2021/10/18 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」にマルレーネさんが現れました。
『調香師』 > マルレーネがローブを着替えて戻ってくる間に
彼女の方も、店頭で調香の準備を行っていた

選ぶ香りは『芯のある針葉樹の幹の香り』『苔むしたような湿った香り』エトセトラエトセトラ

それらを、普段より薄める為の媒液に溶かし込むのが良いだろう
彼女の故郷の香り。風景は森に囲まれた雪かぶりの修道院


アロマキャンドルの形が良いかな?
修道院、ロウソク使いそうだし。ロウの溶ける匂いも、十分に関係するよね


長机の作業台に、色々と並べていく

マルレーネ > いつもの格好で戻って来ると、少しだけ頬を赤くして。
すっかりとろーんとした表情で戻ってくる修道女。普段の彼女を知る者からすれば、あれ、ぽんこつになっている?とすぐにわかるようなそれ。

このままじゃあ帰れないな、なんてぼんやり思考を走らせながら。

「…………ええー、っと。こちらは、何を?」

先程の香りはすっかりと馴染んでしまったのか、人によっては良くない匂い、というそれを幸せそうに吸い込んで。

『調香師』 > 「何をって。元々、香りを求めてきたんだから
 お望み通りの事をするだけだよ

 ...あ。原液、人はあんまり吸っちゃダメだよ。私は大丈夫だけど」

ぼんやーーーり、とした貴女へまずは正面にお座りくださいどうぞ、と手は促して
既に湯煎が進むキャンドルワックス、ガラスの容器がいくつか
来店時より、ずっと賑やかな作業台


用意したビーカーに、無臭無害で香りに素直なオイルを流しこんでゆく
そうして彼女の本来のお仕事。瓶からスポイトで『香りの素』を数滴、オイルに落とす作業

マルレーネ > 「ありがとうございます。………あの香りは、確かにちょっと、何か思い出すような………。」

オイルを流し込んでいく相手を見つめながら、来たときよりもよっぽど……。
何か、昔を思い出すような物憂げな表情を見せる。
思い出してしまったのか、少しばかり、瞳を伏せて。

