2021/08/01 のログ
ご案内:「常世学園付属総合病院 VIP個室」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
週明けには退院しても大丈夫。
――と、担当医から告げられたのが今日の朝。
と言っても、大した荷物も無いので準備する物は少ない。
元より、手ぶらでも最高の待遇が用意されているのが此の常世学園付属総合病院 VIP個室なのだから。

「…今のところ大きな事件は起こっていない様だが…いや、それが返って不気味だな。
私の不在の間に…と奢るつもりはないが、多少落第街への目も緩んだだろうに…」

違反部活の行動がゼロになった訳では無い。
しかし、特段活発化した、という報告も来ていない。
どうにも奇妙な事だ。自分を目の敵にする組織ならば、良い機会だと暴れまわるかと期待していたのだが…。

「…潜伏されては、尻尾も掴めぬな。中々やってくれる」

ぽふ、とベッドに横たわり作業を進めていたタブレットから視線を外す。
今は夕方、放課後くらいの時間だろうか?入院していると、どうにも時間の流れが分からなくなってしまう。

神代理央 > まあ、退院してもやる事はさして変わりない。
入院する程の怪我も慣れたものだ。今更、怪我が怖くて…など、言うつもりも無い。
同居人の少女に心配をかけさせるのは控えたいところではあるが…こればかりは、分かってもらうしかないだろうか。

「夏季休暇のシフトも見直さなければならないし…その間に、課題も進めておかないといけないしな…」

よいしょ、と再び身体を起こしてタブレットを操作し始める。
メールやイントラネットの確認。細々した申請書の処理。
退院後のスケジュールの確認などなど。
なんだかんだと、入院していても出来る仕事は多い。

ご案内:「常世学園付属総合病院 VIP個室」に比良坂 冥さんが現れました。
比良坂 冥 >  
こんこん

小さな音が病室に響く
やや遠慮がちなノックの音だった

ドアの向こうからかけられる声はなく
ただ室内からの入室許可を待つように
人の気配だけが、ドアの向こうから感じられる

──どっかじとりとした、梅雨にも似た気配だけ

神代理央 >  
部屋に響くノックの音。
広い室内とはいえ、少々耳を澄まさなければ聞こえない様なノックの音は、作業に集中していたが故に一瞬気付くのが遅れてしまうだろうか。
自分の聞き間違いではないか、と首を捻りかけたが――扉の奥からは、確かにヒトの気配がする。
常夏に似合わない、湿り気を帯びた様な気配が。

「……どうぞ。鍵はかかっていないよ」

その気配に、思い当たる節が無い…とは言わない。
だから、訪問者を迎え入れる声は穏やかで柔らかなもの。
誘う様に、入室を許可する言葉を投げかけるだろうか。

比良坂 冥 >  
「……──」

ゆっくりと、横開きのドアが音もなくスライドする
そこから顔を覗かせたのは、少年の想像通りの少女だった…だろうか
薄暗さを思わせる昏い瞳に、曇らせた表情のままで

言葉を発することなく、ベッドへと歩み寄る少女の表情は曇ったまま
何も喋らない、が故かその顔が少女の言いたいことを全て物語るかのようだった

なぜ入院するような怪我をしているのか
なぜ連絡がなかったのか

なぜ なぜ なぜ

ベッドの脇に立つ少女の手には、何もない
普通見舞いに来たならば見舞い品の一つも持ってきているものだろうが、手ぶらだ
そして言葉を発さないだけではなく、その呼吸が乱れているようにその胸が上下していた

何かを用意する余裕も何もなく、入院と場所を知った直後に向かってきたかのだろうと推察も出来るかも知れない

──監視対象である少女に誰がこの病室を教えたのか、という疑問は残るかもしれないが

神代理央 >  
落ち込む…というよりも、正しく沈み込んだ感情の様な表情の少女。
思い当たる節は山ほどある。言うべき事も沢山ある。
しかし、先ず少女に告げなければならないのは…。

「……心配かけてすまなかった。連絡も出来ずじまいだった。
ごめんな」

先ずは謝る事。どんな理由があれ、少女に心配をかけた事は間違いないのだから。
何も持たず、呼吸を乱したかの様な少女に、申し訳なさそうに眉尻を下げる。

「…先ずは、座ったらどうだ。水くらいしか、出せないけど」

と、ベッドサイドの椅子を勧めつつ、サイドデスクの水差しとグラスを取って冷水を注ぐ。
そのグラスを少女に差し出しながら、先ずは寛いで欲しいという様に視線を向けるだろう。

「…良く、此処が分かったな。冥が私の家に住んでいる事を知る者はそうそう多くないはずだけど…」

投げかけた言葉は、疑念ではなく疑問。
知る者が少ないから…というよりも、監視対象の少女に情報を伝える様な気の利いた同僚が居たかな、という程度のもの。
寧ろ、此の場所を知った少女への賞賛の念を含んでいる。情報源がなんだったか、次第かも知れないが――