやきながら、なんせ吹けば飛ぶような自分、なのだ。

ダリウス >  
「──うん。オッケーだ」

再び、にこやかな笑み
紙束にもうひとつサインをして、近くのデスクの上へと置いた

「あとは異能の力がちゃんと備わっているかどうか。
 君にはいくつかの高負荷な異能の力がインストールされてる。
 並の人間が並列して使用するには人格が自壊するくらいのもので、
 生身の人間をテスターにはできない代物だね」

こっちへ、と促す先には強化ガラスに阻まれた実験室が鎮座する
その中へ入るよう促すと、言葉を続ける

「なので、君には薬のテスターも兼ねてもらうことになる」

ポケットからいくつかのアンプルと錠剤を取り出す

かつて公安委員会薬物捜査研究所が保有していた通称"暴走薬"を成分解析、新たに調剤した異能のステージを1ランク上げる──異能力増幅アンプル
そして自前で研究・開発途上でもある異能の制御薬…通称は──ドミネーター

「さ、いつか…君の異能の力を見せてごらん」

そう言って、薬を目覚めた少女へと手渡して

葛城いつか > 「……はい」

当然、知識もインストール済みである。
そのあたりを強化するために、私には最初から強いAIを搭載してあるし、思考強化や最初から強化した演算能力を搭載している。

「……イエス、マスター」

ゆっくりと実験室に入り、嬉しそうに、その薬を受け取り
自分の”性能”を見てもらう。
そのことが存在意義であり、自分の喜び、だ

「はい、知っています」

迷いなく薬を接種していき

ダリウス >  
強化ガラスの手前、椅子にかけ
紙束ではない…小型のタブレット端末を取り出す

つまりこれは"消えては困るデータ"の部類に入る

「いいよ。はじめて」

「君の力がどんなものか。
 君がそれにどれだけ耐えられるか」

「まずは限界を知ること。
 そうすれば後の仕事も、つつがないってものだからね」

葛城いつか > 「はい、まずは……」赤いオーラを纏う、身体強化異能

「次は……電気を」に電気を走らせる、バチバチと爆ぜる。

「振動破砕……」左手に振動を流す、ぶうん、と周囲が歪む。

頭に痛みが通る、そして薬で癒える。

「光鎖形成」空間に鎖が二本、それを浮かべて

「空間だ……んれつ」
血を吐きながら周囲の空間を破壊し、穴が生まれ、自分の放った異能を吸い込んで

ダリウス >  
「……ふむ」

起こる現象
そしてその肉体に掛かっている負荷を見てとり、データを更新してゆく

いつかが血を吐こうが、動じない
実の娘が同じ状態になり倒れようと動じないのだから、当然なのだが

「やっぱり異能力増幅アンプルを使った上だと、
 ドミネーターを服用していても負荷は抑えきれない、か…。
 うーん、まだまだ改良の余地アリ、だなあ…」

小さく後頭部を掻きながら、立ち上がる

「出てきて構わないよ。いつか」

ガラスの向こうから、そう声をかける

葛城いつか > 「まだやれます、マスター」

血を吐きながら再生したので平気だといいながら

取り合えず異能を解き、ゆっくりと帯電や力を抜いて

「……はい、頭痛もありましたが治癒しました、問題ありません」

そうすると、ぐぅぅぅ、と腹から音が鳴って。

刻まれた再生術はカロリーを大量に消費するもので。

ダリウス >  
「大丈夫。今の試験はちゃんと異能がインストールされているかどうか、
 それを自分の意思でコントロールできるか否かのテストだからね」

耐久性を見るものではないよ、と笑って
実験室からいつかが出てくれば頭に手をやり、軽く撫でつけて

「はい、血を拭いて。身だしなみを整えて」

濡れタオルなんかを手渡しつつ、ふと気づけば腹の音が耳に入る

「…おっと、研究区内のカフェテラスで軽食でもとろうか?」

こんなところまでよく似てるな、なんて苦笑しつつ

葛城いつか > 「……はい、わかりました」

すこし落ち込んだ様子でタオルを受け取り、身だしなみを整え

「……すいませんマスター……仕様上の問題で」

顔を赤くしながら恥ずかし気に

ダリウス >  
「構わないよ。些細なことは」

恥ずかしがる様子ににっこりと笑って答える
事実それは自身の研究過程においてなんの問題にもならないのだ

「それじゃ、行こうか。
 まだ肌寒いからね。何か上に羽織るもの…っと」

これでいいか、なんて椅子にかかっていた幅広のコートを肩へとかけてやって…

「──と、そうだ」

先導するように歩き始めて…思い出したようにぴたりと止まる

「研究区の中では構わないけど、外では一切此処との関わりを表に出さないように。
 色々と機密も多い場所だからね。もし万が一があるといつかを処分しなきゃいけなくなる」

「それは僕にとっても本意じゃないから、気をつけるようにね」

そしてにこりと、再び笑顔を見せた

葛城いつか > 「はい……ありがとうございます」

上着をかけてもらいながら、笑みを浮かべて

「……わかっています、私は備品ですから……最後まで使命を全うします」

無機質に笑う

ダリウス >  
「うん。頼んだよ」

そう言うともう一度、頭をぽふっと撫でて

「それじゃ行こうか。
 カフェなんだけどオムライスなんかが絶品でね。
 もちろん奥さんのには劣るんだけど──」

他愛ない言葉を投げかけながら、促すようにして先を歩いてゆく
いつもどおりの、室長としての姿だったが…

「(うーん、正直ここまでそっくりだと少し調子が狂うなあ…)」

──なんてことを、内心思っていたとか、どうとか

その日のチェックテストはつつがなく終わり、
葛城いつかは特務広報部の一員として、情報収集も兼ねて潜入することとなる
そこで少女がどんな活躍と、結果を見せてくれるのかは───また別のお話

ご案内:「特殊異能研究所」から葛城いつかさんが去りました。
ご案内:「特殊異能研究所」からダリウスさんが去りました。