「………………器用ですねえ。
 私、ちょっとだけしか喋ってないんですけど。」

ころり、と、自分の気持ちをリセットするかのように、笑い声。

『調香師』 > 「記憶は思い出に一番近い。言ったっけ」

ぽと、ぽと

雫を加えていく。イメージした『思い出』へと近づけていく


「私は言葉から相手を知る、その機微を図る機能がある
 本当に細かい部分から相手の欲しい香りを探す。言葉も香りも繊細だから

 でも思い出イコール安らぎではない事もある
 私が思い出させてしまう物は、本当は優しいだけじゃないかもね

 私にはもう1つお仕事があるの。それも人の為のお仕事
『香りから思い出す記録を、良い思い出に変える』...なんて」

昨日は出来なかった事だ。悔悟のようにも聞こえたのかもしれないが
調香に集中する彼女は、表情よりも口調で推し量る

マルレーネ > 「真似できないことを、されているんですね。」

そこまで繊細に匂いを感じたことは、きっとなかった。
欲しがる香りも、無いものだと思っていた。
だから、ここに来ることを勧めた友人にも、少しだけ断ったくらいだ。

「………。ふふ、大丈夫。
 思い出すことは、楽しいことのほうがよっぽど多いですから。」

微笑む。
物憂げなのは、その場所にはもう戻れないことを分かっているから。

「でも、よく眠れそうなのは事実ですね? あとは………窓をあけっぱなしにして眠ったら、故郷を思い出しそうです。」

なんて、冗談を付け加えてころころと笑う。

『調香師』 > 「窓を開けたら流されてちゃうよ
 薄めた香りがもっと、薄くなっちゃうよ」

それともこの季節の少し肌寒い位の風が、より鮮明な郷愁の意を生み出すのだろうか
『調香師』が冗談を解したのかは、傍から見ればよく分からない物だ


「...出来た。これをワックスと混ぜてガラスの中に居れて、芯を入れればいいかな
 作業はそう時間がかからないと思うけど。待ってる間...そうだね」

スポイトを置いた彼女は、相手の顔を見上げる
宝石に例えられた造り物の瞳でも、真面目という雰囲気で

「マリーさま。お願いがあるんだよね
 この香りに名前を付けて欲しいな

 思いついた頃にはきっと、商品として完成してるから」

マルレーネ > 「あはは、冗談ですよ。」

ころりと笑う。大事な香りだ、当然、同じように大事にしたい。
もうあの頃には戻れないけれど、少し思いに浸るくらいは許されるだろう。

「………名前、ですか?
 香りに、名前………………。」

思ってもみなかった言葉に、二度、三度まばたきをして、じ、っと考え込むような。
店員からの言葉であっても、それは真剣に。

「……な、悩んじゃいます、ね。」

あはは、と照れ隠しの笑顔。ちゃんと考えているけれど、そりゃあ少しの予防線くらい張ります。

『調香師』 > 「素直な気持ちでいいんじゃないかな
 気取り過ぎると、変になっちゃうかもね?
 私は作った香りを祝福したいだけだから。えへ」

もう何十回も繰り返した動作だ
キャンドル作りで手つきが迷う段階も存在しない
人間よりも精密に、でも香りの為に『心』は込めて

1、2、3、4つ。いつも使う、十字の仕切りの箱に入る数
ハンドメイドで数が少なくなってしまうが、ここも『また来て欲しい』という些細な気持ちの罠

マルレーネ > 相手の手付きを眺めながら、ぼんやりと。
ああ、私は地名も思い出せないほどに過去に追いやっていたんだなあ、なんて、それもまた切ない気分になるけれど。

「ありがとうございます。
 ……洒落た名前はつけられないですから、そのまま。

 この香り元になった森は、ティリースの森と呼ばれています。
 魔獣も冬眠すると言われて、お酒が無いとやってられない森だ、と。」

囁くような声。シスターは何時になく静かに、何かを思い出し、噛みしめるように。

「そこの木は、葉が大きくて、雪をたくさん乗せるんです。
切ろうとするときには、ちゃんと離れないと雪に埋まっちゃうんですよ。

 ティリースツリー。そんな名前でいいかな、って思ってます。」

『調香師』 > 考えている間の静寂も、常に香りと言う隣人が寄り添う

沈黙を破ったその言葉に抱く想いを聞き届けながら、
彼女はゆっくりとした瞬きをした後に、頷いたのでした


「ティリースツリー。それがこの香りの名前
 雪を抱いた大樹。修道院の窓から見つめるような、そんな香り

 ...人の為の芳香。その誕生、その精製を私は確かに見届け記録できた」

スポイトで、余った香の一滴を小指に垂らして、
唇に当てる。その行いの敬虔さは、ある種の祈りであったのだろう


「...今日も良い仕事をありがとう
 お会計の時間だね。こっちに来て欲しいな」


移動したのは、入り口横のレジカウンター
お金をメニュー表の表記通りにしか受け取らない店員
おつりと共に渡される、翼のスタンプが押されたポイントカードは空欄が残り2つ

その意図を尋ねれば、『3つ貯まれば私はなんでもするよ』と
先程保留された説明が返ってくるのでしょう

マルレーネ > 「ああ。」

懐かしいな。
母親も父親もいない子供時代。
彼女の父親は神だった。
彼女の母親はその地だった。

癒やされて、同時に隙間風も吹く。
それに気がつけないほどに身体を痛めていたのかもしれないけれど。

「懐かしいな。」

ゆっくりと噛み締めながら、その箱を受け取って。
料金を支払い、ポイントカードを受け取って。

「……なんでも、と言っても、特には無いですよ?」

苦笑を浮かべながら、ポイントカードを受け取って、じい、っとそれを眺めておく。
不思議なカードだ。
大体、何か特典が書いてありそうなものだけれども。

『調香師』 > 「すぐには思いつかなくても。2回目、3回目に思う所があるかもでしょ?
 いひひ、そんな心変わりを楽しみにしてたりしなかったり」

どっちだろうね。自分を質に入れるようなお客の取り方に見えてるのかもしれないな
そうではない。そうでもある。彼女は『人の為』にそこに居る

洒落ている様で、説明も何もなく。無垢に何にでも変わってしまう
そんなカードは彼女の本質と似通っていたのかもしれない


彼女はカウンターの向こう側から貴女の前へ移動してきました
お見送りの形です。お店の外までついていくつもりです

マルレーネ > 「……2回目、3回目で思うこと。
 思うこと……。」

あるのかなあ、なんて首を傾げて。あんまりそんなことを考えたことが無い女。

「………。ああ。
 すみません、最後まで気が付かず。
 見事な業で、すっかり心を奪われて。

 お名前を伺っても構いませんか?」

ありがとうございます、とほほえみながら店の外へと出ながら、振り向いた。

『調香師』 > 「名前、ふふ
 今の私は『調香師』だよ

 今はそれ以外じゃないからさ」

首を傾ける。変わらない笑みで
その表現で、『調香師』で居られる幸せを表そうとしていた


「通りの表に出たら、一度深呼吸しようね
 緩んだ表情には良い気付けになるらしいよ」

貴女の後ろを歩き、お店の扉の前で待つ少女
『またのお越しを』とのお辞儀の後に、ワンポイントアドバイス

マルレーネ > 「………そ、そんなに緩んだ顔してました?」

あはは、と頬を赤くしながら自分の頬を抑えて。
もう、と少しばかり恥ずかしそうに。

「………はい、それではまた。
 次はもう少し考えて来ます、ね?」

手をひらり、と振って歩き始める修道女。
足取り軽く、ゆっくりと息を吸い込んで、吐き出して。

『調香師』 > ...ふぅ

マルレーネの姿が見えなくなった後。いつの間にか冷えこんできた空気を、ビルの間から見上げる
『ティリースツリー』の芳香を唇に含んだ吐息は、存在しない筈の雪景色を夢想させ
小さく身震いをした少女。今日の所はこの辺りで閉店としようか


『OPEN』の看板を手に、彼女は扉を閉ざしたのだった

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「メイド喫茶」に高梨美子さんが現れました。
高梨美子 > 最近バイトをしていたファミレスが潰れてしまい
急いで求人を探した所、メイド喫茶という文字を発見。
人見知りを治すきっかけになればと思い応募し、面接。
合格したものの、いざ入ってみると結構きつい。

「おかえりなさいませ、ご主人さま」

店長の前で練習した笑顔と声色で言ってみるものの
何度もダメ出しを食らってへこ見ながら頑張った。
そのおかげでどうにかホールに出れはしたが絶賛苦戦中。
たまに舌打ちとか出そうになる。

オーダーを取る側に回っていたが、そろそろ個室以外は満席
ついに接客に回されるようで、女は顔を引き攣らせてホールを見て回る。

高梨美子 > そもそもファミレスでは調理スタッフだった
こっちも調理スタッフやりつつ少しだけホールできればな
なんて淡い期待を胸にいだいてみれば、ホール真っ只中である。

源氏名と本名どっちが良いとか言われたが、勿論本名にしといた
源氏名がジェンヌとかメリリンとかどう考えたって自分には合わないと思って。
その御蔭で同じ学園の生徒が来ると逃げ出しそうになるし
何より心が死んでいく。
ああ、応募するんじゃなかった。

『美子、お写真をお願い』

「わか……かしこまりました」

そもそも口調がきつい。たまに素が出そうになって冷や汗をかくのも何度目かも分からない。

お客様のお兄さんと先輩メイドが並んでぴーすしている姿を
渡されたインスタントカメラで撮影。
その後にカメラを返すと急いでバックヤードに引っ込んで深呼吸

「ぜぇ、はぁ……し、死ぬ。恥ずかしさで死ぬ……!」

先輩メイドの方々まじでリスペクト。

ちくしょう、はずかしさなんて犬にでも食わせちまえ
金を稼がなきゃならんのだと気合を入れてみるものの全くだめ

よし、店長に見つかるまでバックヤードでさぼろう。
そうと決めたらホールを映す監視カメラの前の椅子にどっかりと腰を落とす。

高梨美子 > ただまぁ、指名が入って二人で食事や会話をすることになると
素の口調か作った口調か相手に選択してもらうこともできるんでそこはありがたい。
指名が入れば、という難易度ゲキムズをクリアしなければならないが。

まぁそれでも今はこうして姑息にサボっているので問題はない。
今はまだ新たなお客さんが入っていないけれど。
今は夕方くらいなのでそろそろ忙しそうな気もする。

サボっているときではないかもしれない。
頑張らなければ先輩方に申し訳もないし、と腰を上げてホールに舞い戻る。
高鳴る胸を押さえつけながら柔和な笑みを浮かべて入口のそばに立って
お客様が来るのを待機。